「宣伝と内容の剥離」フィリップ サビンカさんの映画レビュー(感想・評価)
宣伝と内容の剥離
この映画を知るきっかけになったのはエロを前面に出した復讐劇みたいな宣伝だったのですが、実際に観てみるとエロシーンは確かにあってエッッッてなるレベルではあるが本筋は女関係よりも主人公のフィリップの周りにいる男達の話がメインになってる。
主人公が壊れていく過程のトリガーも周りの人間(男)が主に起因しているのでフィリップが無駄にモテたり恋愛要素は話を進める舞台装置にしか見えなかった。
印象的だったのは取り調べをしていた親衛隊の少尉が吐露した言葉で、侵略側も戦争の無意味さに虚無を感じて疲れてるのがよく分かった。
トラウマ描写に頼らない、反戦映画の描き方の新たな一面を見られたと思う。
主役のエリック・クルム・Jrはコメディー作品に多く出ていてこの映画で初めてシリアスな主人公を演じてますが、最初の頃にはあった目の光がどんどん無くなり最後には好きだった音楽への興味すら示さなくなる変化の演技は一見の価値があります。
過去の出演作と見た目がかなり変わるレベルの役作りをしてます。
Tesciowie2あたりと顔つきが全然違うので見比べると面白いです。
全体的にはよく出来てますが、個人的に終わり方が投げっぱなしジャーマンみたいな尻切れ蜻蛉なのがあまり好きでは無いです。
意図的に投げっぱなしにして印象的な演出にしているのは理解してますが、太陽を盗んだ男とは違ってそんな作りには見えなかったので…
その点が少し惜しい作品でした。
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