正体のレビュー・感想・評価
全519件中、181~200件目を表示
信じてみようと想う心の話
感想 藤井監督は染井為人氏の原作である真実の証明を命懸けで果たそうという囚人である主人公の、点を線で繋いでいく物語の過程で登場する人物とその時々のシチュエーションとエピソード毎に丁寧で細やかな演出とエッジの効いた、卓越した映像センスをもって描いており重厚で深淵な人間の尊厳と法の問題をよく纏め上げデフォルメしながら上質なサスペンス作品に仕上げていた。原作は不遜であり情報に疎く未読であったが、砂の器以来久々にあらためて小説としても読み直したいと感じる。◎ 主演の横浜流星氏の渾身の演技が特に素晴らしく彼の代表作品となったと感じる。◎ 人が人を信頼することとはどういう事なのか。その人が正しい人なのか否かを判断するためには、その事に対する行動や判断を人が正しく判断出来なければならない。当たり前の事だか公正な判断を下すという事はとても難しいことで様々な角度からの状況判断、またはあらゆる視点を持ちながら関わる人々が各々一つ一つ検証し証拠を固め積み上げて判断し、結論を出していくいわゆるあらゆる根拠と証明が重要なのである。この当たり前な事を成していく事がいかに時間と労力が掛かり大変な作業であるか。という事も本作でのテーマの一つであったと感じる。被疑者のどの様な主張をも聞き受け時間的にも検証内容についても端折る事なく法と照らし合わせ公正な判断が出来る成熟した法治社会システムであり法曹でなければいけない。それを創り上げるためには関係者一人一人が問題は何処にあるのかを強く感じ、願い、世論を形成できるように発言すること。またマスコミと法曹界は社会的責任を以って公正な実務を実践していく事を肝に命じる事で新たな時代に合致する判例を創り、積み上げる事が大切であるのだと感じる。また法治を司る警察機構もそう簡単に変わる事は難しいと思うが柔軟な視点と発想を以って行動するべきだと感じる。 現代の警察の捜査方法がいかなる方法でどのように犯罪であるとJudgementするのかは詳しくは知り得ないが、つい最近まで本作に描かれるような警察の杜撰な人権を軽視し偏在した思考と視点により被疑者へ脅迫強要する方法で本当に無実の者が罪に問われ、罪が確定してしまい拘留施設での刑期執行満了、あるいは執行処刑されてしまった事件は人知れずかなりの数存在したのではないかと想像させる。更に本作においては被疑者が身寄りのない未成年者であった事が被疑者の弁護の必要性をより低くする事に繋がり具体的自己弁護の余地をほぼ講ずる事なく当然であるべき被疑者の権利主張を警察が軽率に扱ってしまった事が問題の根本原因だと考える。自己弁護能力が低ければ低い程、能力ある国選をも厭わない弁護士を付ける事が必要であり、重要になってくる。 本当に無実の者が主張できる機会が日本の司法制度においては刑確定後には全く無い。法制度そのものが硬直化し見直しに時間ばかり掛かるのも問題であり現在の法治システムの詳細な見直しが叫ばれる話があるというのも頷ける。 演出と横浜氏の演技が素晴らしく優れており本日現在、今年度最優秀の日本映画と感じたので ⭐️4.5
個人的に感じたテーマとしては、"偽りの自分"と"真の自分"が衝突する作品だと思った🤔
作為的に真実が曲げられることによって生じる"もう1人の自分"がいつしか本当の自分のように語られ抗いようのない世間の評価の波に飲まれる。 ただ、その波の中にいたとしても、一人一人"本当の自分"を見てくれる人間がいて、その他者との繋がりが残酷な境遇から救ってくれる。それは簡単なようで難しいこの世界と他者を「信じる」こと。 いや〜、自分に置き換えて彼の境遇を想像してみたけど、強いなぁ… 言わずもがな感動する作品だった🥹
横浜流星を一層輝かせる藤井監督
横浜流星と藤井監督が兄弟のような関係であることはよく知られている。観る側もついそういう意識を持って作品を見てしまう。だが恐らく、横浜流星という役者は撮る人も魅せられる輝きがあるのだと思う。この作品でも存分にその魅力は引き出されていた。変装し他人になりすまして逃げるという設定により、様々な表情や雰囲気を演じることになり、その無実を訴える逃亡犯はスクリーンの中でしっかりと生きていた。それ故、彼に関わった人達が影響を受ける様に説得力が生まれていく。 そもそもの警察の捜査や裁判の流れの描き方が若干雑で、突っ込みどころはあるが、その設定だからこその山田孝之なのかな、と思ったりもする。 出来過ぎだけど見終わって気持ちよく劇場をでられる作品。
シンプルで力強い
物語は至ってシンプルな逃亡者もので、鏑木の正体に気付くかどうか、警察の触手はどうか、そういったシンプルなもの。 そこにラストで山田孝之と語る、あることの動機があるが、その表現がシンプルで力強いメッセージで山田孝之も含めみんなの求心力になったんだとわかった。 横浜流星とても良かった。
横浜流星さんが素晴らしい!
最初からストーリーに引き込まれ、適度にドキドキハラハラし、後味もよかった。 横浜流星さん出演作は、原作に惹かれて観た「流浪の月」と今作のみ。 「流浪の月」で、ヒロインのサイテーな恋人(モラハラ・ストーカー気質)を演じていて、主演の二人より横浜流星さんに惹かれた。 「正体」は、予告編を観て、すごく楽しみにしていた。 期待を裏切らない、大満足な作品だった。 鏑木の逃走した理由を聴いた時は、胸が震えた。 今年、袴田さんが無罪確定したことからも分かる通り、警察、検察、裁判所には、人の運命を左右する力がある。 それを肝に銘じて、仕事に邁進して欲しい。 この作品では、殺人と痴漢の2件の冤罪事件が出てくる。 初期の行動が、のちのちの面倒を引き起こすということを示している。 殺人現場では現場に立ち入らず、安全確保してすぐ通報が、痴漢ではその場から逃げ出さないことが、大事だ。 鏑木の無実を信じて、再審に向け活動する安藤さんたち。 再審には、お金も時間も気力・労力もかかり、道のりは遠く険しい。 鏑木のいた児童養護施設の職員(ロザリオを下げているのが印象的)が、おそらく鏑木にとって無罪を信じてくれそうな知己だろうけど、彼と交流しているかは不明。 映画のように、赤の他人が先頭に立ってというのは、現実ではなかなかないだろう。 自分なら、だれだったら再審請求の活動をするだろう、だれだったら私のために再審請求の活動をしてくれるだろうと考えた。 「人を心から信頼する」ということは、ホントに重い。 そして、もうひとりの主役、真犯人。 直接の触れ合いが激減し、個立化していく社会の中で、こういった事件を起こす人は、増えていくだろう。 20世紀は、自分が抱える不満や不安、さびしさを対面で他人と共有する機会がたくさんあった。 悩んでいるのは自分だけではないと実感でき、エネルギーチャージができた。 現代は、機器を通して、SNSなどでたくさんの人と共有はできるが、不満や不安、さびしさが晴れるどころか積み重なっていく感じがする。 スマホを持って5年9ケ月の私でも、人と会うよりlineでやり取りする方が楽と思う。 プライベートで対面で会うのは、互いを拘束しあうタスクで、そこまでして会いたい人は、どんどん減っていると実感している。 この流れは、これからより加速するだろう。 映画の中で、本を読みながら歩く高校生を久しぶりに観て、ますます鏑木を好きになった。 鏑木の今後を想像して、帰り道も幸せな気分だった♪
目的にまっすぐに生きる
................................................................................
民家に侵入して3人惨殺した罪で死刑囚となった横浜。
ある日自殺未遂を起こし救急搬送、その道中で脱走する。
まずは住み込みで工場で働き、同僚の森本と親しくなるが、
脱獄犯と気付いた森本が通報、横浜は一足先に逃亡。
優等生だった横浜には文才があり、ライターになる。
やがて記者の里帆の口利きでその出版社の専属となる。
さらに里帆は宿無しなことを知り居候までさせてくれる。
やがて第三者の通報により警察に踏み込まれるが、
里帆が身を挺して刑事を妨害、またも横浜は逃亡に成功。
時が経ち、横浜は長野の介護施設で働いてた。
そこには一家惨殺事件の唯一の生き残りのオバちゃんがいた。
PTSDになってたが、横浜は親身になって介護する。
実は横浜は無実で、事件後に被害者を助けようとしただけ。
当時オバちゃんは真犯人の顔を見たが、心神喪失しており、
警察は強引な事情聴取で横浜を犯人に仕立て上げた。
なのでオバちゃんに記憶を取り戻してもらうために、
横浜は脱獄して金を作って長野まで来たのだった。
ただその施設も警察に包囲され、横浜は立てこもる。
そしてそこにいた後輩の杏奈に生配信をしてもらう。
ついにオバが記憶を取り戻しかけた時に警察が突入、逮捕。
ただ一連の件で、無実の可能性を世間に示すことはできた。
森本・里帆・杏奈らが行動を起こしてくれたこともあって、
警察は再捜査せざるを得なくなり、無実が証明される。
................................................................................
いやー、これは面白かったなあ。
無実を晴らす唯一の方法と言える脱獄までして、
その一途な思いが報われることに感動した。
やっぱり人間、最後にモノを言うのは人間性なんよな。
横浜くん自身が素朴で浮ついたところのない印象なので、
まさにハマり役やと思った。共感して何度も泣いた。
収監されたのが18歳とかなので、彼は世の中を知らない。
しかも孤児だったか何だかで、施設で育った苦労人。
酒を飲んだこともなく、焼き鳥を食べたこともない。
だから酒を飲んで寝てしまったり、吐いてしまったり。
また働いたことも人や社会から信頼されたこともない。
だからちょっと信じてもらえただけで思わず涙ぐむ。
警察は杜撰な捜査で、こんな純朴な青年の人生を奪った。
ってか刑事部長の松重が犯人に仕立て上げたようなもの。
事件を手っ取り早く終わらせるために。最悪。
検挙さえできれば、それが真犯人がなくてもいい・・・
そんなことも抜かしてやがったな、この最低野郎は。
今回の松重豊さんの役は、ホンマにええとこなかった。
でもそれ以上なのが駿河太郎さん演じる社長。
パワハラ三昧、ってかふつーに暴力奮いまくり。
こんな糞野郎、今の時代いねーよってほどに最低過ぎ。
こんな役に名のある役者さん使わんでええんちゃう?w
あと気になってしまったのやが、里帆って無罪なの?
脱獄犯を匿ったうえ、逃亡の手助けまでしてる。
ってか里帆が邪魔しなければ警察は確実に逮捕できてた。
恋愛関係でもないのにそんな暴挙に出る男前な里帆。
それを呼び込んでるのは横浜の人柄と才能。
つくづく人間、最後は人間性なんよな~。
藤井監督の長編実写映画をいくつか観て来たが毎度作品のテーマが変わる...
藤井監督の長編実写映画をいくつか観て来たが毎度作品のテーマが変わる。毎度「藤井らしさ」があって今回も藤井道人の作品感が強烈に出てて、そして今作が今までの中で最高の出来だと思った。原作が良いのだろうが(読んではいない)監督の手腕と役者の演技と編集が素晴らしいのだろう。 なんか陳腐な感想を書いたが、実は「今作は配信まで待とうか」と考えていた。やはり映画館で観て良かった。 しかし吉岡里帆は2015年のドラマ「カルテット」の脇役で見た時「ただもんじゃない」と思ったが、今作でも魅せてくれた。
日本版『逃亡者』?、否、それを超えたかも!
2024年、松竹。 【監督】:藤井道人 【脚本】:小寺和久、藤井道人 【原作】:染井為人 主な配役 【逃亡中の殺人犯・鏑木慶一】:横浜流星 【野々村和也】:森本慎太郎 【安藤沙耶香】:吉岡里帆 【酒井舞】:山田杏奈 【刑事・又貫征吾】:山田孝之 【又貫の部下・井澄正平】:前田公輝 【模倣犯?・足利清人】:山中崇 【唯一の生存者・井尾由子】:原日出子 【又貫の上司・川田誠一】:松重豊 1.脚本が素晴らしい 原作の流れを汲みつつも、 登場人物の数や設定(背景)は、かなり変更が加えられている。 結果的には、これが大成功していると思う。 限られた上映時間の中で、原作の意図をキチンと表現できているのではないか。 逃亡生活を追う前半部(大阪と東京)を観て、 「これをあといくつ観なくちゃいけないのかな」 と、やや飽きてきはじめたタイミング、 そう、実に絶妙なタイミングで急展開し始める。 ◆警察に包囲される鏑木(横浜流星) ◆緊迫の突入シーン ◆又貫(山田孝之)との面会シーン ◆判決言い渡しのシーン 素晴らしい脚本、素晴らしい演出だった。 2.俳優たちの熱演が素晴らしい 主演の横浜流星はもちろんだが、 山田孝之、吉岡里帆、山田杏奈らの演技は作品全体の格調を高くしていた。 テレビドラマから始まった『逃亡者』は、 1993年にハリソン・フォードとトミー・リー・ジョーンズによって名作の仲間入りをし、 続編の製作やリメイクがおこなわれた。 本作は、日本版『逃亡者』かと思ったが、 本家を凌ぐほどの出来栄えといえる。 ☆5.0ではないのか?? 鏑木がいかにして、逃亡を続けられ、 ◆作業員やライターになれたかの描写が、少しは欲しかった ◆音楽が物足らなかった これをもって、☆4.5とさせていただきたい。 m(__)m
社会派映画としては少し違和感を感じたけど、まずまずかな
鏑木の死刑判決まで手際よすぎると思います。映画の中の回想シーンで、犯人の目撃者が1人いましたが、錯乱している状態で警察に通報できたのでしょうか?鏑木が殺害現場に来たとたん、すぐ警察が来ます。
警察が目撃者に鏑木が犯人かと問うと、うなずくだけで鏑木が犯人だと決めつけます。鏑木は「僕はやっていない❗️」と否定するのに。
もう1つに気になったのが、冒頭で鏑木は刑務所の中で吐血するのですが、命にかかわる危険な病気などにかかっていたのではなかったのですか?救急車の搬送中に、とても逃亡できるような状態ではなかったと思います。
横浜流星さんや山田孝之さんの演技は魂がこもっていて良かったです。
鏑木が逃亡中に出会う人々が温かく迎えるのは、鏑木が犯罪をする人柄ではないと感じたからでしょうね。
原作小説もぜひ
先に原作を読んで挑みました。
原作が大変面白かったので
少し期待せずに…(失礼)
原作の良さをしっかり残し
実写化にしっかり合わせた
見事な脚本だと思います。
原作ファンも大満足しませんか、これ。
原作では作者の染井為人氏があとがきで
鏑木慶一にその結末を詫びていたのが
とても印象的だったのですが
本作でそれが昇華されたように思いました。
小説の実写化で成功した作品は
個人的にとても少ないですが
これは文句なし。
山田孝之、横浜流星にしっかり
魅せられました。
真犯人の正体を暴いてよ警察!
公開前から観たくて観たくて、でも忙しくて、
やっと時間を捻出し鑑賞。
横浜流星はストイックに役に現実でなりきる人だから、殺人犯に現実でなりきることが出来ないのに役作りどうするんだろう?と心配していた。
そして、そうだ!だから横浜流星はやってないんだ!つまり冤罪逃亡者なんだ!と結論に至り鑑賞。
先に予想してしまっていたので、横浜流星の正体に怯えることなく、ひたすらに吉岡里帆の視点で見ていく。
養護施設で育っているから、守ってくれる人も、代わりに戦ってくれる家族もいない。
それでも、学生から死刑囚、死刑囚から逃亡犯となって、逃亡犯として初めて社会生活を味わった時、
どんな仕事でも周りの人に優しく、与えられた仕事以上を出す、逃亡犯として認知されてしまった「鏑木慶一」という名前の人物の、本当の姿が見えてくる。
関わったどの人も彼を悪く言わない。
殺人犯や逃亡犯が「正体」ではなく、
関わった人が感じ取った鏑木が、彼の「正体」。
下校中叫び声を聞いて、何事かと「失礼します」と家を覗いて、うめく人から左利きの手で鎌を抜いてあげた、その優しさが若い未来ある18歳の全てを変えてしまった。
友達ができ、お酒を飲み、外食して、恋をする、多くの若者にとって普通に味わえる成人の生き方全てを奪ってしまった、警察上位職の一存。
人の痛みに鈍い役に、松重豊。
1人でご飯を食べる孤独のグルメで映画が成り立つ俳優さん、私も好きだが、本作の役柄ばかりは許せない。
現場責任を取る刑事役に山田孝之。
どちらかと言うと逃げる側やとち狂う側が多かったような気がするが、キャリアを重ねて、幹部候補に載ってくるような責任ある刑事役がよく似合う。
横浜流星と対峙したら、世の多くは、もし彼が本当に殺人犯でも、騙されてしまうような気がするが、山田孝之は眼光鋭く疑惑の目をやめない。
司法の裁判が先に進み、先に死刑判決が出ているのが本当におかしな話だが、被告としての鏑木に動機は見つかっていないまま。
犯人を逃した事よりも、事件の衝撃で錯乱した被害者から無理やり言質を取り刑事として組織上位の意見の方を優先した事よりも、役割は捜査なんだから捜査をしておくれよ!
次の連続殺人が起きてから、「凶器が鎌だな、あ、あの時と似てる、模倣犯かな?」じゃないんだわ!
特に前田公輝。本質を見抜いてるぶって見えてない役がハマりすぎ。
それでも、真犯人と対峙し、進みゆく現実の事態から、山田孝之の目に映る鏑木の印象は少しずつ変わっていく。
若干の目の動き、眉の動きから、刑事の心情変化が伝わってきて、しっかりと、逃亡犯と向き合う刑事、の構図が成り立っていく。捜査に本気になるスピード、遅っ!ネット記事会社に情報を聞きに来るって、どれだけ怠慢なんだ!
真犯人の経歴から簡単に造園職と凶器は結び付いたはずなのに、そうすれば真犯人の存在アピールとも言うべき第二の犯行は起こらなかったかもしれないのに、眼力だけのとんだ間抜け刑事。こんなのが捜査担当になったせいで横浜流星が苦しんでいるじゃないか!と憤る。
でも、なぜ逃げたのかの質問に
「この世界をもう一度信じたかった。正しいことを正しいと言い信じて貰える世界。もっと生きたいと思った。」
と言われたら、刑事になった頃の正義感、再燃するはずだし、それは上司命令より勝るよね。
18歳が突然殺人死刑囚にされ、逃亡犯として自力で法律を学び、証拠集めしないといけない警察機能なんてどう考えてもおかしいし、お前何のためにいるんだよって存在になるもの。
勾留の面会室で、左に横浜流星、右に山田孝之の画は、弥生人と縄文人の対話に見えて面白かったが、若い鏑木が、稲作ではなく正義を人生をもって、刑事に教えた。その前から、撃ち殺して身柄確保できる場面で2度も仕留めなかったところから、鏑木が犯人と断定できる確信はなかったことがよくわかるのだが。信じる気持ちが少しでもあるのなら、検察じゃないんだから、仕事をちゃんとしてくれ!
警察の怠慢をよく知っている、弁護士の父親が痴漢冤罪で敗訴した記者役の吉岡里帆も、大々的に懸賞金をかけ連日報じられる鏑木と、会社に出入りするフリーライター那須くんに、確信はないがモヤモヤっと、あれ??と疑念を抱く演技が上手だった。見えない目撃者でも、真実に気付くまっすぐな女性を演じていて、本作もとても良かった。
森本慎太郎も、横浜流星と仲が良い平野紫耀の仲良しで、逃亡犯として鏑木が最初に働いた工事現場職の仲間にぴったりである。
鏑木を通して、ゴミだらけだった自室を片付け将来に向き合い、コミック本をくくって片付け、法律本や冤罪証明活動に向き合い始める。
もし鏑木がそのまま死刑になっていたら、養護施設を出て貧困から抜け出そうとするこの子の足掻く人生すらも、鏑木には与えられなかったと思うと恐ろしい。
精神を病んでしまった被害者から証言を得るために、被害者のいる介護施設に入り込み働いている鏑木も、同僚の若い子から好かれる程の人間的魅力があって。
逃げているから痩せ細っている横浜流星だが、だからか余計に関わる者の母性をくすぐる。
最後は結局、人間的な魅力が自分を救ってくれるのかな、という、当然で意外な、ご都合主義に見えてそういうものだよねと納得がいくような、人生の縮図を見たような作品。
「なんで俺だったんだろう」この世は赤の他人のテキトーな意見で、人の人生が簡単に書き換えられてしまう。こわい。
面会室の中で、冤罪を晴らそうとしてくれているメンバー1人1人と話す場面で、涙が止まらなかった。
死刑囚とは知らず、でも人間性に惹かれて好きになったら逃亡され、「もっと違う形で出会いたかったし、話したいことたくさんあるから早く出てきて」
という関係者の溢れ出す心の叫びが、それぞれの涙に溢れていて。
鏑木側は、そこまで信じて親身になって貰えた有り難みと、せっかく出会えて塀を隔てず話せた期間に、打ち明けたくても別人になりすますしかなかった、罪悪感と、正体を知られてから再会する気恥ずかしさが伝わってくる。
冤罪でどれだけのものを奪われるのか、世間の目に負けずに信じてくれる周りの人がどれだけ助けたくても、司法という障壁はどれだけ厚いことか。
その絶望と、痩せた横浜流星は、イエスキリストが十字架に架けられた時の姿となんだか重なった。
事件とは無関係の火傷。施設の生い立ち。他にも沢山傷付いて生きてきたのだろう。
出てから思いっきり陽の光を浴びて、人の温かさを沢山感じられる人生を謳歌してほしい。
もう左利きを隠す事なく。
テーマとして冤罪を扱うだけでなく、
冤罪関係者の心の機微まできちんと伝わるのは、
藤井監督と横浜流星の掛け合わせと、
良い俳優さんが結集しているから。
素晴らしい作品。
山田杏奈演じる介護施設の同僚の女の子の「自分からも周りからも逃げずに向き合うことにした」のあと、複雑で神妙な顔をして「僕は逃げてばかりだったけど」と言う鏑木くん、というか横浜流星と会話してみたい。
「おかえりなさい」「おつかれさまです」のような挨拶を、目を見てゆっくりと、優しく落ち着いて言う鏑木は、横浜流星が演じているから成り立っている。
鏑木の人物像は、横浜流星だからこそ築かれ、横浜流星だから作品の重みも人間味も喜怒哀楽を通り越した複雑で事細かな感情も、しっかりと可視化される素晴らしさ。
これからもずっとファンだし、私もゆっくり挨拶してみようかなと思った。
全てを握る真犯人の狂気の正体はわからずじまいだった。左利き、鎌、殺人、鼻水、ケーキ。。
恋人なったのかなってないのかだけ教えてくれ!!!!
フリーライター那須の時にどんだけの期間同居してどんだけ仲が進展したのか知りたい!
あそこのラブストーリー3時間見たい!!
でもよく知らない異性を部屋に上げちゃ駄目!!!!!!
良い映画だと思いますが、警察が今時珍しいレベルで無能でノイズになってしまう。
自分で整形したり無人島行ったりした実際の逃走犯がモデルなんでしょうが、あの有り余るエネルギーを逃走に全振りしたヤツでさえ、部屋囲まれて刑事と対峙したら捕まってたと思うのよ。
部屋の窓下に警察一人もいないとか指示系統どうなってるのよ。
無能通り越してゴミなのよ!!!!!
冤罪は悪がテーマらしかったようだし、冤罪と一緒に警察も丸ごと悪役にしちゃった感じですかね。
キャラクターも魅力的で話もよく出来ていて、最後の流れも良い。
最後の真実の開示の流れが良くてよい。
でも返り血がこんなに少ない人を犯人扱いはあまりにも無能!!!!!!
それで全ての説得力を失うレベルで無能!!!
MU★NO★U★!!!!
なのに新米デカの射撃エイムだけ有能なのがまたフィクションッッッ!
また見たい
冒頭からタイトルの出る短い間にすっかり引き込まれます。 彼の正体は? 彼はどうなるの? しんと静まり返った客席が、鏑木の行く末を固唾を飲んで見守っているあの空気感。 これが映画館で見るべき作品ということか!と思いました。 初見でも泣けたけれど、2回目のほうがより泣けた…なんなら、冒頭から既に涙腺が… 苦しくなる作品は苦手なのだけど、疾走感があるせいか、これは大丈夫でした。 変装そのものもだけれど、逃げ続ける月日の経過とともに姿勢や表情も変わっていく鏑木にも目が釘付け。 また見に行きたいのだけど、自分の予定との兼ね合いが難しくて。 でも、なんとか時間を見つけてまた見たいです。 映画のストーリーを目にしてから、不思議ともう一度見たくなります。 あと、読みごたえあるパンフレット! 買ってもちゃんと読まなそうで、買わないことも多いのですが珍しく購入。 そして端から端までくまなく読みました。 一時売り切れとか耳にしましたが、再入荷はされると思うのでおすすめです。
緩急が素晴らしい
観たかった映画の時間帯が合わず評価が高かったのでこちらの映画を観ました。CMから予想してたのはお涙頂戴のヒューマンドラマでしたが冒頭からミステリー感満載で逃亡シーン、関係者への聴取シーンが上手く組み合わされ一気に心掴まれました(笑) とにかく全てのシーンに緊迫感があってリアルでした。監督と脚本家素晴らしい、、、。 更に役者陣が本当に良かった。主演の横浜流星さんは顔は美しいのにとてつもなくリアルで凄かったです。吉岡里帆さんの演技がこれまた自然でいて本当の感情が伝わるとゆーか、良きでした。 個人的には森本慎太郎さんが素晴らしかった、、、元々CMでの森本慎太郎さんのシーンの1言が凄く良くて観るの決めたんですが、本編では数秒しかないシーンでびっくり。逃亡後に捕まって拘置所で面会するほんの僅かなシーンなのですが、とてもリアルで気持ちがのっていて涙が出ました、、、対する横浜流星さんの反応も自然でぐっときました。 多分このようなシーンをサラッとしか流さなかったからお涙頂戴だけの映画にならなかったのかも。 このシーンだけ観にもう一度行こうと思わせる位素晴らしいシーンでした。 エンディングが原作、ドラマ、映画で異なるそーで、映画はしっかりエンディングに向かってじわじわと感動を高めていくのですが、無音の中で主文が読まれ周囲が立ち上がってるであろう反応から無罪を勝ち取ったことがわかるとゆー緩急が素晴らしい演出でした。事後談などもなくそこでのエンドロールがまた余韻が残り良かった。 来週もう一度観に行こうと思います。
素晴らしい映画です
ここまでストーリーに命を吹き込められるなんて驚きました。強烈な人間力が描かれていて、単なる逃亡劇ではない芯のある複数のエピソードが紡がれたドラマのようにも思えました。俳優陣の力も引き出す監督力も素晴らしく感じ涙したほど、余韻の強い素晴らしい映画です。 横浜流星さんのお芝居がとにかく良かった。彼の代表作になるのではないでしょうか。
自分を持って正しく生きていく
人と人の繋がりを、人間の外面の汚さと内面の美しさで描いた作品。何を信じて何を大切にするか、すごく考えさせられる。勉強にしろ仕事にしろ、目標を持って周りとの関係性を築いていかなければならない。
他人事に思えなかった、冤罪事件!
袴田さん事件、村木さん事件、大河原化工機さん事件…冤罪は、分かっているだけだけだと言うこと。 警察の怖さが、ヒシヒシと伝わってきた作品です。 横浜流星さんの、真に迫った渾身の演技は、演技を超えた鏑木そのものでした。 明日を信じる力の大切さに、涙が止まりませんでした。
総合的にはとても良かったんだけど、 粗を探そうと思えばいくらでも見...
総合的にはとても良かったんだけど、 粗を探そうと思えばいくらでも見つかるような、 そういう意味で不思議な映画だった 吉岡里帆は叫び声がとても通るし声が割れない 良くも悪くも毎回叫ぶ役をしてもらいたい 山田孝之にはもう言うことなし、 表情だったり目だったりその空気感だったり、 それだけでひしひし気持ちが伝わってくる演技ができる人だと思い知った
全519件中、181~200件目を表示