「タイトルなし(ネタバレ)」国宝 ナイン・わんわんさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし(ネタバレ)
「血筋」か「演技の実力」か。
才能がある人物がその道(歌舞伎)の家庭に生まれるか、その家庭に教わるか。この映画のテーマのひとつだ。
悪魔と取り引きしようが、しまいが実力勝負。嫌、やはり血筋? 運命もあるのか?
ただひたすら精進する子供の頃と、何かを犠牲にして登っていく晩年の頃と、その間の長き描写がいい。ラストも。
この映画の魅力は観る人によって変わるかも知れない。
私にとっての魅力は 未知の "歌舞伎" の世界、 "人間国宝" とは何なのか?、そもそも "才能" に血筋が有るのか。そこに引き込まれる。俳優のアップ映像(撮影監督のソフィアン・エル・ファニ)の力。俳優達の何年にもわたった歌舞伎(女形)の鍛錬だろうか。
劇場に行かなくても 自宅のテレビ画面でいつか観れるのだろうが、約3時間 映画館に拘束される環境を自身で作って あえて観るのが『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993)や『PERFECT DAYS』(2023)の様に適切と感じたこの1本。
↓追加感想の羅列(ネタバレ有り)
喜久雄がまだ幼い頃に入れ墨を入れる。同時期に背中に入れ墨を入れてる女の子春江。この二人の初期のエピソードがほぼ無い。長い原作から映画化するにあたってカットされた一部だろうか。
京都の芸子の藤駒との恋愛がスピーディー。藤駒の一目惚れだろうが、これももしかしたら原作ではじっくり書かれていたのかも。
胸ぐら掴んで文句言って、胸ぐら放すシーンが2回あって、その時の己の心情を表す演出が良い。嫉妬である。
親からの遺伝で受け継いだのは、歌舞伎役者としての才能。そして病気だった。
背中に入れ墨があろうとも、実の親の家業も関係なく国宝と成りうるラスト。実の娘に再会するが、貶されて褒められる。
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