正体のレビュー・感想・評価
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ヒューマンな感動作
著名人が持病を告白したり壮絶介護などの家庭環境の困難を言いだすのは人気が落ちてきたからだ。人気者ならそんなことは言わない。病や波瀾万丈は同情をかせげるので忘れ去られようとしている芸能人または事務所がどこかに取材を依頼し世間との顔をつなぐわけである。是非ではなく戦略としてそれはそういうものだが、この病と不遇という要素は日本映画において最も多用されるパラメータと言っていい。
主人公は病になるかまたは有り得ない奇禍に陥って可哀想な状況に置かれる。両親はおらず児童養護施設育ちで、横暴な上司がいる底辺な職場環境に置いたり、なんか一般的なものを食べさせたのにこんなおいしいもの食べたことがないとか言わせたり、とにかく「人間的幸せを味わったことのない気配」を叙情的音楽に乗せて観衆の憐憫を煽る。これが釣れること釣れること。謂わば人間的幸せを味わったことのない気配のイケメンを見せておけば日本人がどれだけ釣れるか──の回答がこの映画である。
すなわち正体は同情で釣るテンプレのような構造をもった映画と言っていい。構造はあっけにとられるほど単純でやったと思われたけれどやってないイケメンの犯人が逃走する。逃走中に人望や恋情をあつめて、かれがひとごろしなんてありえないというムーブメントをつくり、捕まえる側の内情は誤認だけどまあいいやという警察権力の専横ということにしておく。全体としてこれで大丈夫ですかと思えるほど簡素で拙い構造だがそこは雰囲気で乗り切りたい。
かれは一介の少年だが、警察から逃亡できるほどの武闘派である。しかしマッチョではない。なにげに誰よりもタフなんだが、そういった矛盾点はヴァイオレットエヴァーガーデン的エクスキューズ=美しい・正しい・心が清い・同情心をそそる・けなげである・やむを得なかった、などによってカバーしていく。
という映画だったので愁嘆がやたら多かった。おそらく愁嘆が定評になっている藤井道人監督が演出していて、最初から最後まで泣かしたさがあらわれまくりという印象だった。ただ藤井道人は濃霧っぽい絵にして雰囲気で乗り切る演出スタイルの監督でうまくはない。うまくないのに第一線で撮りまくっている印象がある。
俳優でいろんなところに出まくっているとゴリ押しって言われて忌避されるのに、監督はゴリ押しって言われないのがしゃくにさわる。業界の事情はしらないがそんなにがめないでいろんな監督に回してほしいと思った。
日本映画を見ているといつも回しすぎだと思う。回さないでサッと次のシーンに移ってほしい。日本映画界に望むことはないし衰退し滅んでほしい。ただ映画をつくるならもう技量はいいから「サッと次のシーンに移る」ということだけやってほしい。
サッと次のシーンに移らないからジトッとしたヌメッとした空気ができる。回すのは根性論・精神論によるものだ。なんか情趣か余韻か魂か神演技か、そういう何かがあると思っているから回すわけで、じっさいは何もない。回すと観衆は退屈するか居心地が悪くなるだけだ。映画を見ていればそんなのわかることだから映画を見たことない監督ほど回す気がするが、日本の映画監督はみんな余計に回す。染之助染太郎といっていい。これは笑いをとる意図ではなくたいがいの日本の映画監督が回した方がいいと思っているということを指摘している。
日本映画の趣味はもうどうしようもない。ただし回さないで「サッと次のシーンに移る」だけでもやってくれれば0コンマ2ポイントくらいは品質の底上げができると思う。
どんなやつだよーと思いながら最初見たけど、だんだん主人公の感情や思...
どんなやつだよーと思いながら最初見たけど、だんだん主人公の感情や思いがでてくるところはとても面白く、感動する映画だった
雰囲気が違うとここまで印象が違うのかとか、人はどうゆうことに心動かされるのかとかを感じられる映画だった
原作改変の劣化と盛り上がりの無さ
原作を改変して劣化したよくある実写版
原作者が鏑木の死を申し訳ないと思っているのに原作は敢えてそうしているのは何故なのか?
そのほうが面白いという判断をしたからではないのか?
勝手にレシピを変えたとても薄味のチャーハンという感じでした。
ただ改変がなくてもそもそも盛り上がりも意外性もあまりなかったので改変とかの問題でもなかったかもしれません。
佳作
原作は最後必ずしもハッピーエンドではなく、かなりの物議をかもした。主題は主人公が勝ち取る幸福ではなく、司法や警察のあり方を問うものだったからだ。この点、東野圭吾のさまよう刃と非常によく似ており、もしかしたら作者もそれに触発されたのかもしれない。
映画は長編小説を非常によくまとめており、不自然な点もまるでなかった。痴漢冤罪弁護士と被害者家族の妹の章がほぼなくなっていたが、結末へ破綻のないようにうまく繋げられていた。
残り40分の展開だと、あー、これは原作同様の結末かと思いきや、原作では正反対のキャラといえた山
田孝之が正義の英断を下し、納得のいくエンディングとなった。
ドラマの亀梨和也もよかった。キャラとしてはより原作に忠実。市原隼人がなぜこの役?で登場するが、WOWOWドラマ版の視聴もぜひおすすめだ。
人の温かさは素晴らしい!
横浜流星と山田孝之、こういう役が似合う
二人ともすごい男前なのに、キラキラしていない役が似合います。
お顔立ちが濃いから「横浜流星が演じてる」「山田孝之が演じてる」に見えて、その役に見えなかったり、物語に集中できないのではないかと思ってましたが、全然大丈夫でした。
演技に引き込まれました。
主演・助演以外の俳優さんも有名どころばかりでしたが、みなさんよかったです!
建設場で働いている時の鏑木は、殺人を犯した脱獄犯に見えますが、物語が進むにつれて少しずつ見えてくる本当の鏑木。
そして同じように物語が進むにつれて、誤認逮捕の疑いに葛藤する又貫。
わざわざストーリー展開を説明するようなセリフ、無駄なセリフがない演出や演技でみせていく感じがよかったてす。
そんなに次々転職できる?ライターできる?と違和感はありますし、脱獄犯が目の前で逃走してるのになぜ警察は捕まえられなかった?とか違和感もありますが、
もう全部演技でカバーでしたね。
後半の裁判所ではベタなシーンもありましたが、人のあたたかさに感動しました。
あと、吉岡里帆ちゃんの「私は信じてる」の一言はジーンとしました。
家でこういうサスペンス系を鑑賞すると、集中力が持たなかったり、だれることがあるのですが、見入っちゃいました。
たまたまサブスクで見つけてラッキーでした!
映画を先に観た人は 原作は読まないほうが良いかも♪
原作を購読して・物語の締めくくり方が好みじゃないし・・。
ディテールもちょっとなぁ・・と思っていたので、評判には流されずに・・映画は鑑賞するのはやめていた。
で、すっかり忘れていたら、早くも、NetflixにUP♪暇だし、観てみようと・・♪
あれ、右肩、撃たれてるじゃん??? と、訝っていたら・・・・
なるほど・・こんな感じに物語をアレンジしたのね♪
原作読んでから、鑑賞した人には、好感が持てる驚きだったかも・・
それ狙って・・意図的に編集したのだろうな・・。
個人的には・・映画の物語が好みですし・・万人受けするでしょう♪
原作のままだったら・・ドヨーンと映画館を出たかもね・・。
とことん卑劣な役の役柄に、山田孝之さんが起用されたのを不思議に思っていたら・・
なるほど・・こういう風に原作をアップデートしたのね・・でした♪
映画を先に観た人は 原作は読まないほうが良いと思う♪
人を裁くということ、人を評価するということ
「冤罪」をテーマにした小説。人が人を裁く以上、完璧はない。だからこそ、裁く人は常に謙虚でなければならない、と思わせる映画だった。そして、これは必ずしも司法の世界に限ったことではない。
例えば、会社での評価。これも結果によっては、会社内でその人を不利な立場に追いやるかもしれない。内容によっては、その会社で働くうえでは死を意味する立場に追いやるようなこともある。
SNSでの批判コメントも同じ。その心無い批判コメントが、次の批判コメントを呼び、それがまた次の批判コメントを呼ぶ。事実がどうかというよりも、コメント欄で批判されていることが、実体を持たない事実のようなものとなってその人を社会的弱者に追いやってしまうかもしれない。
したがって、人を評価するということ、人の善悪を判断するということに謙虚でなければならないと気づかされる物語だった。
小説では、主人公「鏑木慶一」は警察官によって殺されてしまい、死後に無罪が証明されるが、映画では死なずに済んでよかった。。
これからの横浜流星くんに期待
最近の彼の出演作品が気になっていて
これはしかも藤井監督の作品だから
尚更気になる!
この二人の関係性を某番組で見ていて
藤井監督が流星くんに期待を込めた感じがする
話は…原作未読で
鏑木くんは果たして悪なのか善人なのか
分からないところからのスタートで…
どう見ても悪い人というイメージから話が始まり
作業員の風体に似つかわない言動に
これってもしかして善人なのかも?とイメージがかわり
5つの顔を持つ逃亡犯という難役を
見事に演じきった流星くんの私の期待値が
とても大きくなりました👏👏
最後の面会での流れには
思わず引き込まれて涙です😭
藤井監督の作品らしく終わり方も
余韻に浸れる感じが良き👍
「ヤクザと家族」や「最後まで行く」もそうだったなぁ😊
この内容だから
今年の日本アカデミー賞での優秀作品賞を含む
最多12部門13の優秀賞を受賞には納得しました。
これはもう
最優秀作品賞ものですね!
横浜流星の演技は見もの
冤罪物としては王道かな。
姿をコロコロと変える横浜流星の演技は見ものです。もう少しだけ、人物との関わりに対して深掘りと心理描写が欲しかったところ。。。逃亡する死刑囚に対して、そこまで信用しますか?と言う疑問が残ってしまった。
警察の権威主義による殺人の冤罪があるとしたら、とても恐ろしい。
信じたい
原作を読んでから観ました。
映画用にカットされたつながりや、まとめてしまった感はあるものの、丁寧に描かれていたように感じた
原作は読み手に冤罪をズシンと考えさせられる
この映画は、警察への希望や世の中への希望、信じたい思いがつながっているように思った
関わった人物の心の動きの繊細さまでは足りなかったかな
監督の願いか?
とても面白かった。
特にはじまりの逃げ出すシーンと
各々逃亡犯と関わった人たちへの取り調べシーンが
交差しながらタイトルに行くところがカッコよくて
ワクワクしました。
横浜流星さんの魅力たっぷりと言う感じの本作だけど、
山田孝之さんのトーンを落として、爆発しそうでしない
腹に一物を抱えてる感じを怖くてとても良かった。
藤井監督がこう言う社会派映画を撮る時は、
とにかくリアルに、
俺たちの生きてる現実はこんなもんだよ!
と失望と怒りが原動力のような気がしてたけど、
今作のラストはフィクションであり、
監督のこうあって欲しい、
こう言う世の中になって欲しいと言う
願いが叶えられてる気がしました。
それともやはり、今の世の中は狂いすぎてて絶望感が
原動力なのかもしれないな。
姿を変えて逃亡を続ける鏑木役を横浜流星が熱演。日本各地の潜伏先で出...
映画はいいんだけど
なんで冤罪なのに逃げ回ったり、
銃で撃たれたりしなきゃならないんだと。
そういう運命になった若者の人生もあるってか。
イケメンはいいよなあ、って思ったりもしました(笑)
正體
刑務所では“塩抜きの刑”が行われ続けています。
名前と姿を変えて今も続行中のGHQ。戦後、大事な“體”を“体”にして文字通り骨抜きにしました。作者は意図的に『正体』にしたのでしょう。
マイナンバーカードも2026年には、名前と姿を変える予定だそうです。
言論の自由についてですが、SNSはサイトの運営側に(削除や規制する)自由があります。ちなみに、X(旧ツイッター)はポストが削除されないかわりに、他のユーザーからコミュニティノートが追加されることがあります。バズったポストに水を差す内容を強引にくっつけているため、ゴミノートと呼ばれたりもしますが、相反する情報を統制しないところがX(旧ツイッター)の素晴らしさだと思います。
原作未読、ドラマ未視聴、劇場でのショータイムは非常に楽しみでありましたが結局は観に行かず、Netflixの配信をプロジェクターで視聴しました。特別迫力のあるシーンはありませんでした。
個人的に満足しているのは、摂取(飲食)と排泄(小便)シーン、そして風呂場での二人の裸シーンが生活感があって良かったです。
冒頭から謎に満ちていて、想像で補う必要がありますが、そこが今作の良いところでもあります。
各登場人物ごとに感想を分けてみました。
●ベンゾー、那須、久間、桜井、鏑木慶一(横浜流星)
猫背のベンゾーの巻では、パワハラ社員に反撃アクションを期待しましたが、その場面はありません。
茶髪の那須の巻では、居酒屋の焼き鳥に感動する手料理が得意な人です。沙耶香と愛し合うようなロマンティックな場面は残念ながらありません。
もうバレるわけにはいかない久間の巻では、横浜流星さんらしさすら消していました。
鏑木慶一(かぶらぎ けいいち)は指名手配中の捜査特別報奨金が最終的には1000万円になります。
格好良さとインテリジェンスを兼ね備えた印象の桜井の巻で、SNSが登場し、クライマックスを迎えます。
●建設現場のパワハラ社員
脱獄時のような痛快なアクションシーンにはなりませんでした。ベンゾーが渡されたと言う二万円が、パワハラ社員のポケットマネーかどうかは不明です。
●ジャンプこと和也(森本慎太郎)
捜査特別報奨金300万円に目がくらみ友情を捨てて残念な人でした。110番する場所とタイミングを考えたほうが良かったと思います。おかげで逃げられました。
●沙耶香の父親
弁護士でありながら痴漢の容疑者になります。おそらく嵌められたのでしょう。娘の安藤沙耶香が鏑木慶一の冤罪を信じるきっかけにもなったので、間接的に鏑木慶一を救っているとも言えます。
●安藤沙耶香(吉岡里帆)
那須と暮らし始めますが、招待してない人が入ってきて、さあ大変。
信じるキャラクターって、『ガンダムSEED』のラクス・クラインのようで良いですね。
チャイムが鳴ったらまずドアアイから誰が来たか確認して、ドアチェーンをしたままドアを開ける癖をつけてほしいものです。
●酒井舞(山田杏奈)
格好良さとインテリジェンスを兼ね備えた桜井に恋します。
●一家殺人事件の遺族(原日出子)
鏑木慶一も可哀想ですが、この人もまた可哀想な目撃者です。
●養護施設の園長(木野花)
鏑木慶一と過ごした時間が長い人物で、鏑木慶一が優しい人であるということを誰よりも知っている優しい老婆です。
●警視庁の刑事部長(松重豊)
松重豊さんは、このような怖い人の役がしっくりくると思いました。
●又貫(山田孝之)
今作のその後、どうなるのか氣になる登場人物のひとりです。複雑な心境を見事に演じた山田孝之さんの実力を感じます。
●又貫の部下の刑事(前田公輝)
発砲しますが、腕が良いのか無謀なのかわかりかねます。
古手梨花より(妄想):前田公輝さんは『ひぐらしのなく頃に(実写映画)』(2008年公開)で、主人公のケイイチを演じたのです。だから、ケイイチ同士の宿命の対決なのですー。ケイイチは何も悪くないのですよ、にぱー☆
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