国宝のレビュー・感想・評価
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長すぎるのがもったいない
同名小説を映画化した『国宝』。
主演の吉沢亮演じる喜久雄と、横浜流星演じる俊介のライバル関係は、血筋と才能という如何ともし難いテーマを軸に、対立と共感が複雑に絡み合う。
脇を固める俳優陣も秀逸。田中泯の妖艶さ(本物の人間国宝っぽい)、寺島しのぶの静かなるも強烈な存在感(本物のおかみさんっぽい)、そして渡辺謙の熟練の演技(本物の歌舞伎役者っぽい)など、それぞれが物語に厚みを持たせている。
一方で、上映時間175分という長さはマイナスポイント。間延びしたシーンも多々あり、冗長で後半は集中できなかった。もっとコンパクトにすれば素晴らしかったと思う。
せっかくのダイナミックな視点の映像や演技なのに、途中で席を立つ人もいてなんだかもったいなかった。
映画としての構成に課題を感じる。
勧められて鑑賞👍自身では絶対に行かないジャンルですが面白いよ〜とか...
芸を極めるということ
3時間飽きさせないテンポ感でもっと描いて欲しい部分もあるくらいで、切り詰めて切り詰めての3時間なんだと思う。歌舞伎の世界に復帰できた理由に関わる部分や人気絶頂の演目も見てみたかった
人間国宝の芸を見たことがあるわけでもないので何とも言えないが、芸に魂を売ることの意味。あらゆることが芸の肥やしになると言われる世界で、血筋の理不尽さに葛藤することや、芸のために他者を利用すること、婚外子を作ること、義兄弟の将来を奪ってしまうこと、仲直りをすること、義母の心無い言葉、義父の執着、自分の才能に溺れること、挫折、あらゆる経験が芸に反映されて、老人といわれる年齢の男性が若い娘を演じる際にこれまでの自身の経験や自分が傷つけた女性のことを思い出すように演じることで細部に神が宿る。そうゆう歌舞伎の世界があることを描いた作品なんだと思った。だからこそ国宝になれたのは全ての人をおかげなんだと本気で思っている、婚外子のことも最初からわかっていたけど芸のために必要な過去であった。ここで謝ったりするのは自分の芸の到達を否定することになるので、謝ったりはしないけど人のおかげで到達できたことを理解しているし感謝している。そうゆうことと解釈した。
別世界すぎて共感とかはできないけど、綺麗事じゃない世界の美しさ、儚さを感じて納得させられた。
病室での曽根崎心中の練習シーンと結婚式場の屋上のシーンが個人的にはベストアクトだった。
どうしても覇王別姫がよぎる
役者陣は本当に素晴らしい。映像も美しく見応えがあり、鬼滅の刃よりも長さを感じさせなかった。
ただ、ストーリーは日本人が大好きな「おしん」フォーマット。不幸な生い立ちの主人公が、困難に立ち向かい成長し大人物になっていく。
どうしても比較になってしまうが、社会体制に翻弄され続けた覇王別姫に対して非常に作品が内向きだ。歌舞伎の内側だけの話。血縁主義に翻弄されて続けてもそれを変革する方へは進まない。おそらく原作者が歌舞伎の内側に入りすぎたんだろう。外からの目が欠けているように思う。結局カタルシスは喜久雄の中だけでしか起こらない。
この作品は海外での公開を見越したビッグバジェットだそうだが、海外でヒットするかは疑問が残る。
生きる覚悟が物語を熱くさせる「国宝」
映画「国宝」がこれほどまでに惹きつけられるポイントに関して自分なりに考察をしてみた。
要約すると以下となるだろう。
1. 脚本(構成)・セリフ
2. 俳優の演技
3. 映像美/音楽
どれも素晴らしかったが、1に関して深掘りしてみる。
まず、主人公である吉沢亮演じる喜久雄の運命を決定づける事件として、父親を目の前で殺害される事件が起きる。
そして復讐を試みるが失敗して、身寄りのない喜久雄は歌舞伎の世界に入っていく。
そこから彼の復讐は父を殺した男を殺害する代わりに、銃よりもナイフよりも強力な「芝居」を極めることで復讐を果たすことを目指していく。
映画の後半で喜久雄が「ある景色を求めている」といったセリフがあるが、映画のところどころに登場する雪が降り頻るシーンはまさに父が殺された時の光景であり、彼の復讐が始まった原点である。
復讐を完遂させるため、彼は「復讐の悪魔(鬼)=芝居の鬼神」となって日本一を目指すことになる。
この「父を殺される」シーンが彼の運命を決定づける訳だが、単に歌舞伎に入るきっかけのようにも見られてしまい、
彼の演技に対する動機というのが少し分かりずらいというのはあったかもしれないが結果的に分かりづらさ故に何度も見る方が多くいたとも言えるのではないか。
分かりずらいシーンで言うと、一生添い遂げると言っていた幼馴染が、横浜流星演じる俊介の元に行ってしまったのも、
のちに子を授かる芸妓と関係を持つことにより、個人的には理解できた部分があった。
喜久雄の幼馴染は、喜久雄のことを誰よりも理解しており、芝居の鬼神となり「自分だけの男」ではなくなってしまったことを理解していた。
「永久に自分の男」にならないと理解してるからこそ、彼を諦め俊介の元に行ったのではないだろうか。
喜久雄が3代目を就任した際に、元芸妓との子供が「お父さん」という呼びかけに応じなかったのも彼はもう「父=人」ではなく「芝居の鬼」となったからだろう。
最終的に芝居の世界で国宝となり、彼の復讐=見たかった世界を成し遂げることになる。
個人的には、この復讐という脚本のエンジンがこの物語を深くそして狂気の世界を創造していく訳ではあるが、
彼がなぜそこまでこの復讐にこだわったのか、また復讐の先に彼は何を感じたのかというのはもう少し見たかった/理解したかったと感じてしまった。
イプセンが「人形の家」を作って以降、物語に「生き方」を求めてしまうようになってしまった観客である我々に、
喜久雄が問いたかった生き方というのはどのようなものだったのだろうか。それは見たものの「覚悟」によって景色は違ってくるだろう。
歌舞伎の興味ゼロでも長丁場でも楽しめた
序盤からテンポよくハイペースで進む展開でハラハラしつつ長いと思われた3時間があっという間でトイレに中座する間も無い(笑)。
心に突き刺さるような辛いシーンもありますが、誰が悪いというよりは正直タイミングと運の話で、もし自分が同じ立場なら同じ行動をとってしまったのでは?と登場人物に感情移入する場面が多々ありました。モチロンこうすれば良かったのではというツッコミどころはあります。
歌舞伎のシーンでは演目名が都度字幕で表示されるのが初心者に優しい。喜久雄と俊介二人の女形の着物姿や立ち振る舞い映像表現が全てに美しかったです。素人目にも難しそうな役を演じた俳優さん方はすごい。個人的に自分が観てきた邦画にはあまり見られない立ち位置が異なる主人公と準主人公の対比で表現する話は好きです。
これから鑑賞される方は予備知識で一度「曽根崎心中」をググってから映画館へ行くことをお勧めします。
素直に面白かったです
ストーリーで所々「作り物感」を感じたり、「なんか妙に駆け足ペースだな」と感じたりと、気になるところがあったのは事実ですが、俳優さん達の演技も非常に良いおかげで劇場にいる間は理性というより感覚的にものすごく納得してしまう形でスルッと楽しめてしまい、最後に「面白かったなー」と満足して劇場を出るくらいには面白い作品でした。とても良かったです。
途中駆け足感を覚えた部分は実際原作小説からだいぶ内容を削ぎ落としてるそうですが、削ってなおボリュームたっぷりの長編映画である以上、仕方がない部分ですね。
家族の中での愛憎や「その血の運命」的な描写は李監督の腕が存分に発揮されて見応え十分でした。
今原作を読み進めているところですが、ロングラン上映しているので是非終演前に読み終えて2度目を観に行きたいなと思っています。
何がこの映画を特異にしているか
2回目の鑑賞(前回は8月1日)。1回目は主人公の喜久雄に感情移入していたようで、最初の道成寺で泣き終えて、そのあとはやや感動の押し売りの感がしたが、今回はシュン目線でも観れたせいだなのか、後半も泣けた。
>>『国宝』は若いアイドル的な俳優が主演とあって、若い観客層を動員している
そういう地域もあるらしい。わたしが見た回は2回とも間違いなく50代以上がほとんどだった。(ブログの書き手にとっては50代は若いんだろ、との忠告も頂いた。確かに。)
嘘つきや裏切り者に罰があって観る側は満足するわけで、裏切りがあるとすれば万菊と春江になる。2人への罰を望むむきはまずないだろう。この作品の何が観客に満足を(満たされない現実生活の救いとなるものを)与えているか。そこを考えるときに、ワイドショーの観客インタビューにあるような映像の美しさとか役者の芸達者ぶりということを書くつもりはない。
自分が役を獲るために、息子に役を与える為に、権謀術数をめぐらしライバルを蹴落とすことがない。登場人物にさまざまな障害が降りかかるが、陥穽にはまるわけではない。おかみさんは菊ちゃんをキタナイと言うが息子に対してもキタナイと言う。
この映画は、嘘も策略も皆無ながら観客を飽きさせないという意味で、清廉潔白だと言えるだろう。「てな感じで言ったら(怒ったら)オモロいんやけどな」の台詞のとおりに、僻むにしてもありきたりな僻みはない。勧善懲悪を目指すドラマティックな展開と一線を画している物語の清浄さが多くの人を魅了して飽きさせないモトなのかもしれないと思った。
倒錯的な色気
納得の高評価 ストーリーはあえて単調で良い
公開から2ヶ月以上経ってしまったが、映画館で鑑賞できて本当に良かった。配信されてからでいいと思っている人は、できれば映画館の音響と大きなスクリーンで観てほしい。歌舞伎を観るという観点からも、観客席に近い環境が大事だと思う。
一見、「わかる人にはわかる」系の映画かと思うが、意外にも理解しやすく、一般の視聴者でも場面ごとのテーマを感じ、考察しやすいのも大ヒットの理由の一つと考える。それが物語に空白がないとか、ストーリーが単調だという一定の低評価にも影響しているが、個人的には歌舞伎という馴染みがなく難しい題材だからこそ、良いバランスだと考えている。
また色も重要なテーマの一つで、真っ白な雪の庭の中、真っ赤な鮮血が流れる父が撃たれるシーンと、女方の真っ白な肌と真っ赤な唇・隈取はリンクしている。父が撃たれた悲しみを感じながらも、あの光景は喜久雄にとって最も鮮烈な記憶であり、どこか美しさも感じていたのではないだろうか。
血統に守られ苦しめられた俊介についてや、喜久雄に打ちのめされた俊介と春江が共鳴し合ったこと、二代目半二郎の役者としてと父としての苦悩、女性たちを敢えて深く描かないこと、など多く考察されている点については、概ね他の人の意見に同意する。
ただ、前述したようにストーリーが単調だという意見に対しては、ドロドロした人間模様や騙し合い、あっと驚く展開は作品をチープにしてしまうと思い同意しかねる。逆に登場人物全員が悪意を持って行動していないのが、この作品の長所だと思う。
歌舞伎に対しての知見は全くないことを最初に断っておくが、吉沢亮と横浜流星、また子役の2人の演技は圧巻だった。
吉沢亮さん、ただの超絶イケメンだと思っててごめんなさい。万菊さんの言う通り、顔があまりにも良すぎると芸を見てもらえないこともあるんですね。
そういえば、喜久雄(キクオ)と万菊(マンギク)の音が共通していることは何か意味があるのか。少ない登場人物の中、音を重ねず名づける方法はいくらでもあると思うが...
国宝
吉田修一のスゴさとヌルさ
面白いよね。
観てて「さすが芥川賞を獲ってからエンタメ路線に転向した作家の作品」と思ったもん。
でもグレてしまった横浜流星が戻ってきて、今度は吉沢亮が追放されてしまうあたりで「ん?」と思うのね。
なんとか吉沢亮も戻ってきて、そしたら横浜流星が足を切り落とさないといけないってとこで「んん?」と思うの。
しつこいんだよね。この作品、そこまで「こっちを苦しめます、はい、次はこっち、ついででもう一回こっち」ってやらなくても描けそうな気がすんだけど。
普通のエンタメ作家がやってるなら気にならないんだけど、吉田修一だからね。《パークライフ》で芥川賞とった。ちょっと一言いいたい。
同じことの繰り返しになっちゃってる気もするけど、みんな繰り返し好きだから、多分、いいんだろうな。
みんな、なんとなく収まるところへ収まっていくけど、森七菜が可哀想だね。
完全に利用されただけだもん。「お、森七菜でてきた」と思ったら利用されてるからね。
役者はみんな良かったけど、なかでも高畑充希よかったな。
横浜流星が逃げ出す前後の演技がすごかった。久しぶりに高畑充希を観た。
吉沢亮は、芸に精通するにつれて、色んなものを失うんだよね。
見上愛は最初から「二号さん、三号さんでいい」って吉沢亮と真剣に愛し合おうとしないし、高畑充希は結婚を申し込まれても身を引く形で断る。
この辺が不幸といえば不幸だけど、自ら望んだ不幸で、芸を手に入れたからいいんだってことだね。
最後に三浦貴大が「あんな風には、生きられねえよな」と我々を代表して言ってくれるね。
観てる間『こんなシビアな世界に身を置かなくて良かった』と思いながら観てたからね。
ラストで出てくる瀧内公美もさすが。
これだけの出番で、とても大事な台詞をビシッとやり切れるのは瀧内公美ならでは。
あと映像観てて、1970年代の日本はきれいだなと思った。
日本の勢いが衰えていない頃というのが大きそう。
それでファッションがいまとほとんど変わらないね。横浜流星や吉沢亮の衣装でそのまま令和に来ても違和感ないもん。二周回ってトレンドになってんの。
そして映画は大ヒットしてるけど、分かる。
令和の映画といったら《国宝》が挙がる作品になる気がする。
李相日監督の手腕も確かだね。
題材の歌舞伎は日本人のDNAに刻み込まれてると思うんだよね。ここを扱うと響きやすいんじゃ。
それに「芸のために全てをささげる」っていう、なんなら「芸道」の感じが、日本人はそもそも好きだった。
芸に身を捧げて舞台上で死ぬのも好き。
世襲のボンボンを叩き上げの実力者が倒す構図も大好き。
こういうのを集めて、きちんと捌く吉田修一は凄い!
でも、そういうのは直木賞作家に任せておいて、芥川賞作家はもっと文学っぽい作品を書いてくれないかなあ。なあ、修一!
人間の熱量を深く心に刻む感動の一作!
映画『国宝』は、周りの環境の変化にも振り回されつつも、仕事に対する誇りと、狂気じみたほどの熱中ぶりが強烈に描かれる作品。
やるか死ぬかの世界で、登場人物たちは周囲とのネットワークを活かして歌舞伎という伝統芸能の世界で戦っていきます。
その姿に、自分自身の仕事への向き合い方を正され、情熱や責任感の意味を改めて考えさせられました!!!
文化財を守る使命感と、人間の熱量が胸に響く一作です。
歌舞伎ファンとしてもエンタメとしても素晴らしかった❗
3時間長いなーと思いながら
始まった途端 冒頭のシーンから
引き込まれてました。3時間で
ふたりの一生を夢中で追い続けて
終わったあとはしばらく放心状態でした。
スクリーンでのドアップにも耐えられる
吉沢亮さん演じる喜久雄の美しさといったら…その姿も声もカタチも全てが
女形そのものでした。
喜久雄には歌舞伎座で女形を
演じてほしいほどにうっとり
見惚れっぱなしでした。
代々受け継がれる歌舞伎の血縁に生まれるということ 背負って行くその苦悩
俊ぼんを演じた横浜流星さんも
本当に素晴らしかったです
寺島しのぶさんの存在感がこの作品を
さらにグレードアップされたものにしていたと思います。何度でも観たい映画のひとつとなりました。
歌舞伎を観たこと無い方たちにも
お勧めです。
日本の誇れる作品だと思います。
前半の良さが最後まで引っ張ってくれた
全然俳優さんの名前とか知らないからずっと子役で成長物語かと思って見に行ってた。 オーブニングのカチコミというのかなのセットも良かった。 子役がまた良い。 彼らが一生懸命歌舞伎の練習をして型を身につけようとしているから色々説得力がでてくる。 国宝の歌舞伎俳優の演技を観て感動したりするのも練習の賜物だしなぁとか。 肉体の酷使とか見てると演技と言っても歌舞伎は西洋でいうところのバレエに似てるのだなと思った。 主人公が歌舞伎一家の跡継ぎに選ばれるまでは本当に面白かった。その後ちょっと中だるみしたように思ったりもしたしラストは何となくこうなるなぁという展開だった気がする。何処か中国映画の覇王別姫を思わせる。観てない人は見て欲しい。良い映画。製作側としては歌舞伎も世襲ではなく実力でしょ、
が裏のテーマかなと思った。露骨に言ったら歌舞伎界も協力してもらえないけどまあよくある話なんでしょうねで進めたのかな、と思った。 憧れの国宝の俳優さんも最後老人ホームにいるところを見るとあの人も実力でトップまでいったけど天涯孤独の人だったんだ、何処かの家の人じゃなかったんだなと合点がいった。 主人公のライバルの跡継ぎになる筈の人が贅沢三昧で糖尿病で足を失うという所に因果応報とか家柄より実力という裏テーマを感じた。 親が息子でなく主人公を選ぶ所にもう少し葛藤があってもとか思ったが難しいかな。原作読まないとね。 江戸時代の頃は家は法人みたいなもので優秀な人間を養子に入れて後を継がせるなんて当たり前だったようだけど歌舞伎はどうだったんだろう。血の繋がりを意識しはじめるのは明治以後だそうだけどね。
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