正体のレビュー・感想・評価
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彼の正体を知った時涙が止まらなかった
すごく良かった。横浜流星が良すぎた。 顔が綺麗な俳優さんって、その美しさが時にノイズになってしまったり、見た目の印象で何やっても同じ役に見えてしまったりすることが多いんだけども、横浜流星さんは役のたびに印象が変わって見える。 今作でもその役の人物を生きていて、鏑木という人物にしか見えなかった。 流浪の月の、あのクソ男と同一人物とは思えない。笑 横浜さんは役作りがストイックとテレビで聞いたことがあったけど、本当に深くまで掘り下げて演技されてるんだろうな…。 今回周りの俳優さんももれなく良くて、山田孝之さんは目の揺らぎだけで感情を表す演技は流石の一言だったし、吉岡里帆さんも過去一良かった。 話の内容は王道系の逃亡劇といえばそれまでだし、いやそんなんで逃げ切れる?とか、さすがにそれじゃ綺麗な顔は隠せないよ…。とか思ったりもしたけども、テンポがすごく良かったのと、蛇足もなく終わったのが良かった。 最後の畳み掛けのクライマックスは釘付けになったし、鏑木の逃げた理由がすごく刺さって、あのシーンは涙が止まらなかった。 正しいことを正しいと認められる、正義を信じることができる世の中で生きていきたいな。 そういう世界であってほしい。
横浜流星渾身の一作誕生!!今年一番のオススメの映画です♪
染井為人の同名ベストセラー小説を、「新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督が映画化。主演は2025年のNHK大河ドラマの主役にも抜擢され、今ノリに乗っている俳優横浜流星さん。これは、期待大で映画館へ足を運びましたよ。 イケメンすぎたり、個性が立ちすぎている俳優さんって、役の幅が狭まるというか、どんな役でもこなす演技派で認識されることは少し難しい気がします。どうしても端正すぎるお顔に目がいってしまうのです…。しかし横浜流星さんはこの作品で、そういった壁をひとつ乗り越えた気がしました。「5つの顔を持つ」逃亡犯という難しい役柄を、見事に丁寧に演じきっていたと思います。最初からラストまで、少しも見逃すことができない、渾身の演技に大注目です🧐その他、重要な役を演じていた、刑事役の山田孝之さん、吉岡里帆さん、とてもよかったです。久しぶりにおふざけなしの真面目なおふたりの演技にもう釘付けでした。お笑い封印です🥸SixTONESの森本慎太郎くん、いい味出してました。映画のいいスパイスになっていたと思います。私は原作を読んでいませんが、原作とは違うというラストにも大注目です。希望があります。 究極のところ、 おい!責任者(松重豊)でてこい!!てな話ですが、ネタバレになるので、やめておきます。本作はぜひ劇場でじっくり味わって欲しい、2024年通してイチオシの映画でございます。ここにきて本年度アカデミー賞有力候補が現れました。横浜流星くん、そろそろ主演男優賞とらせてあげたいなぁ、なんて個人的には思っちゃいますがどうなることでしょう。とりあえずもう一回じっくり観に行きます。そして、原作も読んでみたいと思います。 今年★5をつけた作品は、本作品を入れてここまで4本。 「あまろっく」 「ゲゲゲの鬼太郎 真生版」 「キングダム 大将軍の帰還」 「正体」 今年もあとひと月で終わりですね。 いい映画に出会えて幸せです🤭 映画って ほんとにいいでものですね💕 (水野晴郎風に) 知らんね…😅 さよなら、さよなら、さよなら🎬 (淀川長治風に) これも、しらんかね…🙄
原作をブラッシュアップした映像化作品の成功例
横浜流星主演の原作付き作品ということで気合が入り、公開日を聞いた時期に染井為人の原作を読んだ上で観に行った。
(原作の内容と結末にも触れる感想になるので、これから原作を読みたい方はご注意ください)
最近キャスティングの上手い邦画が増えてきた気がして何だか嬉しい。特に、実力とビジュアルで鏑木役に横浜流星以上の適任はいないのではないだろうか。ビジュアルというのは、原作の鏑木もくっきりとした二重に通った鼻梁、ネットで写真を見た舞(映画では酒井杏奈)に「わりとイケメンじゃん」と思わせる容貌だからだ。
そんな彼が、背中を丸めたベンゾーからおだやかな佇まいの桜井まで、七変化ならぬ五変化の姿を演じる様は見応えがあった。逃亡中、世を忍んだ生活でほとんど喜怒哀楽をあらわにしなかった彼が、沙耶香(吉岡里帆)の言葉に泣き、井尾(原日出子)と対峙して感情をほとばしらせる姿には胸が詰まった。
他のメインキャストのジャンプこと和也(森本慎太郎)、又貫(山田孝之)、舞や沙耶香に関しても置かれた環境や心情が過不足なく描写されており、彼らの鏑木との出会いが終盤に集約されていく展開を、限られた時間の中で自然に見せていたように思う。
原作からの変更部分も、よい改変が多かった。
一番驚いたのは、鏑木が死ななかったことだ。原作では、介護施設に立て篭もった鏑木は警官に撃たれて死ぬ。死後にかつて彼と出会った人々が集まって、裁判で名誉を回復するというラストだ。冤罪の理不尽さを描こうという意図は伝わってくるが、あまりに救いがない。
また、原作では鏑木を追い詰めるただの敵対者のようだった又貫が、組織の論理と個人的な良心の板挟みになる人物として描かれていたのもよかった。社会的権力を持つ組織の問題を描く時、その中にいる個人を単純に悪魔化してステレオタイプの批判的描写をしても意味がないと常々思う。組織の構造にスポットを当てる必要がある。本作では松重豊がその説明役を担っていた。
終盤に又貫が組織の意向に逆らい再捜査を宣言する場面は、ラストの無罪判決と並んで希望を感じさせるシーンになっていた。
沙耶香は父淳二の痴漢冤罪と闘っている設定だったが、原作では沙耶香と淳二は赤の他人だ。別の時期に鏑木が遭遇した2つのエピソードを映画ではひとつにまとめた形になるが、これはとてもよいアレンジだと思った。
原作の沙耶香は、映画と同じくライターの那須を自宅に住まわせ、彼が鏑木であると察してもなお彼を守るが、その動機が知り合って数ヶ月の那須への好意や恋愛感情以外に見当たらず、犯人隠匿という危険を犯すには弱いような気がしていた。
それが、淳二を父親にして冤罪の理不尽さと向き合っている人物にすることで、彼女の行動の説得力が格段に増した。
この改変、なんと吉岡里帆のアイディアだという。吉岡里帆すごい。
改変「されなくて」ちょっと残念だった部分もあった。
鏑木が現場で逮捕された時の状況はほぼ原作通りの描写なのだが、特殊な状況すぎてちょっともやもやしてしまう。
それなりに分別あるだろう高校3年生が、室内が血の海とわかっても通報せず入っていくのか? 足利(山中崇)は涎垂らして血まみれのまま出ていく感じだったけど、そんな犯人が全く指紋や足跡を残してない、目撃者も全くないなんてあり得るのか? などなど(他にも言いたいが省略)。
警官現着時に現場で鎌持って血まみれになってたけど犯人ではありません、という超レアケースで冤罪の理不尽さを語るのは適切なのか疑問に思った。
原作では鏑木が現場を通りかかった理由など、さらに不自然な説明がなされていて、悪の組織警察が色々と握りつぶしたことになっていて萎えてしまったのだが、その辺の細部を省いて映像の力で押し切ったのはよかった。
また、事件の設定などの惜しい部分を横浜流星の熱演がカバーしていた。原作の鏑木はあまりにただの善人で実在感がなかったのだが、映画で生きた鏑木を感じられたのは彼のおかげだと思う。
原作の残念ポイントを緩和したこと、鏑木や沙耶香に関する効果的な改変で、個人的には非常によい原作映画化作品だった。星の数は、原作由来の不満点を除いて、脚色の妙と俳優陣の素晴らしさで多めに付けた。
原作についてちょっときつめに書いてしまったが、鏑木を狂言回しにしたオムニバス小説としてはさくさく読めて十分面白い作品。冤罪問題を真剣に考えるたたき台としては物足りないが、エンタメとしてはお勧め。
生き直す、逃亡者
「青の帰り道」の気持ちのすれ違い、「新聞記者」の組織の冷酷さ、「余命十年」のまっすぐなあたたかみ…挙げ出すときりがない。つくづく、藤井監督の魅力の結晶が凝縮された作品だった。 なりふり構わず脱獄し、居場所や風貌を変え、逃亡を続ける主人公。逃亡ものは、追う者と追われる者の攻防戦となりやすい。ところが本作は、逃亡者をあっさりと視界から追いやる者、得体が知れず恐れる者に加え、「なぜ逃げるのだろう」と立ち止まる者が現れることで、前のめりになりがちな観る者をとどめ、ゆっくりと揺さぶりを掛ける。 養護施設で育ち、高校生で拘束された彼は、逃亡してはじめて、世の中を知る。建設現場のパートは、さだめしホラー。接触する若者とシンクロし、彼の底知れぬ闇に触れたようで、身が凍る思いをした。一方で彼は、初めてお酒というものを飲み、友達になろうと誘われる稀有な体験もする。 そこから一変、下請けライターとなった彼は、透明感を増していた。もがきつつ闇から浮上した彼は、「信じる」と言ってくれる存在に出会い、スポンジが水を吸うように、瑞々しい感情を次々におぼえていく。ああ、まるで小さな子どもが成長し、さまざまな体験を経て感情を豊かにしていくようだ、と思い、引き攣りこわばった心が、少し緩んだ。 さらに雪深い街に流れ着き、介護職に就いた彼は、周りに慕われ、頼られる存在になる。彼に憧れを抱く彼女は、かつて真逆の感情を持っていた。そんな皮肉に打ちのめされるのは、日々のニュースを聞き流し、眺めているだけになりがちな、私たち自身でもあるかもしれない。 一方、感情を全く出さずに押し殺し、執拗に彼を追う刑事(山田孝之)も強烈だ。主人公や彼に関わる人々が揺れ動く中で、刑事だけはぶれることなく対峙し続ける。本作の軸となっている彼が、ふっと感情をにじませる瞬間が忘れがたい。 ラスト、彼と最も心を通わせたであろうライターの表情が、大きく映し出される。静寂の中、彼女の表情が少しずつ、そして大きく変化する、そのうねり。いくらでも盛り上げようがあるくだりで、あえての描写はさすが!と、心の中で快哉した。 熱にうかされたのち、少しずつ日常に戻りながら本作を思い返すたび、近しい人の「正体」、さらには自分自身の「正体」について、ふと考えずにはいられない。
日本アカデミー賞最有力候補作級の横浜流星の演技が光る、地頭が良い死刑囚の決死の逃亡劇。
凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた主人公が、決死の逃走をするところから始まる映画。 転々と場所を変え潜伏する主人公は、その都度「別人」になりすます。それらの行動は一見すると❝その場しのぎ❞ですが、見えてくるのは主人公の自頭の良さ。それにつれ、主人公の行動における必然性のようなものも見え隠れしてきます。 そして、それぞれの現場で出会った人たちとのやり取りにおいて主人公の人となりも見えてきます。 “5つの顔”を演じ分ける主人公を横浜流星が演じていますが、見事に演じ分けていると思います。強いて言えば、変装のバリエーションにも限界はあって、特にマスコミの現場における潜伏時は、周りの人間が当該「事件」を探っているので「これは瞬時に見破られるのでは?」という疑問はありました。 ただ、これは「人による」というのが正解なのでしょう。実際に「瞬時に見破る人間」も描かれているので、リアリティーは担保されていると言えそうです。 逃亡者をメインに描きながらも、山田孝之が扮する担当刑事も重要な存在になっています。本作で特筆すべきは、バディを組んでいる部下とのやり取りが物語の構成上、非常に上手く機能している点です。 部下の素朴な疑問を通して状況を整理したり、物語のカギを握る担当刑事の葛藤を、部下の行動との対比によって見事に描き切っているのです。 全体の構成は、4つの潜伏先でのシーンは均等ではなく、大胆に物語の重要度で分けているのは観客への配慮として望ましいです。 また説明のあるシーンと自分自身で読み解くシーンが分かれているので、繰り返し見ることで、より深く全容を読み解けるようにもなっています。 演者と制作陣の力強い熱量が感じられ、日本アカデミー賞の行方と共に注目しておきたい作品です。
役者陣の熱演が素晴らしい
観よう観ようと思いながらも出遅れ、評価が高いので是非劇場でと観賞。結果… もっと早く観ればよかった(泣) 主演の横浜流星さんは勿論、山田杏奈さんや宇野祥平さん、西田尚美さんのバイプレーヤーが良かった。その中でも吉岡里帆さんのさりげない演技は特に素晴らしかった。良い俳優になりましたね。助演女優賞も納得です。 横浜流星×藤井道人監督と言えば「ヴィレッジ」を思い浮かべるのですが今作はそれを超えています。もっともっと二人の作品を観たいですね。そして「正体」という作品も突き詰めたいのでWOWOW版ドラマもチェックしたいと思います。
法というしがらみ
こ、これはすごい...。 藤井道人監督、今年凄いです。「青春18×2」に引き続き、超高品質なヒューマンドラマを日本中に届けてくれた。映画ファンもうなる大傑作。サスペンスの皮を被ったこの作りに、不覚にも圧倒されてしまう。 面白い!最高だ!と周りから激推しされながらの鑑賞だったのにも関わらず、想像を遥かに上回る大感動。口では多くを語らず、息を飲む映像美で観客に伝える藤井監督特有のスタイルに、いつだって魅了されてしまう。あぁ、最高だ。大好きだ。間違いなく日本でいちばん好きな映画監督。なんでこんなにバンバン傑作を生み出せるんだよ。。。 役者の気迫にノックアウト。 みんな言葉にならないほど素晴らしくて、シンプルに監督の人物描写がうますぎるというのもあるんだろうけど、登場してから一瞬でその人物に引き込まれてしまうし、キャラクターの境遇がこの映画のメッセージとブレることなく合致していて、定期的に心がぐちゃぐちゃになってしまう。 みんなすごく人間的で劇映画にありがちな偽善者ぽさが全くないから、自分が同じ状況に立ったらどうするだろうと、見ている側は想像力を働かせてしまう。とてもスクリーンの向こう側の話とは思えない。他人事に感じられない、というのがこの映画のすごいところ。 思い返してよーく考えてみればツッコミどころもあるんだけど、それを考えさせる隙を与えないというのが本当によくできてる。他の映画では味わえない、ただならぬ説得力がこの映画にはあるもんだから、メッセージの重みが段違い。セリフの言い回しも秀逸だし、いい意味で映画を見ているように感じない。言葉に魂が宿っている。 それも、横浜流星、吉岡里帆、森本慎太郎、山田杏奈と今をときめく日本映画を牽引する若手俳優が演じているもんだから、胸に刺さる刺さる。影で支える山田孝之を加えた5人に感嘆するばかり。なかでも主演の横浜流星。もう、とんでもないところまで来たな。演技という域を超えた表現技法。えぐい。 ストーリー展開も次から次へと軽やかに進んでいくのではなく、しっかりひとつひとつ丁寧に、余すことなく描ききっているのがものすごく好感をもてる。映画というエンターテインメントではあるんだけど、面白いだけで終わらせない、最後までやり遂げるという作り手の意地みたいなものを強く感じる。 死刑判決を受けた1人の男の逃亡劇を描いた作品ではあるんだけど、それを通して様々な社会問題に切り込みを入れており、とても身近な話ばかりであるため、本筋とは別に色々と考えさせられる。一筋縄ではいかないこの構成が、作品にグッと深みをもたらしている。名誉が一瞬にして消え去る。SNSがある現代最大の恐怖。言葉は武器になる。。。 出来るだけなんの情報もなしに鑑賞して欲しい。いまを生きる人々に送る映画だと思うし、今後とも語り継がれる傑作だとも思う。「青春18×2」がスゴすぎたばっかりに、この程度の点数にならざるを得なかったけど、今年を代表するといっても過言では無い作品だった。 横浜流星×藤井道人。何度もタッグを組んできたけど、間違いなく本作がベスト。ぜひともまた一緒に映画を作ってください。さて、未発表の監督次回作はどんなものになるのかな...?
女子なら安堵するエンディング ちょっとまとまり過ぎたかなぁ〜
とにかく女性の観客が多かったなぁ。あまり流行りに疎い私にはその時「何でこんなシビアな内容なのに・・」と思ったが、「こういうことか〜」と話が進むにつれわかりましたよ。横浜流星さんの影響ですね。でも良かったですよ。脚本は最後の方は要らない気がしました。刑事に撃たれてそのままエンディングを迎えた方が深みが出るような・・生きていたとしても判定は覆されない結末でやり切れない気持ちで終わる方が私的には好きなのですが、流星ファンの気持ちからすると、あの判定の笑顔で満足でしょう。
原作未読でWOWOW版のドラマは見ていました。
WOWOW版の半分の時間ということでちょっと心配していましたが、違和感なくまとめた感じがします。
宗教がらみのところがカットされていて、舞ちゃんとの絡みもちょっと減らされていた感じかな。WOWOW版だと明確に舞ちゃんに対して好きな人がいるって話をしていたし。
ただWOWOW版の堀田真由ちゃんは可愛すぎて、私なら・・・。
あとドラマ版だと最初の所は、110番したけど結局裏切れなくってそのまま電話を切っていたような記憶ですが・・・。
原作側の終わり方は情報としてみましたが、ドラマ版や映画版の終わり方のほうがモヤモヤしなかったかもね。
きれいごとと言われればきれいごとなんだけど。
あと元々の事件以外の罪状がついていると思うけど、そのあたりはどうなるんだ・・・とかはまあ蛇足でしょう。
吉岡さんもうすぐ32歳なのか・・・相変わらず可愛らしい。
タイミング的にNetflix版と比較してしまうが…
公開前にNetflixで同じ原作の作品が配信されていた。 時間の都合もあるが、それと比べると出会う人数が少なかった。 しかし、その分Netflix版よりも人物の心情に寄り添った描写が多く、Netflix版で不完全燃焼だった部分が解消された気分。 最初の数分の衝撃で、一気に引き込まれてしまった… 藤井流星さんがとにかく素晴らしかったです! 若手俳優さんによくある、「イケメンキラキラ青春/憧れ枠」という印象しか持っていなかったが、ひっくり返った。 あと、森本慎太郎さん。 芸歴は長くとも、比較的若めのアイドルさん。 あの事務所にこんな演技をされる、体を張られる方がいらっしゃるとは… アイドルという色眼鏡抜きにしても素晴らしかったです。 個人的には横顔を1shotで捉える時の上手下手にすごく泣かされました。
横浜流星が冴えてる
横浜流星が熱演!まさにその通りの映画。 逃亡生活を追うドキュメンタリーのようでもあり、逃亡先の人々として出演している方々もとても良かった。森本慎太郎はいつも適役を貰っているなと思うが今回も適役でいい演技だった。 主役や彼に携わる事になる複数の人物の誰かに共感するとかは無かったけれどなんか面白かった。 それはやはり横浜流星の熱演によるものだと思う。
警察がもうちょっとマトモに描かれていれば
演技もストーリー展開も非常に高品質でしたが、警察がいくらなんでも間抜け過ぎやしませんか? 山田孝之の演技だけではさすがに誤魔化せてないというか… まぁ、それでも常に緊張感漂う、楽しめる一本ではありました。
正しき行動
見応えあった。
18歳の少年が冤罪により死刑判決を受ける。
その根拠が、精神錯乱状態の目撃者の証言と警察上層部の思惑だ。
松重さんがめちゃくちゃいい仕事してくれてた。
おそらくならば年に数万件起こる事件の1つで、組織としてはどの案件に対しても時間を割きたくないってのは本音なのだろう。
ただ、僕らは数万分の1の人生など歩んではいないし、人生を謳歌してもいない少年が国家によって殺される謂れはないと思われる。
この、ある瞬間から世間と隔離された少年を横浜氏は熱演してた。
純真で臆病で孤独で、何も戦う術を知らない心優しき少年だったと思う。
彼は脱獄し逃亡した理由を「正しき世界だと信じたかったから」と言った。
ファンタジーだとは思う。
正しき世界は推奨はされるものの容認はされないものだと思われる。作中同様、正しき事より都合が優先される。ただ…足掻く事は出来るんじゃないかと思う。
正しくない世界で正しく生きようとする為に。
今作においても発端は「発言」だ。
状況や立場は異なるも、それが何に由来してるかで未来は変わる。鏑木がそうであるように、彼は僕ら自身が置かれている境遇の極端な一例である。
風評や噂、思い込みで真実は変わるし揺らぐ。
作中、マスコミの報道が度々流れる。それを視聴する市民の反応は御多分に洩れず一律だ。
当然だと思う。
アカの他人だ。
いい人だろうと悪い人だろうと関わりがない。
報道の真偽に関しての興味など湧く訳がなく、公の機関が貼り付けたレッテルに疑問を抱く事もない。
たぶんコレは日常的に起こりうる。
その本質よりも発信した誰かとの信頼度に委ねられる。非対面故に起こりうる事だ。
今作は「対面」による交流を色濃く描く。
見も知らない誰かを知る事の大切さ、でもある。
その本質は偏見や先入観に左右される事なく、ある程度は肌で感じないと分からないのだ。
SNSとかで声高にに主張する個人の主観に踊らされる程愚かな事はない。
本作のメッセージはまさにソコにあるのではないかと思われる。誰かの価値観に追随する事の愚かさを描いているように思う。
流布された印象を疑わない大衆と、目の当たりにした人達の印象の差。
その差は人1人の命をも左右する。
そんな時代にもう突入している自覚を持たねばと思う。
だけど、自分も含め人は嘘をつく。そして騙された経験がない人は皆無だろうと思う。
偏見や先入観をもつ事はある種の防衛本能でもある。その人の本質よりも自分達の方が大事なのは自明の理であるが、その天秤が常に付き纏う事も忘れてはならないのだと思う。
本作ではそういう現代が陥っている脅威と共に、人間の内面的な普遍性のあるテーマが上手く融合していると思われる。
アクションの面においても、ベランダから飛び降りた鏑木が、川にダイブするまでを1カット風に描く事に見事に成功している。
アクセントとして申し分ないし、自分を封じ込めようとする社会を振り切って必死に逃亡する主人公の心理を見事に表していたと思える。
惜しむらくは、痴漢の冤罪から立ち直ったであろう父親のエピソードが足りなかった事と、裁判で孤児院の院長のカットがなかった事だ。
鏑木にとっては母親同然なんじゃなかろうかと思う。あの編集だと鏑木はその存在に目もくれてないように思えてしまう…鏑木的に重要な人なのに、作品的には重要ではないのだろうな。介護施設の同僚よりは遥かに深い繋がりのはずなのに…残念だ。
疑問なのは、刑事と鏑木の面会がどのタイミングだったのだろうかと、ふと思う。
おそらくは会見の前で、鏑木との面会を通して、上層部の意向を無視し再捜査を発表したのだと思うのだけれど、そうであるなら鏑木の態度が不可解に思う。
なぜあんなに晴れやかで、刑事に対し感情が180度変わったのだろう?
「何を話しても信じてくれないだろう」
包丁を突きつけた時の感情は、再逮捕された時も変わってないんじゃいかと思う。
彼と刑事がなんらかの邂逅があったシーンもなかった。編集上は鏑木との面会は分断されていたので流れを損なう事はなかったのだけれど、少し気にかかる。
後は…その後の又貫の行動が気になる。
彼は冤罪が確定した後、真実を彼に話すのであろうか?
実質的に彼を犯罪者に仕立てあげたのは又貫だ。
上層部の意向に逆らわず、錯乱する被害者から言質をとった。その内情を全て知る又貫は、彼に何を語るのだろうか?
それともやはり語れはしないんだろうか。
方向転換したとはいえ、鏑木を処刑台に送る先鋒を務めていたのは間違いない。
彼をすんでのとこで正しき行動に導いた彼の良心はどんな決断を下すのだろう。
…そう、組織に良心などはない。
あるのは滞りなく業務を遂行する為のシステムだ。個人の良心はこのシステムに踏み躙られる。
また良心の呵責があったとしても、それを英断にすり替える文法や理念も装備し、同僚や上司という共犯者にも事欠かない。一連托生な構造。
又貫はその良心を潰させなかった。
つまりは、この正しくない世界は個人の良心によって是正する事もできる。
でも、その良心を屈服させるシガラミや都合は魑魅魍魎の如く溢れているのが現状だ。
ただ1つ。
人の命を左右する局面においては、正しき行動がとれる勇気を持っていたいと思う。
SNSで誹謗中傷を繰り返す輩に言ってる。
肩書きに乗せられて賛同する輩に言ってる。
長い物に巻かれ過ぎて麻痺している輩に言ってる。
鏑木になってから気づいても遅いし、鏑木を作る側に立っているのは間違いだと思う。
自分の目で見て感じたものを、まずは吟味するべきだと思われる。
終盤、沙耶香が彼の名を呼ぶ。
「鏑木慶一くん」
その一言に涙する。
黒澤明監督映画…的な…
黒澤明映画の「天国と地獄」の様なヒューマンドラマ。 ただし「天国と地獄」は、犯罪の実行犯として確定で、最初から「冤罪」は 無いということが、この作品とは違う。 決して娯楽映画では終わらない、見終わった後に心に「ズンッ!!」と 重いモノを残して終わる。 つまり、TVドラマの2時間ミステリーの様な、真犯人が逮捕されたから めでたしめでたし…では終わらないこと。 しかし、大衆はTVドラマで高視聴率を取る、イケメンや美女の俳優を求め 分かりやすい、ハッピーエンドを要求する… 地上波TVドラマの様な、無料で見て楽しむだけでなく、こういった 「重厚なヒューマンドラマ」を、劇場で金を払って、たまには 御観覧ください… 最後はネタバレになるので詳しくは書けませんが、真実のラストは 御自身で確認してください。
全516件中、1~20件目を表示