ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命のレビュー・感想・評価
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タイトルなし
Fan's voice試写会にて。
1930年代と1980年代を行き来する。
時間軸が複数ある作品は、ともすると分かりにくくなってしまうことがあるけれど、本作は、この行き来がとても自然に、そして効果的に編集されていた。観る者を置いていかない。
ホロコーストから人々を救おうとした人々の話は、時間の経過とともに明かされてきていて、本作のもとの話も聞いたことはあったが、本当に素晴らしい映像化だと思えた。
アンソニー・ホプキンスと聞いた時点で期待は高まったが、見事に応えてくれる。後半、プールサイドに佇む彼の演技。名優の演じるその姿を見せられてしまったら、泣かずにはいられなかった。
あとはBBCにやられた。それこそこのシーンは知っていたのに、いや、もう、無理でした。
チェコスロバキアから収容所に送られたユダヤ人の子供は約1万5000人、生き残ったのは約200人。ニコラスと仲間たちが救ったユダヤ人の子供は669人。
彼らの偉業がどれほど凄いことかはこれだけでも十分分かる。
期待をさせるなと言われたニコラスは、我々が信じなくてどうするのだ、と、誰もが無理だと考えていたことを実現化する。資金、里親、迫りくるドイツ軍。その状況で。
そして、母が、また凄い。キャストも凄い。ヘレナ・ボナム=カーター。
息子の要請を受けて、移民局?に出向くが門前払いをくらいそうになり、young man、と毅然と説き伏せる。
名演説レベル。
これだけのことをしたのに、それでも、ニコラスの中には成し遂げられなかった事が大きく残っている。
最後の列車、救えなかった人々、もしかしたら再会させられなかった家族のことすらも。
関心領域と同じ出来事を、ある意味、対極から描いた本作。
関心領域は、
人間はどこまで残酷になれるのか。
本作は、
人間は誰かのためにここまで出来るのか。
絶望と希望を、そこに見出す。
ただ、、、
ガザの現状を見聞きしているから、彼の遺した資料の行き先に、どう受け止めていいか分からない気持ちも残ってしまった。
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