「不思議な存在感」新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な存在感
藤吉夏鈴さんを観に来た。
平手さんが在籍してる頃からの欅坂のファンであり、今は櫻坂になってる。
なので、本作以外の藤吉さんの方が馴染みが深い。
普段目にする彼女とは全く違っていて…冒頭のナレーションからハキハキ喋る藤吉さんが新鮮だ。
で、まあ普段お目にかかれない藤吉さんを、物語の進行と共に眺めていくわけになるのだが…不思議だ。
なんとも薄味なのである。
なのだが、明らかに芝居をしている。普段から比べると相当な味付けである。
高嶋さんは相当濃い。アイドル主演の作品だからナメてんのかと思う程濃い。
高石さんと理事長室で対峙するシーンがあるんだけど、作意が見え見えで恥ずかしいくらいだ。
この高石さんが、またすこぶるいい。
かなり個性派だなとは思うのだけど、しっかり作品に埋没し根を張ってるように見える。
新聞部の先輩2人は、タイプは違えど、良い俳優さんだった。
それと同じフレームに収まるアイドル。
筋金入りの高石さんとガッツリ対峙する藤吉さん。
無味無臭というか…主張を全く感じない。
張り合う事なんてないのだけれど、気構えくらいは漏れてもいいはずなのに、漏れてこない。
相当肚が座ってんのかと思ってしまう。
そこに居るんだけど、居ないような…でも、ちゃんとやる事はやってて存在感はないようである。主演だから当たり前か。けど彼女の声質がそう思わせるのかなぁなんて事も思う。凄い独特な、彼女だけが行使する役作りのやり方があるかのような…なんか初めての感触で、役へのアプローチが俳優のソレとは違う角度のようにも感じる。
物語は非現実的ながらも、そこそこ面白くて…新聞記者が悪事を暴いていくみたいな所謂「ペンは剣より強し」って話で、権力の監視者のような役目も果たし、新米記者トロッコが汽車になり、一人前の記者として権力に立ち向かう爽快な話でもある。
高嶋さんが、ソレを一手に担うのだけど、どうにもとってつけた感が高石さんによってバラされる。たぶん昭和ならあの理事長でも良かったんだろうと思うんだが…今は、なんつうか受け止めにくい。
とはいえ、物語の展開は面白かった。
元欅坂となれば平手さんの「響」が思い浮かぶ。
センセーショナルだった。
アレは響ってキャラの恩恵もあったんだけど、藤吉さんは平手さんの対極にいるような感じだ。
芝居はしてるのだけど嘘はない。
嘘はなさそうなのに、喋ってる感は凄くある。
ファン目線なんだろなあー。
彼女の容姿がそうさせるのだろうか?
高石さんなんかは、どこにでも居そうな女子高生の容姿に思う。だが、藤吉さんのスタイルよ…。
足は長いわ、手足は細いわ、体は薄いわ…異次元のスタイルで、櫻坂にいる時は周りもそんなだから目立たないのだけれど、比較対象が変われば途端に目立つ。
モデルさんって感じでもない。
本作以外の藤吉さんを見てるからなんだろなぁ。
今でも覚えてる。
響ん時の平手さんを見た時は「誰だ!?こいつは?」って印象だったんだけど、今作の藤吉さんは、普段と全然違う事やってんのに、普段の延長線にいる藤吉さんだったような感触だ。
櫻坂に全く興味がない人がこの作品を見るかは疑問だけれど、予備知識0の観客がみる藤吉さんの感想も知りたいものだ。
憧れの作家に対面し「ファンです♡」って屈託なく両手を差し出すカットがなんか素朴で良かったなー
普段もそうだけど、まだまだ底が見えない「藤吉夏鈴」だった。