正体のレビュー・感想・評価
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信じることの勇気
凶悪な殺人事件で死刑囚となった男が脱走。追う警察と、何も知らずに彼と接触した人々との交流を描きながら、彼の本当の目的が明らかになり…といった物語。
これは強いメッセージ性のある作品ですね。
結末というか真実は、まぁこういうことなんでしょうというのは大体読めてしまいますが、逃走中に出会った人々との関りや、まわりの情報に振り回されず、自身が直に触れた上での思いを大切にしなければならないと考えさせられるのが主軸でしょうか。
そして、組織の黒い部分も嫌と言う程…。彼らからすれば大切なのは体裁ということなのでしょうか。実際に現実でもこんなことあるんでしょうから辛いです。
その他にも、映画作品として逃走劇は非常に見応えがあって手に汗握るし、疑心暗鬼になる人々の細かな所作に心臓が鳴ってしまう。でも、結局パパの件や如何にも怪しそうだったアイツとかは結局どうなったの?
さておき、全体を通して深く考えさせられるし、テンポも良く演者の皆さんの素晴らしい演技で最初から最後までとても面白い作品だった。
…でも、でもですよ?
「住む場所が見つかるまで、うちにいても良いよ!」
「…恋人はいるんですか?好きな人とかいるんですか/////」
…こんな展開って、彼がイケメn…いや、何でもないです。
佳作 ほどよいエンタメ映画 見ても後悔することはない
その“正体”。
凶悪な殺人事件の犯人として逮捕され無実を訴えながらも、死刑判決を受けた青年が脱獄した。彼は何故逃げたのか。そしてどこへ向かっているのか。いくつもの顔を使い分け潜伏先を変えながら逃げ続ける鏑木と彼を追う刑事。そして彼と関わった人達のいくつもの証言を軸にしたとても見応えのある人間ドラマでした。
この“正体”にはいくつもの意味がある。今逃げ回っている青年の正体、一家惨殺事件の犯人の正体、そして自分の隣にいる誰かの正体。日本にも指名手配されながらも逃げ続けている凶悪犯が何人もいる。誰もが交番横に貼られたその顔写真を何度も目にしたことがあるはずだ。でも実際その人物が自分のとても近いところで生活していたとしても、その正体に気付くのは至難の技だと思う。誰だって自分の近くにそんな人がいるはずがないと思っている。その人間の心理をうまく突いたストーリーで、ラストも良かった。
出演者はなんで森本慎太郎がキャスティングされているんだろうと正直不思議だったけど、めちゃくちゃ役柄に合っていた。横浜流星は近年難しい役に挑戦している印象でめっちゃ応援してます。
感動えぐかった!!!!!
藤井監督と山田孝之さんが大好きなのでみに行きました。
これはもうやばいです。今年1番を余裕で更新しました笑笑
まず、横浜流星くんの芝居がヤバい。もう言語化出来ないレベルで上手すぎます!!
いろんな顔を持つ同じ人物ってこれ大丈夫か?って気持ちが最初あったんですけど、軸がブレずにあって、それを守りながら一人の人生を描いている感じ??がしました。
森本慎太郎くんも以前、山ちゃんの完コピしてる芝居が話題になっていましたが、今回普通に鳥肌立ちました。
わかった途端の震えというか、「どうしよう、」っていう不安と恐怖におびえてる芝居が最高でした。私までゾクゾクしてきました。
吉岡里帆ちゃんの「いって!!」の所で涙ダバー(泣)
このシーン、めちゃめちゃ好きです。
人を信じることの大切さというか、。
私も誰かを心から信じられる、偏見だけで決めつけないような人になりたいなって強く思わさせられました。
藤井監督の作品が大大大好きなので!!!
また新作待ってます^_^
これが日本映画の限界か
このテーマを選ぶ際に想起されよう冤罪事件は山ほどあるのに、あまりに稚拙な発想。「信じる」というテーマを築くというのに、リアリティのない各人物設定とエピソードを積み重ね、登場人物の生育歴に対する無知で鈍感で無神経な偏見。メガネを取ったら実は美少女、かのような安易に万能な主人公。山田孝之はなぜこの映画に出たのだろう、、、他にも当代を代表すると言われる人気俳優を集めて、これが日本映画の限界なのかと暗澹たる気持ちになった。俳優たちの熱演が悲しみを増す。
迫真の演技に紡がれた真摯な物語
評判通り、秀作
さすが、映画賞を受賞するだけあって、構成やテンポ、役者の演技など、...
さすが、映画賞を受賞するだけあって、構成やテンポ、役者の演技など、非の打ち所がない。でも、やっぱり鏑木を演じた横浜流星に尽きる。
自分はやってない。そのことを証明するために脱獄し、キーパーソンへの接触を試みる行動力と信念を、ポーカーフェイスから感情むき出しの場面まで、確かな表現力で見せてくれました。
鏑木に絡む3人も、それぞれの視点で見ているけど、一貫しているのは、彼がそんな事をする人ではないという信頼。
満点でないのは、事の発端である「冤罪」の発生根拠が薄いこと。
あれだけ凄惨に血が飛び散った現場から真犯人がその場を立ち去る際、家の中にも外にもゲソコンは残っていただろうし、鎌を抜いた直後に踏み込んだ警察がいるなら、その前後で真犯人らしき不審人物を見ているはず。
また、当時高校生の鏑木が一家を殺害する動機がない。
作品の中で、スマホやLINEらしきものを使っている点からも、裁判員制度の中で裁かれているはずで、いくら警察が証拠を隠蔽・捏造したとしても、本人が強く否定している点からも有罪にまで持っていくには難しいと思うのでは?
ラストは報われるラストでよかった。判決の演出もよかったです。
ヨルシカの曲も、優しい歌声で癒やされました。
感動作
鏑木慶一役を演じる横浜流星さんをはじめとするキャストの方々の演技が素晴らしかったです。始まりのシーンは慶一が逃亡するところから始まりその後様々な仲間に出会っていきましたが、どの慶一も見た目に違いはあれども心の芯の部分が優しいことには変わりはなく、映画は中盤以降まで冤罪かそうではないかは明確に書かれていなかったけれど自分の中で冤罪に決まってるから絶対に逃げ切ってほしい!って思ってました。また終盤の施設での警察と慶一の対峙にはとてもドキドキハラハラでした。最後の裁判シーンも音声はなかったけれどまるで声が聞こえてくるかのような演出でそれもまたよかったです!
逃走劇のその先に灯りはあるか… 崇高なまでに純粋無垢な青年の渾身の戦いを描破した、人間讃歌ファンタジー。
亀梨和也が主演したWOWOWのドラマ版を以前に観た。
原作小説は、逃亡死刑囚 鏑木慶一が転々とする潜伏先ごとの章立てになっていて、それぞれの地で出会う人の視点で描かれている。この構成はどちらかと言うと連続ドラマ向きだ。
WOWOWやNHKが短期の連続ドラマ化した小説が後に映画化された例はいくつもあるが、大抵はディテールを描けている分ドラマ版の方が優勢だった気がする。
はたして、本作はどうか。
小寺和久・藤井道人による脚本は、構成の基本は小説のままでありながら、端折るべきところを端折り、括られるところを括り、独自の設定を織り込んだ、脚色の手本のようだ。
そして、それを具現化する藤井道人の卓越した映画術に私はすっかり魅了された。
まず、アバンタイトルが見事。
事情聴取の様子が断片的に映し出される。刑事と対峙したそれぞれの参考人がどういう人物であるかは説明されないが、彼らがこれから始まる物語に重要な立ち位置で関わることを予告し、対面の刑事が「気づかなかったのか、彼の正体」と詰問してタイトルが表示される。
何とも絶妙な導入だ。
また、スリラーとしての緊迫の演出が、最初に脱獄犯だと気づかれる場面でみられる。
主人公だから無実なのだろうと観客の誰もが思っているところに突きつける、この横浜流星の不気味さ。
藤井道人の代名詞的な一本道を空撮で追う俯瞰図もちゃんと見られる。
そして、最後に判決が下される場面の演出が秀逸だ。
藤井道人の類まれな映画的演出力がここに発揮されている。
本作は社会派ミステリーに分類される作品だと思うが、藤井道人監督は一貫してファンタジーの人だと思う。
リアリズムは求めつつリアリティは追求しないのだ。
例えば、こういう殴られ方をすればこんな傷を負うだろうというリアリズムは求めても、この場面で殴るかというリアリティは深追いせず、こういう物語なのだと言い切ってしまう…そんな基本姿勢だ。(例えが悪いか…)
『新聞記者』(’19)をはじめ、藤井道人監督作品は全てそのスタンスで撮られている。
この映画は、鏑木慶一の人助けの背景で見せる社会の不条理が冤罪の惨さに集約していく原作小説から、「人に信じてもらえないこと、信じてもらえること」というテーマを導き出し、横浜流星演じる鏑木慶一を天使の如き存在に位置づけることで、救いの物語に仕立て直している。
吉岡里帆が演じる安藤沙耶香が「あなたを信じる」と言い、鏑木は信じてもらえる喜びを初めて感じる。
そして「信じること」は伝播する。
野々村和也(森本慎太郎)
酒井舞(山田杏奈)
安藤の上司 後藤鉄平(宇野祥平)
安藤の父 安藤淳二(田中哲司)
被害者遺族の井尾由子(原日出子)
出会う場面は描かれていないが出会ったはずの由子の妹 笹原浩子(西田尚美)、、、
さらに、追跡者の刑事 又貫征吾(山田孝之)
組織の一員として不本意な命令に従う刑事の苦悩を寡黙の中ににじませる山田孝之が、素晴らしい。
犯罪が絡む映画だから悪党キャラクターも登場する。三人の俳優がそれぞれ短い出番ながら物語にスパイスを効かせている。
小悪党の駿河太郎
極悪党の山中崇
巨悪党の重松豊
この映画の脚色は、追跡者である刑事 又貫を描いたことと、追い詰められた鏑木の様子をSNSでライブ配信し、多くの人がそれを見ることの2点が、原作を改変した「救いのある物語」を成り立たせ、追跡者である又貫刑事の心を動かす奇跡に説得力をもたらしている。
逃亡劇を終えて、人々が順に鏑木に面会する。
その中には又貫もいた。彼が鏑木になぜ逃げたのかを訊いた、その鏑木の答えが本作のテーマだ。
鏑木に助けられた人々は新たな未来に向かって歩き始める。
もっとも救われたのは又貫だったのかもしれない。
映画独自のこの結末には、涙を禁じ得ない。
改めて、人間讃歌のファンタジーであると強く感じるエンディングだった。
蛇足…
判決が出ている事件を警察が再捜査すると決めた場合、上訴手続きは検察が行うのだろうか、被告側だろうか。
この映画の場合、上訴手続きの期限は逃亡中に切れてしまっているだろうから、刑は確定してると思われるので、再審請求しかないだろう。
検察が再審請求はできないから、被告人(受刑者)側が申請するしかない。被告人に有利な証拠を警察が証人になって提出するという複雑な関係になる。
それとは別に、脱獄は新たな罪として裁かれるのだろうか…。
脚本、キャスト全てドラマの上をいく
役者の演技は5星ですが。作品の出たタイミングが…
今年は特に、冤罪や逆転無罪のリアルな事件が多く報道された印象が
あり、よく言う「事実は小説より奇なり」…フィクションが事実に勝てない
タイミングだったかもしれません。原作もこの作品も。
TV番組でも月に1、2は実際の冤罪事件の経緯、人物像、なぜくつがえり
過ちが正されたのか(どんでん返しの山場)の
「クオリティの高い再現ドラマ」を多く目にした中、
今回の映画は、犯人扱いされた人物と逃亡中に接した人々の「彼」への印象
でほぼ8割で組まれた事で「2時間完結エンタメとしての物足りなさ」を
感じた私がいました。私はいつの間にか現代の「わかりやすい派手な起承転結
を求める毒」に侵されているのかもしれません。
演者さんは素晴らしかったと思います。このフラット気味な本で2時間
「もたせる」のには有名なキャストしか難しかったのかもしれません
(住之江の現場の社長?だけ少し誇張しすぎな台本、演出、表現に感
じました。私は関西人ですがあそこまで「訳あり人」を煽る社長は、
あの現場なら⚪︎されるだろうと思います。大阪人をステロタイプの悪人
に色付けしたのは安直かと。冷めました)
動員が見込めるキャストで製作しなければならないのは理解できますし、
横浜流星さんの芝居は他の作品でも好きなのですが、
顔が綺麗すぎて、劇中人物の鏑木ではなく、時折横浜流星さんとして
変装がコスプレに見える時も。商業邦画の特徴で仕方ないですが。
全体的にTV鑑賞用なのか、絵(画)にあまり変化がないのは残念に感じました。
演者は5です。総合的にはすみませんが私には…
正体過去1でした(^^)!
横浜流星くんデビュー当時から大好きで、正体の公開が発表されてから凄く気になっていて1人で観に行きました。始まってすぐに映画館に来るべき映画だと直感で感じました。流星くんの演技がリアルで迫力全開で振り切って演じてると感じました。初めから終わりまで釘付けでスリルがあって感情を揺さぶられて、感動して自然と涙がこぼれました。流星くんと山田孝之くんとの掛け合いも凄い迫力満開です。吉岡里帆さんもいい仕事してますよ。会う人みんなにおすすめしてます。2回1人で観に行きましたが、2回共最後まで釘付けの映画でした。流星くんこれからも益々の成長を楽しみにしてます。ありがとうございました。
客観的な正しさと主観的な正しさ
横浜流星の演技が素晴らしいのはもちろん、彼と関わる人たちの行動も、それぞれの立場がうまく反映されていた。また、関わった人たちは、最初は客観的な正しさで鏑木を見ていたけど、彼と関わることで彼の主観的な正しさを信じた。展開は彼の思っていた通りではなかったけど、彼を信じる人の存在は、まさに彼が信じたかった世界の形なんだろう。
ただ、酒井さんは恋していたとはいえ、安藤さんたちと活動する動機まであったのは少し不思議。他の2人と違って普通の境遇だけど、それだけ当事者になるということの影響は強いんだろうな。
あと鏑木にフォーカスするのはわかるけど、ストーリーが進むにつれて、亡くなった家族が忘れられている感覚になった。鏑木は亡くなった人のことはどう思ってたんだろう。考える余裕はなかったのかもしれないけど。遺族の記憶が戻った後の第一声が謝罪なのも都合よすぎる感じが。
でも面白い作品だったし、映画館で1人で泣いてました。横浜流星はかっこよすぎ。逃げるたびにかっこよくなる能力でもあるの?
警察の捜査がポンコツすぎる
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