「徒歩の旅には願いと贖罪が込められていた。」ハロルド・フライのまさかの旅立ち 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
徒歩の旅には願いと贖罪が込められていた。
あらすじをチラッと読んだときは、「手ぶらで、ふらっと歩き出した・・・」
それって、単なる思いつき!?なのかな
と思ったけれど、それは違いました。
交通機関を使わない、
バスも電車もそしてヒッチハイクもしない・・・
それはハロルドが決めた事だった。
イギリス映画らしい手触りの、心に沁みる名作でした。
定年後を妻のモーリーンと2人で暮らすハロルド・フライ。
ある朝、旧友で元同僚のクイーニーから、手紙が届く。
800キロ離れた北部の町で癌のためホスピスに暮らしているとの
知らせだった。
短い手紙を書き、「ポストまで行ってくる」
そう妻に告げて家を出た。
しかしポストに投函できない。
郵便局まで行ってもやはり出せない。
ハロルドは、着のみ着る のまま歩き出していた。
お金は少し持っていました。
しかし携帯も着替えも歯ブラシも何一つ持たない。
「歩く事」それはクイニーへの
「生きていて‼️」
「死なないで‼️」
一歩一歩の苦行に、その願いが込められている。
ハロルドは先々で妻に電話をします。
妻のモーリーンは“置いてけぼりの妻“
寂しさを隠せません」
それともう一つ、ハロルドとモーリーンのひとり息子デヴィッドの
回想シーン。
オックスフォード大学に受かるほど頭の良かったデヴィッド。
なのにドラッグと酒に溺れて行った息子のこと。
もう一つの悔いはクイーニーへの借りを返してないこと。
そして62日以上歩いて、歩いて、ハロルドの心も身体も清められていく。
息子の死から25年。
夫を責め続けていたモーリーン。
ハロルドの不在がモーリーンに気づかせる・・・
ハロルドの存在がどんなに大事だったか。
人生の苦しみを乗り越えてきたハロルドとモーリーンの絆が
より深くなるラスト。
味わい深い良質な映画でした。
(途中で参戦した“四角い顔のワンちゃん“
(気儘な途中退場に、笑ってしまいました)
共感ありがとうございます。
琥珀糖さん、前のアカウントではログインは無理だったのでしょうか。
この前観た「マリー・ミー」の琥珀糖さんのレビューに共感させて頂きました。
とってもステキなレビューでした。