正体のレビュー・感想・評価
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明かされるのは逃亡犯と関わった人々の「正体」だった。横浜流星、山田孝之他役者がいい。
横浜流星の演技が素晴らしい。
逃走中に身を置くそれぞれの場所で、見映えから何から全く違う。
刑事は、それぞれの会っていた相手に、あの男の「正体」に気づかなかったか?と問うが、目立つことをしない方がいいのに、どの居場所でも優しさや人を思いやる気持ちが出てしまう。
彼に出会った人たちは、逆に感化される。
明らかになるのは、彼の純粋さと正しさ、そして彼に出会った人々、刑事、警察幹部の「正体」でもあった。
凶悪殺人犯ではない人柄、それが、彼の「正体」だったのだ。
学生の時に拘留されてしまい逃走したため、社会で働いたことも無く、酒を飲んだのも、大人の友人ができたのも逃亡中の時。その時に初めて、生きる喜びを感じたと涙ながらに語るシーンがいい。
終始思い詰めていて、自分は追う身であるのに追い詰められていく山田孝之もまたいい沁みる。
木野花など、脇役の人もいい。
救いのあるラストが素晴らしい。
ここのところ邦画のシリアスな話は、暗いラストばっかりのような印象。
ラストは、流れているピアノの曲が素晴らしく心にしみるので、エンドロールもそのまま観終わりたかった。
ヨルシカも、曲も好きですが、やはりとってつけた感じがしてしまう。
映画音楽を信じていないのか、タイアップの制約から仕方ないのか、本当に邦画の悪いところで、やめてほしい。
レビューの高評価に押されて鑑賞、やっぱり口コミは正しい時が多い。
今回も、クランドシネマサンシャイン池袋では、本作のパンフも品切れ。
新宿ピカデリーまで行って買いました。いつも在庫少なすぎ。
共感できないストーリー
アホな刑事が杜撰な捜査をすると、冤罪が生まれる。
ずさんな捜査で、人を冤罪で追い込む。
真実が明らかになっても、反省ゼロ。
刑事には まったく共感できない。
刑事 『何で逃げたんだ。。』 あんたが間違った捜査したからだよ。
素晴らしい
原作未読ですが脚本が素晴らしい
吉岡里帆の普通の演技、流星の演技共に素晴らしい
最後の法廷でのシーンでは映画館で啜り泣く音が絶えないほどです
今年の日本映画では今のところいちばんかな
アカデミー賞必須ですね
ぜひ、公開中にご覧いただきたい
良かったな、鏑木少年!
原作は未読で、ドラマは観てました。主人公の優しさや悲しみは知っていたので、途中から「鏑木~っ」と心中で呟いては泣いていました。
しかし、どうしてもドラマと比較しながら観てしまいます。
映画冒頭の脱獄シーンは良かったのですが、ドラマ版には無かった追う刑事の視点を入れることで、客観的な視点が生まれ、逃亡犯である主人公の心情描写が薄れた気がします。逃亡生活の出来事や人間関係も、もっと観たかったです。映画の尺で考えると仕方なかったのかもしれませんが、刑事視点を削ってでも観たかったです。
飯場で生まれた同僚との信頼関係も、少し時間が足りなかったかなという印象です。短時間なら、もっと職場の社員が悪いヤツで、鏑木が身体はって仲間を守って欲しかった。
次のライターパートでは、より彼女を支える存在で、彼女が彼がいつかいなくなってしまう寂しさにさいなまれるようなシーンが欲しかった。
特に残念だったのは、水産会社のパートです。なぜ、鏑木が水産会社に潜り込んだのか。ドラマ版では次第に鏑木の意図が分かるようになっていて、ただ逃げるだけではなく、冤罪をはらそうとしていることがハッキリと分かって面白さにゾクゾクとしたものです。それに続く老人ホームパートでも、見舞いに来る妹に姿がバレないかハラハラするシーンが楽しかったです。
もしかすると、頭の中で勝手にドラマ版をブラッシュアップしてるのかもしれませんが、映画版も面白かったに違いなく、比較して色々考える贅沢な時間をもらったんだと思います!
次は原作を読んでみたいです!
見応え充分な作品でした
見たかった作品でしたが公開前に入院してしまい見れず、諦めてました
でも入院中にネタバレは見ないようにし、高レビューの多さに見たい度が増して今日なんとか見に行けました
そして、見て良かったです
最初から最後まで飽きるところもなく集中しまくりで見応え充分でした
とにかく横浜流星がカッコいいし演者としても良かった(惚れる)
吉岡里帆からの『信じる』や終盤の『生きててよかった』『生きていたいと思った』みたいな言葉に涙でした
欲を言えば…
森本慎太郎と山田杏奈との絡みは弱すぎないか?吉岡里帆との関係は納得なんだけど
尺も短いしもっともっと2人との絡みも、徐々に関係が作られていく様が欲しかった
あと、真犯人も簡単に捕まりすぎるなぁ
最初の殺人も何か動機とかあれば?または最初の殺人が横浜流星と思われてて、逃亡してから世間で騒がれてるのを真犯人が快く思わなくなった……みたいな流れとか欲しかったかな
重たい話の割には、すんなり見れて、のめり込めて余韻が残る
良い作品を見れてとても満足できました
案外先読み出来た💧
24年冬映画の一本目。
先日鑑賞しました〜‼️。
面白かったは面白かったのですが、原作未読でもなんとなく先読みできてしまった、特に施設の職員で出てきたあたりには目的も読めていました😄。
でも最初の土木作業員からの考えなのはちょい驚き🫢、最初から証言をとるための計画と考えると途方もない勉強と隠れながら探しながらすごい計画と今作品を思い返してみてあらためて思いました😆。
もう少しドロドロしたものかとも思いましたがストレートな路線でこれはこれでありですが、個人的にはもうひとつほしかった(笑)。
でもストレートに振り切ってるから最後は気持ちもスッキリして帰れたのも良かったかな、その後も気にはなるが(笑)。
演者さんは横浜流星さんは作品を「列車戦隊トッキュウジャー」以来の鑑賞かな、当時はあまり印象なかったですがだいぶ活躍されてらして嬉しいですね😊。
山田孝之さんもいつもはお笑い担当なイメージだからシリアスに違和感ありつつもかっこよかったですね😁。
この冬は昨年ほど惹かれる作品は控えてないが随時時間があれば行こうと思います。
特には「ライオンキング ムファサ」と先にはなるが「遺書、公開」は劇場で観たいな‼️。
松重は「腹が減った」場合ではない!はず
横浜流星は本名なだけに、端正な顔立ちや格闘技を下敷きにした演技は、思わず「狙いすぎ」と思ってしまうが、
なかなかどうして、常に全身全霊で演技をする本格派なのだ。
鎌を持って振り返るシーンは「惨殺犯」を思わせるし、逃走のため口にガラスを咥えるシーンも鬼気迫る。
脱走して、大阪に移動し(どうやって?)いつの間にか場末の飯場で働いている。この容貌がまるで「おいどん」だ。人生に絶望している間が半端ない。次の職場ではマスクとニット帽で隠しているがイケメンは隠せない。しかし、もともと学のある人間なので、信頼を得て希望を取り戻していく。長野県諏訪で特養のヘルパーとして働く頃には顔出しして充実した表情だ。
残酷な殺人事件を目の前にした被害者の母親(原日出子)は既に軽度の認知症にPTSDという可哀想な役なのだが、その人に犯人は誰かと無理やり言わせる警察、証拠は十分あるという検察。なにかのドラマで聞いたが、検察は「スジ」を読み、それに合わせた捜査と証拠を集めるそうだ。だとしたら、それこそ冤罪の温床ではないか。
鏑木(流星)は第1発見者として巻き込まれただけだが、それで死刑の判決が出る。現実の捜査もそうなのだろうか。
痴漢冤罪を被る弁護士の件も、その場にいたら私達も冤罪被害に遭うのだろうか。そう、被害である。
そんな冤罪被害者にできることはなんだろう。
新しい証拠を見つけて再審するなんて気の遠くなる話だし。
原作は悲しい結末なんだって。( ꒪⌓꒪)
映画は希望の持てる結末だったし、山田孝之刑事も熱血ながらに最後はきちんと責任に言及した。上司の松重はなんの責任も取らないんだろうなあ。
予告編で散々「腹が減った」と言うので、本編でも登場する度頭に流れるわけである。そういうところ考えて欲しい。
正体?彼はいい人なんでしょ?
原作は知りませんが、何だか言い訳の多い脚本だと思いました。正体がバレバレ。
主役の横浜流星がもっと変装や整形するのかと思いましたが、最初の建設作業員以外はほぼ素顔(宿舎のトイレの前にぼうっと立つ姿は怖かった)、ライターの那須君になるに至ってはコメディなのかと思いました。
吉岡里穂が編集者に見えない。最初から犯人とわかっているみたいな哀れみを帯びた目で、いくらフリーでも履歴書ぐらい出すだろうに、なぜ気がつかないのかというほうが気になってしまう。
ところでお父さんの冤罪事件にはどうなったのでしょう。
あの週刊誌記者、せっかく鏑木の潜伏に気づいたなら真っ先に警察に電話か、または黙って追いかけ、直撃独占インタビューでしょう。吉岡里穂に電話で知らせてどうする。
作業員仲間の男子も、最初汚かったのに、どんどんきれいになって最後は白い歯を光らせアイドルみたいになりましたね。
真犯人登場もあまりに都合よすぎる。そもそも性格のよい成績優秀な、通りがかりの高校生が死刑囚にされるまで弁護人は何をしていたのかと思います。
山田孝之がやりにくそうでミスキャスト?表情の変化に乏しく、揺らぎが見えず、本当に無能な警察官に見えました。
建設作業員の管理者を演じた駿河太郎は良かったですね。
横浜流星は、つんのめって逃げ回り川に飛び込むシーンなど、表情よりも身体で見せる演技が良かったです。大河が楽しみです。
おもしろい?映画
どうしても色眼鏡で人を判断してしまうけど
敬意を持って誠実な態度を積み重ねれば
近くの誰かには何かがきちんと伝わってる
そんなことを信じてみようと
思わせてくれる映画だった
演技の凄さとかあんまわからないけど
俳優陣の演技の凄みも味わえた気がした
ストーリーだけでなく
映画作品としても楽しめる内容だった
ラストの横浜流星と山田孝之のシーンが
特に良かった
横浜流星のセリフが
本当に高校生で人生が止まっちゃってた
人のセリフだったので
そういえば、、ってことで
自分に置き換えて考えちゃったりして
思いっきりくらってしまった
犯人だったら、どうしたって
このメッセージは出てこないだろうと
山田孝之の気持ちにもなっちゃって
参っちゃって、謎の涙があふれた
自分が警察だとしても冤罪こわすぎた
吉岡里帆や山田あんなも
森本しんたろうとのドラマくらい
ドロッとしたとこまで行ってほしかった
感はあった
映画一本に
ついつい色々リクエストしたくなる
魅力が沢山詰まった映画だと思った
"信じる"ことの重みを知った至極の作品
冒頭、登場人物の証言から始まり、横浜流星(鏑木)が徹底して"悪人"のような描写がされる。
その人間としての危うさを払拭し、本当に悪人なのか??と思わせる演技に一役買ったのが森本慎太郎だ。自然な振る舞い、人間味、そこから横浜流星(鏑木)自身が人を信じることの意味を知る。その後、吉岡里帆と出会う。人から信頼されることの喜びを感じた横浜流星は、表情も明るくなってきて、気がつけば直接的な表現はなくともお互いに惹かれ合う状況に。吉岡里帆が疑いながらも徹して横浜流星を信じ、逃亡の手助けをするシーンは胸にくるものがあった。信じるものを見捨てない正義を感じた。
その後、山田杏奈と出会う。ここでは、人から信頼されること、人を信じることを知った横浜流星が明るく誠実に仕事に振る舞う姿が垣間見える。目的はあれど、きっと吉岡里帆からいただいた仕事をなす中で、一筋の希望を見出したのだと伺える。立てこもり、撃たれるも、横浜流星と信じ合う仲間が無実を求めて行動しやがて国を動かし無罪を勝ち取る。横浜流星が最後にこの映画で初めて見せた最高の笑顔は今も脳裏に焼き付いて離れない。
人を信じること、それは決して簡単なことではないが、信じることをやめなければそこに希望はあると感じ、明日を生きる力をいただきました。横浜流星さんのこれからに期待します。
良かった
最後まで集中して観れました。終わってみたら、さほどどんでん返しな展開も無かったものの、途中で『飽きなかった』という良い意味です。ラストも平坦な内容ながら、ジーンとしました。
配役については、私はファンではないですが吉岡里帆さんって良いですね。男女の恋愛感情の表現が粘っこくなくて。主人公の横浜流星はキザでもなく思ったより良かったです。山田孝之はもったいない気がしました。
冤罪だけは造ってはいけない
日本の刑事事件の有罪率は99.83%だ。どう考えても異常な数値と言える。検挙した事件は殆ど全て有罪となる…。
しかし一方で司法の原則は「疑わしきは罰せず」と平気で言う。この国は何処かおかしい…
この作品はそんな問題定義をしているのだ。
日本の警察組織へ、日本の司法への。そして勿論、マスコミ(マスゴミ)への問題定義でもある。
この映画の感想をひとつ。後半どうしても納得いかないところがあった‼︎それは警察が突入する際に主人公が刃物を持って対抗する部分。演出上撃たれる設定になっているので持たせたのであろうが…。。そこがどうしても納得がいかない。主人公を善人とするならば刃物を持たせてはいけないのでは⁉︎例えば女の子が警察から殴られる演出やら、主人公がパニックとなって錯乱状態になるとか、そう言う演出がもっと欲しかったように思う。
上手い俳優陣による重厚なドラマ
社会派の藤井道人監督らしい、しっかりとした良い映画だった。
俳優陣も上手い人ばかりで、脚本の隙間も埋める見事な芝居だった。
ただ、警察の描き方が気になった。狙いは分かるのですが、余りにも無能過ぎ。ここ迄、杜撰な捜査と隠蔽体質で描いているからこそ、誰がどう裁かれたかが気になってしまう。こんなに人の人生を壊しといて、責任取れよ!という思いが膨らみ、ちゃんと罪と向き合わされる姿が観たい!となってしまった。原作はどうなってるんだろう?
#正体
全体的なクオリティーは高かったが、ラスト感動しきれなかった
全体的に、作品の伝えたいことや展開のスピード間もちょうどよく非常に満足できる作品だった。特にキャストさんの演技がすさまじく、描写も丁寧で、ハラハラドキドキさせられた。しかし、映画のラストで感動しきれなかったなと思ったため、星4という評価にした。
世間では殺人事件の容疑者として認識されている鏑木(横浜流星)の人間性に触れ、沙耶香(吉岡里帆)や和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)たちが「本当に人を殺すような人間なのか」とそれぞれが疑問に思いながら、警察に訴えたり、信じてみたり、信じられなかったりと各キャラクターの心情に寄り添った没入しやすい演技だったように思えた。特に、沙耶香というキャラクターが特に感情移入しやすく、うすうす鏑木が殺人犯なのではないのかと気づきながらも、父親の冤罪の件や鏑木のやさしさに触れながら、彼の無実を信じて「逃げて、なすくん(鏑木の偽名)」と言う過程に納得しやすかったように感じた。好きになって、ずっと一緒にいたいと思える人が殺人犯だと知ったら、「自分は騙されているだけかもとか」、「ずっと怪しかったから」と鏑木の悪いところばかり目がいってしまうけど、信じると決めたことが演技力や丁寧な描写で納得させられたような気がした。
この映画の残念な点は、物語の締め方にあるかなと思った。特に言いたいのは警察の描かれ方だ。鏑木を犯人にした方が都合がいいからと大した根拠もなく、鏑木を犯人にし続け悪役として描かれ続けた警察側にお咎めがあまりなく、警察側が反省した様子があまり描かれないため、また冤罪事件起こしそうな組織だなと思った。警察の都合で勝手に殺人犯にされた鏑木の奪われた人生の343日間が報われるようなラストにしてくれたら感動できたかなと思う。ある刑事は、鏑木は犯人ではないかもとうすうす感づいていたにも関わらず、本当の最後の最後に罪を認めただけで、鏑木を罵倒し傷つけたこともそれでチャラにするような描かれ方だと思った。そもそも、警察側が無能に描かすぎていて、鏑木が犯人であると気づく人がもっといてもよさそうなのに、物語的に鏑木を追い詰めなければいけないからそうしたというような舞台装置的な役割になっていたような気がした。主人公の鏑木が無罪判決を受けたあと、いったん喜んで警官に殴りかかった方がすっきりするなと思った。「信じること」がこの作品のテーマだと思うが、「信じなかった人たち」の描き方がしっかりしていれば、正体というタイトルがより際立ったように思える。
ラストの描かれ方に不満がありますが、演技や描写、ストーリー、テーマが良くできていて、満足できる作品でした。
二十歳そこそこの若い死刑囚・鏑木慶一(横浜流星)が獄中で吐血。 搬...
二十歳そこそこの若い死刑囚・鏑木慶一(横浜流星)が獄中で吐血。
搬送中の救急車から逃走した。
彼は、一家惨殺事件の犯人として死刑判決を受けていたのだ。
一家惨殺事件で彼を逮捕した刑事・又貫(山田孝之)が、逃亡した鏑木を再び追う。
逃亡・潜伏した鏑木と接した人々は、口をそろえて「殺人犯には見えない。いいひとだった」と語る・・・
といった物語。
周囲のひとびとの証言に重きをおいた『怒り』系統の映画かと思ったが、ハリソン・フォード主演の『逃亡者』寄りの映画でした。
『レ・ミゼラブル』を下敷きにした『逃亡者』を現代の日本に移し替えた映画なので基本的には娯楽映画。
序盤の大阪の飯場はやや社会派目線があって興味が惹かれましたが、以降は警察のずさんな捜査や冒頭から用いられる現在と過去のクロスカットなど、テレビ的なせせこましさを感じました。
なので、意外と底が浅く、水準作といったところ。
とこれ以上、あまり感想が出ず困った。
映画映えする横浜流星の「雪之丞変化」ならぬ「流星変化」は楽しめました。
正体 「鏑木慶一の穏やかさ」
正体
「鏑木慶一の穏やかさ」
沙耶香に涙を流しながら秘密を吐露することも、
舞に動画を削除させることも、
由子さんに激しく問いただすことも、
又貫に対峙し睨みつけて恨みの一つでも言うこともない。場面場面…悉く予想を裏切られる。ドラマチックな言葉を一切使わない主人公。沙耶香との恋愛らしい恋愛も、和也との友情らしい友情も、派手な描写は何もない。身分を隠して逃亡している頭の良い若者なら、確かにこうするかも…恐ろしいほどのリアリティーを感じてどんどん引き込まれる。
終盤、泣いているつもりはなかったのに、いつのまにかめちゃくちゃ涙が流れていた。(無罪に安堵)
このリアルを追求する演技プランは監督の采配なのか、繊細な演出に拍手。100パーセント以上に応えた横浜流星さんの演技力がとても素晴らしかった。(哀しそうな表情は毎度グッときた)
森本慎太郎さんの「和也」
天性の憑依型なのか、緻密な演技プランなのか。こんなにうまい俳優にはなかなかお目にかかれないと思う。
部屋を片付け、勉強をして…鏑木慶一の影響で前を向いた「和也」主演のスピンオフ映画を観てみたい
冤罪ファンタジーとして観れば良作
鑑賞直後は各俳優の素晴らしい演技とこの映画のために作られた主題歌も相まって、身震いしました。
しかし、鑑賞中感じていた設定の粗さがどうしても受け入れられず、否となります。
横浜流星演じる鏑木が逮捕されてから死刑判決を受けるまでの設定がずさんであり、観客が本作を観て「警察ってこんな風に冤罪を作るのか」と、何気なく、割と本気で思ってしまうのではないかと心配になっていると、実際そのような感想を映画批評サイトに書かれる方がいて失笑してしまいました。
また、松重豊演じる刑事部長が、「ボクが考えたワルいケイサツ・コッカケンリョク」と言わんばかりのステレオタイプのものであり、冤罪でも良いから犯罪抑止のために鏑木を死刑にしたいというのは無理があるように思えます。
原作あとがきでは、冤罪が起きる原因を「高度な政治判断(わざわざ横に点を打って強調している)」であると断定している旨の文章がありますが、映画パンフに書かれていたインタビュー記事には、原作を書くにあたって冤罪事件に関する資料を読んだと言います。
しかし、捜査書類は一般人が読めませんので報道発表されたものや週刊誌などの情報しか読めないと思うのですが、それらを読んで「高度な政治判断」が冤罪の原因であると決めつけるのは、スマホ検索で世界の陰謀論を信じ込む人と同等では?と思います。
作中の指摘部分は数多く、
鏑木の逃亡・潜伏がスムーズに成功してる、事件現場にてDNA資料がたくさん残されているはず(足利が鼻水ダラダラ、髪ボサボサのフケまみれ)、鏑木に対して凶器の入手経路・殺人の動機を詳しく描いていない、錯乱後に憔悴仕切った被害者遺族の目撃証言がなぜか証拠として最重要視される(なんなら鏑木もなぜか重要視する、普通は物的証拠優先では?)、ガバガバな捜査結果がなぜか検察を通って(送致できて)裁判でも通る(検察、裁判所が機能してない)、労働基準監督署を今まで知らずいきなり検索しだす肉体労働者達(肉体労働なめんな!馬鹿にし過ぎ!)、高度な政治判断で冤罪を作り出せるのに被害者遺族の居場所が把握できない警察、自称セキュリティーの高い介護施設にスルッと就職できる鏑木、長野県で現場指揮を取る警視庁の又貫(警視庁の管轄は東京都)、山田杏奈演じる酒井舞のライブ配信が一瞬で日本中に視聴される(有名配信者かな?)、生きたいと願ったのに殺されるリスク承知で刃物を警察に向けて突進する鏑木
などなどキリがありません。
また、本作は「冤罪」というテーマに加えて「人を信じる」というテーマもあるように思いますが、冤罪と人を信じることは別問題です。
吉岡里帆演じる安藤沙耶香の父が痴漢の冤罪で一審有罪となりますが、作中では痴漢の状況については描かれないため、実際のところ父が冤罪かどうかは誰にもわかりません。
何の根拠もなく、「娘が父を信じているから無罪!」、「みんなが鏑木を信じているから無罪!」と主張しているようにも見え、とても危険な描き方です。
別の男(痴漢の真犯人)が痴漢をしているシーンでもあれば安心して観れるのに、それがないため、鏑木のために再捜査の署名活動する「痴漢したかもしれない」父の姿には気持ち悪さや違和感を覚えます。
そして最大の問題点が、「目撃者の証言を信じた」ことが原因で冤罪となり、目撃者の証言が覆ったことで冤罪が晴れるというのは、最初から「目撃者を信じてはいけない(=人を信じてはいけない)」と、本作が物語っており、「人を信じる(大切さ)」というテーマを自ら否定している作品だと思います。
無能で傲慢な警察・司法、無知な肉体労働者、人柄と見た目だけで無実だと信じる人々など、原作者と監督にはこのように世界が見えているのかなと思うと非常に残念であり、この人達とは友達になりたくないと思いました。
本作パンフレットに書かれていたエンドロールの「取材協力」には警察・司法関係はなく、せいぜい「名古屋拘置所」しかないため、本作の設定の粗さは考証をまったく気にしない「某警察ファンタジー」シリーズの君塚良一を彷彿させ、本作は「冤罪ファンタジー」と言えます。
しかし、各俳優の演技は本当に素晴らしく、ファンタジーとして観れば良作です。
原作のあとがきにて、作者は本作をエンタメ本、娯楽本だと明言しており、冤罪というテーマを軽々しくエンタメ化した小説・映画を作り、意図は無いとしても観客に対してファンタジーを現実と信じ込ませる奴らこそ大罪人であり、私は映画「イコライザーFinal」のマッコールさんのように、TBS(本作)とフジテレビ(踊る大捜査線)に対して「nine seconds(9秒だ)」と囁くのでした・・・(イコライザー4&5制作決定おめでとうございます!!)。
正体
無駄のない構成
全体のテンポ感がいい
クライマックスまで駆け上がり、最後の演出
最後の判決の演出は素晴らしい
無罪だと分かっているものの、その表情から、え?もしかしてと思わされ、抜けで静かに湧き起こる拍手
震えました
めちゃくちゃ良かった。
原作は知りませんし亀梨くんのドラマ版もこちらの劇場版を見るまではあえて見ないようにしました。
最初から後半の方まで作品全体を通して緊迫感、緊張感が漂いずっと見ていて引き込まれました。
話もサクサクと進んでいくので見ていてダレることもないし、良くも悪くも大衆向けなとても見やすい作品だと思います。
シーンによっては橋から川に飛び込んであれだけ騒がれた状況でそこからどうやって逃げ切れんだよ?と、ちょっとツッコミたくなる無理のあるところもありましたがそれも横浜流星さんの演技力がカバーしてくれています。
その他の演者さんも間違いない方々なので作品の良さを引き出してるのは間違いなくストーリーどうこうってよりは演者の方々の力が大きいと思います。
横浜さんは以前、広瀬すずにDVだか性暴力する役をしててその演技力の高さを知りましたが今回も逃亡者としての役柄、逃走シーンの逃げ方など見ていて改めて良い役者さんだなと思いました。
個人的にはゴールデンカムイのアシリパさんが普通の今どきの女の子役で出ていて、この方はアシリパさんの役でしか見たことなかったので見ていてとても新鮮でした。
あとは松重豊さんも珍しく非道なクソ幹部みたいな悪者を演じていたのも新鮮でした。
あと地面師のあのおじいさんが出てきたのも良かったですね(笑)
この作品自体、何か実話を元に作られてるのかはわかりませんが作中にあるようにさっさと事件を終わらせたいからあいつが犯人でいいだろと決めつけられてしまっている事件が世の中にはおそらくあるのだろうなと思いますし、本当にそんなことが自分の身に降りかかってきたら恐ろしい話だと感じました。
最近見た2024年後半の邦画の中では個人的にはだいぶ良かった作品だったと思います。
オススメです。
本当の姿を隠して、ある目的のために逃走を続ける死刑囚の男。運命に抗い続けた先に待っているのは希望か絶望か。冤罪事件を素材に描かれる人間ドラマの秀作です。
藤井監督の作品と知りまして、久しぶりに観ようかなと。
藤井監督作品を劇場で観るのは「新聞記者」以来かと思ったら
「青春18」もそうでした。 …・_・; あらら
「新聞記者」と「青春18」の2作品、作品から受けるイメージが
違うなぁ と今更ながら思ったワケですが、さてこの作品はどん
な作品なのでしょうか。サスペンスドラマと紹介されていました
が、はて その正体は。…というわけで ・_・; 行ってきました。
さあ鑑賞開始。
刑務所か拘置所?の中。刃物のようなモノを口に銜える男。
体を震わせながらも、口の中で刃物を動かす。…痛そう*△*
やがて見回りの看守の耳に、うめき声が聞こえる。
” …? ”
声のした部屋を覗くと、床に倒れて血を吐いた男の姿。
”!! ”
病院に搬送される途中、隙をみて車内に同行した刑務官に襲いか
かる男。車内で揉み合いの末、男は救急車から逃走する。
その男が主人公、鏑木慶一(横浜流星)。
3年前、東京での惨殺事件の犯人として逮捕され、死刑判決を受け
ていた。彼には死刑執行をただ待って居られない理由があった。
逃走した鏑木の行方はしれず、警察は面目を失う。大失態だ。
懸命の捜査の目をかいくぐった鏑木、数日後に大阪にいた。
大規模な建設工事現場に、働く鏑木の姿が。
単なる潜伏なのか。それとも他に目的があるのか。
淡々と日々の作業をこなしている鏑木だったが、作業中の事故で
足をケガした同僚のため現場責任者と法律の知識を武器に慰謝料
の交渉をしたりもしている。良い奴だ。
ケガをした若い男(野々村和也)とは、俺がトモダチになってや
る と、徐々に親交が深くなる気配もあったのだが…
警察が目撃情報に懸賞金をかける中、マスコミの報道も執拗だ。
ある日、TV放送の中で伝えられた「鏑木の特徴」を知った和也。
目の前の男(=工事現場ではベンゾーと呼ばれている)が鏑木に
酷似していることに気付いてしまう。 …あら
トイレに行くと言って鏑木の前から離れた和也。
混乱する頭と震える指で、スマホのボタンを押していた。
” イチ ・イチ ・ゼロ ”
ふと顔をあげると、視線の先に鏑木の姿。こちらを見つめている。
何か言わないと…。焦るだけで言葉にならない。大量の汗。
作業を終えて戻ってきた作業員たちの姿に紛れて、鏑木の姿は
見えなくなっていた。…放心状態の和也。
こうして鏑木は、和也の前からいなくなった。
次に姿をあらわした鏑木の姿は、東京に現れる。
フリーのライターとして出版社からの依頼で原稿を書いていた。
そこで出会ったのは…
◇
といった感じで
ある場所で何らかの目的をもっているかのような行動をみせる鏑木
が、そこで接触する人たちとのささやかな交流を図りながらも、
「自分が殺人犯」と知られてしまい、逃走を繰り返していく姿が描
かれます。
その描かれる内容を通して、次第に鏑木の過去や、事件の真相に迫
っていく展開なのですが、「信頼」と「不信」の間を行き来する鏑木
の心理と行動の描写は見応えがありました。
冤罪事件をテーマに描いた「社会派ヒューマン・ドラマ」の秀作。
着地点が不幸なエンディングではありませんようにと祈りながら
鑑賞した甲斐がありました。
観て良かった。・_・
(※原作では違う終わり方みたいです…。パンフを見て知りました)
◇
それにしても、登場人物の人物描写が素晴らしいです。
鏑木が逃走中に出会い関わる3名も
自分を逮捕し、今回も捜索に関わる刑事も
週刊誌?の編集部のひとたちも
無実を信じ続ける施設の寮母さんも
登場した全員の好演に拍手☆ です。・-・/□
◇あれこれ
■導入部によるミスリード感
主人公に対してやたら「怪しい奴」のイメージを印象づけようと
する導入部が、鑑賞後に振り返ると違和感も感じまして。
「正体不明」で「行動の意味・目的不明」であっても、「危険な奴」
では無かったかな と。
「髪が伸び放題で髭面」 ⇒ 放っとけば伸びるので…
「髭を剃って髪を染める」 ⇒ ヒゲが無くなると人相も変わる
「髪を切って眉を細く」 ⇒ 長髪→短髪で優しそうな雰囲気に
思うに、出来る範囲で「自分の人相画像」から離れようとしたという
ことなのかな と。 ・_・フム
最初、「二十面相」みたいな怪しいヤツの話かと思ってしまいました。
見事にミスリードされた気がします。
■SNSの功罪
SNSで世論も味方になる場合の心強さ と
SNSで個人情報が一瞬で拡散する怖さ の
両方を改めて突きつけられたように感じます。
何気なく撮影した一枚の写真。
そこに写った情報から、被写体の個人情報やどこにいるのかまで
分かってしまうのって、とてもコワイ気がします。・_・;
認知症の行方不明者の捜索を、防犯カメラの画像やAIを駆使して
出来るようになるなら、プラスの活用の仕方もありそうですが。
使い方・考え方ひとつが難しいです。
■山田杏奈さん
このところ、アシリパさんで見慣れていたもので
現代劇の女性役に違和感を感じてしまいました…。・_・;スイマセン
■ハンバーグ
「兄弟が多くて、料理を作っていたので」だから得意なのだと。
そう沙耶香(吉岡里帆)に説明していました。
施設の子供たちが、彼にとっては兄弟だったのでしょう。
面倒見が良さそうな感じがします。
■「正体」の言葉から連想(…蛇足です。読み飛ばして下さい)
昭和のTV番組に「ダイヤモンド・アイ」というのがありました。
特撮ヒーローものです。・-・ 内容はシンプル。
ダイヤモンドアイが悪いヤツ(前世魔人!)と戦って倒すのですが
敵を倒す際にお決まりの会話がありまして…
ダ ” 汝の正体見たり 前世魔人ワレアタマ!” ←こんな名前の敵も
魔 ” バレたか~ ”
…なんといいますか。ゆるいという。ぬるいというか。
イタズラ現場を見つかった中学生か といった感じのこの会話。
これがとても好きで、毎回観てました。@_@
見覚えある方、いらっしゃいますか? (…いなそう)
◇最後に
再審の判決言い渡しの場面。
「主文」の後が無音正になり、鏑木の表情が中々変化しない中
後ろの席にいる人たちの手が拍手へと変わっていく。
この場面が印象的でした。
とても雄弁に、結果を伝えるサイレントシーンかなと思います。
※それはそうと。父さんの再審請求しないのですか?沙耶香さん
⇒ 痴漢冤罪・_・;
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
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