「恐ろしく美しい映画でした」国宝 はて1984さんの映画レビュー(感想・評価)
恐ろしく美しい映画でした
文芸作品だと思って避けてきましたが、エンタメとしても面白いとのことであり、ようやく見てきました。成程、これは絶賛される分けです。
エンタメとして面白い要素は、所謂、お仕事モノとしての部分でしょうか。あまり一般に馴染の無い歌舞伎界の裏事情や、そこで才能を開花させのし上がっていく主人公の痛快さ等、見ていて飽きません。
美を極める為に人は鬼にならねばならぬ。私のような凡人はそれほどまでにして追い求めなければならない美とは果たしてどういう物か?などと思うのですが、この映画ではしっかりと解答を出してきています。「美とはこれです」と。
それはもう凄まじいものでした。歌舞伎ってこんなにも美しいものだったんですね。ただただ映画に酔いしれていました。
この美を作るために、恐らく、監督も鬼になったことでしょう。ほんの一端しか分かりませんが、例えば、私だったらこのテーマで映画を作るなら、恐らく、歌舞伎役者をメインに据えてしまうと思う。しかし、実際には歌舞伎役者以外を主にキャスティングしている。総合的判断とは思いますが、多分、大きな要素は「顔」だと思います。歌舞伎の演技は後から叩き込めばなんとかなるが、持って生まれた顔だけは如何ともしがたい・・と。これは、ある意味、エゴですね。
そのエゴに付き合わされた役者さん達も大変だったと思います。主演の吉沢亮さんなんて、人間国宝級の演技、普通の歌舞伎役者の演技、未熟な頃の演技(さらには平場の演技を何種類も)を、1つの映画の中で演じ分けなければならないのですから。
全体の感想は、恐ろしいまでに美しい映画でした。テーマ自体は地味なので、この映画を世に広めたアーリーアダプターの皆様のご慧眼に感服です。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
