ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命のレビュー・感想・評価
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主義主張ではない「子供たちを助けたい」と思う気持ちの行き着く先
ミュンヘン協定からわずか数週間後のプラハで、ナチスの迫害から逃れてきたユダヤ人の子供たちが、住む場所と食べる物にも事欠く様子を見たイギリス人、ニコラス・ウィントンが「彼らを助けたい」と思ったのが全ての始まり。ウィントンはそれを機に、政治のハードルを超え、寄付金を集め、里親を探し、ナチスの侵攻が迫る中、開戦直前まで子供たちを列車に乗せて国外へ脱出させようと試みる。
この"イギリスのシンドラー"とも呼ばれる人物の行為は、確かに凄いことのように思える。でも、窮地に陥った子供たちを助けたいと感じるのは、ある意味、人として当たり前のこと。もちろん、それは簡単なことじゃない。
本作は、何かに突き動かされた人間が、その勢いのまま最後まで突っ走る姿を、声高に訴える主義主張ではなく、自然なこととして描いていて、そこに強い説得力がある。そして、今の世界はまさに、第二、第三のウィントンを求めているのだ。
ラストに用意された劇的な幕切れは感動的だが、ウィントンの若き日と老後を演じるジョニー・フリンとアンソニー・ホプキンスの好演が、映画の喉越しをすこぶるよくしている。2人は自然な人道活動の道程を抑制した演技で表現していて、主人公の人生を1本線で繋げることに成功している。
見てよかったなー。
「シンドラーのリスト」「杉原千畝」。
戦時下で命のビザを作り、多くの人々を救った話は有名。
今作はチェコの子供達を、イギリスに送った実話。
特徴的なのが、戦時下に活動していた青年時代と。
その50年後、今も心に後悔を背負った老年時代。
4:6の割合で描かれていて、行ったり来たり。
書斎の引き出しに捨てられずに残された「鞄」。
これがキーワードになってます。
原題は「ONE LIFE」。ひとつの命。
この重みが全編にわたって、沁みてきました。
今の時代に見るからこそなお。
見てよかったなー、ハンカチ持って行ってよかったなー。
淡々と
1938年、ナチスドイツの侵攻から逃れてプラハに集まったユダヤ系難民の子供669人をイギリスに逃がした実在のニコラス・ウィントンの事蹟を追うお物語です。
と言うと、スピルバーグの「シンドラーのリスト」を思い出すのですが、本作ではハラハラドキドキのハリウッド的演出を恐らくわざと避けて、子供らを一人でも多く救おうとした彼の行動を正面から淡々と描いた事で作品の力が強まりました。そして、最後にはやはりウルウルして、「僕も善き人でありたい」と、もはや手遅れながら素直に思えたのでした。
お母さんも凄い
「シンドラーのリスト」
「杉本千畝」と同様に
ナチスから大勢のユダヤ人を救った
実話に基づく映画。
言葉と行動力で
周りを協力者にしていくニコラスは
母によく似ている。
この母にして
この子あり。
「オッペンハイマー」に続く鑑賞だったので
生き方の違いが顕著に感じられた。
尊い生き方。
いい映画を観ました
埋もれた史実を世界に公表する映画で、感動的な内容でした。
ただ新鮮味はなかった。
不謹慎とおしかりを受けるかもしれないけど、これが、正直な感想でした。
自分の心が痩せてしまているのだろう。途中でうとうととしてしまった。
ただ、アンソニー・ホプキンスの演技はすばらしかった。
さすがの名優である。
イギリスのテレビが控えめで事実のみを告げるスタンスはいいと思った。
これみよがしで、感動ポルノと揶揄される、どこかの国のテレビとは違って大いに共感した。
もしかすると、感動ポルノで心が痩せているのかもしれない。
テレビは控えめにしなくては!映画を観よう!
ニコラス・ウィントン の大快挙
ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命
神戸市内にある映画館 kino cinema(キノシネマ)神戸国際にて鑑賞 2024年7月4日(木)
パンフレット入手
原題 One Life
Story
1938年、第2次世界大戦直前。ヒトラー率いるナチスがオーストリアを占領し、チェコスロヴァキアのズデーテン地方も要求した。英仏伊の指導者たちが、戦争を避けるためにこれに合意したため、迫害を恐れた何万人ものユダヤ人が、プラハへと逃れた。
イギリスのロンドンで株の仲買人をしている青年ニコラス・ウィントン(ジョニー・フリン)は労働党左派の友人マーティン・ブレイクからプラハの難民の話を聞いて、何かしなくてはという強い思いに駆られ、母のペペット(ヘレナ・ボナム・カーター)の心配をはねのけてプラハへと向かう。現地で活動しているイギリス難民委員会のドリーン・ワリナー(ロモーラ・ガライ)の案内で難民キャンプを訪れると、大勢のまだ幼い子供たちが寒さと飢えに震えていた。
子供たちを助けようと決意したニコラスは、ユダヤ人組織に難民家族のリストが欲しいと依頼する。組織のトップから、なぜこんな深刻な問題に関わるのかと問われたニコラスは、自分は祖父母からユダヤの血をひいてはいるがそれよりもただ吹きさらしの寝床で泥にまみれている子供たちを救いたいだけだと訴える。
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リストを手にしたニコラスは、ひとりひとりに子供たちをイギリスへ避難させようと呼びかける。一方ニコラスから頼まれたペペットは移民局を訪れ、受け入れの条件について質問する。それには子供一人につきビザ、保証金50ポンド、医療証明書と、里親が必要だった。難民委員会のドリーン、ハナ、トレヴァー・チャドウイック(アレックス・シャープ)と「児童課」を立ち上げたニコラスは、資金を集めるためにロンドンへ戻る。
ニコラスはタイム誌に約2000人の子供たちが過密で不衛生な場所で苦しんでいると投書し、パベット(ヘレナ・ボナム・カーター)とマーティン(ジョナサン・プライス)と共に里親探しと寄付のお願いに奔走する。2週間後、子供たちを乗せた第1便の列車がリバプールに到着。ニコラスたちは駅のホームで子供たちと里親を引き合わせるのだった。
それから第8便までが到着、669人の子供たちをチェコから脱出させることに成功する。ところが、最大規模となる250人の救出が予定されていた第9便の到着2日前に第二次世界大戦が勃発、列車が着くことはなかった。
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50年後仕事を引退したニコラス(アンソニー・ホプキンス)は、妻のグレーテ(レナ・オリン)と穏やかな暮らしを送っている。もうすぐ孫が生まれる予定でニコラスはグレーテから娘の里帰りまでに物に溢れた家を、片づけるように言われる。中でもグレーテは、古いブリーフケースを指して「自分のために手放して」と懇願するのだった。ブリーフケースの中には1冊のスクラップブックが入っている。それはイギリス難民委員会児童課の記録で、ニコラスが里親探しのために撮影した子供たちの写真と書類が張られていた。
国境を超えられなかった子供たちのことが忘れられず、もっと何かできたのではないかと、自分を責めながら生きてきたニコラスにとって、スクラップは"過去"ではなかった。ふと思い立ち、久しぶりにマーティン(ジョナサン・プライス)に会って相談すると、マーティンは「君がしたことは素晴らしい、ひとりを救えば世界を救う」とニコラスを称える。
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マーティンの紹介で、ニコラスはメディア王の妻で歴史家の女性であるペティ・マクスウェル(マルト・ケラー)にスクラップブックを預ける。すると、BBCのテレビ番組「ザッツ・ライフ!」で紹介するので、番組に来てほしい連絡が入る。
「ザッツ・ライフ!」収録が始まるとアナウンサーから「ニコラスに助けられた親族の方起立してください」と言うと、集まった人全員起立するのだった。
ジェームズ・ホーズ 監督
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感想
この作品には描かれていませんが、チェコスロヴァキアからイギリスに渡るとき、船の手配もしているのです。北海、ドーバー海峡
そう思うとニコラスの50年前の功績は、それは大変なことではと思います。
ただ救いたい
杉浦千畝やシンドラーだけでなく、当時のヨーロッパにはユダヤ人の命を守ろうとした人々がいて、おそらく世に知られていないだけで他にもいたのではないか。
ナチス・ドイツの侵攻が迫る時間との戦いの中、資金の調達から里親探しまで、若者たちに協力する人々も多くいたのだろう。
シンドラーは他に合理的な理由があったかもだが、多くは義憤にかられ、損得抜きで行動せずにはいられなかった人たちだ。「関心領域」の人たちとは対極の、これも人間。
669人も助けながら、ウイントンの心にあるのは、救えなかった子どもたちへの悔恨。
ナチスのポーランド侵攻で一度は乗り込んだ列車から引きずり降ろされる子どもたち、証拠を残さないように窓から放り出されて次々燃やされる資料に添付された写真がメラメラ燃えていく様に涙が出た。この写真のように、彼らもはかなくなってしまうのだろう。彼らのほぼ全員、収容所に送られ人生を終えてしまった。また、兄弟の中でひとりだけ里親が見つからず残された末の弟、他人の赤ちゃんを育てている少女はどうしたのだろう。修羅場ではほんの少しのめぐり合わせでその後の運命を分けてしまう。人の存在の儚さに愕然とするし、こんな非道を引き起こすものに怒りが湧く。
1987年の老いたウイントンと1938年の戦時中のウイントンの話が交錯するが、余計なエピソードがないシンプルな作りでドキュメンタリーのよう。
テレビ番組の中で、過去に救った人々と再開し、抱き合うところは感動的。
ウイントンと妻を除いた観客席の全員が立ち上がり、彼らがウイントンたちに救われた子供たちだったことは、直前に想像できたにも関わらず、胸がいっぱい。
近くの席の女性は途中からずっと泣いていたが、ここに来て嗚咽になっていた。
救えた命から、今や6000人の新たな生命が生じた。
ウイントンたちのしたことは、これほどの偉業だったのだ
ラストの字幕でウイントンのスクラップブックは、イスラエルのホロコースト博物館に収蔵されたとあったが、現在のイスラエルはこのスクラップブックから学んだことはないのだろうか。
謙虚さと誠実さ。
主演のアンソニー・ホプキンスがとてもよい。
実話をもとにしている作品を
過剰でもなくかといって、淡々とし過ぎているわけでもなくリアルに表現していると思う。
実際の難民支援は想像を遥かに超える難題続きだったんだろうと思う。
それでも、最後まで謙虚に地道に
活動して、悔やみながらなのか、自責の念を抱きながらだったのか、生きて…
次世代を繋いで、彼の人生は全うされたのだと感じた。
今の世界を見ていると
本当に、この時代の経験は何だったんだろうかと
絶望したくなると思う。
それでも、諦めないということで成し得ることはあるのだと希望を持ちたいと思わされた。
子どもの頃からアンソニー・ホプキンス主演の映画を
追い続けていたので迷わずに鑑賞。イギリス人がユダヤ人を救ったという事実は知らなかったので、勉強になりました。
「 ファーザー 」 は、ひょっとしたら本当にボケているのか?と思うくらいガチ演技だったので次回作もボケ老人役かと期待していたら、そんな事は無くろくに準備運動もせずにプールに飛び込む冒頭のシーンで、
「 お爺ちゃん、無理しちゃ駄目!お爺ちゃんが死んじゃう!」 とハラハラした。
近所で集めた募金箱から硬貨を選り分けるシーンは手がぷるぷる震えていて、演技なのか素なのか判断がつかず。
映画の内容については、他のレビューをあたってください。
大体、こんな誰もが感動できる文部科学省認定の作品について、何突っ込めばいいんだい?俺から突っ込み奪ったら何も残らないよ!
アンソニー・ホプキンスファンとしては
「 ホプキンスの出番が少ない!」 ってのが残念。
ラストあたりのTVのトークショーで
「 実は今日のお客さんは殆どが貴方が救った方々です!」と言われた時に、凡百の役者なら泣きじゃくるところを、泣かないで「 ありがとう、凄く嬉しいです... 」 という気持ちが伝わってくる絶妙な表情の所なんて他の役者には到底到達できない演技だったと思います。
万人受けする映画です。あー、突っ込めなくてしんどい...。
どういうオチかわかっていても泣ける!
アンソニー・ホプキンス及びジョニー・フリン演じるニコラス・ウィントン(ニッキー)の
ナチスから子どもたちを守るため、イギリスへ避難させる活動が
ラストで大いに花開くところに猛烈に感動して、涙しました。
現代(1987年)と1938年を行き来するストーリーなのですが、
1938年は実にシリアスで、当時のニコラスと仲間たちの並々ならぬ苦労もうかがえ
史実としてわかってはいるものの、やはり相当なリスクをとっていたことがわかります。
ただ、ナチスによる虐殺などの残酷なシーンはなく、そこは観客の想像力に委ねられていたりするので、
『シンドラーのリスト』のように目を覆いたくなるような描き方はされていませんでした。
ここは実にソフトながら、それでもナチスに連行された人たちの行末は想像に余りあるところです。
一方、現代のニコラスは軽妙なところもありながら、
過去の記憶に思いを馳せていく、そして、BBCのテレビ番組「ザッツ・ライフ!」で
思いもよらぬ再会があるわけですが、もう、ここが泣けて泣けてしょうがないくらいに涙腺崩壊でした。
アンソニー・ホプキンスの演技は言うまでもなく素晴らしいのですが、
脇を固める共演者も素晴らしく、特に奥様役のレナ・オリンの存在感には圧倒されました。
いやぁ泣けそうだなと思ってはいたものの、自分でもびっくりするくらい涙腺崩壊しました。
実に素晴らしい人物にスポットをあてた映画だったと感服いたしました。
人の命を救うという事
夏風邪をひいて、3週間も映画館へ行けなかったのですっかり調子が狂ってしまった。観る予定だった映画も上映が終了してしまったり、優先順位が変わったり、家庭の事情もあったりで、やっと7月3本目である。今日2本ハシゴは辛いな。(と言う訳でソフト化されていない51年振りに再見予定だったベルモンドの「おかしなおかしな大冒険」はパス)
7月18日(木)新宿ピカデリーで実話の映画化「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」を。
1938年、開戦直前のチェコスロバキアと49年後の1987年のイギリスを行き来しながら映画は進む。
1938年プラハで難民が悲惨な生活をしているのを目の当たりにしたニコラス・ウイントンは、まずは子供たちをイギリスに避難させようと移動の条件となるビザの発給、里親の確保、資金の調達をする活動を組織して尽力し、子供たちを次々と列車に乗せてイギリスへ送る。
しかし、9番目の250人の子供たちを乗せた汽車は開戦によりドイツ軍によって止められ、子供たちはイギリスへ来られない。多くはアウシュビッツへ送られたのだ。
救えなかった子供たちへの自責の念を持ち続けたニコラス・ウイントンだったが、49年後にBBCの番組に出演すると、意外な事実が明らかになるのだった。彼が救った669人の子供たちは、その子、孫まで入れると6,000人にもなっていた。
杉原千畝やオスカー・シンドラー以外にもナチスの脅威から人々の命を救った人たちがいたのだ。
しかし、現在でもヒトラーはいなくてもプーチンがいる。ウクライナやガザには避難が必要な子供たちが多くいる。
日本ではどうか。
日本は世界の中でも難民の受け入れが極めて少ない国である。
日本人で難民の里親になる人はいるか?
日本人で資金調達に協力する人はいるか?
金があり自分は月に行こうとしても、難民に資金援助をしたと言う話は聞いた事がない日本人の富豪もいる。
他人様の事は言うまい。
自分は、困っている人がいたら手を差し伸べる事が出来る人間でありたいものだ。
少しだけど、そう思った。
追記
スクラップブックを預かる富豪の婦人がマルト・ケラーだったのにビックリ。
「ブラックサンデー」や「悲愁」から何年経ったのだろう。46〜47年か。
ニコラス・ウイントンは、それよりも長く
救えなかった子供たちへの自責の念を持ち続けたのだ。
うまく言い表せないけど ニコラスウィンストンは映画の後半まで一切の...
うまく言い表せないけど
ニコラスウィンストンは映画の後半まで一切の涙はなく必死に戦い続け
夜のプールサイドで感情のダムが決壊するように泣いているシーンで
私の涙腺大崩壊
ずっと泣いてたけど。
事実から目を反らさないと正気を保っていられない。
そのことを映画の中でも表現されていてとてもとても良作でした。
後世に繋ぐ物語
ナチスの危険が迫るプラハにて、子どもたちをイギリスへ避難させる為に奔走する青年とその同士達の物語。
お爺さんとなった現在(80年代)のニコラス。救えなかった子どもたちを思い、50年経った今もその記憶に苛まれている…。
正義の行為を行った人間が苦しみ続けるという現実は辛すぎますね。今でこそナチスは解体されたとは言え、当初は侵攻していた立場なのにズデーテン地方の割譲を譲歩される…。
正義と悪とは一体何なのか。
そんな中、言ってみれば他人である難民のこどもたちの為に闘うニコラスと同士の姿、まさに無償の愛がそこに。わりとさらりと描かれていましたが、資金集めや里親探しはどれほど大変だっただろうか。
少しずつ動き出す計画。駅での別れのシーンは胸を抉られる。劇場内からも終始鼻をすする音が。しかし9回目には…。
それでも闘い続けたニコラス。現代に還りまさかの再会が。
ここからの展開はアツかったですね。読めてしまうと言えばそれまでですが、大事なのはこの事実を伝える事ですからね。
50年経っても苦しんだニコラス。しかし、そんな彼を救ってくれた存在こそ、かつて彼が…。
ひとりを救えれば世界を…あながち間違いではないのかもしれません。
涙腺崩壊とまでは行きませんでしたが、6000もの物語に繋げた彼の勇気。
その物語が、今この瞬間も世界のどこかで生き続けているということに、胸が熱くなった作品だった。
過酷な状況で人はどこまで人でいられるのか?
観賞後
すぐにレビューを書けませんでした。
淡々と描かれる中にも
とても映画自体に凄みがあり
心の奥をズシンと押されているような
感覚になりました。
「見たら見ないふりは出来ない。」
「始めたら必ず終わらせる。」
「人間はどんな状況でも希望が必要」
実話に基づいたセリフの一つ一つに
とても重みと説得力がありました。
映画には
様々な人物が登場してきます。
時代に流されている人
時代に流されている事に気付きながらも仕方なく信念を曲げる人
時代に流されずに信念を貫く人
共通するのは
みんな生きるために必死だと言う事
あのような過酷な状況で
どの生き方を選んだとしても
誰も責める事は出来ません。
時代に流されずに信念を貫ける人は
圧倒的に少数です。
だからこそ
名前が残っていくのでしょう。
「過酷な状況に置かれた時、
自分はどのように変わるのだろうか?」
自分の中にあるエゴイズムに
葛藤しています。
子供達を想うお父さんのあの姿
今思い出しても
涙が出てきます。
綺麗事かもしれませんが
人と人は
どこまでも互いに優しくなれると
信じたいです。
慈愛の心と勇気と行動力に感動
ナチスを題材にした映画は数多い。それらの映画によって戦争の恐ろしさ、人間の犯し得る残虐性を知ることになる。極限の状態において人は何を考え、どう振る舞うのか。
この映画はハッピーエンドである。ナチスを扱いたくさんの人々が亡くなる映画にハッピーエンドという表現は不謹慎である。しかし、これが映画鑑賞後の僕の正直な感想である。
慈愛の心と勇気と行動力でたくさんの子供達を救った男がいた。しかし彼は救えなかった命を思い、後悔の念を抱きながら歳を重ねる。とりわけ"自分とは無関係な赤ん坊を抱いた慈愛の心溢れる少女"を救えなかったことが頭から離れなかった。そして彼の善行は誰に知られることもなかった。
しかし50年後、世間に知られることになる。彼の行動への称賛と生き延びた子供達(もはや壮年達)の感謝が彼に注がれる。(感動的な場面です)
彼が救った669の子供の命は50年の間に6000の命として繋がった。彼は自分の行動を価値あるものと実感する。
イギリス🇬🇧人すごい!
ニッキーは、もちろんですが…いや、ニッキーは純粋なイギリス人ではないわけか、、、お母さんも元々はドイツ人?
そう、きっと国ではないのだろうな。その人、一人一人の信条というか。
私はニッキー、お母さん、プラハの仲間達、そして里親の皆さんが本当に、すごいと思いました。だって、もしかしたら、ほんの期間限定で預かる…ような気持ちの人だっていたかもしれないわけで。平和が訪れたら、親元へ返すのだと、繰り返し言っていた。
親御さん達で、生き残れた人、再び子どもさん達に会えた人は何人いたのだろう。
人間はナチスのように、こうも残酷に残虐にもなれ、
ニッキー達のように、命をつなぐある意味、神にもなれるというように思えた。市井の神様です。
熱意と協力と報い
右ハンドルの自動車を運転していたので、イギリスだとわかった。プールに飛び込んで大丈夫かと思った。
若い頃の回想場面にはいり、チェコでユダヤ人の子どもを逃がそうとするけれども、資金もビザ発給権もなく、ただ熱意だけで母親も含めて協力者や、受入れ里親を増やしていった。当事者団体にリストを出してもらうために、自分の背景を問われ、祖父母がユダヤ人だけれども、イギリスで国教徒として洗礼を受け、社会主義者でもある、と答え、それでも信用を得ていた。
いくつかの作品のように、子どもたちだけの密かな逃避行ではなく、国際列車に大勢乗せて、ドイツ軍人のチェックを受けていた。しかし、ドイツのポーランド侵攻開始によって、その方法が閉ざされてしまっていた。
救いきれなかったたくさんの子どもたちや同士たちを失ったことで、自分の行為に自信がもてなかったけれど、テレビ取材とともに、多くの救出された人たちから感謝される機会を得て、報われたようだった。
チェコは、『ナチス第三の男』の舞台で、ロンドンから送り込まれた亡命政府の暗殺者が策動した地でもあり、子どもたちが送り出された縁もあったのだろうか。わずか二人のスロバキア系ユダヤ人たちがアウシュヴィッツ収容所を抜け出して、収容所内の実態を暴露した『アウシュヴィッツ・レポート』も、大きな救済につながったことが評価されていったので、そういう細かい功績の掘り起こしの一つと言えるかもしれない。
淀川さんだったら、何と言われただろう?
淀川長治さんが「シンドラーのリスト」について、一言述べたことはよく知られている。
私は「One life」は、大変良い映画だと思った。
背景は、第二次世界大戦直前のヨーロッパ。1938年9月29日、イギリスのチェンバレン首相は、ヒトラーの要求を呑んで、チェコスロバキアのズデーデン地方のドイツへの割譲を認める。宥和政策、しかし、一般には、この決断が先の大戦を招いたと言われている。ただし、ソ連を恐れたためとも言われ、この時の教訓が、今日のロシアによるウクライナ侵攻への対応にも影を落としている。
ドイツはもちろん、38年3月ドイツに併合されていたオーストリア、チェコの各地から、ナチを恐れたユダヤ人がプラハに逃げ込んでくる。住む場所も食料もほとんどなく、劣悪な環境。この状況を目にしたロンドンの若き株式仲買人、ニコラス・ウィントンは、ユダヤ人の子供たちを救おうとする。一体、どうやって?子供たちを、イギリスに避難させようとしたのだ。彼は、英国に帰って主旨を説明し、寄付金を集めて里親を探し、彼の母親バベットの助けを借りて、子供たちのためのヴィザを取得しようとする。何より大事だったのが、難民の子たちのリストを揃えることだったが、チェコスロバキア難民英国委員会のプラハ事務所の協力があった。
39年の3月、書類の揃った子供たちから、鉄道を使った避難が始まるが、時あたかも、ヒトラーが約束を破ってチェコ全土を占領した頃だから、その苦労は想像にあまりある。かろうじて宥和政策は続いていたので鉄道を利用することはできたが、終に、9月1日ドイツはポーランドに対し砲撃を開始し、3日イギリスとフランスに対し宣戦布告、両国もそれに対抗したため、3日に予定されていた250名の子供たちの救出は叶わなかった。それでも、ニコラスたちの努力は、669名の子供たちをチェコから脱出させることに成功した。しかし、彼の心に残ったのは、なぜもっとできなかったのか、だった。
50年後、妻のグレーテに言われて、書斎の片付けをするうち、どうしても片づけることができない、当時の子供たちの写真とリストが入った革の書類カバンが出てくる。この書類がきっかけになって、彼はBBCの人気番組に出ることになり、当時の子供たちとの再会を果たす。その喜びの結果として、彼は初めて過去の自分と向き合うことができたのだ。
印象的だった場面、ドイツがプラハに侵攻してきたとき、それまで保存していたユダヤ人の子供たちの書類を本人と係累のために、事務所の中庭に投げ捨て、燃やすところが出てくる。それは、50年後、ニコラスが家に蓄積していた書類の山を処分するところと、見事に響きあう。そう感じたのは、私自身がためてきた書類や書籍を処分する時が来ているからだろう。
私は、この映画の舞台の一つになったプラハ中央駅に行ったことがあった。何だか、がらんとして、大きい割には寂しい駅だった。それは、社会主義体制の遺残か何かと思ったのだが、あのような歴史を経験していたとは。
それにしても、ニコラスは、50年後でも、何という強靭な体力を持っていることか。ペンギン向けの(と自分で皮肉る)自宅の庭の冷水プールに飛び込むことができるなんて。「健康な身体に健全な精神を」とは言うけれど。
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