「雪どけ」ぼくのお日さま ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
雪どけ
評判の高さと公開前に流れていた鑑賞中のマナー映像が癒しすぎて超楽しみにしていました。
先日は血みどろの池松壮亮でしたが今作ではのほほんとした池松壮亮を楽しめるだなんてなんてお得なんだと勝手に1人で興奮していました。
ところが蓋を開けてみれば良い映画ではあるけど…思っていたものと違うと何度も引っかかてしまうところがあり、好みの合う合わないがはっきり分かれた作品だなぁと思いました。
序盤は雪国で過ごす子供達の淡い恋模様が描かれ、とてもウブな感じが良かったですし、色々なところにある優しさが映像も相まって沁みる仕上がりになっていました。
ただ途中から平成初期というLGBTなんて言葉がなかったような時代に生きる人々の無意識的な差別が生まれて関係性が崩れていくという思っていたものとは全然違う方向へ進んでいくのはどーにもモヤモヤしました。
年齢や年代は違えど今作と近しいテイストの作品があって、「先輩はおとこのこ」という作品でも同性愛を拒絶する人物の描写があって、今作ではさくらの年齢が年齢なので先生を突き放すだけだったり、親がやんわりと断りを入れたりと時代背景的にまだ同性愛が変わりものに見られていたとはいえやんわりすぎるなと思ったところが「先輩はおとこのこ」では拒絶する理由が本当に明確に描かれていて、それに対しての決着も描けるところまで描いていたので同時期に近いジャンルで秀でた描き方をしていたのがどうにも比較対象になってしまいました。
意地悪な見方になってしまうのですが、ゲイという事が責められるのであれば、少し前なら吃音も笑われてしまうのでは?と思ってしまいましたし、変に引きのショットになったのに何も起こらなかったのは違和感がありました。
ラストシーンで再会した2人が見つめ合って何かを言いそうでスパッと終わる感じはとても好きでした。
観ている側の想像に投げるのではなく委ねる感じの終わり方は受け取り手によってますます物語が広がっていくのでアニメでは多い手法ですが実写ではあまりない手法なので新鮮でした。
シンプルな恋の始まりの物語だけでも成立しそうなお話だっただけにちょっと要素盛り込みすぎたかなぁと思いました。
絵作りはとても綺麗ですし、役者陣の魅力を引き出すという事はできていたので次回作に期待したいです。
LGBTを絡めずに映画はできないものか…。
鑑賞日 9/30
鑑賞時間 18:35〜20:10
座席 C-12