「テロ計画の緻密な描写に、別の意味ではらはらしてしまう一作」HOW TO BLOW UP yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
テロ計画の緻密な描写に、別の意味ではらはらしてしまう一作
過激な環境保護活動家が巨大な構造物に環境テロを仕掛ける……、という物語には、『ナイト・スリーパーズ』(ケリー・ライカート監督/2013年)といった先行作品を挙げることができますが、本作の活動家たち(アリエラ・ベアラーら)の組織力、計画実行力はそれらに登場したグループとは一線を画しています。
一見纏まりを欠いているように思える彼らがどういった背景を持ち、どのような過程を経て計画に参加するようになったのか、本作ではテロの計画から実行に至る過程と、彼ら個々人の人物像を交互に描いていきます。
表題の通り、彼らがテロ計画を実行していく過程そのものが本作の主題であって、その描写には強い現実味と説得力を持たせる必要があるんだけど、計画で用いる薬剤や部材について、具体名も手法もばんばん描いていくので、素人でも「なんかこの映画を手本にしたら爆弾作れちゃうかも……」という気にもなってしまうほど。本当に模倣犯が登場したらどうするんだろう?と、映画の進行とは関係のないところで妙にはらはらしてしまいました。
本作を鑑賞後、前述の『ナイト・スリーパーズ』や『アメリカン・アニマルズ』(2018)を観ると、計画の成功には周到な事前準備と適切な人材選考が不可欠であることが痛いほど良く分かって、さらに興味が深まるかも。
とはいっても、どんな崇高な理念に基づこうが(/非殺傷的であろうが)、テロは犯罪なんだけど!
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