正体のレビュー・感想・評価
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全員の願いを希望に、そして現実に
なるほど、原作者の「映画『正体』は小説『正体』のアンサー作品」という言葉が納得。
あのどうにも気持ちのやり場のないやるせなさを、全員の願いを希望に変えて現実にしたのね。原作読んでしんどかった読者の心を救った作品になったかもしれない。
人は他人を自分が見たいようにしか見ないものだし、鏑木の鋭い観察眼と賢さから、相手が見たい信じたいと思うような人物像を演じられる才能があったなら、誰しも信用してしまうよなと思う。そもそもどこまでが演技なのかも彼の場合はわからないのもある。
最終的に鏑木が逃亡中に見せてきたどの顔も、全部が嘘だったとは思えないし、全員が信じた「自分が見た彼」もまた真実の彼。
というのが原作を読んでの私の感想。
横浜流星くん、とにかく目の演技が抜群に上手くて、お喋りは苦手そうなのに、演技になると途端に目がお喋りになるのが堪らない!
鏑木が作り上げた、彼がその場に相応しいと思う何人もの人格を、うまく演じ分けてたなとおもう。
あと森本慎太郎くんの和也うまいなーと思った。原作のイメージ通りだったな。
映像化されるにあたって、色んな作品を読んで納得いかない終わりを迎えることがあるけど、そんな時に自分ならこうなって欲しい!こうしたい!という世界を、表現を変えて作る面白さを今回でまた学んだな。
鏑木がなりたかった自分を、新しい世界で生きられると良いなと思う。
偽名で生きてるけど
ネット社会、
偽名(ハンドルネーム)で生きてるけど、
それでも、飲みに誘ってくれる友達いてるし、
なんとかやっている。
反面、実社会においては、回りは敵だらけ。
仕事は成果のみ。
相手が嫌な思いしようともお構いなし。
なんだかそんなことを考えてた。
刑事役の山田孝之さんと、
刑事部長役の松重豊さんのやりとりに、
実社会の『イヤな部分』を
まざまざと見せつけられている感じで、
どれだけ嫌気がさそうとも、
実社会からは逃げることできない。
なんだかそんな風に思って。
それでも、
相手に信じて貰えるように、
でっきるだけ正直に生きていきたい!
(でも、ネットで偽名なんだけど)
じんわり泣いてしまった
横浜流星版「逃亡者」
最近何かと冤罪事件の報道が世間をにぎわせており、タイムリーな社会派サスペンス映画として期待して鑑賞。ところが内容はハリソン・フォード主演で30年前に映画化されたテレビドラマ「逃亡者」を彷彿とさせるようなどちらかというとエンタメ作品だった。
一応冤罪事件を扱ってはいるが特に今の日本の刑事司法手続きにおいてなぜ冤罪が生み出され続けるのか、その辺の問題点を深く掘り下げようとするものではない。いわゆるよくあるエモーショナルなサスペンスドラマである。ただ脚本がかなり粗いのであたかも昭和の時代にテレビでよく放送されていた火曜サスペンス劇場を見ているかのようであった。
何度も取り逃がした犯人が潜伏してるであろう部屋を令状なしに強引に家宅捜索したということは犯人が隠れてるという確証があったからであるにもかかわらず裏口などに警官を配備しておらずまんまと逃げられたり、それでなくとも警察の無能ぶりが韓国映画並みにやたらと目立って主人公は何度も逃げおおせることが出来たり、身元を証明できない逃亡犯がなぜか介護施設に就職できていたり、PTSDを患っていた被害者遺族が突然都合よく記憶を取り戻したり、そもそも悲鳴が聞こえただけで通りすがりの家に平気で上がり込んで犯人と間違われたり、都合よく雑誌ライターの才能があったりと、とにかく全編にわたりご都合主義が多すぎてリアリティがあまり感じられなかった。ただ、主人公がイケメンの横浜流星なだけに土地土地で美女に匿われるというご都合主義は許せる。吉岡里穂がもし逃亡犯なら無実かどうかにかかわらず匿うのは当然だろうから。
ちなみに流星君は介護施設で被害者遺族から何とか自分の無実を証明してもらうための証言を得ようとしていたけど、映画的には最後に包囲された状況でそもそも被害者遺族の目撃証言に証拠能力なんてなかったことを証明する配信をする流れにすべきだっただろう。彼が遺族にいくら聞いてもまともな返事を出来ない映像を流せば、そんな人間から警察は無理矢理証言を誘導したということで証拠能力は否定されることになる。それで再審請求も認められるだろう。
先日亡くなった木谷明弁護士は裁判官時代に多くの無罪判決を出した。無罪判決を書くのは裁判官にとっては大変なことだ。検察側の主張を覆すには手間もかかるし、そもそもが常に多くの事件を抱えてる裁判官は事務的に事件を処理したいがために検察の主張のままに有罪判決を書いてしまうのだという。また検察の主張を争うものなら検察組織からの圧力も受けるのだという。それでも木谷氏は検察側の主張に疑問を抱けば十分に審議を重ねて有罪の主張を覆してきた。このような裁判官は日本では稀有な存在だそうだ。まずこのように自分の信念のもとで判決を書くとするなら自分の生活を犠牲にするほどの覚悟がいる。それだけ裁判官は忙しいから一つ一つに事件に構ってはいられないのだ。そしてそれが冤罪を生む温床にもなっている。検察側の証拠捏造などは言語道断だがそれをチェックする機能を裁判所も果たせていない。だから冤罪はこの21世紀になっても一向に減ることはない。
流星君が語ったこの社会を信じたいという言葉が現実の社会に届くことはあるんだろうか。
刑務所の管轄は?
傑作。字幕つけて世界へGo!!!
これは見て欲しい(脚本・演出が秀逸)
悪くはない
しっかり作られているけど
深みがない
逃亡者
藤井監督 横浜流星くんの主演っていう知識位しかなく、観た
これって原作があるから、大幅にストーリーを変えられるわけでもなく、逃亡者(昭和生まれには懐かしのリチャード・キンブル氏を思い出す)鏑木の潜伏先毎のエピソード集的にならざる得ないのだが、監督は徹底的に彼のひとがらを大事な皮を剥くように描写されていくので、次第に鏑木に感情移入していく、絶妙さに酔いしれてみました
実際冤罪の非道さや潜伏先でのエピソード描写もあるのだが、要は藤井☓横浜コンビの集大成なんじゃ?っていう位 息もあって素晴らしいエンタメとして楽しめた
だから年末2024年締めくくる作品であって、藤井監督次作期待値も上がる作品としてうけとめればいいんじゃないでしょうか!
素晴らしい見ごたえのある作品でした
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