「実が虚に、虚が実に」八犬伝 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
実が虚に、虚が実に
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通常スクリーンで鑑賞。
原作は未読。
虚の八犬伝パートだけでも充分一本の映画として成立してしまうだろう高いクォリティーで、とても面白かった。
曽利監督ならではの見事なVFXで表現された八犬士たちの戦いは、スクリーン映えする迫力だ。大きな画面で是非。
そこに実のパートの、滝沢馬琴が八犬伝に込めた想いと苦悩が交錯し、物語により深みが出ていて、感動的だった。
馬琴の、戯作者としての欲と葛藤を体現した役所広司の演技に引き込まれた。内野聖陽の北斎もなかなかの味わいだ。
鶴屋南北との問答がハイライトだと思った。実が虚に、虚が実に。こんな世だからこそ正義が凱歌を上げる物語を。…
令和の世も、当時と変わらない。と云うか人間がいる限り変わらない社会の仕組みに対し、エンタメが出来ることとは。
何度も筆を折りそうになりながら完成させた「南総里見八犬傳」。作品にこめられた馬琴の想いは今にも充分響くと思う。
寺島しのぶと磯村勇斗も名演だった。
巧みに虚と実が配された構成の本作であるが、文字ではどのように表現されているのだろう。原作を読みたくなった。
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トミーさんのコメント
2024年10月27日
共感ありがとうございます。
パートナーを嫁に奪われ、ちくしょうと呻くお百の演技はあれが限界ですかね、もっと熱演すると全て食われてしまう。宗伯も父ヘの恐怖は割合薄味にしていた印象が有ります。