「ニコラス・ウィントン の大快挙」ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命 大岸弦さんの映画レビュー(感想・評価)
ニコラス・ウィントン の大快挙
ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命
神戸市内にある映画館 kino cinema(キノシネマ)神戸国際にて鑑賞 2024年7月4日(木)
パンフレット入手
原題 One Life
Story
1938年、第2次世界大戦直前。ヒトラー率いるナチスがオーストリアを占領し、チェコスロヴァキアのズデーテン地方も要求した。英仏伊の指導者たちが、戦争を避けるためにこれに合意したため、迫害を恐れた何万人ものユダヤ人が、プラハへと逃れた。
イギリスのロンドンで株の仲買人をしている青年ニコラス・ウィントン(ジョニー・フリン)は労働党左派の友人マーティン・ブレイクからプラハの難民の話を聞いて、何かしなくてはという強い思いに駆られ、母のペペット(ヘレナ・ボナム・カーター)の心配をはねのけてプラハへと向かう。現地で活動しているイギリス難民委員会のドリーン・ワリナー(ロモーラ・ガライ)の案内で難民キャンプを訪れると、大勢のまだ幼い子供たちが寒さと飢えに震えていた。
子供たちを助けようと決意したニコラスは、ユダヤ人組織に難民家族のリストが欲しいと依頼する。組織のトップから、なぜこんな深刻な問題に関わるのかと問われたニコラスは、自分は祖父母からユダヤの血をひいてはいるがそれよりもただ吹きさらしの寝床で泥にまみれている子供たちを救いたいだけだと訴える。
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リストを手にしたニコラスは、ひとりひとりに子供たちをイギリスへ避難させようと呼びかける。一方ニコラスから頼まれたペペットは移民局を訪れ、受け入れの条件について質問する。それには子供一人につきビザ、保証金50ポンド、医療証明書と、里親が必要だった。難民委員会のドリーン、ハナ、トレヴァー・チャドウイック(アレックス・シャープ)と「児童課」を立ち上げたニコラスは、資金を集めるためにロンドンへ戻る。
ニコラスはタイム誌に約2000人の子供たちが過密で不衛生な場所で苦しんでいると投書し、パベット(ヘレナ・ボナム・カーター)とマーティン(ジョナサン・プライス)と共に里親探しと寄付のお願いに奔走する。2週間後、子供たちを乗せた第1便の列車がリバプールに到着。ニコラスたちは駅のホームで子供たちと里親を引き合わせるのだった。
それから第8便までが到着、669人の子供たちをチェコから脱出させることに成功する。ところが、最大規模となる250人の救出が予定されていた第9便の到着2日前に第二次世界大戦が勃発、列車が着くことはなかった。
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50年後仕事を引退したニコラス(アンソニー・ホプキンス)は、妻のグレーテ(レナ・オリン)と穏やかな暮らしを送っている。もうすぐ孫が生まれる予定でニコラスはグレーテから娘の里帰りまでに物に溢れた家を、片づけるように言われる。中でもグレーテは、古いブリーフケースを指して「自分のために手放して」と懇願するのだった。ブリーフケースの中には1冊のスクラップブックが入っている。それはイギリス難民委員会児童課の記録で、ニコラスが里親探しのために撮影した子供たちの写真と書類が張られていた。
国境を超えられなかった子供たちのことが忘れられず、もっと何かできたのではないかと、自分を責めながら生きてきたニコラスにとって、スクラップは"過去"ではなかった。ふと思い立ち、久しぶりにマーティン(ジョナサン・プライス)に会って相談すると、マーティンは「君がしたことは素晴らしい、ひとりを救えば世界を救う」とニコラスを称える。
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マーティンの紹介で、ニコラスはメディア王の妻で歴史家の女性であるペティ・マクスウェル(マルト・ケラー)にスクラップブックを預ける。すると、BBCのテレビ番組「ザッツ・ライフ!」で紹介するので、番組に来てほしい連絡が入る。
「ザッツ・ライフ!」収録が始まるとアナウンサーから「ニコラスに助けられた親族の方起立してください」と言うと、集まった人全員起立するのだった。
ジェームズ・ホーズ 監督
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感想
この作品には描かれていませんが、チェコスロヴァキアからイギリスに渡るとき、船の手配もしているのです。北海、ドーバー海峡
そう思うとニコラスの50年前の功績は、それは大変なことではと思います。