ハロルド・フライのまさかの旅立ちのレビュー・感想・評価
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24-061
主人公はハロルドなのか?ハロルドの行為で起こる事
心に深い傷を負った孤独な老男性の物語
何かを成し遂げる事
主人公ハロルドが800km歩いてイギリス縦断してかつての同僚に手紙を手渡すロードムービー
明るい作品かと思っていたらこれがなかなか重め
ポストに投函するはずの手紙をふと思い立った感じで妻にも言わず歩き出すハロルド
妻からしたらかなりショック
でも何も持たずひたすら歩くハロルド
道中いろんな出会いもあるけど、歩く事が今まで自分がずっと抱えてきた後悔と向き合う時間になったようでした
「自分は何も成し遂げていない」、そんなふうに思う人は多いのかもしれません
やりたい事、やらなければいけないと思う事
それをやろうとチャレンジするのはとっても大切だし、私も何か成し遂げたい
重い作品ではあったけど、暖かい気持ちになるラストに涙、カフェでのハロルドの気持ちが溢れたシーンは本当に切なくて涙ポロポロ
ハロルドとモーリーン夫妻を演じられたお二人、すごく良い感じに歳を重ねられた感じで演技もナチュラルで素晴らしい俳優さんでした
キラキラした光、イギリスの田舎の街並み、ステキでした
中盤はジーンと来るが、最初と最後が…。奥さんが見どころでした。
小説の邦題のままかも。
必要な施しと過剰な応援との間にある温度差とは何だろうか
2024.6.10 字幕 MOVIX京都
2022年のイギリス映画(108分、G)
原作はレイチェル・ジョイスの小説『ハロルド・フライのまさかの旅立ち(The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry)』
旧友に言葉を伝えるためにイギリスを縦断する老人を描いたロードムービー
監督はヘティ・マクドナルド
脚本はレイチェル・ジョイス
原題の『The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry』は、「ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅」という意味
物語の舞台は、イギリス南部のキングスブリッジ
そこに妻モーリーン(ペネロープ・ウィルソン)と住む高齢のハロルド・フライ(ジム・ブロードベンド)は、数十年前に交流のあったクイーニー(リンダ・バセット)から手紙をもらった
差出元はイギリス北部にあるホスピスからで、彼女はそこで予後を過ごしているという
ハロルドは何を書いてよいのかわからず、妻は「思いついたことを書けばよい」と素っ気ない
とりあえず手紙の体裁だけを整えたハロルドは、その手紙をポストに入れようと思っては辞めるという行動を繰り返して、とうとう町の郵便局まで来てしまった
一息つこうと、向かいの雑貨店に入ったハロルドは、そこにいた青い髪の店員(ニーナ・シン)から「祖母の話」を聞かされる
ハロルドは何かを思い立ち、ホスピスに電話をかけて、「ハロルド・フライが今からそこに行くと伝えてくれ」と言って、何の用意もせずに歩き始めた
妻に連絡をいれるものの、「800キロを歩く」という意味のわからない申し出にあきれ返られてしまう
だが、妻とクイーニーにはある過去があり、夫に捨てられるのではないかと畏れてしまうのである
映画は、ハロルドの無謀な挑戦を描き、その道中でたくさんの人に助けられて「歩いていく」様子が描かれる
カフェで身の上話を聞かされたり、牧場で亡き夫の話を聞かされたりする中で、ある男が写真を撮ったことで、SNS上でバズってしまう
ヤク中の若者ウィルフ(ダニエル・フロッグソン)が「一緒に歩く」と言い出したり、ヒッピーの集団に囲まれたり、挙句の果てには「巡礼Tシャツ」を作って一大ツアー状態になってしまう
そして、旅の速度は落ち、当初の予定が大幅にズレてしまうのである
物語は、闊歩するハロルドと対象的に、気が気でないモーリーンの様子が描かれていく
かつて、クイーニーは町を出るときにハロルドに会いに来ていたが、モーリーンが会わせなかった
さらに彼女から預かった伝言を今もなお伝えていなかった
モーリーンはハロルドとクイーニーが不倫関係にあると思い込んでいたのだが、実際には「息子デヴィッド(10代:ブラッグストン・コロディー、成人期:アール・ケイプ)の死の際に荒れたハロルドの失態を被った」ことで、彼女は会社を辞めるハメになっていた
クイーニーはハロルドを失職から救った恩人であり、そして彼女の伝言は「あの時のことは後悔していない」というものだったのである
映画は、イギリスの色んな景色が堪能できるロードームービーだが、ハロルドたちが抱える問題はかなり重い
ドラッグの後に自殺したはずの息子を街角で見たりと、ハロルドの疲労が蓄積するたびに過去の怨念に囚われていく
そして、ようやくクイーニーに会えたというのに、彼女の認知症は進んでいて、ハロルドのことを思い出せなくなっていたのである
過去を振り返る旅の中で、心残りがハロルドを抉っていくのだが、これらのミステリー要素が結構ハードなので、意外なほどに疲れる映画になっている
過去を抱えていない老人などいないのだが、仕事に没頭して向き合わなかったことで刻まれたものは、自分を正当化してきた分だけ深くなってしまう
それゆえに、同じ境遇に思えるウィルフに肩入れしてしまうのだが、彼すらも救うことができなかったのは現実的だなあと思った
いずれにせよ、サラっと観られるコミカルな映画だと思ってみると心にズシンと来てしまう内容なので、心して鑑賞した方が良い作品であると思う
親切にしてくれる人はすべて、ハロルドと同じくらいの過去を背負っていて、それゆえに同調し手を差し伸べていくのだと思う
ハロルドの行動は過去を清算したりはしないのだが、必要な施しをして見守ることの意味は大きい
ヒッピー集団や、ハロルドとの旅に意味を求めようとする若者とは対象的になっているので、その温度差を体感するには良い内容ではないかと思った
実話っぽいフィクション
『君を想い、バスに乗る』では、バスを乗り継いでの旅だったけれど、今度は徒歩。
イギリスの爺さん元気で無謀。
『あんのこと』を観た直後だったけど、こちらもなにやら大変。ホスピスにいるクイーニーを応援したいだけではなく、ハロルド自身のケジメの旅でもあった。
ロードムービーにはつきものの出会いも、わりと現代的。
スロバキアのお医者さん、ぶっきらぼうな出会いだったけど、すごく魅力的なキャラクター。
ガソリンスタンドの子や、スニーカーおじさんも、ハロルドに会って変わっていく。なんかみんな幸せになってほしい人たち。
水晶をはじめ、それぞれのキラキラがとっても印象的。
大部分はとっても好きなのだけど、『君を想い、バスに乗る』でも同様、SNSを使ったエピソードは、現代の象徴的なものではあるけど、お祭り的に便乗してきた人たちのプラカードとか、変なシュプレヒコール的なものは要らないので減点。
いつも思うけど、イギリスの田舎町の景色はホント美しい。
おしまいに出てきた窓辺のクリスタルは「最後の一葉」を思わせた!
最初は、何という荒唐無稽な話かと思った。ホスピスにいる昔の恩人から連絡があったとは言え、イングランド南端の海辺の街から、波の荒いスコットランド東岸まで、500マイル(800km)も歩いて英国を縦断し、彼女に会いに行くなんて。500マイルと言えば、PPMやブラザース・フォアによって歌われて日本のフォーク・ブームを決定づけた「500マイルもはなれて」が思い出される。しかし少し我慢して観ていたら、主人公のハロルド・フライは、歩くことによって、うまく行かなかった息子とのことや、不仲であった奥さんのことを含め、初めて自分の人生と本当に向かい合っているのだと思ったら、納得できた。黒沢明の「生きる」の英国版が、また一つできたということか。
最後の方で、旅に出て歩き続けることを支援してくれた、食堂で同席した紳士、スロヴァキア出身のドクターで、イングランドでは掃除婦しか仕事のない女性、病と闘うことを教えてくれた青い髪の若くて美しい女性、が光を見上げるところがとても良かった。
不安が強く、自信が持てないでいる日本人に、一人でも多く、この映画を観て欲しい。やはり、体を動かすことが大事なのだろう。それにしても、強い身体をもっている(スコティッシュのショーン・コネリーのような)アングロ・サクソンにしか、あんな無茶なことはできないが。
Keep On Marching
とりあえず、タイトルの雰囲気とポスターの色彩は詐欺だろ、コレ。笑
もっと明るくコミカルなものを想像してました。
導入から旅立ちまでは、驚くほどスムーズ。
そこからは様々な人と出会いながら、断片的に過去を振り返っていくロードムービー定番の流れ。
道中で受ける親切が大袈裟でないのは美点。
ハロルドの年齢や見た目、立ち振る舞いからも、説得力を感じる。
安宿を選んでも相当かかりそうだな、と思ったら後半は財布含めた諸々を家に送ってて驚いた。
いや、でもサスガに無謀ではないかな…
1枚の写真からニュースになり、支援を受けるようになるものの、同行者が増えキャラバンの様相に。
あの軽薄なパリピ感は嫌いだったので、ちゃんと違和感を感じて離れてくれたのは良かった。
しかし、全体としてまとまりに欠けた印象もある。
旅の目的であるクイーニーより、彼女に助けられる元となった息子の件が大き過ぎたことがひとつ。
更に最終的な着地点が夫婦愛の再確認だったことで、どうにもクイーニーにピントが当たらない。
ウィルフも行動の変化が唐突過ぎて、結果的にトラウマ誘発装置の役割に思えてしまう。
キャラバンで当然のように隣にいるおばちゃんも謎だし、お隣さんはいい人なのに便利屋扱い。
ラストのプリズム(まさかウマ娘と被るとは…)が当たるキャラも少なすぎないですかね。
90分くらいで短くまとめるか、120分超えてでも何人かは奥行きのあるキャラが欲しかった。
人生でやり残した事、それはやり切る事。 そしてその後悔。 駆り出し...
Keep walking, keep living
泣けました。
邦題が、ちょっとコメディみたいな印象を受けたんですが、シリアスなお話でした。
自分を救ってくれた元同僚クイーニーを救うためなのはもちろん、ハロルド本人の後悔を乗り越える旅でもあり、家族と向き合う話でした。
自分は妻側なので、妻モーリーンの気持ちもよくわかります。
計画性なく突発的に旅立つ。
思い立ったが吉日ではないけど、今だと思った時がその時。
家族は心配でたまらないけどね。
車で移動できる中、歩くということは、自分に試練を課すだけでなく、地に足をつけしっかりと問題に向き合うということなのでしょう。息子が生きている時に、もっと対話してぶつかっていたらと。
Let's go home.
ハロルドの旅の最後は自分の家でした。
しっかりと握った手を放さないでねと思います。
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おじいさんのロードムービーというと、「ストレイト・ストーリー」を思い出します。ロードムービーは、自分を見つめる時間が描かれ心に残りますね。
意外に暗い
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