「君には未来を生きる権利がある」正体 Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
君には未来を生きる権利がある
年末、施設にいる高齢の母が体調不良で救急外来に連れて行き大事なかったものの、新春「ビーキーパー」1本観たら母がインフルエンザAに罹患し、付き添い、入院、面会等で評判だった映画も観られず。
1月16日(木)
母も無事退院したので施設から近いMOVIX川口でやっと「正体」を観る。
無実の罪で殺人罪、死刑宣告を受けた鏑木(横浜流星)は自傷し搬送される救急車から脱走する。
建設現場作業員、フリーライター、水産加工業者、介護施設職員と職を替えながらある目的のために逃亡を続ける。
高校生の時に冤罪で逮捕され3年後に死刑判決を受けた鏑木には就労経験が無いが、フリーライターを除けば人手不足で就労しやすい。家の近所の工事現場では外国人だらけ、母のいる介護施設の職員も外国人も含め良く変わっている。
それだけにフリーライターで採用された事の説明が欲しかった。
安藤(吉岡里帆)が父親の弁護士(田中哲司)が痴漢の冤罪で有罪になった事で鏑木の正体が判った時もやっていないと信じるのを補完する意味でも、最初のきっかけが何だったのかは重要だ。
私も映画に関するライターの仕事をバイトでやった事があるが、ライターの友人の紹介だった。いきなり出版社から依頼は来ない。何がきっかけだったのか。
安藤は、鏑木がやっていないと信じるから銃を向けた又貫(山田孝之)の腕にしがみつき鏑木を逃がす。「逃げて!」目があった鏑木の唇は「ありがとう」と動く。逃がしてもらえた事ではなく、信じてもらえた事への感謝だったと思う。本作のテーマは「信じる」
(しかし、東京都内であれだけの衆人環視の中、川に飛び込んで逃げ切るのは??ここが一番信じられない)
1960年代に「逃亡者」というTVドラマシリーズがあった。妻殺しの嫌疑がかけられ死刑を宣告された医師リチャード・キンブルが護送中の列車事故で脱走し、真犯人を探してあちこちの町で出会った人たちとの触れ合いを描いた。日本でもヒットした。4年に渡って放映され最終回の視聴率は米国で50.7%、日本でも31.8%だった(あ、これもTBSだ)。
これを元に逃げる医師キンブルをハリソン・フォード、追うジェラード警部をトミー・リー・ジョーンズで映画化したのが映画「逃亡者」(1993)である。追跡、捜査をする内に本当に真犯人なのかと思うようになる又貫は映画版のジェラード警部か。
本作もTVドラマ版があるらしい(未見)が、一部改変して映画向けの脚本にしてあるようだ。それがSNSによる証言のライブ配信で、その最中に署長命令で突入されて鏑木は右肩を撃たれる(鏑木は左利きなので一番ダメージが無い所)。そして又貫は上司の意向を無視し、記者会見で誤認逮捕の可能性に言及する。
ラスト、約3年後の鏑木の再審の判決言渡しのシーン、又貫や後藤も傍聴席で固唾を飲む中、裁判長の主文以降無音になる。しかし、法廷内の風景から無罪になったのが判る。「CODA あいのうた」の無音のような演出。
横浜流星と山田孝之は見事だった。特に上司の署長(松重豊)の理不尽な指示に従うしかない寡黙な刑事の苦悩が良く出ていたと思う。
本作も編集は見事である。また、長野や地方の風景を美しく撮るのも藤井作品か。
1年で二度藤井監督作品に泣かされた。
「青春18✕2 君へと続く道」「正体」と邦画マイベストを2本も撮った藤井監督、今度は公開されたら直ぐに観ます。
Mr.C.B.2さん、コメントありがとうございます。・-・
あら。時系列が逆でしたか。(記憶が怪しくなってマス)
すると確かに、フリーライターとして原稿を持ち込むに至る
きっかけについてのエピソードは欲しいかも、です。
もしかすると、そこで働き始めたきっかけに関する情報をカ
ットすることで「正体不明な感じ」を保とうとしたのかも。
そんな風にも思えてきました。
Mr.C.B.2さん、コメント有り難うございます。・_・
年末年始と大変だったようですが、母上様が回復されたのなら
何よりです。Mr.C.B.2さんもご自愛下さい。
>いきなり出版社から依頼は来ない。何がきっかけだったのか。
この辺りはまたに共感なのですが、もしかしたら
唯一の目撃者の妹に接近するために働いていた工場(?)で、
取材にきた雑誌編集者(宇野祥平)を知って接近したのかも。
そんな風に考えないと、仰るように「きっかけが無い」かと
いう気がしています。
さらに、介護施設の職員として働く為には「介護士の資格」が
必要だと思うのですが、本人が逃亡生活中に資格を収得してい
たとは思えず、どうやってその辺りをクリアしたのかも改めて
考えると不思議です。@-@ウーン
原作は読んでいない(※)のですが、その辺りについて書かれて
いるのかどうか。(※映画とは違うエンディングらしいので、今一
つ読書欲が涌いて来ませんでした…)
コメント失礼します
自分も同様にというか自身が入院だったけど公開してた最中だったので評判聞いてそろわそわしてました。
でなんとか間に合い鑑賞できて本当に良かったと思った作品でした。
信じてもらえた事に対しての『ありがとう』
ですね☝️
お母様大変でしたね。私も12月半ば風邪でしたが珍しく発熱しキツかったです。周りも体調不良の方が多く、今年は本当に感染症が流行ってますね。Mr.C.B.2さんもお気をつけて!