「フィリップの賢者モードに驚愕!」フィリップ Duchampさんの映画レビュー(感想・評価)
フィリップの賢者モードに驚愕!
主人公はポーランド系ユダヤ人フィリップ(エリック・クルム・Jr.)。
妻を殺された復讐のため、ホテルの給仕をしながら、ナチ将校の婦人らを次々にヤリ捨てにする、というぶっ飛んだ設定。
今作の魅力は、何といっても主演の演技力。
ゲットーでの妻との会話、ルームメイトのピエール(ビクトール・ムーテレ)との会話と、リザ(カロリーネ・ハルティヒ)との会話、賢者モードで全然違う。
(追記、後から調べたら4か国語使い分けてるとのこと。恐れ入りました!)
そしてフィリップの賢者モードの表情の切替が凄まじい。
直後に「お前の旦那は戦地で死んで戻ってこない」なんてよく言えるがな。
最後、何故リザと夜逃げしなかったのか?
1.本当にヤリ捨てだった?
2.ピエールの死でどうでもよくなってしまった?
3.(自分がユダヤ人なので)リザの身を案じた?
3なら綺麗に収まりそうだが、最後の銃乱射で女子供も殺してる。
エンドロール前、一人でパリ行きの列車に乗ったようだが、この後どうするんだろ?
以下印象に残った点)
コーヒーに唾入れるシーンとか良かった。
セリフにしなくても、外人の給仕の連帯感が分かるいいシーン。
晩餐会が近くなるほどナチの客が増えたり、戦況が悪化したり、画で演出するのが上手いなーと思った。あと晩餐会の「ハイル」のシーンね。
ミハウ・クフィェチンスキ監督、70代にして長編デヴューの快作。
血みどろの戦争映画になるわけでなく、恋愛映画としてウェットになるわけでない(そこが物足りない人がいるかもしれない)、
もっと全然若手の監督の作品だと思ったから以外すぎた。どのシーンも間延びしていないし、画も衣装もかっこよかった。
原作未読なので、邦訳出たら読みたい。
リザに別れを告げた時は、もうピエールは亡くなってましたよ。
ピエール死亡→深夜に慟哭→別れを告げる→祝宴で給仕→銃乱射→パリへ、の流れです。
なので、単純にこれ以上自分のせいで大切な人を失いたくなかったのかと。