劇場公開日 2024年8月9日

「【加筆】藤吉夏鈴さん、これを狙ってやっているなら凄い」新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! まーくんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【加筆】藤吉夏鈴さん、これを狙ってやっているなら凄い

2024年8月12日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

藤吉さんの場合、天性のものが占めるところも大きいと思いますが、ちょっと深めの間であったり美しい倍音であったりとにかく音楽的。なにより文学ヲタク女子高生の素朴な瑞々しさを真摯に演じています。画面を支配していたのは藤吉さん間違いなくあなたです。

シネマテークたかさきで観ましたがミニシアターにも馴染むトーンが好印象。陰キャヲタク女子ぽいモノローグで始まるのも○。
古典的な良い子の青春ものでかつライトな感覚がむしろ新鮮で今の子たちにも共感してもらえると思う。

小林監督が忌憚の無い意見をと仰っていたので💧不満点を申し上げると、前半は藤吉さん演じる所結衣が葛藤する瑞々しい心の動きと演技が素晴らしかったのですが、後半のクライマックスに至る盛り上がりとカタルシスがやや物足りないと思いました。クライマックスの劇伴は主題歌の伴奏を使用していたと思われますがリズム隊のトラックが入っていなかったように思います。もっとポップでスピード感があればと思いました。あるいはサスペンス感のある劇伴にする手もありますが違う映画になっちゃうしなぁ。尺も数分短くていいと思います。

白状しますと私は坂道アイドルが大好きで、この作品も藤吉さんが出演しているために観ました。櫻坂46の3rdイヤーアニバーサリーライブのTシャツを着て行ったくらいでして。もちろんアイドルファンとして観に行ったのもありますが、女優としての坂道ちゃんの媚びない演技を信頼しているからでもあります。彼女たちの魅力はアイドルとしてのカリスマ性も含んだものでもありますし。

藤吉さんの音楽的な演技やカリスマ性は天性の占めるところが大きいからこそ女優としての成長が期待されます。いや、彼女の才能を女優に限定することすら礼を失しているのかも知れません。

加筆
2024年8月17日シネマテークたかさき。2回目観てきました。
やっぱ面白いわこの映画!
改めて思ったんだけど、これベタベタのポリティカルサスペンスのフォーマットを若い子達がやっているのが面白いんだよね。と、高校時代に中二病全開の生徒会長だった私はほくそ笑むのだった。ということで前回の星評価より大幅加点です。

藤吉さんの演技の魅力について改めて思うのはスタッカートとシンコペーションだと思います。アタックの強い話し方でまずハッとさせられリズミカルな流れで観客を誘い文脈をしっかり伝える。藤吉さんは決して饒舌ではないけれど、いかにも上手な演技にはない音楽性と真摯さを感じます。

手前味噌だけど僕ら坂道ヲタは単に贔屓をしているのではなくて、坂道ちゃんをいいと感じるだけの感性があるからこそ坂道ちゃんの演技をいいと感じるのだと思うのです。

クライマックスに至るところの劇伴については、リズム隊は入っているのですが8ビートではなかったですね。

権力と言論についての社会勉強にもなります。若者諸君は軽い気持ちでこの作品をご覧になってはいかがだろう。

まーくん