劇場公開日 2024年11月29日

「正直、観て良かった。」正体 Japanese_Idiotさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5正直、観て良かった。

2024年12月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

原作未読。

良かった。観て良かったです。失礼ながら横浜流星(オジサン世代は横浜と言えば銀蝿)という俳優さんを存じておりませんでしたが、素晴らしかったです。役柄そのものでした!

劇中、日を経るごとに徐々に活力を取り戻していくとても繊細な演技をされています。また、終始訥々とした口調が守ってあげたくなるというか、それこそが主人公そのものであり監督が意図した人物像だったんだろうと思います。

前半は主人公と交わる助演4人とのそれぞれのストーリーで進行します。それを山田孝之演じる担当刑事が狂言回し的な立ちどころとなり大きな物語へと紡いでいくのですが、そもそも主人公は若くして(18歳)殺人犯とされました。人間性は全くの未完成です。そんな何者でもない主人公が、関わり合う者たちからほんの少しづつ心の欠片を分け与えられ、自分を取り戻していこうとします。そして関わる者たちは、無垢で純粋な主人公とのふれあいで自分がとっくに無くしてしまっていた心の欠片に気づくのです。主人公の風体や場所柄がガラリと変わるので、それぞれをオムニバス・ストーリーのように捉えてみてもいいかもです。観劇中に中だるみを感じないのはその脚本構造のおかげでしょう。

特筆すべきは最終盤のシークエンスです。黒澤明監督「天国と地獄」のオマージュを用いて4つのお話が合わさりエンディングに向けてクレッシェンドを強めていきます。この頃には涙腺が崩壊。主人公のカタルシス、交わる4人それぞれのカタルシス、それらが終幕に向けフォルテシモで大きな鐘を打ち鳴らすのです。(勝手に天使が舞い降りてくるイメージがわきました)

追:
ツッコミどころもあるっちゃありました。でも映画作品は観て愉しむ(泣く)もの
ごちそうさまでしたm(_ _)m

俳優さん一言
横浜さん:素晴らしかった
吉岡さん:お人好しで正義感ある役柄。ハマり役
森本さん:大根と感じたのは演技でした。結果論として良かった
安奈さん:子供の殻を破れない役柄をピュアに演じた
山田さん:この若さで安定のいぶし銀。さすが

Japanese_Idiot