八犬伝のレビュー・感想・評価
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良かったところとそうでないところの差が大きい
大分前から予告を見て期待値が高まっていた作品でした。 すごく楽しみにしていたのですが見終わった感想は良かったところ3割、そうでない7割という結果に。 ゾクゾクが止まらなくとても良かったなと思ったのは馬琴と南北のやりとりのシーン。 虚と実の論議の場面です。 南北の自論によって馬琴の今まで確固としていた信念の崩れる音がガラガラと聞こえてくるようでした。 真面目で堅物の馬琴対して(そのまんま)逆さまな南北。 緊迫感がありとても面白かったです。 そうでないところはいろいろありますが、簡単に言うとよくある時代劇ドラマのB級感です。 時代劇にありがちなよくあるセリフ、チープな演出、安直な音楽。 再現ドラマでよく見るノリのアレです。 ダサくて古臭い。 分かりやすさを全面に出しすぎなんだろうな。 映画的な深みが足りないのです。 なんでこうなっちゃうんだろう。 期待してただけにすごくがっかりでした。 絶対もっと良くなった作品なのに。 今どきこんな作り方しちゃうんだ…って残念で仕方なかったです。 あと個人的に寺島しのぶさんの演技は苦手だなと再確認です。
「新八犬伝」を思い出しながら。
かつてNHKの連続人形劇「新八犬伝」を 毎日欠かさず見ていましたし、 その後は薬師丸さんの映画 「里見八犬伝」を見ていたこともあって、 本作の「八犬伝」パートは 懐かしみながら楽しむことができました。 なんといっても面白かったのは、 馬琴と北斎、それにお百や南北までもが 絡んでくる「滝沢家」のパート。 特に、 「何のために作品を作っているのか」について 二人で議論する場面は、 それぞれに扮している役所さんと内野さんが、 「何のために役者をやっているのか」について 語り合っている姿に重なって見えてきて とても味わい深いシーンとなりました。
八犬伝(映画の記憶2024/10/25)
この映画は実(現実)と虚(空想)の概念が色んな意味で分かるように出来てたなw 役所広司と内野聖陽のやり取りシーンが別格過ぎるわ。そこに上手く入ってこれる寺島しのぶと黒木華もいいね。 栗山千明はああいうのあってる気がする。 内容的にもわかりやすく誰でも解釈しやすいかと。 (個人的評価6点/10点中)
『銀河鉄道の父』に続いて「息子を看取る父」を演じる役所広司。北斎役...
『銀河鉄道の父』に続いて「息子を看取る父」を演じる役所広司。北斎役の内野聖陽との掛け合いも面白く、あまりの名演に波乱万丈の伝奇アクションたっぷりの「八犬伝」パートが霞んでしまうほど。作中の妖怪変化より、芝居小屋奈落で出会う鶴屋南北(演:立川談春)の怪人ぶりの方が恐ろしかったり、とここまでリアリティラインに差があるなら、劇中劇はいっそアニメの方が良かったのでは、とさえ思う。作品の「顔」たるべき八房がアレでは、だいぶ掴みで損をしている感あり。「八犬伝」完結のキーパーソンであるお路とのエピソードには、もうちょっと「良く出来た嫁」を越える描写が欲しかった、とも。虚と実の創作論、親子と家族の問題に、劇中劇の伝奇と盛り込み過ぎて取りこぼす部分も少なくなかったが、保守的になりがちな時代劇でここまで野心的な取り組みをしてくれたこと自体が素晴らしい。
映画では尺が足りなかったね。残念
馬琴の人生と八犬伝のドラマを時間経過を重ねて描いているので、両方の描き方が、どうしても中途半端な感じになってしまっていました。話が飛ぶと言うか、気になりだすと雑な描写に見えてしまいました。 馬琴の人生だけを丁寧に描いた方が、良かったのかも知れません。 映画の尺では、入りきらなかったのでしょう。とても残念です。3部作にして、丁寧に描けば良かったのにね。
生きて何をなすのか
内野聖陽さんがNHKのトーク番組で、八犬伝で共演した役所広司さんの凄さを語っていたので鑑賞を。馬琴と北斎を演じる二人の絡みを軸に八犬伝が書き進められるのだが、二人の掛け合いが絶品。陰と陽、静と動が凝縮した時間。平行する物語は、作り物を意識しているのか、キャストも含めて薄っぺらい。栗山千明演じる悪の権化の玉梓が一人際立っていたか。ちょこっと顔を出す鶴屋南北と渡辺崋山の言葉が重い。虚と実、虚なる正義。そして、北斎より先に亡くなった息子宗伯、妻お百の言葉も重い。人生に何を残していくのか。里見八犬伝と聞くと、薬師丸ひろ子主演の映画、彼女が弓を弾くシーン、ドラマチックな音楽、夏木マリの怪演が忘れられない。
良質でエンタメでかなり感動的
想像以上に質が良くて、遥かに楽しめました。 里見八犬伝も劇場で見た記憶があるのですが、なんかポカーンと眺めていたような・・・全然楽しんだ記憶がないので、正直、今回も不安がありました。 でも、なるほど、本家の物語を映像化しようとすると、ハリウッド並みの費用と技術が必要だと理解できたので、江戸の原作だけで勝負しようとするとかなりつらいものがあるのだなぁと納得しました。今回の映画で差し込まれる本家の物語映像も、なかなか軽いものを感じるわけで、本家の物語映像だけ連ねられると、かなり厳しいものがあります。しかし、そこに質の高い江戸の物語が差し込まれることで、うまい具合に抑揚が利いた見事な作品に仕上がっていた印象です。知らなかった歴史的な事実とかみんなよく知っている歴史的な事柄が網羅されていたところなんかもなかなか魅力的でした。 歌舞伎を再現したり、豪華な面々が見事なパフォーマンスを繰り広げていましたが何といっても役所広司と内野聖陽は別格に最高でした。彼らがいたから笑えて感動的だったんだなぁと見終えての率直な感想です。 素晴らしい作品だと思います。
戯作「南総里見八犬伝」本体と作者について2元描写した作品ですが、かなり薄味
戯作「南総里見八犬伝」の本体と作者について2元描写しています。 上映時間は2時間半と長めですが、それでも全然足りずかなり話を端折っています。 「南総里見八犬伝」のパート、かなり薄味。ご都合よく話が進むし死人が生き返るし・・ 剣士にイケメンいるのでファンの方には良いのでしょうが・・ 「滝沢馬琴本人」のパート、こっちもかなり薄味。比較的淡々と話が進みます。 イケメン揃えた舞台作品の人気が高いそうですが、そういった作品のファンの方も本作を見に来ているのでしょうか?(自分の見た上映会ではいなかったようですが・・) 内容的には今一つと思いますが、高齢者だけだでなく、若い人も観客として取り込もうとする心意気は良しです。
鑑賞動機:原作(馬琴)と原作(山風先生)の記憶。
鶴屋南北との件が凄まじかった。とてつもないシーンだと思う。メタフィクションとしての凄みが格段に上がった。 『南総里見八犬伝』部分は、まあそこまで重要じゃないので。
戦隊モノの原点⁇…⭐︎
虚と実が混じり合う世界。 …他の方のレビューを拝見して、何だろうと思っての鑑賞だったけどこんなにも 行ったり来たりするとは。 役所広司演じる馬琴が内野聖陽演じる北斎に「八犬伝」の物語を語り、 その物語のシーンがその都度挟み込まれて映画は進んでいく。 役所広司はさすがと言うか何を演じても上手くて、それに比べてしまうと 内野聖陽は若干の物足りなさがあるかなぁ…。 それよりも自分にとっては、八犬士が揃うあたりから完全に日本の戦隊モノの イメージ。 子供に大人気のなんとかレンジャーを思い出してしまい、一応時代劇であるにも かかわらず まるでTVの怪獣映画や特撮モノを見ているような気分になってきた。 爆破もどんどんするし。 それでも、役者さんは豪華なので2時間半近い長丁場の映画にもかかわらず 最後まで結構楽しく見れた。 栗山千明の怨霊もすごい迫力だったけど、黒木華はいつも何とも言えない雰囲気があるし、 土屋太鳳は結婚してから本当に美しくなって、伏姫は神々しいようだった。 それに比べて知らないから申し訳ないけど八犬士は誰が誰だか良くわからないまま終わってしまった ような…。 人間の言葉を理解するというCGのデカい犬(名前忘れました)が面白い!
虚と実の作りの差が…
映画館で観てきました。 時間めちゃ長いのね! それもそのはず、八犬伝の虚構とその作者の滝沢馬琴の実の物語を交互に描く。なかなか面白い手法だと思った。 個人的には、滝沢馬琴の実の物語がとても面白かった。登場人物は少ないものの、それぞれ個性があり、里見八犬伝が完成されたんだなと感じた。 一方で、その作品の八犬伝が拍子抜けだ。若者を使い、何だか8人の個性もいまいちない。そして芝居が臭いし、格闘も何だか子供騙しのよう。 元々、80年代の薬師丸ひろ子と真田広之の里見八犬伝が大好きだったので、期待してた分残念でした。 ただ、虚が実になるところは良かったなぁ。馬琴さん救われたんだなぁとしみじみ。 という事、面白いと冷ややかな両方な気持ちで観ていた映画でした。そういう意味でも2つを味わえる面白い体験ではありました。
不思議なお話
やはり 役所さんは素晴らしいと思いました。 八犬伝のような物語はどこかファンタジーぽく感じて、苦手意識がありましたので、今回初めて八犬伝を知る感じでした。 役所さんの滝沢馬琴、内野さんの葛飾北斎、黒木さんのお路の現実がそのファンタジー感をいい意味で幻想的にしてくれました。 ただ八犬伝のお話であればこんなもんかと軽く納得してしまいそうですが、現実を演じる俳優陣がとても深く重みがありました。 怨霊を打ち倒し、八犬士の前に伏姫が現れるシーンでは、八犬士たちが仔犬に見えました。 滝沢馬琴の最期も、八犬士たちに支えられるようなかたちで遂げましたが、そこでも八犬士たちが仔犬のように見えました。 やはり役所さんが演じる重みというものが、何倍もその映画を面白くすると改めて感じました(。'-')うん
思っていたのと、全然違った でも、とても良かった
ハンネのseiyoは内野聖陽様が大好きだった頃につけたハンネ 聖陽様を拝みに行ったしだい。 今日は朝イチではなくて、15:30からのスタート お腹いっぱいでなおかつ、長尺で心配したが、何とかトイレも大丈夫だった。 里見八犬伝と言えば、山田風太郎氏。 子供の頃は魔界転生や忍法帖シリーズは好きで読んでいた。 比較的近隣に里見氏ゆかりの、里見公園がありこちらも何度か足を運んだ。 そんなわけで、山田風太郎氏の独特な感じの映画かと思っていたら、良い意味で全然違っていた。 パートが2つに分けてあり、上手に分けていた。 28年かけて、八犬伝は完成したらしいが 年月の経過を役所広司さんと聖陽様の外見で 表していた。 聖陽様のおじじぶりが演技とは思えなかった 素晴らしい👏 長尺のためか、途中せきを立つ人多数。 そのためか、エンディングロールは誰もせきを立つ人がいなかった ビックリ! とりあえず、テーマは 親子愛ですね
虚と実の交錯
すべては殿様の不用意で安易な発言が発端だったとは?八犬伝の作者目線で描かれた歴史エンターテイメント作品。まあまあ面白い作品でした。重きは馬琴さんが物語を完成させるまでの苦労物語なので、ボスキャラもあっさり? 128
八房と役者さんたちはよかったです
やはり深作欣二作品の里見八犬伝の印象が強く、 え、ここで❓急に親兵衛⁉️ と、ビックリしました💦 が、観てる途中で、あ、滝沢馬琴が主役なんだね、里見八犬伝と比べちゃいけないんだなと思いました。 でも、闘いのシーンはもっとメリハリが欲しかった。 しかしたしかに、タイトルが滝沢馬琴だったら観なかったかな。
実の世界 虚の世界
■サマリー 作家の滝沢馬琴は、友人の絵師葛飾北斎に、構想中の新作小説について語る。 内容は、里見家の呪いを解くため、八つの玉を持つ「八犬士」が運命に導かれ終結、 呪いと戦うといった物語。 その内容に惹かれた北斎は、たびたび馬琴のもとを訪れ、話を聞いては、絵に描く。 そして、28年の歳月をかけ、完成を迎えようとするが、馬琴の視力は失われ、 執筆が困難となる。。。 ■レビュー 1983年に公開された「里見八犬伝」は映画で見たし、原作も読んだ。 それから、40年余り・・・ 覚えているわけがない!こんな話だったか?いや、こちらが本当の八犬伝? と思いながら鑑賞。 といっても、それは八犬伝パート。 実はこの映画、馬琴が八犬伝を語り、執筆する馬琴パート(現実パート)と、 その八犬伝を描写する八犬伝パート(虚構パート)を行ったり来たり、 まさに虚実混交な作品。 中でも、馬琴と四谷怪談の作者である鶴屋南北が議論するシーンは 見ごたえあり。 文章(虚)が現実(実)を変えることができる。 その後、馬琴は勧善懲悪ストーリーを書き続けることに対し、悩み、 葛藤しながらも、八犬伝を書き続けていく。 そして、28年の歳月をかけ、作品は完結。 48歳から執筆開始、完結したときは76歳、晩年は視力を失いつつも、 息子の嫁に口述筆記してもらいながら、というのは、実話らしいです。 馬琴を演じた役所広司さん、北斎を演じた内野聖陽さん、 いまさらこの二人になにを言う。素晴らしすぎる、バツグンの安定感。 馬琴の息子は磯村勇人さん、その妻は黒木華さん、 このお二人もいろいろな映画に出ているけど、若いのに、すばらしい。 特に、黒木さんの義父、義母に寄り添う姿、執筆を手伝い、 筆記する姿勢に感動。 馬琴の妻は寺島しのぶさん、こわいわー、毒はいているわー、 こういう奥さん、いそうです笑 この映画では、八犬伝(虚)パートより、馬琴(実)パートの圧勝でした。
虚実のはざまで
タイトル八犬伝。 ここから、かの滝沢馬琴作、南総里見八犬伝の物語そのものを映像化したもの、とみる向きもあろうかと思われる。 かつて深作欣二監督、シナリオ鎌田敏夫、薬師丸ひろ子主演で映画化されてもいる。 今作は山田風太郎原作をベースにしているため、八犬伝そのものだけを映像化したものではない。 滝沢馬琴の実人生パート、劇中劇としての八犬伝パートを交え物語を進めている。原作未読ながらそのエッセンスを抽出しながら作られているものと思われる。 結論からいえば成功している面と、惜しい面が混在している。 上下巻ある原作を150分弱で見せ切るには、時間が足りないか。十分に長い時間ではあるが、キャラクターの掘り下げに今一歩深みが欲しい面。八犬伝の物語そのものの深みもまた もうひと押しあれば、と思わなくもない。 しかしながら、この物語は作家が物語を創造してゆく苦悩、懊悩、実人生における犠牲をも描いており、深遠なテーマに挑んでいる。その点においては、滝沢馬琴その家族、挿絵を共に描く葛飾北斎との濃密な交流。鶴屋南北とのエピソード…など実人生パートにとりわけ、魅せるものがある。 映像であれ文字であれ、無から何ものかを創造することは生命を削ることに他ならないのだ、と強く思い至る。 それは比較対象にはならないかもしれないが、私たちみなが送る人生の時間も同様ではないだろうか…。 ベートーヴェンは慢性的な内臓の疾患に加え、40歳ころには耳がほぼ聞こえなくなっていた、という。 しかし第九など後世にのこる壮大な作品を残した。 馬琴も終盤盲目になりながら、口述筆記で八犬伝を完成させる。 監督曽利文彦、デビュー作ピンポンを漫画原作を忠実に映像化し、注目された。なかなかに魅せる。 滝沢馬琴に役所広司、さすがの演技。葛飾北斎に内田聖陽ひょうひょうとユーモア溢れる馬琴とのやりとりが素晴らしい。 寺島しのぶ、黒木華、と贅沢なキャスト陣。 物語パートの土屋太鳳、栗山千明。 中村獅童、尾上右近、立川談春…と。話題作に出演中の河合優実…豪華である。 VFXによる八犬伝物語にも見どころは多い。 80年代の深作監督作、山田風太郎という作家を再び浮かび上がらせた。その点においても意義深い作品である。
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