「よかった」八犬伝 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
よかった
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八犬伝にはなじみがないので、どんな話なのか興味があってワクワクしていたのだけど、劇中劇はダイジェストだ。球を持った人物が発見されて集まっていくのは面白い。殿様の発言がブレブレで災いを招く、発言には責任を持とうというメッセージを感じる。しかし、あの女だったら発言がぶれていてもいなくても目一杯恨んできそうだ。どっちでも結果は同じだったと思う。
当時は殿様は絶対だったのかもしれないけど、里見家に無関係な若者が球を持っているからと言って命がけで忠義を尽くす。いいのか。
滝沢馬琴パートはまあまあで、歌舞伎を見に行った時に鶴屋南北を不真面目だと批判する。物語作家なのにえらく真面目だなと思ったせいで、八犬伝をつまらなく感じる。今も昔も同じだと思うけど、現実の方が絶対にふざけているし理不尽がまかり通っている。四谷怪談も忠臣蔵もよく分からないけど、ふざけて表現していると言う鶴屋南北の方が面白そうだ。
奥さんの寺島しのぶがいいところ一つも描かれない。息子には厳しくしつけをするのに奥さんは野放しだ。今なら普通だけど当時としては変ではないだろうか。いまわの際の言葉が「ちくしょう」、あまりに悲惨だ。
本当に真面目な人が作っている感じがするのだけど、葛飾北斎が描いた絵をいちいち丸めて馬琴が恨めしそうに見ているやりとりが面白い。
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