劇場公開日 2024年6月21日

「感動の実話」ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5感動の実話

2025年2月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

この作品は2023年イギリス製作の映画で、
日本での公開は2024年6月21日。
イギリスの公開からざっと1年遅れたことになる。
なぜこのタイミングなのか?

ホロコーストへ送られる寸前の《幼いユダヤ人の子供たち669人を、
プラハから、国外へ逃した青年》の話である。
似たような映画に『シンドラーのリスト』、
日本人外交官の『杉原千畝スギハラチウネ」がある。

この映画では、ユダヤ人の子供たちを【難民】と言う
過去に無かった呼び方で
呼んでいる点に配給する側の意図を感じてしまった。
シリア難民、ガザ地区のパレスチナ難民との呼び方は聞くが、
戦前のユダヤ人を難民と呼ぶのを聞くのははじめてだ。
80年近く前の1938年ブラハ。
ナチスの侵攻が迫りユダヤ人の家族は、
せめて子供だけでも助けたいと、
海外に養子縁組をして、受け入れ先を探して、
ビザをとり、イギリス行きの列車に乗せて運ぶ・・・
その事務的手続きを担ったのが、ニコラス・ウィントたちであった。
そして「シンドラーのリスト」や「杉原千畝」と違うのは、
ニコラス・ウィント(晩年をアンソニー・ホプキンス)が、
50年後の1988年に助けた子供たちと、テレビ番組を通して
再会を果たす点だ。
感動の再会物語・・・なのですが、逃したからこそ生きていて
その後の人生があるのだから、大恩人であることに間違いはない。

ここで思うのは【世界中に溢れかえる“難民“と呼ばれる人々】の
増え方であり、それを押し返そうとする動きが今まさに、
《受け入れる》から《送還する》に変わりつつあることだ。
それはかの大統領の公約であり、ドイツ新政権の方針転換であり、
《難民を受け入れないこと》が主流になりそうなのです。

イギリスがEUを離脱したのも治安の悪化や、
難民に職を奪われたことが、
要因の一つと言われている。
世界的に紛争が広がり、難民は増え続けて、
受け入れ先を多くの国が、入口を狭めている。

自国民達だけでも手一杯だったり、世界経済も温暖化の影響を受けて
農作物も不作、魚もとれない、など日本をみても、経済的、
人道的見地から見ても、余裕がない。
解決の難しさが山積みしている。

犠牲的優しさで、ユダヤの子供たちを救ったニコリスは、
最後の輸送するはずの250人が、救えなかったことを
悔い続けているのだ。

ラストの実際の写真。
“ニコラスの子供たち“と呼ぶ、助けられた子供たちの
記念撮影。
本当に素晴らしい。

ニコラスの母親役で、ヘレナ・ボナム・カーター(58歳)、
ニコラスの妻役で、レナ・オリン(69歳)が、
アンソニー・ホプキンスは現在87歳。
2025年のロサンゼルスの山火事で自宅が全焼した・・・とのこと。
(えー、思い出の品物は、大丈夫ですか?心配です)

その後も出演作は、2作品あるようです。

琥珀糖