劇場公開日 2024年6月21日

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フィリップのレビュー・感想・評価

全45件中、1~20件目を表示

4.0そもそも

Mさん
2024年9月2日
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M

2.5ナチス支配下における愛と復讐

2024年8月30日
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ひでちゃぴん

2.0純血主義とチンケな復讐

2024年8月25日
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難しい

寝られる

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uz

発禁?

2024年8月25日
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 ナチス占領下のポーランドで恋人や家族を惨殺されたユダヤ人青年が、フランス人と身分を偽ってホテルのウェイターとして働きながら、ナチス将校の妻を次々と寝取っては捨てて行く復讐譚です。原作は、作者自身の経験に基づくお話ですが、1961年の発刊時に発禁処分となった書なのだそうです。

 冷静に考えれば、「それで復讐になるのか」、「復讐というより、自分のスケベさがヤケクソで暴走しているだけでは」と思えなくもありません。でも一方で、身分が露見すればその場で銃殺なのだから、当時のユダヤ人にとっては、この個人的な意趣返しが精一杯だったのかなとも思えます。どちらも正解なのかも知れません。

 それより不思議なのは、このお話のどこが発禁処分の対象になったのか分からない点です。それほど強烈なスケベでもないし、ナチスを扱った物語でもっとエグいお話は幾らだって世に出ています。その辺の機微が掴めないと言う事は、当時のナチスが人々に残した傷をまだ理解出来ていないと言う事なのでしょうか。

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La Strada

3.5フィリップの賢者モードに驚愕!

2024年8月13日
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鑑賞方法:映画館

主人公はポーランド系ユダヤ人フィリップ(エリック・クルム・Jr.)。
妻を殺された復讐のため、ホテルの給仕をしながら、ナチ将校の婦人らを次々にヤリ捨てにする、というぶっ飛んだ設定。

今作の魅力は、何といっても主演の演技力。
ゲットーでの妻との会話、ルームメイトのピエール(ビクトール・ムーテレ)との会話と、リザ(カロリーネ・ハルティヒ)との会話、賢者モードで全然違う。
(追記、後から調べたら4か国語使い分けてるとのこと。恐れ入りました!)
そしてフィリップの賢者モードの表情の切替が凄まじい。
直後に「お前の旦那は戦地で死んで戻ってこない」なんてよく言えるがな。

最後、何故リザと夜逃げしなかったのか?
1.本当にヤリ捨てだった?
2.ピエールの死でどうでもよくなってしまった?
3.(自分がユダヤ人なので)リザの身を案じた?
3なら綺麗に収まりそうだが、最後の銃乱射で女子供も殺してる。
エンドロール前、一人でパリ行きの列車に乗ったようだが、この後どうするんだろ?

以下印象に残った点)
コーヒーに唾入れるシーンとか良かった。
セリフにしなくても、外人の給仕の連帯感が分かるいいシーン。
晩餐会が近くなるほどナチの客が増えたり、戦況が悪化したり、画で演出するのが上手いなーと思った。あと晩餐会の「ハイル」のシーンね。

ミハウ・クフィェチンスキ監督、70代にして長編デヴューの快作。
血みどろの戦争映画になるわけでなく、恋愛映画としてウェットになるわけでない(そこが物足りない人がいるかもしれない)、
もっと全然若手の監督の作品だと思ったから以外すぎた。どのシーンも間延びしていないし、画も衣装もかっこよかった。
原作未読なので、邦訳出たら読みたい。

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Duchamp

3.5復讐と真実の愛に揺れる心。ナチスに関する映画の公開が続く。

2024年8月7日
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ITOYA

3.5【”腐った世の中でも生きている事が重要だ。とフィリップはナチスに抵抗する女性に言った。”今作はゲットーで恋人、家族をナチスに殺された青年のドイツ人への”復讐”と、相反する”愛”を描いた作品である。】

2024年8月4日
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悲しい

怖い

難しい

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NOBU

5.0ユダヤ人フィリップの物語

2024年7月31日
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難しい

幸せ

寝られる

フィリップ
神戸市内にある映画館シネ・リーブル神戸にて鑑賞 2024年7月2日(火)
パンフレット入手

STORY
1941年ポーランド・ワルシャワのゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人フィリップ(エリック・クルム・ジュニア)は、恋人サラとゲットーで開催された舞台でダンスを披露する直前にナチスによる銃撃に遭い、サラと共に家族や親戚を目の前で殺されてしまう。

2年後、フィリップはドイツ・フランクフルトにある高級ホテルのレストランでウェイターとして働いていた。そこでは自身をフランス人と名乗っている。フィリップは筋肉がムキムキであること生かし、戦場に夫を送り出し孤独にしているナチス上流階級の人妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。
嘘で塗り固めた生活の中、プールサイドで知的な美しいドイツ人のリザ(カロリーネ・ハルティヒ)と出会い本当の愛に目覚めていく。
連合国軍による空襲が続くなか、勤務するホテルでナチス将校の結婚披露パーティーが開かれる。その日、同僚で親友のピエール(ヴィクトール・ムーテレ)が理不尽な理由で銃殺されたフィリップは悔しくて号泣する。

以下パンフレットより
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藤森晶子 歴史研究家 (抜粋)とストーリーの続き

ナチス政権下ドイツでは親密になってよい男と女関係を法令で規定した。
禁止までせざるを得なかったのは、裏を返せば、ドイツ人女性と、ドイツ国内にいたポーランド人などの外国人との親密な関係があまりにも多く生じていたからだ。ドイツ人男性が戦地に行った分外国人がドイツ国内の農場や工場で働いていた。このような外国人はは、戦争後期には760万人いたとされている。
彼らには多くの禁止が課された。滞在地を離れることの禁止、ダンスパーティへの出入り禁止に並んで「ドイツ人女性やドイツ人男性と性交した者や、みだりに接近した者は死刑が課される」とされた。ドイツ人女性も、民族の純血を汚したとされれば、厳しく罰せられた。公衆の面前で丸刈りにされるという辱しめを受けた。町中を引き回されることもあった。
ナチス政権はこの見せしめをある時期までは地元当局に推奨していた。
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STOY の続き

ドイツ人女性のブランカ(ゾーイ・シュトラウプ)は、単に「娼婦」なのではない。制裁受ける危険性を分かっていながら外国人労働者と交わることをやめないし、そのために工場でのでの勤労奉仕もまじめに組まない。髪を切られるという痛い目にあった後ですら、フィリップのもとを訪れる勇気を持っている。ブランカには反抗な意思がある。
フィリップは「君にはこの腐った世の中に迎合しては行けない。戦争が終わってもそれは大切なことだ。」と言って励ます。

裕福な家庭出身で、写真技術研究所で働くリサ(カロリーネ・ハルティヒ)も、フィリップを外国人であることを知りつつも、連れたって堂々と町を歩き、カフェのテラスでは大っぴらに過ごす。二人に関係は恋人になるまで発展していく。

ラストシーンはこう。
フィリップは拳銃を拾い、ダンス会場の天井から拳銃を乱射して、何人か殺して、パリ行の列車に乗り込んで脱出した。
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監督ミハウ・クフィェチンスキ
フィリップ エリック・クルム・Jr.
ピエール ビクトール・ムーテレ
リザ カロリーネ・ハルティヒ
ブランカ ゾーイ・シュトラウプ
歌姫 ハンナ・スレジンスカ
イリエ ニコラス・プシュゴダ
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感想

作品内では、ナチス法に抵触し死刑および「絞首刑」となった4名の模様がリアルに表現されていた。
見ていたフィリップは思わず顔を逸らしていた。

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大岸弦

4.0宣伝と内容の剥離

2024年7月27日
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悲しい

この映画を知るきっかけになったのはエロを前面に出した復讐劇みたいな宣伝だったのですが、実際に観てみるとエロシーンは確かにあってエッッッてなるレベルではあるが本筋は女関係よりも主人公のフィリップの周りにいる男達の話がメインになってる。
主人公が壊れていく過程のトリガーも周りの人間(男)が主に起因しているのでフィリップが無駄にモテたり恋愛要素は話を進める舞台装置にしか見えなかった。
印象的だったのは取り調べをしていた親衛隊の少尉が吐露した言葉で、侵略側も戦争の無意味さに虚無を感じて疲れてるのがよく分かった。
トラウマ描写に頼らない、反戦映画の描き方の新たな一面を見られたと思う。
主役のエリック・クルム・Jrはコメディー作品に多く出ていてこの映画で初めてシリアスな主人公を演じてますが、最初の頃にはあった目の光がどんどん無くなり最後には好きだった音楽への興味すら示さなくなる変化の演技は一見の価値があります。
過去の出演作と見た目がかなり変わるレベルの役作りをしてます。
Tesciowie2あたりと顔つきが全然違うので見比べると面白いです。
全体的にはよく出来てますが、個人的に終わり方が投げっぱなしジャーマンみたいな尻切れ蜻蛉なのがあまり好きでは無いです。
意図的に投げっぱなしにして印象的な演出にしているのは理解してますが、太陽を盗んだ男とは違ってそんな作りには見えなかったので…
その点が少し惜しい作品でした。

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サビンカ

3.0実話らしいが、主人公の俳優はイケメン?

2024年7月22日
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悲しい

萌える

1941年、ワルシャワのユダヤ人居住区・ゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人のフィリップは劇場で公演中にナチスによる銃撃に遭い、恋人サラや家族を目の前で殺されてしまった。2年後、フィリップは自身をフランス人と偽ってドイツのフランクフルトに移り、高級ホテルのレストランで給仕係として働きながら、ナチス将校の夫を戦場に送り出した妻たちを次々と誘惑し、抱いて、捨てるという行為を続け、ナチスへの復讐を果たしていた。嘘で塗り固めた生活を送るなか、フィリップは知的な美しいドイツ人のリザと出会い、本気で恋してしまい、パリに2人で逃げようとしたが・・・さてどうなる、という話。

原作者の実体験らしいが、主人公役の俳優の様な顔がドイツではイケメンなのかな?
鼻が高くて堀が深いいし、アダム・ドライバーにも似てるとは思ったが、あんなに誰でも落とせるほどなのか?そこが1番の疑問だった。
ユダヤ人でも当時のドイツで給仕係とはいえ、そこそこの生活が出来ていた事に驚いた。高級ワインの横流し以外にフィリップに何か特技が有ったのかなぁ?
そして、連合国側からの空襲、ドイツが攻撃されるシーンはあまり観た事が無かったから新鮮だった。
リザを本当に愛していたから彼女を捨てた、という解釈で良いのかな?1人パリに逃れたフィリップはその後どうしたのか、戦後ナチスが負けたあとはどうなったのか、そこも知りたかった。

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りあの

3.5誰も幸せにならない復讐。

2024年7月10日
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復讐譚という事だと思う。
ホテルの下働きは色んな思想、人種の吹き溜まり、隠れ場所になってたようだ。身バレしなければ比較的安定した職場だった模様。
レジスタンスとかではなく個人でできる復讐、破壊行為としては効果大である。しかしまあ男女の話なんで割り切れない部分も出てくるから話は面白いのよ。

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masayasama

3.5思ったほどピンと来ず

2024年7月9日
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ほりもぐ

2.0映画化する意味があるのか?

2024年7月8日
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第2次大戦下、ポーランド系ユダヤ人のフィリップは、フランス人と偽ってフランクフルトの高級ホテルでウェイターとしては働きつつ、ドイツ人女性と次々関係を持っていくというお話。
まず、爬虫類顔のフィリップが、どうしてそんなにモテるのか、ピンとこない。ポーランド人作家の実体験に基づく小説の映画化とのことだが、そもそもこの話、映画化するほどのものなのだろうか?

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ファランドル

4.0緊迫感が伝わってこなかった

2024年7月3日
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大吉

3.0発禁とは?

2024年7月3日
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難しい

発禁から60年?ナチス関係はポーランドでそこまで厳しかったのかな。イヤラシさもそれほどではないし、大げさに感じてしまう。ストーリーとは関係ないがナチス少年兵の歌は狂気を感じ、若干怖い気がする。衝撃はないかな。

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ショカタロウ

2.5いまいちの復讐劇

2024年7月3日
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感情的な復讐劇なのか、いまいち分かりませんでした

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nami

4.0第二次大戦下のポーランド系ユダヤ人側から見た、世界と愛

2024年7月3日
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泣ける

悲しい

難しい

ここ最近、オッペンハイマー、関心領域、アンゼルム “傷ついた世界”の芸術家、
ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命、と戦争関連の映画を様々な視点、立場から観て来たが、
ユダヤ人側からの視点の映画は、こちらだけということで絶対に見たいと思っていた一作。

受け取った感情は、喪失と回復とまた喪失。そして自らが選び取ることが出来た
未来は……。
私の中では苦しくて、生きるということをここまであきらめずに居られたのは、
なぜなのだろうと思えるほどに、凄まじかった。
ラストの畳みかけるような展開は、彼自身の吹っ切った気持ちがよく表れており、
おそらく生きることよりも、感情を優先した部分もあったのだろうと思った。

生き抜くことは、運が良い事。と言い切れるのだろうか。
生き続けることは、こんなにも苦しさを伴う時代に、どうしてここまで生き抜くことを
決断できたのか。
私にはその問いが心の中に今も残っている。

オッペンハイマーではアメリカの科学者とアインシュタインの視点
関心領域ではナチスの高官たちとその家族の視点、
アンゼルムでは戦後に影響を受けた”ドイツ”にルーツを持ち、テーマにも関連するアーティストからの視点、
そしてONE LIFEではイギリスの一市民からの視点と
当事者の視点はほぼ見ずに来た。
むしろ当事者からの視点は描こうと思っても、生存者自体が語れる環境に精神状況にあるかどうかも
あるのだろうと思う。

そんな中で、ひとり。フランス人としてフランクフルトで働きながらも、
精神的な抵抗と復讐をしていたフィリップが、苦しみ、向き合い、友情を得て、失い、
そして愛とどのように出会って、結末を迎えるのか。
これは一人の物語でありながら、ひとりだけの感情ではなかったであろう様々なものを
垣間見ることが出来る、レオポルド・ティルマンドの自伝的小説を映像化した作品だった。

原作も読んでみたい。

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ひなたんく

4.5復讐と生存の狭間で―1942年の激動を生き抜くフィリップの選択

2024年7月2日
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泣ける

悲しい

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ガジュマル

4.5ナチスに対する復讐劇

2024年7月1日
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雨雲模様

3.5歴史的傑作になりそうでなれない理由

2024年7月1日
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ナチスドイツとユダヤ人を描いた数多くの作品の中でも、
歴史的傑作になり得たのに、そうなっていない、
非常にもったいない作品だ。

どういう事か。

大きな理由は、
メインプロットとサブプロットの葛藤の描き方が曖昧なことだ。

前半でドイツ人将校のコーヒーに唾を入れるシーンからラストに至るまでのフィリップの気持ちはどこにあるのか、一定程度をみせる展開は、
悪くはない。
それがクールでフラット過ぎると他のサブプロットが効いてこない。

例えば、
ポーランドに強制送還されることと、
アウシュビッツ強制収容所に強制的に送られることの違いや意味、
時期など、曖昧な点が多い。

仲間が目の前で連行され、処刑され、
自らを撃つなどの状況におけるフィリップの気持ちは基本的にフラットに描かれている。

重ねて、
フィリップがドイツ軍に捕まらない、撃たれない、処刑されない理由がドイツ軍を騙しているなどの微妙な差があるはずだが、
それもフラットに流されていく。

なぜフラットになるのか。

それは各シーンをカットを割らずに、
ステディカム(軽量のジンバルでスピーディにパンしながら)でかっこいい長回しを多用しているため、雰囲気しか伝わらない。

なので、
フィリップの無念さ、怒り、葛藤が映画的に積みあがっていかない、
もちろん歴史的に類推するととんでも無い怒りが積みあがっているはずだが、その差が、違和感が、観客をスクリーンから遠ざけていく。

一方、リザとのキスシーンなどは、
ちゃんとカットを割って気持ちの描写や葛藤を描けている。

カッコいいカメラワークの雰囲気が良いと感じる人もいるだろう。

しかし、更にもったいないシークエンスは続く、
右手を掲げてドイツ国歌を歌うシーン、
子どもの歌声も含めて、
本来なら震えるほど怖いシーンのはずなのに、
そう感じられない。

そしてラスト。

この映画のラストを描くのであれば、
フラットに10話くらいのドラマとして描く、
あるいは、
サブプロットを取捨選択し、
流れるようなかっこいいカットを減量して、
フィリップの個人の感情や周囲の仲間、
レジスタンス(幼馴染のレジスタンスも効果的に描かれていない)を細かく描けば、
歴史的傑作になっていたような気がする。

検問の軍人?に、
最後、
「oolala・・・・・・」
何て言われんだろう・・・

【蛇足】
ポーランドの国立映画大学の視察時、
学長が言っていた。

学生達は成績優秀、技術は高いのですが、
突き抜けた作品を製作する学生は少ない。

映画大学の功罪です、

心の傷みや魂の叫びを個人の頭の中で完結してしまう作品が多い、

キェシロフスキー、スコリモフスキー、
ワイダのような人材はなかなか出てこない、と。

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蛇足軒妖瀬布