ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命のレビュー・感想・評価
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毎年いつもある枠ではあるものの…。
今年221本目(合計1,313本目/今月(2024年6月度)21本目)。
(前の作品 「ブルー きみは大丈夫」→この作品「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」→次の作品「」)
毎年、ナチスドイツを描く映画はこの時期から8月ごろにかけて多く放映されますが、イギリス(この点後述)から描いた映画というのは珍しいかなと思います。
いわゆる人権擁護の観点で彼のような活動をした方がいらっしゃることは、彼に限らず少なからずの方が知っていることと思います。また、ドキュメンタリー映画ではないですが史実に基づくものなので、当時のナチスドイツの動きほかについて知っているとかなり有利です(あまり高校世界史では学習しない点もあるので)。
どうしても映画のテーマという観点からは、この映画に「娯楽性」を求めることは難しいと思いますが、この時期~8月にかけて放映が多い戦争もの(ここでは、何らかの意味で思想論がある映画を指す狭い意味)を鑑賞することによって、私も含め色々な方が今も実際に進行しているいくつかの戦争も含め、過去の悲惨な出来事を忘れないようにしなければ、といったところです。
採点に関しては以下を考慮しています。
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(減点0.3/サイクス・ピコ協定等について触れていない)※この点は減点0.3固定
この映画がナチスドイツについて触れた映画で、かつ「イギリスを舞台にしている」という点をあげました。ユダヤ人問題がいつ意識されるようになったかは色々な考え方がありますが、イギリスのいわゆる「サイクス・ピコ協定」ほかがこの問題を複雑化させ、いわゆる現在でも言われる他の難民問題(クルド人問題もルーツをたどればここに来る)もイギリスのこうした政策から生まれたものです。
もちろんそれはれっきとした史実ですが、それをもって「イギリス叩き」をするのは変な話ではありますが、この点、イギリスは一種の「加害国」であり、この観点からの見方も欲しかったです。
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必ず救世主はいる。
タイトルなし
Fan's voice試写会にて。
1930年代と1980年代を行き来する。
時間軸が複数ある作品は、ともすると分かりにくくなってしまうことがあるけれど、本作は、この行き来がとても自然に、そして効果的に編集されていた。観る者を置いていかない。
ホロコーストから人々を救おうとした人々の話は、時間の経過とともに明かされてきていて、本作のもとの話も聞いたことはあったが、本当に素晴らしい映像化だと思えた。
アンソニー・ホプキンスと聞いた時点で期待は高まったが、見事に応えてくれる。後半、プールサイドに佇む彼の演技。名優の演じるその姿を見せられてしまったら、泣かずにはいられなかった。
あとはBBCにやられた。それこそこのシーンは知っていたのに、いや、もう、無理でした。
チェコスロバキアから収容所に送られたユダヤ人の子供は約1万5000人、生き残ったのは約200人。ニコラスと仲間たちが救ったユダヤ人の子供は669人。
彼らの偉業がどれほど凄いことかはこれだけでも十分分かる。
期待をさせるなと言われたニコラスは、我々が信じなくてどうするのだ、と、誰もが無理だと考えていたことを実現化する。資金、里親、迫りくるドイツ軍。その状況で。
そして、母が、また凄い。キャストも凄い。ヘレナ・ボナム=カーター。
息子の要請を受けて、移民局?に出向くが門前払いをくらいそうになり、young man、と毅然と説き伏せる。
名演説レベル。
これだけのことをしたのに、それでも、ニコラスの中には成し遂げられなかった事が大きく残っている。
最後の列車、救えなかった人々、もしかしたら再会させられなかった家族のことすらも。
関心領域と同じ出来事を、ある意味、対極から描いた本作。
関心領域は、
人間はどこまで残酷になれるのか。
本作は、
人間は誰かのためにここまで出来るのか。
絶望と希望を、そこに見出す。
ただ、、、
ガザの現状を見聞きしているから、彼の遺した資料の行き先に、どう受け止めていいか分からない気持ちも残ってしまった。
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