「200ユーロで「質問はナシ」なのに色々聞いちゃうジャンク屋がツボ」ティアーズ・オブ・ブラッド Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
200ユーロで「質問はナシ」なのに色々聞いちゃうジャンク屋がツボ
2024.5.22 字幕 T・JOY京都
2022年のベルギー&フランス&スペイン合作の映画(100分、G)
訳あり地下鉄運転手が息子の怪死の真相を追うミステリー映画
監督&脚本はジョルダーノ・ジュデルリーニ
原題は『Entre la vida y la Muerte』で「生と死のはざまで」という意味、英題は『On the Edge』で「縁に」という意味
物語の舞台はベルギーのブリュッセル
そこで地下鉄の運転手をしているレオ・カスタニダ(アントニオ・デ・ラ・トレ)は、偏頭痛持ちで、時折血の涙が出てしまう状況にあった
2年前に妻が他界し、一人息子のユーゴ(Noé Englegert、幼少期:Hugo Quero)とはそれっきり会っていない
ある日、彼の元に疎遠の息子ユーゴが現れ、なぜかユーゴは父の運転する地下鉄の前に飛び込んでしまう
急ブレーキをかけて轢かずに済んだものの、ユーゴは複数の銃弾を受けていて、そのまま死んでしまった
警察は殺人事件として動き出し、警視(オリビエ・グルメ)の娘・ヴィルジニー(マリーヌ・バクト)主任刑事が担当となった
同僚のカール(Fabrice Adde)と共に動くヴィルジニーは、ユーゴの動きを不審に思い、レオが何かを受け取ったのではないかと勘ぐる
レオは取り調べで否定するものの、彼は息子からある家の鍵を預かっていた
レオがそこに向かうと、駐車された車の中に1人の男が死んでいた
そして、レオの元にユーゴの恋人マリカ(Lila Jonas)から「お金を返さないと殺される」というメッセージが届く
そこでレオは、男の所持品を探り、彼の胸元に隠しカメラが仕掛けられていることに気づく
それは警察が使用しているもので、男は潜入捜査を行なっていたラルフ(Alexxandre Bouyer)だった
さらに映像を解析すると、ラルフはヴィルジニーと恋人であることが判明した
映画は、息子の仇を探すレオと、恋人の安否を気遣うヴィルジニーが描かれ、それぞれが同じようなルートを経て、真相へと迫っていく
レオは元潜入捜査員であり、ある事件にて妻を亡くしていた
彼の頭の中には銃弾が残ったままになっていて、その後遺症として、血の涙を流すという症状が出ていた
生きていることが奇跡で、それゆえに原題の意味に通じるのだが、邦題は表面だけを見て無理やりつけている感は否めない
物語としては、子どもを思いやる親というのが登場し、レオには警視とヴィルジニーが親子であることがわかっていた
それを端的に「あんたがいると彼女がイラつく」と言い、「息子も俺といるときはそうだった」とつけ加えていた
この洞察力を持ってしても親子関係は難しく、うまくいかない果てに悲劇があり、今回はその後始末をつけた、ということになっていた
いずれにせよ、一般人っぽい人が実は凄腕のというパターンで、今回は「同じ警察官だった」という設定になっている
彼は名前を変えていて、インターポールが照会を拒否するという人物になっていた
この段階で「同業者なのね」とわかる人にはわかるのだが、潜入捜査員として万能過ぎないところはリアルのように思う
見つけたカメラデータの解析をジャンクショップのカルロス(パブロ・アンドレス)に頼むのだが、その時のやりとりもスタイリッシュだった
切れる関係を惜しむ2人だったが、レオが現役の刑事で、ブリュッセルが管轄なら、2人でいろんな事件を解決したのかなと思った