「瑞々しさ」ぼくのお日さま 赤ヒゲさんの映画レビュー(感想・評価)
瑞々しさ
エンドロールの主題歌がとても心地よく心に響きました。作品の世界観にあまりにぴったりなので驚きましたが、ハンバート ハンバートの「ぼくのお日さま」が先にあったことを後で知って納得しました。とても素朴でいい歌ですね。ラストシーンからの絶妙なつながり具合により、心温まる余韻が残りました。児童文学のようなピュアな物語は、どこか懐かしい気持ちを呼び起こすものでした。主人公のタクヤ(越山敬達)とさくら(中西希亜良)は、例えていえば「小さな恋のメロディ」(71)のダニエルとメロディで、きっと誰の心の中にも自分だけのタクヤやさくらがいて、あの頃の甘酸っぱい想いが蘇るのかなと思いました。小学生から中学生の頃に訪れる汚れなき世界と汚れた世界のぶつかり合いは、ある種の通過儀礼なのでしょう。少年時代の想い出に耽りつつ、ふと大人の立場でみると、荒川役を演じた池松壮亮が作品の雰囲気を決定づけているような気もしました。
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