国宝のレビュー・感想・評価
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映像美5 思考美1で星三つ
血統は天の配分。
天皇は涙も見せられない。
技巧はその個人だけへの才能と本人の努力。
血の神格の下にあらゆる文化や技がある。
国、家は存続、相続がすべて。
血統は何代アホが続いても必ず立て直す突然変異が発生する。
映画では渡辺が血統を曲げたがそんな事例があるのだろうか?
私は天皇に技巧を期待したことはないし、陛下の元に産まれたことに無条件で心から感謝しています。
日本人に血統を問うことは無意味。
この映画黒澤明が監督ならどんな映画なんだろう。
是非みて見たい。
追記、歌舞伎の技は骨の形に憶えさせるのくだりはなるほどと思わせてくれたのは田中さん。
国宝は血統だけが与える資格を有する。
相撲も歌舞伎も漆も芸術や技巧における素晴らしい力と美の功績、そして人間国宝制度は天皇血統の権威づけの生贄として存在する。
日本はまだまだ神話の途中、世界で唯一無二の神の国、上質なアニメの最高峰。
上り詰めた先に、彼は何を見たのか
とにかく、美しかった。
吉沢さんは大河ドラマ終了後に、横浜さんはこれから大河ドラマを控える中で、1年半にも及ぶ稽古を積み重ね、この作品を作り上げたことを思うと、心から尊敬の念を抱かずにはいられません。
実際の歌舞伎の舞台は、これまで数えるほどしか見たことがありませんが、本物以上に鬼気迫る熱演に完全に引き込まれてしまいました。特にお二人による「曽根崎心中」、そして吉沢さんの「鷺娘」は本当に見事でした。
中でも、渡辺謙さん演じる半次郎の病室で稽古するシーン。あの憂いを帯びた喜久雄の表情が何とも言えず、その後に続く「曽根崎心中」の世界へと、自然と引きずり込まれていきました。
喜久雄が目指した歌舞伎の頂点。芸を極めるために、全てを犠牲にしてでもみたかった景色。私には、彼が見上げたその先に、雪が舞い散る映像が重なって見えました。あれは、父親が殺された雪の日から始まった彼の運命と、どこかでつながっているいるのではないかと想像しています。
そして、数分の出演ながら強烈な印象を残した瀧内久美さん。お見事でした。
田中泯さんに至っては、もはや別格です。手の動き、話し方、座っている姿さえも存在感に満ちており、異次元の世界観を体現していました。
最高の作品!
7月上旬、口コミを目にしてどんなものかと思い足を運んだ。期待はしていたが、想像を超えるほどの作品だった。邦画史上最高傑作と呼んでもいいのではないかと感じた。
ストーリーの良さ、美しい映像、心を揺さぶる力、俳優の演技の素晴らしさ――いずれかの要素で最高と思わせる映画は他にもある。だが、この作品はそれらすべてを極めて高い水準で兼ね備え、観ている最中は時間を忘れ、見終わった後には感動と爽快感だけが残る。他に類を見ない完成度の邦画だった。
印象的だったのは冒頭の宴席の場面。役者の演技、カメラワーク、映像の色合い、自然な雰囲気から抗争へ至る展開まで、観客を惹きつける力に満ちていた。この時点で「お、これは期待できる」と思わせる力があった。
その後、父の復讐を実行しようとするあたりまでは手探りの感覚もあったが、本編に入ると一気に引き込まれる。役者、カメラ、映像、ストーリー、いずれも最後まで期待を超える出来栄えだった。
主役二人はもちろんだが、少年時代を演じた役者たちの演技が特筆に値する。彼らが前半を力強く牽引し、違和感なく吉沢、横浜へとバトンタッチしていった流れは見事だった。その後は言うまでもなく、作り手だけが満足することなく、観客を意識したエンターテインメントとして完成されていた。多くのレビューが語る通り、様々な要素が揃った傑作だった。
カメラワークも秀逸で、切り取られても美しいシーン、楽屋に入る場面のように動きを感じさせるシーンが織り交ぜられ、躍動感と美しさが絶妙に調和していた。
邦画史上最高傑作と断言すれば賛否はあるだろう。しかし、自然な感想として「そうかもしれない」と思わせる力がこの作品にはある。もしこの映画を低く評価するのであれば、それはジャンルの嗜好が違うか、あまりに映画を観すぎて純粋に楽しむ心を失ってしまったかのどちらかだろう。
それほどまでに素晴らしく、限りなく完璧に近い映画と感じた。
伝統芸能
が大嫌いな奥さんが観に行き絶賛。ならば観に行こうと。
自分も歌舞伎には全く興味がなく疎い。梶芽衣子特集で曽根崎心中を観たぐらい。3時間は長いなと思ったら体感が短い!即ち引き込まれた!面白い!ダレがなく緊張しっぱなし。
伝統芸能なら東宝でなく松竹と思えばこの内容だと松竹では無理…。
主演は朝ドラ、大河ドラマばかりと言うか下手な役者はいない。
主役2人、吉沢亮と横浜流星はよくあの所作、仕草を身につけたな。
おっぱいポロリはないけど高畑充希や森七菜も濡場があるとは!
どん底から這い上がる人間の半生を描く、まるでロッキーを観たかの様な満足感!
芸能の道を歩む人の壮絶さよ…
2回目の鑑賞です。初回は公開後すぐに見たので、ここまでの大ヒットになるとは正直思っていませんでした。それは、歌舞伎という日本人なら誰でも知っているけれど、実際に見たことがある人は少ないという、特殊な題材でしたから。今までの歌舞伎を題材にした実写の作品は、歌舞伎を見たことのある人にとって、シネマ歌舞伎のように「舞台そのまんま」でないと鑑賞に堪えないと思い込んでいました。なので、初めて見る時も全く期待しないで見たのですが、完成度の高さに度肝を抜かれました。歌舞伎のシーンは歌舞伎ファンの目から見ても違和感なく、美しい。そして、美しいと感じる反面、芸の道は険しく厳しい、そしてどこか恐ろしく残酷なものだと思いました。竹野のセリフにあるように「こんなふうには生きられないよ」と心底思います。選ばれた人だけが行く道なのでしょう。
また、近いうちに見に行こうと思います。
息をするのを忘れる瞬間もあった
久しぶりの永瀬正敏とカチコミのシーンは良かったのだが、ちびっこギャングが出てきた時はズッコケてしまった
二人藤娘あたりから徐々に素晴らしい映画に持ち直した
御曹司と主人公の芸の差を素人目にもわかるようにしてくれたのは有り難かった
確かにこれでは後は継がせられないよなと旦那の気持ちが推量しやすくなった
血か、才能か、そりゃあ迷うけれど、そういう答えになるよねって納得できた
物語的には芸に魂を売る系だから、割とありふれたテーマだし、歌舞伎の醜聞は子供の頃からよく目にしていたので、まあ芸だけに特化したら、人格的に偏るよね、歌舞伎を取り巻く女性って独特だよねって感じでそこまで記憶残らなかった
歌舞伎のシーンは兎に角素晴らしく、歌舞伎に門外漢の僕のような人間でも圧倒され、息をするのも勿体なく感じるほど見入ってしまう場面もあった
これはとんでもなく練習したんだろうな、歌舞伎って体幹の踊りなんだなとつくづく思った
田中泯のばあさんのようなじいさん(褒め言葉)は凄まじかった
こんな人がこの世のどこかに本当にいるのかなってくらい納得感のある芝居だった
残念なところある、屋上のシーンは吉沢亮のヤサグレぶりと芸に対する執着、業は良かったが、連れの女の「もうやめよう」だったか腑抜けた演技にがっかり‥
あれはリテイクしてほしかったな
それとも生活の実感のないお嬢様の台詞だからどこか生活感がないというか現実から3センチくら浮いてる感じで下手でも良いのかな?などとすごいノイズになった
女性陣は寺島しのぶ以外は残念ながらこれと言って印象に残らなかった
物語的には仕方がないのかもしれないが、もう少し頑張ってほしかった
国宝ってこーいう映画だったんだ
登場人物が全員優しくて、優しいからこそ悲しくて、辛くて、苦しくなって、とても切なさを感じたけど、優しい人たちだったからこそみている側としては救われた。
女性3人はストーリーを進める上で必要なのはわかるし、そこが主軸じゃないのもわかるけど、分かった上でほんの少しだけ雑に感じたかも?とは言え森七菜ちゃんの「どこみてんの」のシーンはとても好きでした。
良い日本映画を映画館でみたなーと満足です。
まだみてないなー。迷ってるなー。という方には是非みてほしいなと思いました。
題名にふさわしい
歌舞伎の世界で血筋のない男が、国宝となるまでのお話。
吉沢亮さんと横浜流星さんの芸が圧巻。
2人のスゴミのある役に、魂を持っていかれる感じ…
3時間て痩せてしまったと思うくらい。
「美しくないものだけの部屋」で最期、床に伏している万菊さんが印象的。
本当の国宝はこういう人と思わせられる。
よかったが、好きな部類ではない。
カンヌのニュースを見たときから気になっていたので沢山人がいたがなんとか公開初日に見に行った。見終わった後味としての個人的な感想はタイトル通り。ストーリーはあまりささらなかった。
しかし何が凄いって、退屈なく観ることができたこと。面白くなかったわけではなく、好きなストーリーではないという感想なので、演出、場面展開、役者の演技はかなりよかったことが、3以上の評価に繋がった。フラガールの監督さん、ドラマ最愛の脚本家さんなのでさすがと思った。
ストーリーが好きな部類じゃないのは、
主人公に感情移入できないところ。周りには共感できて泣いた。
狂っていて時遅しとはいえ、家族や大事な存在をを捨ててまで何かに没頭したことはないし、その点において共感できるところがない。ささらない。
最初は自分で選んだ環境ではなかったかもしれない。まあ才能はあったからね。あり過ぎたのだろうね。
でも、選択はできたはずで、主人公はある意味恵まれていた。
そんな中、狂ったのも狂わせたのも自分だから、自分の世界でもがく様子を見せられても、周りが可哀想にしか思えなかった。
まあ仕方のない選択と捉えてもいいんだし、この狂い方やこの表現こそが映画の言いたいところなのだろうな。芸事を極めた結末。選んで捧げることの生き方の表現、人生。愛。継承。すごく考えさせられる。ストーリーがささらなかったが、演出その他もろもろの構成が素晴らしかったので3.5。
一つレビューで気になるのが、説明があまりないとかいう感想。考えてよって思う。考えることをやめた人の感想なんだよな。
言葉の少ない映画なんて山ほどあるよ。国宝はまだわかりやすかった方。
前評判どおり、よかった
すごいらしいと聞き、ロングランになってなお大きな劇場で上映しているのを観に行った。席は平日昼に関わらずかなり埋まっていた。
3時間近い大作、どう終わるのか?どこで終わるかと思ったら、まさにタイトル通り国宝になって、見たかった景色を見たところで終わった。
「ああ、綺麗やな」
こちらから見るとそんなに綺麗な景色に見えなかったがそんなものということだろうか。
終わり方も、ここから老いていくようす、後継者、死後などは蛇足であり、この映画としてはこれでいいのだろう。
1人の人間の生涯を追う、兄弟のような相棒と切磋琢磨する、順風満帆でなく芸から離れる時期、彼女を寝取られる、芸の世界とヤクザのつながり、時代背景全体に昭和元禄落語心中を思わせる作品だった。
芸事の道には、何やら狂気が潜んでいるようである。
それに歌舞伎界の血筋というテーマを足した感じか。
生まれというのは自分ではどうしようもないもの、なのに残酷に、大事な舞台に立つ前に、血のつながりを意識させられる。
逃げた坊の分まで、芸を磨き襲名も勤めたというのに、お師匠は今際の際に坊の名を呼ぶ。
襲名しても冷遇されたのは、血筋でないからか、週刊誌のすっぱ抜きの影響だったのか。そもそも、週刊誌がすっぱ抜くのも、後ろ盾がなくて握り潰せないというのもあったのかもしれない。
映画では何か端折られたのかもしれないが、人間国宝から声がかかって歌舞伎の世界に戻れたのはどういうわけだったんだろう。
世間を騒がせて数年経ってほとぼりが覚めたから?
そして血のつながりがあるからこそ、坊も糖尿病になる。足壊疽で入院してるのにバナナをたべているところ、まさに糖尿病患者だった…。
春江はどうして喜久雄でなく俊を選んだんだろう。喜久雄が見ているのは芸事を極めることで、自分は必要とされてないと感じたのかな。求婚されたのに、「1番の客になる」って答えるってそういうこと?しかし長い付き合いで、よりによって兄弟分の俊の妻になったのに、俊も死んでしまって、その後も長い時間一緒に過ごすというのが数奇な運命、というか、単純に気まずくないのかなぁ。さすが、こういう世界、狭くていろいろありそうではあるよね。
悪魔との契約の末路なのか、喜久雄の子は歌舞伎役者になれない娘だが、俊の子は息子。その息子に稽古をつける。どういう思いなのか。そこは掘り下げられなかったけど、ほんとドロドロだよね。
結局、人生幸せかどうかなんて、自分が決めることだ。周りは勝手に評価してやいのやいの言うのだ。
喜久雄は、血筋がないために苦労した。それも俊と兄弟のように育てられているからこそ、時折見せつけられる差が苦しい。芸をどんなに磨いても襲名しても、世間から「取り入って盗んだ」と見られる。仕事もない。
そして悪魔との契約のせいなのか、結婚したかった彼女は兄弟ともいえる親友に取られるし、子どもとも一緒には過ごせない。まあこれは、本人も家庭を大切にする気はなさそうだったけど。
さらには親友も亡くし、あるのは芸だけ。
それを、終幕のインタビューでは「これまでまさに順風満帆でしたが」などと言われる。全く、世間というのは勝手なものだ。
また、突然娘が現れて、「あなたのことを父親だなんて思ったことはない」だの「いろんな人の人生を犠牲にして」だのと恨み節を言われる。神の視点で物語を見ている私たちからすれば、芸妓との付き合いは互いに同意のようで喜久雄はそんなにひどいことをしているようには見えなかったが、娘の立場からしたらそれは大変だっただろう。まあ2号の立場は本来充分な経済的支援があってこそなのに、それがなかったのは大きいか。その上で放浪されてしまって会えなくもなったら娘が恨むのは仕方ない。
しかし血筋でないからこそ、糖尿病は患わずに長生きできて、国宝になれたのだ。まあ、血筋でないものが国宝になれるというのが、そこはお話だからで現実ではないのかもしれないが。
でもそうだなぁ、歌舞伎なら定年もなく最期までできるし、ましてや人間国宝になったらもう仕事がなくなることはないし、生涯現役で歌舞伎ができるというのは、この手の人にとっては最高の人生かもしれない。最高、は言いすぎか。プライベートで手に入らなかったものは大きかったけど、一番ほしかったものは手に入れた。あれもこれもで頂点に立つのは無理だということよね。中途半端では極められない。
2人して人間国宝になりたかったのかはわからないが、俊はといえば、あれもこれも欲しがりだ。少し売れれば派手に遊び、もちろん大きなことではあったけど、父の代役を一度取られただけで、そこから奮起するのではなく、親友の女を奪って逃げる。父が死ぬまで顔を出さなかったくせに、死んだ途端に陽キャなままで帰ってきて、喜久雄のこれからというところの仕事を奪っていく。この、どのツラ下げて?っていうところのハートの強さは、ボンボン育ちって感じだよね。その仕事が入ってくるのも血筋もあるのかな。それは、俊は意識できてないだろうけど。それとも、パッとやってきて自分より芸に通じ、父から認められた喜久雄に対する仕返しなのだろうか。父の借金は一体どうしたのか。
喜久雄はそういう恨み言は言わないけれど、どっちかっていうと俊の方が酷いことしてるように見える。才は天賦が与えるもの、喜久雄は真面目に芸を磨いただけなのに、嫉妬しただけじゃねぇか。
帰ってきたところで、2人で力を合わせてってわけには行かなかったんだろうか。それだと俊が見劣りしちゃうから、あのおかみさんあたりが認めなかったのかな。おかみさんは息子可愛さはあるにしても、旦那の作った借金を返してくれていた喜久雄に対してあまりにも冷たいんだよなぁ。取り立ててやったんだからそのくらい当たり前だとか都合のいい解釈をしているんだろうか。怖いなぁ、一緒に育てていても情はうつらなかったんだなぁ。それか喜久雄が仕事ほしさに下手こいたのがそんなに良くないことだったのか。もしかしてそういうことなのか、あのお嬢さんと別れて、お父さんが許したことも歌舞伎界に戻れた一因だったのか。
話はそれたが、俊は妻も得て息子も生まれたが、病に倒れる。でも義足で舞台に立つ、前向きな人間だ。それこそ血に守られているのかも。血に守られていると意識しなくても、深層心理で思っているような、ボンボンならではの自己肯定感の強さがある。息子にも怪我したらどうするといいながらバスケットボールをやらせてあげているし、ほんとに悪いやつじゃないんだ。
それに、放浪から帰ってきてからは俊は自分の才を受け入れたように思う。「それがあって今がある」と言っていたし。最期は国宝にこそなれなかったが自分の納得する曽根崎心中を演じられた。ただ命は長くなかった。もしかしたら、国宝になれなかったことより、舞台に立つ時間が短かったことの方が悔やまれたのではないだろうか。子どもの行く末を見守れないことも。いや、そんな感想は凡庸がすぎるかもしれない。子どもの行く末を気にする人間か?でも家族というものに対しては喜久雄とは対比的に描かれているし、その辺りは俊はそう言った愛情を持ち合わせていそうではある。
そんな俊との別れの時間。
お初役の俊の足を手に取り頬ずりするシーン。
本当にいろいろあったけど、この2人は他の人にはわからない強い絆で結ばれている。
彼女を寝取られても、仕事をとられてもなお、喜久雄はこの性根の明るいボンボンを嫌いになれなかったし、どこか憧れもあったんだろうし、一緒に過ごした時間は宝物だったことが伝わってきた。
喜久雄と俊は対照的だ。そういう意味でも、やはり人間国宝になるような、何か1つ突き出た才能というのは、多くの一般人とは違うし、孤独なんだなと思う。
でもそれが良いとか悪いとか、幸せか不幸かなんて、外からみてる人間は何も言える筋合いはないのである。
喜久雄が歌舞伎界に呼び戻されたとき、質素な古アパートで当時の人間国宝が1人寝ている。
坊が親から受け継いだ立派な家で、素敵な調度品に囲まれて暮らすのと対照的である。
そういうことなんだな。
あくまで舞台上で綺麗な景色を見るために。
それだけが目標で生きていく。
それ以外は望まない。
そういうものなんだろう。
そこまで突き詰めるからこそ国宝なんだろう。
いい映画だった。
評判の高かった吉沢亮のみならず、横浜流星も良かったよ。
印象を選ぶにしても、当てはまる言葉がなくて。
なかなかにドロドロな、人間の業の詰まった展開ではあるんだけど、全部昇華されて、言うなれば「美しいものをみた」という感じ。
見るのに3時間かかるけど、全然無駄じゃなかったよ。
この世で最も美しいJホラー映画
今さら鑑賞。
もう他の方たちからほぼほぼ感想は出尽くしており
特筆すべきようなことはないので
なかでも心に残ったことだけ書きますが、
『この作品はジャパニーズホラーだったんだ』
と、ラストの演目を見て痛感しました。
だとしたらなんと美しい恐怖なのでしょう。
わかりやすい恐怖ではなく
心の底からゾクッとさせられる、
神経を蝕む恐怖をジワジワ感じる事ができます。
まさにJホラーを彷彿とさせる作品です。
観る前は歌舞伎成り上がりモノだと思っていました。
それには違いないのですが
監督が『怒り』『悪人』の李監督だということを
失念しておりました。
人間はどれほどに汚く、醜く、恐ろしく、
そして夢を追いかける様が美しいかを
主人公の人生を通してわからされた作品でした。
歌舞伎版ガラスの仮面
ひたすら芸に生きる
圧倒的なスケールで歌舞伎に潰される。圧倒的な映像美。芸の果てしない追求。国宝になるために悪魔さえも味方につけて芸に精進する。
まったく前知識なかったが、最後の芸を極めた瞬間はだれをも圧倒するだろう。
観るか観ないか悩むなら観る
李 相日監督ならではのリアルで過酷な世界観。
伝統芸能にまったく詳しくない自分でも観ていて感動できる舞台シーン演出。
吉沢亮の振り切れた芝居も全編良かった。
キャスト陣も永瀬正敏さん、渡辺謙さん、寺島しのぶさんと大好きな俳優陣が出演していてとても見応えがあった。中でも田中 泯さん演じる歌舞伎界の重鎮でもある人間国宝役が本当にいそう、インパクトあり過ぎのクセ強感で圧巻でした笑
ラスト、吉沢亮が晩年の役でも演じるのですが、話し方も体型も動きも若々しい、見た目だけメイクで歳を重ねたように見せているのですが、魔性に取り憑かれた人間は歳を取らず若く見えるようにわざとなのかな…とか考えました。
すごいものを見た
役者さんたちは一体どれだけの努力をしてこの作品をを作り上げたのだろうか。
伝統芸能のような型のあるものはただでさえ難しいと思う。それを未経験者が、感情を込めながら、こんなにも美しく見せるなんて。歌舞伎のシーンはもうそれだけで見る価値があるような美しさで、うっとりと見入ってしまった。まるで歌舞伎の舞台を観に来ているのかのように、自分が映像と一体化するような錯覚を覚える瞬間もあった。演技も良かった。特に喜久雄、俊介は本当に彼らが彼らとして生きているような感じがした。吉沢亮さん、横浜流星さん本当にすごい。格好いいだけじゃない本物の役者さんだった。魂のこもった演技だった。少年時代を演じた黒川想矢くんもとても良かった。
ストーリーは色んな感情が湧き起こり書き起こすのが難しいけれど、とにかく最初から引き込まれあっという間に時間が過ぎた。特に前半、喜久雄が代役に選ばれ曽根崎心中を演じたことで俊介が去るまでの流れは良かった。
名シーンはたくさんあったけど、プレッシャーで手が震えて化粧が出来ない喜久雄に俊介が化粧をしてあげるシーンが印象に残った。自分には守ってくれる血がないという喜久雄に、芸があるやないかと励ます俊介。俊介も相当複雑な気持ちでいただろうにあれを言ってあげられる2人の関係がすごく良かった。結局俊介はその舞台を見ていられなくて離れることになるけれど、その後のすべてのことを含めて彼らの関係は最後までとても愛おしく感じられた。それぞれの気持ちに感情移入出来て、幸せを願わずにはいられなかった。
三浦貴大さん演じる竹野も好きだった。あの役どころはこの映画に必要だったと思う。芸の世界の人ではなく普通の人であることがより2人を引き立てたと思う。時に現実に引き戻し、時に舞台に引き戻し、良いスパイスとなっていた。始めは嫌な奴だったのに喜久雄を認めて親しげになっていく様子もほっこりした。
喜久雄を取り巻く女性たちもそれぞれ良かった。春江が俊介とくっついたのは、喜久雄は結婚して家庭を顧みるような男じゃないことがわかってたのかも。喜久雄が何を犠牲にしても上を目指す根っからの役者であることを感じ取っていて、自分は必要じゃないと思ったのかなと解釈した。俊介への同情と、喜久雄へのコンプレックスの共感で、ついていくことを選んだのかなと。結果的に良い家の妻の座に落ち着いて、こう言っては悪いけどうまくやったのかも。
藤駒も喜久雄を見初めて娘を産んだけど、喜久雄が自分のものになるとは思っていなかったと思う。大人になった娘があとから出てきたのにはびっくりしたけど良い展開だった。悪魔と取引して日本一の役者になったね。
彰子は利用されたようなかたちで喜久雄と一緒になり、その後も苦労をして幸せそうに見えなかったのが残念だった。喜久雄暗黒期だったので仕方ないけれど、彰子はどうなったのだろう。
田中泯さん、良い意味でゾッとするようなオーラがあった。
本当にすごいものを見た。思い出す度、感動が蘇る。
日本の映画史に残る傑作になったんじゃないだろうか。
映画館で見られて本当に良かった。
これがあなたの国の宝なんですか?
これから見る映画のポスターを見る。
「ただひたすら 共に夢を追いかけた」
「その才能が、血筋を凌駕する」
「カンヌ国際映画祭」
歌舞伎よく知らない、原作未読、映画のみ視聴した者の感想です。
■映画の内容について
脚本が失敗していると思う。演出も首をかしげること多々。
話はすごく長く、後半に進むにつれて失速していく。
前半だけで映画終了でもよかったんじゃない?
<歌舞伎への情熱、共に夢を追いかけ、最後に才能が血筋を凌駕!でも親友と恋人が傷つき去っていく>
一応話の筋も通ってて、苦悩しながらも歌舞伎に打ち込む青年を応援する気持ちで見ていられた。
不要と思える場面も散見されたけど、このときは後で何かあるんだろうと思ってた。
雪景色の料亭の場面は綺麗でよかったし、舞台裏のからくり仕掛けのシーンなんかは主人公のわくわく感に共感もできた。
後半は本当に苦痛、因果関係のない出来事の羅列がつづき、説明すらないため、なんで?の連続。
話がどこに向かっているのか、登場人物の心情や目的は何なのかもわからず、成長の描写もない。
そして問題は無かったことになったり、勝手に解決されたりで、もう勝手にしてくれと思った。
数秒画面を真っ黒にして年号を表示する意味って何かある?その分早く終わらせてほしい。
舞台で吐血したり、壊死しそうな足で舞台強行して、はーはー言いながら足引き摺って必死にがんばってますって、客は一体何を見せられてるのだろう。
歌舞伎中のテンプレオーケストラBGMも不快に感じた。
すごいでしょー、荘厳でしょー、って感じでしつこくうるさい。
BGMが衣装早替え?のところでクライマックスを迎えたときは、ちょっと噴き出した。そんなに着替えを強調したいのか(笑)
本物でない人が演じているので、いろいろ工夫が必要なのはわかるけど、肝心の話に納得できていないので、盛り上げ音楽やきれいであったろう映像とかが流れても、逆にシラケて映画から気持ちが離れていく。時計チラチラ。
あと前半で出てきた思わせぶりな話やセリフがことごとく回収されず困惑。
きれいな顔が芸の邪魔になるよ→ならない。
ミミズクの刺青の意味は恩返し→しない。
後半も同様、ここには美しいものが一つもないとか大いに意味ありげなことを言わせるが、話の本筋には何も関係なし。
最後隠し子が唐突に登場し、あなたを父親と思ったことはないと言う。
全然大したことないけど一応これが悪魔と契約の回収ってことね、と思ってたら、
最後の最後にお父ちゃんと言われる。なんで?
原作のタイトルだからしかたないけど、仮にタイトル知らずに映画を見た人は、まさか国宝だなんて思わないのでは?
海外でもやるらしいけど、この映画の内容がわかるとは思えない。
これが日本の宝なんですか?と思われたら恥ずかしいな。
■マーケティング
カンヌ映画祭本体ではなく関連イベントに出品し、ポスターには金ぴかのカンヌ出品の文字。
結果大成功だし商売だから必要なのはわかるけど、こういう優良誤認っぽいやり方は好きになれない。
■補助金
両隣が動かないので仕方なくエンドロール見てたら、文化芸術振興費補助金の文字が見えて唖然。
大ヒットおめでとうございます。全額返金して本当に援助を必要としているところにまわしてあげてほしい。
評判以上だった
全2068件中、1561~1580件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。