「時代に翻弄された男の物語」フィリップ オパーリンブルーさんの映画レビュー(感想・評価)
時代に翻弄された男の物語
R-18指定の本作…残虐なシーンが多いからかな?と思っていたけど、そっちじゃない方でした(笑)、ストーリを見たら、まぁ推測はつくけれど…
フランクフルトの一流ホテル。ウェイターとしてナチスドイツ被占領国の人間たちが多く雇われている。その中に主人公・フィリップは偽造パスポートでフランス人と詐称して雇われている
戦争に駆り出された夫を待つドイツ人女性を誘惑しては、自分の正体(ポーランド系ユダヤ人)を明かして、絶望に陥れる行為がフィリップの“復讐”
う~ん、これって復讐?というコメントが多いのも納得。復讐というより、自分の性的ストレス発散&嫌がらせ憂さ晴らしレベルだよねって感じ
第二次大戦下のドイツで、ドイツ人と他国人の身体的接触が禁じられていたということは初めて知った知識
そんな彼でも、ドイツ人の技術者の女性と恋に落ちる。彼女とはキスを交わし、普通の恋人同士のように待ち合わせて、町中で手を繋いでデートする。江戸時代の遊女が身体は売っても、唇だけは本当に好きな人にのみ許したという話を思い出した
話は終盤までの展開にそう驚きはないが、音楽の使い方が緊張感を高めるので飽きずに観られる。ラストは慌ただしく展開し、予想外の結末に至る
冒頭のフィリップは恋人にデレる普通の青年で、母親にも愛された素直で頼りない感じの男が、本編でこうも佇まいから変化するのか、役者の力も感じた
主人公の彼はポーランド語、ドイツ語、フランス語、イディッシュ語を自在に操ったようだが、どれも全部字幕で読む日本人にはその差が判らないのが哀しかった
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