YOLO 百元の恋のレビュー・感想・評価
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映画の原点であるアクションコメディを継承する快作
驚くべき映画です。オリジナル版に強い敬意を示しつつ、リメイクを超えて見事に換骨奪胎し、映画の原点であるリアルなアクションとコメディ、そして普遍的なテーマが人々の心を打つことを改めて証明した、映画愛に溢れる作品です。
中国の国民的コメディアンであるジャー・リンが主演だけでなく自ら監督も務めており、その才能と並々ならぬ熱い思いがスクリーンから伝わってきて、倒されても何度でも立ち上がる様に、笑い、涙せずにはいられません。
昨今、身体や容姿への差別的表現は非常にセンシティブですが、ジャー・リン監督は自ら主人公を演じることで、笑いを随所に挟みながらヒューマンコメディへと昇華させています。
そしてさらに、物語が終わったと思いきや、ジャッキー・チェン作品のエンドロールのNGシーンのように、本作の製作メイキングが流れ、ローインの物語であるとともに、ジャー・リンの物語が重ね合わされます。チャールズ・チャップリン、バスター・キートンからジャッキー・チェンらへと脈々と受け継がれているアクションコメディ、そして一度きりの人生をいかに生きるかというボクシングドラマを継承する快作です。
変身ぶりにびっくり!
「百円の恋」の中国リメイク版の本作。
「百円の恋」の安藤サクラの変身ぶりにも驚かされたが、
この作品の主演・監督を務めたジャー・リンの50キロ以上の減量には
ほんとにびっくりである。
この映画を撮るために死に物狂いの努力をしたと思う。
そんな映画は素晴らしいに決まっている。
ジア・リンの本気に号泣!
監督&主演のジア・リンによる
100kg超の体重を50kg台まで11ヶ月かけて落としつつ、ボクシングのトレーニングにより
肉体がつくられていく様に感動せずにはおれず、私は後半このシーンに差し掛かった途端号泣しました。
トレーニングシーンに入るやいなや、ロッキーのテーマが流れて、本作の全体感を覆うコミカルな
雰囲気を纏いながらのトレーニングかと思いきや、ここから雰囲気が一変してガチモードへ入り
ジア・リンの本気に感動しまくり、涙が止まりませんでした。
冒頭からコミカルで明るい雰囲気な世界観なので、軽い気持ちで観れる作品になってはいるものの
この後半の雰囲気が変わるところ、そこは主役ジア・リンの体型変化・肉体改造も伴い
ガチモードに入っていくんですね。
そして、念願の試合になるわけですが、勝負はそうそう甘くはありません。
ただ、そこで折れない主人公ドゥ・ローイン。
明るい未来が見える終わり方が秀逸でした。
外見で人を馬鹿にしていた人たちの態度が変わっていくことも滑稽ですし、
それを嘲笑うかのように精神的高みにのぼったドゥ・ローインは見事だと思いました。
非常に勇気づけられる映画ですし、私のように猛烈に感動してくださる人も多いかと思いますで
たくさんの方に観ていただきたい素晴らしいエンターテインメント作品です。
フィジカルにもメンタルにもエンターテインできること間違いなしです。太鼓判の一作!!
You Only Live Once(人生は一度きり)でYOLO。
悔いのないように生きていこうとあらためて思いました。
すごく好きな作品となりました。
この女優さん、監督でもある。素晴らしい!
【挑戦者は美しい】
^^まず感じ入った感想です。
ズタボロになっても立ち上がる主人公の姿に目頭が熱くなりました。
これは久しぶりに中国の映画で、なんと主演兼監督の女優ジア・リンが素晴らしい。いっぺんにファンになった❗️
綺麗な女優さんなのに、実に振り切って体張ってます。
106キロから10ヶ月ほどかけて50㌔の減量に成功し、プロボクサーになるストーリー。
なんと、役者本人が太って役作りして、実際に痩せていったようなのです、凄くないですか⁉️
・・・前半は、目を覆いたくなるような、親のスネかじりニート肥満女子の自堕落な暮らしぶりでコメディタッチなんですが、ある出来事がきっかけで一念発起してからの後半が俄然面白くなり、やっぱりボクシングなんで熱くなりますよね。
家を出て自立して、体だけでなく甘ちゃんだった心もダイエットして、引き締まって、顔つきも変わる。
鍛え上げられた体の線と、リングに向かう姿のかっこいいこと!
でも、やっぱり強い相手にボコボコに殴られて、顔も血だらけに変形して、そんなに甘くないよなぁ…と、リアルにみっともなく見せてくれるのがこの映画良いなと。
現実的だからこそ、自分と重ねて人は応援したくなるのだから。。。
殴られても殴られても、格好なんか気にせずとにかく前に向かっていく彼女は、美しかった😭
なんか泣いちゃいました。
自分へのエールとも私は受け取りました。
YOLOとは【You only live once(人生は一度きり)】という原題だそうですよ。
思うままに自分らしく思いっきり生きてみよう!
監督の減量ドキュメンタリー
大学卒業後、一旦就職するが引きこもってユルユルの体になったアラサー女性が恋人のボクシング敗戦をきっかけに自分もボクシングを始める話
原作未読だが、カルチャーが違う為、ここはこうなんだろな〰️とか考えながら観れた‼️どれだけパクりかは不知だが、中国映画も進歩した感があった 恐るべし中国 日本もガンバらにゃ➰僕も身体鍛えんと…
遅く鑑賞したけどおすすめ
今年317本目(合計1,409本目/今月(2024年9月度)3本目)。
※ (前期)今年237本目(合計1,329本目/今月(2024年6月度)37本目)。
前々から観たかったのですが、コナンだプリンセスさまだので押し押しでそのまま終わってしまったところミニシアターで扱っていたので見に行ってきました。
自身の体重や容貌にコンプレックスを感じている女性がボクシングを通じて成長するお話。(正規の)公開時期的に逆になりますが、「家出レスラー」と通じるところがままありますね。お隣の中国なので文化もかなり似ていますし類推して見やすいところです。
50kg近く1年間程度かけて痩せて主人公たる彼女が挑んだレビュー戦の結果はいかに…といったところです(映画内では「斤」が単位で0.5kgの模様)。実際、実話ではないものの出演者の方のエンディングロールでの減量の取り組みが1年近く紹介されていたので(多少の差異はあっても、実際に近い体重の方を主人公に選んだのだと思います)、すごいなぁといったところです。
一部、字幕がないところが気になりましたが、中国映画なので漢字の推定が効くところばかりでもあるので減点なしの扱いにしました。
これはこれで良し!
安藤サクラさん主演、足立紳さん脚本、武正晴さん監督で評判を呼んだ(僕も大好きな)『百円の恋』(2014)を中国でリメークし春節期に大ヒットした作品が日本に上陸です。家なし、仕事なし、金なし、夫なしの30過ぎた女性がボクシングで一勝しようとする物語です。
でも、本作では中国的な大仰さとコメディ的タッチが強く加味され、『百円の恋』とは別作品として観るべきでしょう。足立紳さんの脚本の方が強固な骨組みだし、ボクサーとしての動きは安藤サクラさんの方が鋭い切れ味でした。とは言え、本作の軽みも捨て難く、終盤のリングでの回想シーンで揺さぶられ、何とエンドロールで繰り出す反則技でウルウルさせられてしまいました。ふむ、これはこれで良し。
恩着せがましい。だから悪いけど非支持。
大変だったろうし凄いとは思うけど、
巻末のあれこれは幾ら何でも恩着せがましいな。
ジャッキーNG集の愉しさも無いし。
と思う時、
安藤サクラの原典はそのストイックな態度にこそ値打ちが有り、
このリメイクはその最も重要な部分で脇が甘かったな、と思う。
だから悪いけど非支持。
見た後の気分が良い映画 元ネタは知らないけど、 ダイエットものとし...
見た後の気分が良い映画
元ネタは知らないけど、
ダイエットものとしてどんどんリメイクしていくとかあれば、
流れに乗って追いかけます!
ダイエットものじゃないとしても、
女性が自分に自信をつけて見違えていく、的な感じで
本気
🇨🇳風の味付けが好みではない部分がなくはなかったが、そんなことはどうでも良くなる素晴らしい映画です。
撮影にたっぷり一年以上かけて作られた本作には、主演の方の本気が詰まってます。撮影が始まったらもう逃げられなかった、失敗は許されないというプレッシャーに耐え、よくぞやり抜いた!
人はやればできる。
大事なことを教えていただきました。
全てにおいて高いレベルの作品
オリジナル作品「100円の恋」は未鑑賞。ただただ面白かったの一言。監督主演のジア・リンがストーリーを丁寧に描き魅力的なキャラクターを演じていますが自分自身が好きでないとこのような役柄は出来ないと思いました。また端々にコメディ要素が挟み込まれており上映時間が気になりません。
中華人民共和国にも友情出演ってあるのね
2024年映画館鑑賞70作品目
7月20日(土)フォーラム仙台
リピーター料金1200円
監督は主演のジア・リン
脚本はスン・ジビン
舞台は中華人民共和国湖北省
主演安藤サクラ監督武正晴脚本足立紳で2014年に公開された『百円の恋』のリメイク
デブの引きこもりが自立し家を借りボクシングを始め痩せて綺麗になる話
こんな話だっけと思ったが強烈なダイエットというオリジナル要素が加わることでわかりにくいが概ね『百円の恋』のリメイクだろう
中国でのタイトルは『熱辣滾燙』
『YOLO』はハリウッド公開時のタイトル『You Only Live Once』の略らしいがその必要性は全く感じなかった
『You Only Live Once 百元の恋』で良かった
立ちションしている男を車のライトで照らすシーンが好き
職安番組?の悩み相談回答者が女性心理学者と男性作家なのだが元夫婦というシチュエーションが面白い
ボクシング映画でロッキーのテーマ使っていいのはロッキーだけだと思うがいくら中共でも許可を貰っていないわけではあるまい
1番の見せ場はボクシング
見どころはダイエットしていく過程
海外作品だがエンドロールも楽しめる稀有な例
その反面で「東映」と本編開始前が異常なくらいくどかった
中国の制作会社だろうが数多すぎ
一つか二つくらいで良いよ
配役
引きこもりから自立し飲食店でバイトしながらボクシングジムに通う32歳のドゥ・ローインにジア・リン
ボクサーでローインのコーチのハオ・クンにライ・チァイン
バツイチ出戻り子持ちでローインの妹のローダンにチャン・シャオフェイ
ローダンの幼い娘のジャオシーにサン・ワンチュー
ローインとローダンの母のリーにチャオ・ハイイェン
ローインとローダンの父にチャン・チー
ローインの従姉妹でテレビ局ディレクターのドゥドゥにヤン・ズー
ローインの親友のリリーにリー・シューチー
ローインの元カレのシャン・ズーにチャオ・シン
ローインがバイトしている串焼き屋にシュ・ジュンコン
ローインのバイト仲間のシェン・チュエンヤン
番組「自分探し」に出演する心理学者のマー・リーにマー・チュンリー
番組「自分探し」に出演する詩人のウェイ・ドンフォンにウェイ・シャンウェイ
モテモテのボクシングのコーチのティエンフーにズゥー・ティエンフー
ジムの受付嬢にリー・ハイイン
ハオ・クンの対戦相手のウェン・チャンにヤン・ミン
ローインの対戦相手のリウ・ホンシャにジャン・グゥインリン
リメイクでは無い
100円の恋は見たことがありませんが、レビューにもあるように,リメイクではないとおもいます。そして、この映画は恋が重点にあるのではなく、谷にいる人間が頂点に登って行くというのが重点だとおもいます!!
太っているだけでからかわれ,太っているから自分はダメなんだで終わるのではなく、じゃぁ痩せてやる。頑張ってやるという精神に勇気づけられます。
最後に監督兼主演のジア・リンさんはほんっとうに強くて,すごい女性だと思います。
ダイエットリアリティ映画
10年前に安藤サクラが主演した日本映画「百円の恋」の中国版リメイクで32歳の引きこもりニートが一目ぼれしたボクシングジムの男がきっかけとなってプロボクサーを目指すという話の大筋は同じだがテイストも結末も全く異なる別物である。監督と主演をつとめたジア・リンがもともと80キロくらいあった体重を100キロを超えるまで太ってからクランクインして撮影の過程でリアルに56キロまで減量したというライザップのCMになりそうなダイエットリアリティコメディで、お決まりのトレーニング風景にロッキーのテーマが流れてくるのだから笑うしかない。オリジナルにあった男女の痛く切なく微妙なブルース的関係性は微塵もなく、男が女に言い寄るのはジムへの勧誘目的と割り切っていて分かりやすいことこの上なし。YOLOというタイトルはYou only live onceとのことで一度きりの人生をやりたいように生きると思い切り自堕落になるかストイックになるかコインの裏表であることを教えられる。
果たしてこれはリメイクか? 諸刃の剣となる克己
まず、本作について少しでも関心を持ち、鑑賞したいと考えている人は、公式サイトはじめ一切の情報を遮断して、完全に「無」の状態で劇場(ないしは配信等)に臨まれることをお勧めする。
邦題から、2014年に公開され安藤サクラの出世作ともなった武正晴監督の『百円の恋』のリメイクらしいというぐらいの朧げな推測にとどめて、それ以上の詮索は鑑賞後の楽しみに取っておくのが吉と出るはずだ。
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【以下、ネタバレあり要注意⚠️】
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『百円の恋』は公開時に観たのでストーリー等の詳細はほとんど忘れてしまったが、非常に感動したことは確かだ。
Filmarks には、2023.12.27付けで「過去に観た記録。/安藤サクラの演技が素晴らしい。」の2行レビューとスコア4.0( 5.0 満点中)を付けて投稿した。
この「 4.0 」以上というのは、パングロス的な基準としては「文句のない傑作」に与える基準点。
細部を忘れて「良かった」「傑作だった」という記憶だけがある場合に「 4.0 」にするので、再見すれば、さらに加点される可能性が高いと思う。
題名からして、その『百円の恋』をリメイクした作品らしい、とだけ推測していると、やたら「何たら公司」のロゴを次々と観せられて、「あぁ中国映画だったんだ」と、東アジア圏での文化交流が最近再び活性化しつつあるのは良いことぢゃわなぁ、などと独りごちていると、ようやく本編が始まった。
ところが、最初から、どうも勝手が違うのである。
どう観ても、相当程度にお安いコメディにしか過ぎなかったからだ。
えっ?
『百円の恋』って、こんな安手のコメディだったかしらん???
と、頭のなかに、いくつもの「ハテナ」が浮かんでは消えず、その数が増え続けるのを止めることが出来なかった。
で、正直どうでもいいようなエピソードばかり色々あって、正直眠気を催して途中若干意識が遠のいたりしながら、主人公がボクシングジムでトレーニングを始めたのは、ほとんど終盤20分ぐらい(?)になってからだった。
で、太ってた主人公は頑張って痩せる、ってかボクサー体型になるんだよね、
と思って観ていると、ものの数分のうちに見る見る痩せて、100kg以上あった体重が最終的には56kgまで落ちて、見事に割れた腹筋を見せながらリングに入場して行くのであった。
手ごわい百戦錬磨の女子プロボクサーとの試合は、死闘と言っても良いほどに、初チャレンジの主人公も善戦したが、大方の予想通り負け。
このあたりは『百円の恋』と同じかな。
だけど、体型や人相まで変わるトレーニングもあっさりしていたし、試合そのものも、さして盛り上がらなかったような‥‥
短期間に100kgから56kgって、ホントだったら勿論スゴイけど、流石にこれは最初の方は、いわゆる肉襦袢というか全身込みの特殊メイクをしていたってことね、
と、ほぼ断定的に憶測していると、すぐにエンドクレジットが始まった。
と思ったら、キャストクレジットが流れる横で、ホントに100kgあった主人公が、エッチらオッチラ、過酷な減量トレーニングに励む姿が映し出され、最後には、日々の体重の増減の数値がグラフよろしく羅列して流されるのだった。
えっ?
肉襦袢やCGぢゃなくて、ホントに痩せたの?
と驚かざるを得ない訳なのだ。
その上、ダメ押しのように、本編ではあっさりスッキリ進んでいたストーリーのビハインドで、主人公が傷ついて号泣したり、窓から飛び降り自殺をはかったりする映像も流されるのだが、もうそれは、「ホントに痩せたの?」の驚きの前には、ほとんど蛇足のようにしか感じられない。
で、どうもテロップを観て行くと、この「ホントに痩せた」主人公のジャー・リン女史、何と本作の監督さまでもいらっしゃったのね、ってことで、またビックリ。
正直、『百円の恋』という作品への評価が高かっただけに、このエンドクレジット脇の映像を観せられる前までは、
「うむ、これは良くて 1.5 だな」
と思っていたのだが、ハタと考え込んでしまうことになった。
うぅむ。
確かに驚かされた。
でも、肝心の本編が超下手クソだった事実は糊塗できない。
うぅん、こうゆう手法的にずっこいやり方の映画って、最近だと『関心領域』とかは手離しで傑作とは呼べないと評してスコアは 3.3 にした。
ちょっと前だとクリント・イーストウッド翁の『15時17分、パリ行き』(2017年)とかは好きだったんで、スコアは 4.5 にしたが、世評はあまり良くないようで‥‥
で、本作は、エンドクレジットの「驚き」がなかったら、1.5 だったはずのスコアを上げるとしても、「普通に面白い」「観ても損しない」に該当する 3.0 以上は無理だから、ギリギリ 2.9 かなぁ、
とか迷ってたんですが、結論として、2.6 にします。
半分より、ちょっとだけ+にして、「観て考えるべき問題作」として提起したいと思います。
というのは、たんにダメなコメディに「実は‥」の驚きが大きかったから多少上げたとしても、それでも「その驚き」自体に大きな問題点があることに気が付いたからです。
一つ目は、俳優が役作りのために太ったり痩せたりするってのは、洋の東西を問わず、行われていることであって、「デ・ニーロ・アプローチ」(*1 )とか言われているようです。
*1(以下、*の参考サイトは検索してください)
これぞ俳優魂!体重増減が半端ないって!身体を張ったハリウッドスターたち
コラム 上原礼子 2018.9.19 Wed 18:00
しかし、一般には、短期間で激しい体重の増減を繰り返すことは、健康にとってダメージを与えてしまうとされていることも広く知られている通りです(*2 )。
*2 「ヨーヨーダイエット」を防ぐために 短期間の体重の変動は
2017年04月26日
たとえ、本作におけるジャー・リンの減量が専門家の指導のもとに行われた適正なものであったとしても、本作に影響されて安易に短期間での過大な減量にチャレンジする追随者が出て健康被害を引き起こさないか、という懸念です。
これが問題点の一つ目。
二つ目は、「痩せることは良いことか」、言い換えると「太っていてはいけないという概念を本作は助長してはいないか」という問題です。
要は、近年「ファットフォビア」の問題(*3 )として提起され始めている論点、あるいはルッキズムの各論としての「デブだからと言って差別することが許されるのか」という懸念に対して、本作は充分に予防線を張れているのか、説明責任が求められたときに理論武装ができているのか、という問題点です。
*3-1 ファットフォビアを知ってる?「太ってる」からって何が悪いの?
文・写真:Ruru Ruriko 2020/10/11
*3-2 太ることは恐怖すべきこと?「ファットフォビア」を打ち砕くために必要なこと
キノウ コヨミ 2024年4月9日
実は、日本は東京オリンピックを迎える前に、開会式の演出として、オリン「ピック」に掛けて、渡辺直美さんにブタの格好をしてもらう演出案があったことが問題になり、演出家の降板に至る大きな社会問題になったことがあります(*4 )。
*4-1 ルッキズムの残酷さ知ってほしい 五輪式典統括の辞任騒動で容姿侮辱の経験者から声
2021年3月22日 06時00分
*4-2 【元文春エース記者 竜太郎が見た!】渡辺直美がバッサリ! 五輪組織委の本質的な問題を浮かび上がらせた「オリンピッグ」騒動
2021/3/23 11:00
幸か不幸か、この問題の一方の当事者となった形の渡辺直美さんは、この問題に対する意識が高い、いわばアクティビスト的な発信も行なっているタレントでした。自分の体型のことも「ボディ・ポジティブ」(*5 )の立場で評価して欲しいと日ごろから言っていたのです。
*5 ボディ・ポジティブとは?ボディ・ニュートラルとどう違う?どんな身体もポジティブに捉える概念の利点や課題を解説
2024.07.16
さて、本作の評価の問題に戻りましょう。
要は、本作が「主人公を演じた/監督でもある/ジャー・リンが100kgの巨体から56kgのスリムなボクサー体型に痩せたから偉い」という言説を一方的に流布し、そのことによって生じる反作用、端的に言って「太った人」に対する非難や差別を助長することはないか、大いに懸念されるのです。
幸いなことに、日本では3年前の東京オリンピック開会式問題で、渡辺直美という大衆的なアクティビストを浮上させることで、この問題に接近することができました。
果たして、本作に接した中国社会では、それと同様の「成熟した対応」が取られているのか、いないのか。
そのあたり、俳優/コメディエンヌ/映画監督としてのジャー・リン氏の今後の活動も含めて注視して行かねばならないと思います。
オリジナルを超えるリメイク作品
好みもあるだろうが、私はオリジナルを超えるリメイク作品だと思う。監督兼主演が50キロも痩せたことだけではない。基礎の設定は同じだが、リノベーションされた脚本で、別物の作品に仕上がった。
オリジナルは主人公がアルバイト先の男(新井浩文ではない)から性被害を受けるが、本作にはなし。お国柄かコメディ要素を強めるためか、お陰で家族と楽しく鑑賞できる。オリジナルは安藤サクラのヤサグレ感が強いが、本作は優しすぎてダメな女性に描かれる。家族や親戚、友人や恋人などから傷付けられ、自死までしようとした主人公が、人生は一度きりと考え、ボクシングを通して生き直す姿を、素直に応援したくなる。
前半が長く、なかなかボクシングを始めないことも、プロテストに合格しないのもイライラするが、監督自らのダイエットと重なる。
逆転の一発で、試合に勝つと思わせての負けは、ボクシングは甘くないということであるが、人生の勝ち負けは別のものと思わせる。ロッキーも1作目は負けていた。
中国映画はあまり見たことはなかったが、本作は繰り返し見ても楽しめる。ぜひ、多くの人に見てほしい。
過去の自分との決別。
32歳無職自宅引きこもり女性ドゥ・ローインがボクシングする男に一目惚れし、ある事を機に自らもボクシングを始める話。
出戻った妹との喧嘩で実家を出るから始まり、親友の女友達、彼氏から裏切られ、一目惚れした男もいなくなり、メディアの仕事をする親戚女性からもいい様に使われでボクシングに吹っ切れるドゥ・ローインのストーリー。
本作観ててずっと頭にあったのは主演と監督を務めたジア・リンさんのボディ、いやっバディ!序盤の引きこもりの時からボクシングを始めプロテスト合格した後のボディ、いやっバディ!の違いで、序盤のバディは特殊メイク?何て思いながらもずっと鑑賞してたけど、本作終わってエンドロール流れたらホントに努力され、スタート体重104kから54kまでホントに絞ったんですね。
プロテスト合格から試合が決まり練習に励む彼女は熱かったし試合前の試合会場に向かう途中の廊下の窓に写る過去の自分に決別じゃないけれど、彼女の前向きさには感動しました。
余談ですが本作公開2日前に安藤サクラさん主演のオリジナルを観てしまってので本作先延ばししてました。オリジナルとは取材絡み、ラストの終わり方が違いましたね、オリジナルの方がサクラさん出てるし好きだけど、ラストの姿を消した彼からの食事の誘いを断りシャドーしながら去る終わり方の方がカッコよかった。
コレはコレで良かった~!
安藤サクラの本家をベースにしつつも、微妙に設定を変えてましたね。
ラストシーンも違うし(個人的にはこっちの方が好き)。
しかも本家みたいに荒んだ生活臭とか生きていくことの切なさとかが、こっちはあまりなく、エンタメ度がこっちの方が高かったような気がします。
この辺は人によって好みが分れるところだと思います。
ただ大衆向けに作られているからなのか、海外含めて興行収入が700億円というのは驚きです。
いろいろと本家とは違うと書きましたが、圧倒的に違うのが、主人公の体形のビフォー・アフターですね。
本家のアフターはおそらく5~10kg絞ったくらいだと思うけど、こっちは50kgですからね。
半端じゃないですよ。
本作の主人公のビフォーは誰が見ても完全なデブなんだけど、その後トレーニングしながら絞っていく過程がともかく凄いのなんのって!
初試合の時には完全にボクサーの体形になってましたからね。
これを見るだけでも一見の価値がありますよ。
安藤サクラの本家も良かったけど、本作も負けず劣らず面白かったです!
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