正体のレビュー・感想・評価
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これが日本映画の限界か
このテーマを選ぶ際に想起されよう冤罪事件は山ほどあるのに、あまりに稚拙な発想。「信じる」というテーマを築くというのに、リアリティのない各人物設定とエピソードを積み重ね、登場人物の生育歴に対する無知で鈍感で無神経な偏見。メガネを取ったら実は美少女、かのような安易に万能な主人公。山田孝之はなぜこの映画に出たのだろう、、、他にも当代を代表すると言われる人気俳優を集めて、これが日本映画の限界なのかと暗澹たる気持ちになった。俳優たちの熱演が悲しみを増す。
迫真の演技に紡がれた真摯な物語
評判通り、秀作
さすが、映画賞を受賞するだけあって、構成やテンポ、役者の演技など、...
さすが、映画賞を受賞するだけあって、構成やテンポ、役者の演技など、非の打ち所がない。でも、やっぱり鏑木を演じた横浜流星に尽きる。
自分はやってない。そのことを証明するために脱獄し、キーパーソンへの接触を試みる行動力と信念を、ポーカーフェイスから感情むき出しの場面まで、確かな表現力で見せてくれました。
鏑木に絡む3人も、それぞれの視点で見ているけど、一貫しているのは、彼がそんな事をする人ではないという信頼。
満点でないのは、事の発端である「冤罪」の発生根拠が薄いこと。
あれだけ凄惨に血が飛び散った現場から真犯人がその場を立ち去る際、家の中にも外にもゲソコンは残っていただろうし、鎌を抜いた直後に踏み込んだ警察がいるなら、その前後で真犯人らしき不審人物を見ているはず。
また、当時高校生の鏑木が一家を殺害する動機がない。
作品の中で、スマホやLINEらしきものを使っている点からも、裁判員制度の中で裁かれているはずで、いくら警察が証拠を隠蔽・捏造したとしても、本人が強く否定している点からも有罪にまで持っていくには難しいと思うのでは?
ラストは報われるラストでよかった。判決の演出もよかったです。
ヨルシカの曲も、優しい歌声で癒やされました。
逃走劇のその先に灯りはあるか… 崇高なまでに純粋無垢な青年の渾身の戦いを描破した、人間讃歌ファンタジー。
亀梨和也が主演したWOWOWのドラマ版を以前に観た。
原作小説は、逃亡死刑囚 鏑木慶一が転々とする潜伏先ごとの章立てになっていて、それぞれの地で出会う人の視点で描かれている。この構成はどちらかと言うと連続ドラマ向きだ。
WOWOWやNHKが短期の連続ドラマ化した小説が後に映画化された例はいくつもあるが、大抵はディテールを描けている分ドラマ版の方が優勢だった気がする。
はたして、本作はどうか。
小寺和久・藤井道人による脚本は、構成の基本は小説のままでありながら、端折るべきところを端折り、括られるところを括り、独自の設定を織り込んだ、脚色の手本のようだ。
そして、それを具現化する藤井道人の卓越した映画術に私はすっかり魅了された。
まず、アバンタイトルが見事。
事情聴取の様子が断片的に映し出される。刑事と対峙したそれぞれの参考人がどういう人物であるかは説明されないが、彼らがこれから始まる物語に重要な立ち位置で関わることを予告し、対面の刑事が「気づかなかったのか、彼の正体」と詰問してタイトルが表示される。
何とも絶妙な導入だ。
また、スリラーとしての緊迫の演出が、最初に脱獄犯だと気づかれる場面でみられる。
主人公だから無実なのだろうと観客の誰もが思っているところに突きつける、この横浜流星の不気味さ。
藤井道人の代名詞的な一本道を空撮で追う俯瞰図もちゃんと見られる。
そして、最後に判決が下される場面の演出が秀逸だ。
藤井道人の類まれな映画的演出力がここに発揮されている。
本作は社会派ミステリーに分類される作品だと思うが、藤井道人監督は一貫してファンタジーの人だと思う。
リアリズムは求めつつリアリティは追求しないのだ。
例えば、こういう殴られ方をすればこんな傷を負うだろうというリアリズムは求めても、この場面で殴るかというリアリティは深追いせず、こういう物語なのだと言い切ってしまう…そんな基本姿勢だ。(例えが悪いか…)
『新聞記者』(’19)をはじめ、藤井道人監督作品は全てそのスタンスで撮られている。
この映画は、鏑木慶一の人助けの背景で見せる社会の不条理が冤罪の惨さに集約していく原作小説から、「人に信じてもらえないこと、信じてもらえること」というテーマを導き出し、横浜流星演じる鏑木慶一を天使の如き存在に位置づけることで、救いの物語に仕立て直している。
吉岡里帆が演じる安藤沙耶香が「あなたを信じる」と言い、鏑木は信じてもらえる喜びを初めて感じる。
そして「信じること」は伝播する。
野々村和也(森本慎太郎)
酒井舞(山田杏奈)
安藤の上司 後藤鉄平(宇野祥平)
安藤の父 安藤淳二(田中哲司)
被害者遺族の井尾由子(原日出子)
出会う場面は描かれていないが出会ったはずの由子の妹 笹原浩子(西田尚美)、、、
さらに、追跡者の刑事 又貫征吾(山田孝之)
組織の一員として不本意な命令に従う刑事の苦悩を寡黙の中ににじませる山田孝之が、素晴らしい。
犯罪が絡む映画だから悪党キャラクターも登場する。三人の俳優がそれぞれ短い出番ながら物語にスパイスを効かせている。
小悪党の駿河太郎
極悪党の山中崇
巨悪党の重松豊
この映画の脚色は、追跡者である刑事 又貫を描いたことと、追い詰められた鏑木の様子をSNSでライブ配信し、多くの人がそれを見ることの2点が、原作を改変した「救いのある物語」を成り立たせ、追跡者である又貫刑事の心を動かす奇跡に説得力をもたらしている。
逃亡劇を終えて、人々が順に鏑木に面会する。
その中には又貫もいた。彼が鏑木になぜ逃げたのかを訊いた、その鏑木の答えが本作のテーマだ。
鏑木に助けられた人々は新たな未来に向かって歩き始める。
もっとも救われたのは又貫だったのかもしれない。
映画独自のこの結末には、涙を禁じ得ない。
改めて、人間讃歌のファンタジーであると強く感じるエンディングだった。
蛇足…
判決が出ている事件を警察が再捜査すると決めた場合、上訴手続きは検察が行うのだろうか、被告側だろうか。
この映画の場合、上訴手続きの期限は逃亡中に切れてしまっているだろうから、刑は確定してると思われるので、再審請求しかないだろう。
検察が再審請求はできないから、被告人(受刑者)側が申請するしかない。被告人に有利な証拠を警察が証人になって提出するという複雑な関係になる。
それとは別に、脱獄は新たな罪として裁かれるのだろうか…。
脚本、キャスト全てドラマの上をいく
警察の捜査がポンコツすぎる
亀梨くんのドラマと同じやつか!
いやごめんなさい
気付かない私が悪いんですけど
予告編見て
観てみたいなと思ってこちらの映画を観たのですが
亀梨くんのドラマと同じ話だとは全く思っていなくて
笑
ドラマも映画もいっぱい見過ぎて
タイトル覚えてないんですよねいちいち
言われてみればタイトル同じやん、と
笑
と、いうわけで
観たことないストーリーの映画だとばっかり思いながら見始めた私は
知ってる話が展開されていって1人で勝手にびっくり
笑
ちょっともうその驚きが強すぎて
純粋に映画の評価ができません
申し訳ない
まぁまぁかな
悲哀感 最高に似合う横浜流星…
良い映画だと思います
クリスマスイブイブの今日。
映画を観よう!っと思い立ち、高評価に惹かれて今更ながらの鑑賞。もちろん原作未読。
横浜流星さんはかろうじて顔と名前が一致する程度の認識で、きれいな顔立ちのタレントさん、くらいの知識だったのだけど、いやどうしてどうして。演技派俳優さんなんですね。おみそれしました。
いい映画でした。
冤罪をかけられた青年が、警察で何を言っても信じてもらえないと悟り、一縷の望みを託して脱走する。
大阪・東京・長野と変装しつつ潜伏先で携わる人たちは、彼が指名手配中の殺人犯と分かってからも彼を「信じて」、自分の力で冤罪を晴らしたい彼の目的に手を貸す・・・
令和の現在、まさかあんな杜撰な捜査はなされていないでしょうが、長年の冤罪は今年に入ってからもニュースで騒がれていたし、本当に重いテーマです。
そして、いいストーリーでした。
それまでの人生ほぼ養護施設と刑務所の中で終始した主人公が、様々な人と関わって“生まれて初めて”を積み重ねる中で顔つきや佇まいも成長していくこと。
関わった人たちも、法の裁きよりも彼を、というより自分の目を信じるようになること。
山田孝之の葛藤を抱えた板挟み刑事もぐっときました。(正しいことをしたかったら偉くなれ~と、以前どこかの刑事が言っていたような)
途中、一家惨殺やら血まみれの斧やら、クリスマスイブイブに一人で見る映画じゃなかったかと後悔もしましたが、ラスト10分で回収。満ち足りた気持ちで終えられました。
レビューを読むと、原作のラストは違うようですね。
でも、私はこの映画版で良かったと思う。
やっぱりハッピーエンドが一番なのだよ。いや、コテコテのハッピーエンゃなくても観終わった後の余韻が良いものであればそれが何よりだと思うようになりました。
以下、ひねくれ雑感。
〇現実的にみると捜査も逃走劇も突っ込みどころ満載で、今作のメインテーマはそこじゃないから全部すっぱり捨てて観てましたが、リアリティーを追求すると気になります。
〇最近こういう業界モノで思うのですが、例えば警察の監修なんかはどの程度入るのでしょうか。フィクションだから全面的に目をつぶるのか、松重豊のキャラに文句は来ないのか。
〇鏑木のキャラは横浜流星的な人でなくても成り立つのだろうか。すなわちずんぐりむっくりモテナイキャラでもこのストーリー展開は成立するのか?でなければ、このラストはイケメンだけが実現可能というミもフタもない話になってしまうのだけど、いやそんなことない真実の前に人は平等だと思おう。今日はクリスマスイブイブだもの。
引き込まれた作品!
A275 人の家に入るのは違和感があってもやっぱりやめましょう
2024年公開
結構リスクを承知で潜入する横浜流星。
おっとこ前と背の高さは隠しきれない。
山田杏奈みたいに「どう?ワタシの彼氏」と
ご丁寧に拡散する勘違いもいるでしょうし。
しかしライターならこの事件を匿名で拡げることも
可能だったのでは?それと専属は足取りつくんでね?
吉岡里帆ちゃん、男前なら家に住ませるのか?
と里帆ちゃんの部屋をあんだけあからさまに
ぐちゃぐちゃにして警察ええのか?
逃げおおせるところも現実だったら警察間抜けでしょう。
立てこもりはあんなに広い場所でいいのだろうか?
部下はショットミス?わざと?
こいつの心のうちが山田孝之ほど見えなかったのは
モヤモヤする。
松重豊、官僚本部長を見事に演じる。
西田尚美サマこんなに老けてたっけ?
最後「被告人は・・・」
えー音に出すの?聞いてる方が恥ずかしいやん
と思ったが、そうするとクサイというのは監督も
感じたんですかね。
60点
鑑賞日 2024年12月20日 イオンシネマ草津
配給 松竹/TBS
役者陣の熱演が素晴らしい
観よう観ようと思いながらも出遅れ、評価が高いので是非劇場でと観賞。結果…
もっと早く観ればよかった(泣)
主演の横浜流星さんは勿論、山田杏奈さんや宇野祥平さん、西田尚美さんのバイプレーヤーが良かった。その中でも吉岡里帆さんのさりげない演技は特に素晴らしかった。良い俳優になりましたね。助演女優賞も納得です。
横浜流星×藤井道人監督と言えば「ヴィレッジ」を思い浮かべるのですが今作はそれを超えています。もっともっと二人の作品を観たいですね。そして「正体」という作品も突き詰めたいのでWOWOW版ドラマもチェックしたいと思います。
1/4(土)WOWOW版ドラマ観ました。こちらは60分×4話なのでより細かなストーリーが楽しめます。亀梨和也くんバージョンも良かった。
法というしがらみ
こ、これはすごい...。
藤井道人監督、今年凄いです。「青春18×2」に引き続き、超高品質なヒューマンドラマを日本中に届けてくれた。映画ファンもうなる大傑作。サスペンスの皮を被ったこの作りに、不覚にも圧倒されてしまう。
面白い!最高だ!と周りから激推しされながらの鑑賞だったのにも関わらず、想像を遥かに上回る大感動。口では多くを語らず、息を飲む映像美で観客に伝える藤井監督特有のスタイルに、いつだって魅了されてしまう。あぁ、最高だ。大好きだ。間違いなく日本でいちばん好きな映画監督。なんでこんなにバンバン傑作を生み出せるんだよ。。。
役者の気迫にノックアウト。
みんな言葉にならないほど素晴らしくて、シンプルに監督の人物描写がうますぎるというのもあるんだろうけど、登場してから一瞬でその人物に引き込まれてしまうし、キャラクターの境遇がこの映画のメッセージとブレることなく合致していて、定期的に心がぐちゃぐちゃになってしまう。
みんなすごく人間的で劇映画にありがちな偽善者ぽさが全くないから、自分が同じ状況に立ったらどうするだろうと、見ている側は想像力を働かせてしまう。とてもスクリーンの向こう側の話とは思えない。他人事に感じられない、というのがこの映画のすごいところ。
思い返してよーく考えてみればツッコミどころもあるんだけど、それを考えさせる隙を与えないというのが本当によくできてる。他の映画では味わえない、ただならぬ説得力がこの映画にはあるもんだから、メッセージの重みが段違い。セリフの言い回しも秀逸だし、いい意味で映画を見ているように感じない。言葉に魂が宿っている。
それも、横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈と今をときめく日本映画を牽引する若手俳優が演じているもんだから、胸に刺さる刺さる。影で支える山田孝之を加えた5人に感嘆するばかり。なかでも主演の横浜流星。もう、とんでもないところまで来たな。演技という域を超えた表現技法。えぐい。
ストーリー展開も次から次へと軽やかに進んでいくのではなく、しっかりひとつひとつ丁寧に、余すことなく描ききっているのがものすごく好感をもてる。映画というエンターテインメントではあるんだけど、面白いだけで終わらせない、最後までやり遂げるという作り手の意地みたいなものを強く感じる。
死刑判決を受けた1人の男の逃亡劇を描いた作品ではあるんだけど、それを通して様々な社会問題に切り込みを入れており、とても身近な話ばかりであるため、本筋とは別に色々と考えさせられる。一筋縄ではいかないこの構成が、作品にグッと深みをもたらしている。名誉が一瞬にして消え去る。SNSがある現代最大の恐怖。言葉は武器になる。。。
出来るだけなんの情報もなしに鑑賞して欲しい。いまを生きる人々に送る映画だと思うし、今後とも語り継がれる傑作だとも思う。「青春18×2」がスゴすぎたばっかりに、この程度の点数にならざるを得なかったけど、今年を代表するといっても過言では無い作品だった。
横浜流星×藤井道人。何度もタッグを組んできたけど、間違いなく本作がベスト。ぜひともまた一緒に映画を作ってください。さて、未発表の監督次回作はどんなものになるのかな...?
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