「ありきたりだけど、やはり泣いてしまう」母とわたしの3日間 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)
ありきたりだけど、やはり泣いてしまう
亡くなってしまった親に対して、後悔しないでいられる人はどれくらいいるのだろう。言えなかった、聞きたかった、一緒にしたかった、そしてもっとこうしておけばよかったと、何かしら思い浮かんでしまうのではないか。自分の親に対する心残りを思い出させる映画だった。
亡くなってから3年後に霊として下界に戻れる休暇をもらったポクチャが娘を訪ねると、アメリカの大学で教授をしているはずのチンジュが、母の営んでいた食堂を続けていたという物語。韓国映画では食卓を囲むシーンが、登場人物たちの関係性を表す演出として使われることが多い。本作も昔母が作った料理を再現しようとする娘という構図の中、様々な料理が作られ食べられていく。食卓にこれでもか!と並べられる皿の数々を見て、あぁ韓国的だなとニヤけてしまった。つらい記憶につながっていても、やはりおいしそうであることは変わらない。後になってでもいい。作ってくれた人の愛情を感じられることが大事だ。当然のことながら韓国の家庭料理が食べたくなる。
韓国の母親らしさが似合うキム・ヘスクの演技もいいし、淡々と食事を作る娘役のシン・ミナの穏やかな演技もいい。ものすごく意外な展開があるわけでも、衝撃的なラストが待っているわけもない。なんとなく想像できる範囲の物語。でも、やはり泣いてしまった。亡くなった自分の親に対する後悔や心残りを思い出しながら観てしまう。そんな映画には弱い。自分も笑って生きよう。
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