「さなティックユニバースなので、『ミンナのウタ』は観ておいた方が良いと思う」あのコはだぁれ? Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
さなティックユニバースなので、『ミンナのウタ』は観ておいた方が良いと思う
2024.7.23 イオンシネマ京都桂川
2024年の日本映画(107分、G)
いないはずの生徒に翻弄される女教師と生徒を描いたホラー映画
監督は清水崇
脚本は角田ルミ&清水崇
物語の舞台は、地方のとある中学校
補習を任されることになった臨時教師のほのか(渋谷凪咲)は、6人の生徒を受け持つことになった
だが、補習が始まって間もない頃、ほのかは向かい側の校舎の隅に人が倒れているのを見つけてしまう
慌てて駆け寄るものの、そこには誰もおらず、代わりに補習を受けていた生徒・小日向まり(今森茉那)が屋上から叫んでいた
そして、いきなり投身自殺を図って死んでしまう
何が起こったかわからずに呆然としていたほのかだったが、校長の川松(今井あずさ、若年期:堀桃子)から、かつて32年前にも同じ場所から落下事故があったと聞かされる
犠牲者は糸井茂美(南山莉來)で、現場には補習生徒の三浦瞳(早瀬憩)の母・唯(大原正子、中学時代:田口音羽)と、前川タケル(山時聡真)の母・妙子(伊藤麻実子、中学時代:シダヒナノ)、そして高谷さな(穂紫朋子)の3人だった
物語は、32年前の落下事故の因果が巡るもので、事故はさなが茂美を落としたものだった
助けようとしたが助けられなかったと唯と妙子は思っていたが、実際にはさなが手を振り解いて落としていた
そして彼女は、魂の声として「死ぬ間際の声」をカセットテープに録音して集めていたことがわかる
川松は教え子の権田(マキタスポーツ)の元を訪ね、カセットテープの正体を尋ねる
権田は関わりを持ちたくないと言うものの、そのテープには、まりの死の瞬間の音が録音されていた
さらに、赴任直前に事故に遭ったほのかの恋人・悠馬(染谷将太)の事故時の音声も残っていて、不穏な関係性が仄めかされるのである
映画は、『ミンナのウタ』の続編のような作品で、前作にて両親に自分を殺させたさなが32年後に悪霊として学校に残っている様子が描かれていく
前作を観ていないとわからないと言うことはないが、観ていたら「あったね、こんなシーン」という感じのサプライズになっている
そして、さなの弟が悠馬(白鳥廉)であり、彼が施設に送られたのは、さなによる所業が原因だったと明かされる
この地続きが解明される流れになっていて、それを楽しむためには前作の鑑賞は必須だろうか
本作を鑑賞後に観ても問題ないと思われるが、前作は主演がアイドルだからか、さなが随分と大人しく思えてしまうかもしれません
いずれにせよ、最近流行りの怖くないジャパンホラーで、使い古されたネタをさらにこねくり回している印象がある
絵作りの不気味さとか、イヤミスっぽいラストは良いと思うが、さながとんとんして殺したように見える赤ん坊(弟)が普通に生まれていたのは辻褄を合わせないとダメだろうと思う
おそらくは、さなの死後、尊属殺人で捕まった母が出産をして、それを育てられないと判断されて施設に送られたのだと思うが、そのあたりの解説がイマイチだったかなあと思った