ぼくのお日さまのレビュー・感想・評価
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ムーミン谷に春が来た
この物語は冬の物語であるが
人生の春のようでした
すべてが愛おしい時間のように感じ
そしてとても残酷でした
早く雪が溶けないかなと思っていた少年が春が来ることを名残惜しくなる頃
スナフキンは旅立ちます
また帰ってくるよねというムーミンに
わからないと言う
そこはムーミン谷に冬が来たらねと
本来なら逆だけどそう言ってよスナフキン
と涙ながらに思いながらもその対話は素晴らしかった
二人で滑るシーンはとてもとても幻想的すぎてこの世のものとは思えないぐらい美しいシーンだったからこそ、その後のあのシーンは
滑りきったあと何を思ったのか
さらに青年はなんと言ったのか考えさせるなと噛み締めているとハンバートハンバートが歌い出すんですよ
そんなの涙しかない
素晴らしかった
かわいいと美しいの融合
優しくて温かくてちょっと痛い
お日さまのような光に溢れた映画
スタンダードサイズの画面に映し出される一コマ一コマが、導入場面から一枚の絵として成立しているようだった。気を衒わず、ズドンと主題を真ん中に配置する中央構図が多いのだが、その分、描かれる人や物に、観ているこちらもグッと気持ちが寄る。
最初、その後いじめやトラブルが描かれることを予感し、「主人公タクヤの吃音という要素はいらないのでは?」と思っていたのだが、友人たちがそこを全く問題にしない展開が心地よかったし、マイノリティとはいえど吃音の人は一定数いる訳で、単に身構えてしまうこちら側の問題だった。それに、マイノリティということで言えば、サクラがコーチである荒川の性的指向に嫌悪感を表明することによって、サクラの恋愛感情や思春期ならではの心の動きと、同性カップルにまだ不寛容だった描かれている時代性が、対比的にごく自然に立ち上がっていたと思う。
それに、鑑賞後公式ページを見てみたら、なんとこの映画、ラストの主題歌がきっかけで作られたことがわかり、なるほどと思った次第。
(ちょっと脱線するが、エンドロールの主題歌の歌詞を見ながら、歌だと吃音が出ないというのは、「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」でも出てきたエピソードだったなということを思い出した)
フィギュアスケートの場面で流れるドビュッシーの「月の光」。「ぼくのお日さま」というタイトルなのに、月の光なんだ…と漠然と思いながら観ていたが、月はお日さまによって光輝くのだから、これ以上の曲はないのかとこれも途中で思い直した。
帰路で、妻に「タクヤにとって、サクラがお日さまってことだったのかな?」と話しかけると、妻は「私は、荒川コーチやフィギュアスケートそのものがお日さまだったんじゃないかな?」と言っていて、確かにと思うと共に、荒川自身もタクヤとサクラ2人の関係をお日さまのように、まぶしく暖かく感じていたんだろうなと思いが広がった。
とにかく、全編、お日さまのような光に溢れた映画。
この奥山監督はまだ28歳とのこと。ベイビーワルキューレの阪元監督も28歳。ナミビアの砂漠の山中監督は27歳。日本映画の若手の活躍がこれからも楽しみ。
何とも言えない余韻あり
劇場では見逃すかと思いましたが、タイミング合い、ラッキーでした。映像がとてもよく、ペアの二人はほとんどセリフないのに自然でわかりやすい。カセット時代ならではの風潮や意識も前提なのですね。ほろ苦いながら、希望も感じる結末かと思いました。男の子はどこまで事情を知っているのだろうかと思いました。若い俳優のお二人はとても楽しみ。池松さんは素晴らしいですが、若葉さんも出ていると知らずに観て、程よい存在感がさすがですね。
雪と光の美しさ
すべりこみで観れた
淡い恋、美しい背景、そして美しい少女
宣伝を一度も目にしていなかったため観賞予定に無かったのだが、ネットの映画記事で絶賛されているのを読んで急に興味を持った。調べて行くと、ヒロインが可愛い(笑)。常に魅力的ヒロインを求め続けている俺なので、それはとても重要なことで、俄然観たくなった。
元々上映館が少ないのに既に公開から間が経っているため、少ない候補から上映館を選んで急遽観賞。
【物語】
舞台は北海道。タクヤ(越山敬達)は夏は野球チーム、冬はアイスホッケーチームに所属するも、チームのお荷物的存在。タクヤ自身も上手くなりたいという気持ちは薄かった。また、吃音(きつおん)を抱えていたため、学校でもバカにされることが多かった。それでも、親友の存在もあり、落ち込むことなくのほほんと日々過ごしていたタクヤは、ある日ホッケーの練習後にフィギュアスケートの練習をしている少女・さくら(中西希亜良)の姿に釘付けになる。
それ以来さくらをじっと眺めたり、ホッケー靴のままフィギュアのスピンをまねては何度も転んでいるタクヤを毎日見ていた荒川(池松壮亮)は、見かねてタクヤに声を掛ける。荒川はリンクの整備をする傍らさくらのコーチをしている元有名フィギュアスケート選手だった。荒川はタクヤにフィギュア用のスケート靴を貸して練習に付き合う。荒川の指導でメキメキ上達するタクヤを見て、荒川はさくらとタクヤにアイスダンスのペアを組むことを提案する。
【感想】
観て良かったと思う。
何よりヒロイン中西希亜良は期待通り可愛かった。この作品で重要な少女の初々しさも十分に醸し出されていた。 本作が映画初出演らしいが、今後の活躍を期待したい。
主役のタクヤを演じる越山敬達も良かった。こちらも可愛らしい少年なのだが、タクヤという特別才能があるわけでもなく、特別頑張り屋でもなく、思わず美少女に見とれてしまう少年の極々“普通”感が良かった。
池松壮亮も当然良い。こういう熱くなく、やや冷めた感じだけど優しい青年は池松の最も得意とするところ。キャスティングが絶妙。
舞台が俺の第2の故郷北海道ということもプラス点。観るまで知らなかったのだけど、雪景色の白さ(道路まで終始白い)が、本州ではなく北海道に違いないと思って観ていたが、そのとおりだった。 この背景の白さもこの作品には重要な要素だったような気がする。
唯一俺が気に入らないのは、本作でも安易に同性愛が使われていること。レビューで俺は度々愚痴っているのだが、LBGTが色々取り上げられている現代なので、同性愛をテーマに取り上げた作品を制作することには文句は言わないが、テーマ的に入れる必要のない作品で安易に取り込むのが気に入らない。本作は無垢な少年と少女の心の動き、そして淡い恋を描くのが主軸だと思う。荒川に普通に女性の恋人がいることをさくらが知る、で十分だったはず。ここにLBGTを持ち込まれると、俺はそっちに頭が行ってしまう。LBGTを否定するつもりはないが、やはりマイノリティーであることは間違いないので、「同性カップルの存在なんて全然普通」とは俺には思えず、作品のテーマとして必要以上に意識・印象がそっちに引っ張られてしまうから。
それが自然に受け容れられる人には、なおさら良い作品と思えるのではないか。
冬靄
吃音をもつ少年タクヤは、ホッケーの練習の帰りにさくらという少女のスケート姿に心を奪われる。
さくらのコーチの荒川はタクヤにスケートを教え、2人で男女のアイスダンスに挑戦しないかと提案する。
雪が降りはじめてから雪がとけるまでの小さな恋たちの物語。
傑作。
冬の日差しのように温かくて氷のように冷たく痛い。
ひと冬のあまりにも美しく残酷な青春。
映画を観終わってから予告やポスターを見ると自然に涙が溢れてきてしまう。
ああなんて無垢で罪深いんだ。
もうね、「月の光」が流れる時点で私の映画なんだけど、こういう痛みを伴う少年少女の成長譚って大っっ好きなんですよ。
映像、音楽、役者、ロケーション、全てが完璧。
この映画について多分永遠に喋ってられるけど、これ以上言うこともない気がする。
公開からだいぶ経っての鑑賞になってしまったのが残念。
もう一回行きたいがちょっと難しいか……
あと、冬か春に公開して欲しかった気もする。
おかげで冷房が寒い寒い。
劇場がスケートリンクだったよw
流行りの映画より満足度は高いかも
キラキラしてる
心に残る映像と音楽
ガラスケースに入れておきたい
なかなか劇場に行けず、見逃してしまうかと思っていましたが、今日見に行けて実に良かったと思いました。
(私が知らなかっただけかもしれませんが、高い前評判や鳴物入りでないと思われたこの作品が、息長く劇場で掛かっていたことに感謝しました)
監督、まだ26歳くらいと非常に若いですが、すごい才能を感じました(偉そうな言い方ですが)。
また、個人的には2024年音楽賞をあげたい程、劇伴音楽としての素晴らしさがありました。音楽をつくっているハンバートハンバートも、それを映画に溶け込ませた監督も、抜群のセンスだと思います。
その劇中の音楽や、光の使い方、スケートシーンのクライマックスの盛り上げ方(湖に課外レッスンみたいに行くシーンと、その後の別れの後の、さくらのソロスケーティングのシーンと2回もクライマックスがある、珍しい構成)なんかも相まって、邦画なのに洋画っぽい、美しくて大切に飾っておきたくなる、独自性と味わいのある映像作品だったなぁ…と、感動が沁み入りました。
また、この映画における、少年少女の「透明感」や「壊れやすさ」みたいなものがひとつ主題として描かれている点が、さらにその「宝物感」を創り出しているように思いました。
この先が楽しみな方がまた一人登場して来ました。センスという点では、エンディングロールの作り込みも、これまた天才的でした。
光の映画
「壁」にひるまずにやるしかないこと
2024年。奥山大史監督。北海道の雪深い町で、野球もアイスホッケーも上手ではない男の子は、フィギュアスケートの練習をする少女に目を奪われる。それを見た少女のコーチ(元フィギュア男子選手)は少年をフィギュアに誘い、しかも少女とのペアでアイススケート大会に参加しようとするが、、、という話。3人の視線のすれ違いから生まれる物語。
冬のアイスリンクのもやっとした薄暗い画質とにぶい光に対して、春の澄み切った青空の下で明確で引き締まった画質と強い光の対比が特徴的。あざといくらい。ドラマとしては、少年の吃音、コーチのゲイ、とキャラ盛りすぎの印象もあるが、少年は少女への憧れを簡単には表面できない「壁」(性格とは別の何か)を感じていなければならないし、コーチは少女の思いを受け入れるわけにはいかない「壁」(気持ちの問題とは別の何か)を持っていなければならないので、仕方がないと言えば仕方がないのかも。
少女が放つ「気持ち悪い」の言葉は、表面的にはコーチが同性を愛する男であることを指しているが、物語の過程から感じられるのは自分の思いが報われないことへの八つ当たりである。だから、確かに少女は自らの八つ当たりに気づけない(子供らしい)冷酷な一面をもっているのだが、同性愛差別をしているのではない。このあたりの描き方は単純なようで上手。
「壁」にひるまなかったコーチは少年と少女を近づけるという余計なことをして、結果として自ら職を失い、パートナーを失う羽目になるのだが、少年の「目」に人を思う純粋さを見てしまったコーチとしてはやるしかなかったのだろう。少年少女が二人で練習する場面に流れている至福の時間(滑り出しとともに動き出すカメラはもはやアステア・ロジャース的な幸福感があふれている)には得難い価値がある。
内気な少年タクヤと彼が一目惚れしたサクラ、そしてサクラを指導する荒...
内気な少年タクヤと彼が一目惚れしたサクラ、そしてサクラを指導する荒川。
子役の純粋さ残酷さどっちも良いが、何より池松壮亮の静かだけど説得力のある演技が良い。最近映画でよく見るし出てるのは基本面白いから安心できる!
タクヤが好きな人のためにスケートを練習してどんどん上達する姿、すこし邪な気もするがそれが子供らしくてとっても微笑ましい!
良い友達にも恵まれているし、凄い優しい世界のように見えるが、少し違和感。
タクヤのことが気になって応援したい気持ちからか荒川が少し暴走しているように見える。サクラはたまったもんじゃないよね笑。純粋さ故に何もかも都合よく行くわけではなく、苦い結果に…だけどそれも含めて青春。
そうやって成長して進んでいくんだよねぇと喜びを感じた。
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