劇場公開日 2025年6月6日

「みなぎる緊張感、一瞬たりとも目が離せぬ」国宝 じきょうさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0みなぎる緊張感、一瞬たりとも目が離せぬ

2025年6月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

驚く

吉沢亮くんがこれほどまでに白塗りが似合うとはビックリ!
白塗りにすると、横浜流星くんは常に少し笑みを浮かべたようになるが、骨っぽい男性的な女形、一方吉沢亮くんは丸顔の日本人形のように超越した姿に見え、万菊さんでなくともその才能はわかると思わせるい天賦の容姿だった。
また、2人とも鍛えているせいか、顔に比して(顔が小さすぎる)首が太めだが、そこは衣装が良くカバーしていた。
吉沢亮、横浜流星のYRコンビによる丁丁発止の演技対決は、見るものに息をするのを忘れさせるほどの緊張感だった。

物語は、元々原作がありあちこちでネタバレレベルで紹介されているので、原作未読でも十分に楽しめる作品になっている。長いけど💦

主人公は、極道の両親をなくし(カチコミ)その才を認められて花井半次郎(渡辺謙)のもとで東一郎(吉沢亮)として、実子の半弥(横浜流星)とともに修行を続ける毎日だ。高校生までの東一郎こと喜久雄を黒川想矢、半弥こと俊介を越山敬達が演じているがどちらも素晴らしい熱演で、さらに若い世代が育っているなと感じた。特に最初に出てくる黒川くんの美しいこと、惚れるわ。

田中泯さんのすごさ。既に「人間国宝」に称されている小野川万菊を演じて、お顔こそ年齢を感じるが、女形を演じて当代一と言う役を説得力を持って演じている。劇中喜久雄が「化け物や」と漏らすが、文字通りではなく尊敬とその技術に感嘆しての言葉だと、自分自身も思いましたね。

他にも寺島しのぶの凄さ。半次郎の代役に喜久雄を指名した時の目。実子よりも東一郎の方が上ということは分かっているが、血を優先すべきという深く濃い思いがどす黒くにじみでてた。

この時代のお妾さん(芸妓、見上愛)の扱い。隠し子とはこういうことかと納得。これは少し可哀想だな。

東一郎改半次郎を襲名するその舞台で花井白猿(渡辺謙)は血を吐いて死ぬ。後ろ盾を失って半次郎は端役しか貰えなくなった。こんな時「血」が救ってくれるのがこの世界だ。だから、一度出奔した半弥は戻ってこれた。

いくら書いても終わらないな。

因果と呪いに縛られた歌舞伎の世界だけに、曽根崎心中とリンクした演出に舌を巻く。

日本人なら見るべき映画だと思う。でも、監督は日本人じゃないけどね(笑)

じきょう
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。