劇場公開日 2024年6月7日

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「老域の心の在り方を描く」ハロルド・フライのまさかの旅立ち コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0老域の心の在り方を描く

2024年6月24日
PCから投稿

観る前は、昨年観た『君を想い、バスに乗る』の徒歩版で「初恋の人に会うために徒歩の旅なのかな?」みたいに想像していたのですが、全然違いました。
末期がんの友人に会うのがゴールではなかった。
極めて内面的な心の在り方を描く映画でした。

神に祈るのではなく、友人の無事を祈る旅。
その中で自分と向き合う旅。
まさに巡礼。
前へ向かって歩きながら、旅の途中で知り合った人と話す中で過去へと記憶を遡っていく。
過去の自分の過ちに向き合い、友人や妻、息子への悔恨と贖罪。
そのうえで、夫婦にできた心の傷と溝を見つめて、悲しみに止まっていた時間を改めて動かす決意をし、夫婦の在り方や自分の生き方を考える旅であったことが分かる仕組み。
友人が死に瀕し、自らも死を意識する年齢に達したことに気づき、目を背けたままでいいのかと自らに問う。
重い哲学的な話だった。
面白いと一括りに評することはできないが、いろいろ考えさせられる作品でした。
主人公が特定の宗教に関わらず、無宗教だったのもよかった。

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コージィ日本犬