八犬伝のレビュー・感想・評価
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実の世界 虚の世界
■サマリー
作家の滝沢馬琴は、友人の絵師葛飾北斎に、構想中の新作小説について語る。
内容は、里見家の呪いを解くため、八つの玉を持つ「八犬士」が運命に導かれ終結、
呪いと戦うといった物語。
その内容に惹かれた北斎は、たびたび馬琴のもとを訪れ、話を聞いては、絵に描く。
そして、28年の歳月をかけ、完成を迎えようとするが、馬琴の視力は失われ、
執筆が困難となる。。。
■レビュー
1983年に公開された「里見八犬伝」は映画で見たし、原作も読んだ。
それから、40年余り・・・
覚えているわけがない!こんな話だったか?いや、こちらが本当の八犬伝?
と思いながら鑑賞。
といっても、それは八犬伝パート。
実はこの映画、馬琴が八犬伝を語り、執筆する馬琴パート(現実パート)と、
その八犬伝を描写する八犬伝パート(虚構パート)を行ったり来たり、
まさに虚実混交な作品。
中でも、馬琴と四谷怪談の作者である鶴屋南北が議論するシーンは
見ごたえあり。
文章(虚)が現実(実)を変えることができる。
その後、馬琴は勧善懲悪ストーリーを書き続けることに対し、悩み、
葛藤しながらも、八犬伝を書き続けていく。
そして、28年の歳月をかけ、作品は完結。
48歳から執筆開始、完結したときは76歳、晩年は視力を失いつつも、
息子の嫁に口述筆記してもらいながら、というのは、実話らしいです。
馬琴を演じた役所広司さん、北斎を演じた内野聖陽さん、
いまさらこの二人になにを言う。素晴らしすぎる、バツグンの安定感。
馬琴の息子は磯村勇人さん、その妻は黒木華さん、
このお二人もいろいろな映画に出ているけど、若いのに、すばらしい。
特に、黒木さんの義父、義母に寄り添う姿、執筆を手伝い、
筆記する姿勢に感動。
馬琴の妻は寺島しのぶさん、こわいわー、毒はいているわー、
こういう奥さん、いそうです笑
この映画では、八犬伝(虚)パートより、馬琴(実)パートの圧勝でした。
虚実のはざまで
タイトル八犬伝。
ここから、かの滝沢馬琴作、南総里見八犬伝の物語そのものを映像化したもの、とみる向きもあろうかと思われる。
かつて深作欣二監督、シナリオ鎌田敏夫、薬師丸ひろ子主演で映画化されてもいる。
今作は山田風太郎原作をベースにしているため、八犬伝そのものだけを映像化したものではない。
滝沢馬琴の実人生パート、劇中劇としての八犬伝パートを交え物語を進めている。原作未読ながらそのエッセンスを抽出しながら作られているものと思われる。
結論からいえば成功している面と、惜しい面が混在している。
上下巻ある原作を150分弱で見せ切るには、時間が足りないか。十分に長い時間ではあるが、キャラクターの掘り下げに今一歩深みが欲しい面。八犬伝の物語そのものの深みもまた
もうひと押しあれば、と思わなくもない。
しかしながら、この物語は作家が物語を創造してゆく苦悩、懊悩、実人生における犠牲をも描いており、深遠なテーマに挑んでいる。その点においては、滝沢馬琴その家族、挿絵を共に描く葛飾北斎との濃密な交流。鶴屋南北とのエピソード…など実人生パートにとりわけ、魅せるものがある。
映像であれ文字であれ、無から何ものかを創造することは生命を削ることに他ならないのだ、と強く思い至る。
それは比較対象にはならないかもしれないが、私たちみなが送る人生の時間も同様ではないだろうか…。
ベートーヴェンは慢性的な内臓の疾患に加え、40歳ころには耳がほぼ聞こえなくなっていた、という。
しかし第九など後世にのこる壮大な作品を残した。
馬琴も終盤盲目になりながら、口述筆記で八犬伝を完成させる。
監督曽利文彦、デビュー作ピンポンを漫画原作を忠実に映像化し、注目された。なかなかに魅せる。
滝沢馬琴に役所広司、さすがの演技。葛飾北斎に内田聖陽ひょうひょうとユーモア溢れる馬琴とのやりとりが素晴らしい。
寺島しのぶ、黒木華、と贅沢なキャスト陣。
物語パートの土屋太鳳、栗山千明。
中村獅童、尾上右近、立川談春…と。話題作に出演中の河合優実…豪華である。
VFXによる八犬伝物語にも見どころは多い。
80年代の深作監督作、山田風太郎という作家を再び浮かび上がらせた。その点においても意義深い作品である。
真面目に、実直に
戯作の八犬伝と現実の江戸を行ったり来たり
その構造は少し奇特だけれど、それぞれの内容は虚と実、創作と現実、正義と悪、という飲み込みやすい二項対立、或いは並立で構成されているので、ややこしくならずに分かりやすい
裏返すと、意外なことは起こらない
前述したように戯作の「八犬伝」と現実の「馬琴の生涯」を二本立てとして描くに相応の上映時間となっていることもあり、人によっては退屈を感じてしまうかもしれないので、その分の星を減らしてある
個人的には三夜連続放送の特別ドラマを一気見したような感覚だった
江戸時代の習俗や“滝沢馬琴”“葛飾北斎”“鶴屋南北”といったビッグネームは納得感のある解像度で手抜かり無く描かれているように感じたので、そこを楽しめるかどうかによっても評価は分かれそうだ
とても真面目に、実直に、滝沢馬琴という人を描ききった物語だったと思う
山田風太郎の小説「八犬伝」を役所広司主演で映画化。里見家の呪いを解...
山田風太郎の小説「八犬伝」を役所広司主演で映画化。里見家の呪いを解くため運命に引き寄せられた8人の剣士たちの戦いをダイナミックに活写する,,,内藤聖陽、寺島しのぶ、黒木華、磯村勇斗らが物語を引き立たせる、、いいね!
玉梓
あ〜、面白かった。懐かしかった。
江戸時代の大人気ファンタジー 「八犬伝」を書いた曲亭馬琴(本名 滝沢馬琴)の話と「八犬伝」そのものの実写化映像を、往復しながら観せてくれる映画。
八犬伝は、隣家の裏切りで窮地にあった安房の里見家で殿が愛犬 "八房" に敵将の首をとってきたら我が娘を嫁にやるぞ、と語ったことから起きた事件と、そこから生まれた八人の "珠(たま)" を持つ子供たちが里見家を助けに集まる話。
「八犬伝」 自身は江戸時代だが、NHKで1973年4月から1975年3月まで足かけ2年、全464回放送された人形劇「新八犬伝」は当時大人気だったので、現代でも知っている人は多い。上記放映期間は、俺の中学入学から2年生の終了まで、という時期にあたり、俺も家に飛んで帰ってTVにかじりついて観ていた。若い頃の、友人至上主義みたいな考え方は、「新八犬伝」に色濃く影響されているかも。
いやあ、面白かった。
馬琴が葛飾北斎と関わり合いながら書き続ける話はともすれば単調になり盛り上げにくく面白みは出しにくい。一方八犬伝自身を実写化するだけで映画とするならそれこそ「ロードオブザリング」ばりのVFXが期待されちゃう。そんな中で、両者を組み合わせたことはまさに「絶妙!」 実写版は、馬琴の書いたお話の先を見たいという気持ちで待ち遠しいし、江戸時代のお話という頭が常にあるから、そこそこのVFXで十分にスペクタクル。実際の馬琴のシーンも、めまぐるしく進む八犬伝シーンの、ちょうどいい箸休めとなり、まったりしていること自体にすら価値を感じる。
さらに馬琴シーンは、最後に一捻りもあり、恥ずかしながら俺は泣きました。(一捻りと言っても実話なんだけどね)
まあ、中学時代は実写シーンにあたる「新八犬伝」最終回で号泣した記憶があるから、ちょうどいいのかな。
この組み合わせにしようと考えた人にははくしを送りたい。
ぜひ一度、観てみてください。
おまけ1
馬琴と鶴屋南北が、舞台の奈落で虚実を語り合うシーンは、たしかに面白かった。創作する人なら、俺の100倍響くとこなんだろうな、と思って、少し羨ましく思ったことを思い出しました。
構成しきれてない感じがしちゃう
虚構世界を作り上げる執念
実に28年かけて書き上げられたという八犬伝。
現代の戦隊ヒーロー物の元祖みたいなお話だったんですね。
作者滝沢馬琴と挿絵画家葛飾北斎の【実】パートと八犬伝の物語の【虚】パートが交互に語られるという斬新な切り口で面白かったです。八犬伝パートは虚の世界でわざと作り物っぽくしてあるのかな?まさにハチレンジャー。役所広司と内野聖陽のやりとりは本当に惚れ惚れ見とれてしまいました。最後漢字もろくに知らない娘が必死に口述筆記する場面は涙。
子供の頃、薬師丸ひろ子の里美八犬伝を見て泣いた覚えがあるんだけど配信で見直したらいかにも昭和の映画であれ?って感じでした。
この時代の小説ってどうやって出版したんだろう?何人もの人が一冊ずつ書き写していったんですかね?
八犬伝の方だけでネトフリでドラマ化してくれないかな。
期待を超える良さ。
曲亭馬琴の人生と八犬伝の物語が交互に語られる構成の上手さに脱帽
たいへんに有名な原作ですが、恥ずかしながら未読です。
遥か昔に人形劇で観た登場人物の名前が朧に記憶に残っている程度…
予告編を見て特撮ものかと思い、「微妙だなぁ」とは感じていましたが
「役所広司に外れなし!」の信念で鑑賞しました。
いやぁ良かったです。
「八犬伝」ってこういう話だったんですね。
八犬伝のストーリーも面白いですが、馬琴と同時代の著名な芸術家たちとの交流、家族間の複雑な愛情、晩年の鬼気迫る執筆風景…
馬琴の人生の断片が八犬伝のストーリーと絡まり一体となり観客の心に染みこんでくる。
繰り返します。いやぁ面白かったです。
特撮がしょぼいとか、粗を論えばキリがないですが、八犬士たちの凛々しさと戯作者の迫力に魅せられました。
これを機に重い腰をあげて原作を読んでみようと思いました。
名著『南総里見八犬伝』が28年の歳月をかけて執筆される現実世界(実)と八犬伝の物語の中身(虚)が並行して描かれる、見ごたえたっぷりのエンターテインメント巨編
筆者の滝沢馬琴を演じた役所広司さんとその友人 葛飾北斎を演じた内野聖陽さんのやりとりがとっても楽しく、時に熱く、素晴らしい演技に圧倒される
加えて馬琴の妻を寺島しのぶさん、馬琴の息子の嫁を黒木華さんで脇をかため深みを持たせていて、重厚な名優たちの素晴らしい演技が楽しめます
他方、虚の八犬伝の世界は土屋太鳳さんが凛とした里見家の姫を、ヴィラン玉梓を栗山千明さんが妖艶に演じ、加えて里見家を守る八犬士たちを注目のヤングアクター達が力強く演じ、彼らのアクションシーンも見どころの1つです
と、日本最古の傑作ファンタジー小説誕生のドラマと八犬士と呪術使いの闘いを描くスペクタクルアクション史劇の虚と実 入り乱れての149分、最高に面白かったです
見応えはあったが色々と無理が……
あまり多くを期待せずに拝見したためか、思いのほか満足して劇場を後にできました。
八犬伝の誕生と滝沢馬琴の人生を重ねて描かれるため、実際の作品も馬琴パートと八犬伝パートが交互に展開していきます。そのため、テンポはよくないです。
馬琴パートは役者の力量もあり、かなり見応えはあるものの冗長な印象は拭えず、八犬伝パートは演者や演出含めて、もう少し頑張って欲しいところ。
特にクライマックスは狭い空間でのアクションシーンとなり、八犬士たちの派手な衣装と相まって、劇団☆新感線を思い出さざるを得ませんでした。
製作陣の意気込みはわかりますが、これだけの物語を一本の映画にまとめるのはやや無理がありますね。
馬琴パートでの四谷怪談を再現したシーンや馬琴と南北の掛け合いはとにかく見事でした。
八犬伝パートの見どころはなんといっても玉梓役の栗山千明さん。佇まいも貫禄も角川版の夏木マリさんに匹敵する素晴らしい存在感。坂垣李光人さんの女装も凄すぎ。
なんだかんだ言ってますが、楽しませていただきました。
面白い
物語の虚と実の両面を巧みに組み合わせた一作
江戸時代の名作小説『南総里見八犬伝』の作者、滝沢(曲亭)馬琴と葛飾北斎の交流を描いた場面が「実」ならば、馬琴の語りによって動き出す八犬伝の世界は「虚」。両者が絡み合って展開する創作世界の愉楽はさらに、物語の持つ「虚と実」の位相が加わることによって更なる深淵へ……。この構成は見事なまでに映画的ですが、これは本作独自の構成というよりも、山田風太郎原作『八犬伝』を踏まえたものです。時代を経て、山田風太郎の語り口の面白さを改めて認識させられるとは……。
日本映画の特撮は、いかに特殊効果をふんだんに用いたところで、ハリウッド超大作と比較するとどうしても技術的、予算的な限界を感じてしまうことが多いんだけど、本作はその「安っぽさ」を逆手にとって、「これはあくまで馬琴の描く空想世界なんですよ!」という見立てをしています。だからこそ、外連味たっぷりの活劇場面を心ゆくまで楽しんで(さすがに本作の設定で「史実と違う!」と批判する人はいないでしょう)、かつ馬琴と北斎の交流の滋味深さを噛み締めることができる仕組みになっています。日本映画にまとわりつく技術的予算的限界をむしろ活用して、物語的な面白さに結び付けている点は、非常に「うまい!」と感じました。
一見本筋との関連が薄そうな、馬琴(役所広司)と北斎(内野聖陽)が『四谷怪談』を観劇し、作者の鶴屋南北(立川談春)と対話する場面。現実と物語の「虚実」についての重要な議論が展開する意味でも興味深いのですが、この鶴屋南北は、本作以前の「八犬伝」の映画化作品である『里見八犬伝』(1983)を手掛け、後に『忠臣蔵外伝 四谷怪談』(1994)を作った深作欣二監督の姿を託したものでは……と感じました。その視点で見ると、鶴屋南北の「虚実」談義がさらにまた味わい深く感じます。
「八犬伝」の世界描写は、奇想天外なアクションの連続のように見えて、犬養信乃(渡邊圭祐)始めとした剣士たちそれぞれが際立つような演出が施されており、その点でも入念な作品作りと感じました。
ほぼ同時公開の『十一人の賊軍』と、アクション映画としての描写の違いをスクリーンで見比べるという、今しかできない稀有な体験を楽しむという手も。そして本作を面白く鑑賞した人には、ぜひとも深作版『里見八犬伝』の鑑賞をおすすめしたいです!
馬琴と北斎と、八犬伝
馬琴の生きる現実の世界と並行して進行する八犬伝の物語自体がほどよくシンクロして興味深い構成。
並行した分、八犬伝の方もう少し見てみたい分量になっていたが、現実世界の馬琴と北斎との頑固者同士のやり取りが面白かった。
華ちゃんがなかなか出てこないのよぉ〜
映画の日に観ました。
瀧澤馬琴と葛飾北斎。北斎漫画ではついこの前、亡くなってしまった西田敏行が滝沢馬琴役だったなぁ。年上女房の役は乙羽信子だったなぁと思い出していました。
春画先生の内野聖陽が北斎役😎
南総里見八犬伝は読んだことも芝居を観たこともないので新鮮だった。伏姫とかも全然知らないし、CGのバカに大きいブチの犬のやつふさ(八房)も知らない。ただ、日女体出身の太鳳ちゃんと絡むんだからあのくらいデカくないと釣り合い取れないなぁと思いましたね。
栗山千明のたまずさ(玉梓)さすがにキレイ。とにかく「八」がたくさん出てきて、 金碗八郎(殿の家来)がはち、はちって呼ばれるもんだから、つい、釣りバカ日誌の釣り船太田屋の八郎も西田敏行つながりで思い出してしまった。釣りバカの太田屋は品川の鮫洲あたり(本当の太田屋は金沢八景)なんだけど、この八犬伝では行徳の旅籠屋の名前が太田屋だったものだから、ついね。原作の旅籠屋の名前は古那屋で犬田小文吾(悌)の実家。なんで太田屋にしたのか???もしかしたら、西田敏行オマージュか?馬琴役は西田敏行の予定だったけど体調が原因で役所広司に交代したのかな?北斎のほうがずっと年上なのに役所広司より一回り齢下の内野聖陽が北斎役。それとも巣鴨のカレーうどん屋(具がないのに高い)と紛らわしいからか???
まぁ、いいか。
栗山千明が夏木マリにみえた。
真飛聖(船虫)はもっとこわい。
悪妻役の寺島しのぶは内海桂子師匠にみえちゃったよ。寺島しのぶと内野聖陽は同い年。役所広司よりひと回り年下。
お路役の華ちゃんには「せかいのおきく」同様に萌えちゃいました🤩
河合優実はなんか時代劇似合わないね(笑)はまじって、ちびまる子ちゃんか?
仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌 の8個の玉。ミスタードーナツのポン·デ·リングとなって玉梓を倒す。
土佐のハチキンならぬ16金。
🎵いざとなったら玉を出せ〜
侍タイムスリッパーのあの顔のながーいギョロ目の俳優 (安藤 彰則)も出てきて、テンションあがった。
殺陣(たて)はやっぱり侍タイムスリッパーに軍配。
役所広司と黒木華ちゃんお目当てで鑑賞。
華ちゃんがなかなか出てこないのよぉ〜
目が見えなくなった馬琴の口述を最後まで書き上げたのは亡くなった息子の嫁のおみちだった。役所広司と黒木華ちゃんのシーンはとてもよかった。
コウメ太夫じゃなくて、寺島しのぶの「チクショー」もすごかったけどね。
【古那屋】
そういえば、内房上総湊にある「こなや」という民宿旅館に釣りで泊まったのを思い出した。アオリイカ、スミイカ釣り。南総里見八犬伝が由来なんだと思う。長浦にあるこやな丸という釣り船店はルアー釣り専門で客は船長の息がかかった地元のYANKEESが多くてとても苦戦した。
この映画では太田屋でホントによかった。
虚と実と
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