「優しさは返ってくる。「7番房の奇跡」にも通ずる世界観。」正体 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
優しさは返ってくる。「7番房の奇跡」にも通ずる世界観。
ドラマは未視聴。
原作からの改変が、良い方向に働いている、珍しい成功例。
主人公鏑木の、多様にとんだ5人のキャラクター。横浜流星の見応えある演技。
生に対して貪欲で、必死で、普段から、死んだように生きている私のような人間には、眩しすぎるくらい。
逃走を続けていくうちに、主人公の体温が上がっていくというか、
接してきた人間たちとのやりとりから、熱を吸収していき、冷たい心が、熱を帯びて再生してく感じが良い。
もう一人の裏主役にあたる、刑事又貫(山田孝之)の、組織と個人の板挟み的葛藤も見どころの一つ。
以前「ステップ」という映画でも感じていたが、山田は、セリフの無い演技がずば抜けて上手い。
黙して語るというか、眼差しだけで感情を表したり、背中だけの描写で何かを感じさせる、そういう所が、
中年期に差し掛かる俳優として、一つ上のステージに上がったのを感じさせる。
人の見かけの顔は変われども、人の性根は変わらない。
「外見じゃなくて中身」とか言うけれど、中身の性根の良さに、気づいてくれる人がいる世界は、とても温かくて優しい。
優しくしてると、優しさは返ってくる。「7番房の奇跡」にも通ずるような世界観で、あちらのラストは半分報われ、半分報われない話だったが、
そういう優しい世界を信じたい、最後までそう信じたからこそ、こちらの主人公は救われ、報われたのかなと思った。
良かった演者
横浜流星
山田孝之
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