「悪意なき圧迫、そして不可避の終焉」入国審査 日本年金機構さんの映画レビュー(感想・評価)
悪意なき圧迫、そして不可避の終焉
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わずか77分で観客を極限の緊張状態に閉じ込めるサスペンス。舞台は空港の別室。カップルが入国審査で突然呼び止められ、理由も告げられぬまま尋問が始まる。息の詰まる密室劇は、制度と個人の力関係を直感的に体感させ、「自分にも起こり得る」リアリティが恐怖に変わる。
印象的なのは、入国審査官が単なる悪役ではないこと。彼らには水際でテロや犯罪を防ぐ使命があり、誇りを持って相手を極限まで追い込む。その姿は制度の冷徹さと職務倫理が交錯する場所を象徴しています。
この物語の焦点は「真実か否か」よりも、圧倒的な権力の前で人間関係がどう壊れていくかという点にあります。救済も説明もない終幕は、現実の制度の冷たさを突き付けながら、なぜか妙に潔く、観客に不思議な満足感を残します。短尺ながら余韻は長く、観終えた後も考えさせられる傑作であると感じました。
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オパーリンブルーさんのコメント
2025年8月14日
簡潔で的確なレビューですね
審査官は別に二人の関係をどうこうするつもりはなく、入国者の適格性を審査する仕事をしているだけ…
何度も読み直しては、納得しております
フォローさせて頂きますね
その後の二人がどうしたのか
マイアミ行きの飛行機はもう乗れないでしょうから、チケット取り直ししないとですね
二人の行く末については何のフォローもしないところも、この映画のユニークなところですね
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