劇場公開日 2024年9月13日

「懐かしさとせつなさがあふれでてきて」ぼくのお日さま chikuhouさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5懐かしさとせつなさがあふれでてきて

2024年9月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

子どもが登場する話のなかには、自分が生きてきた過程をたどっていくような思いを持つものがある  自分の育ってきた環境とか周囲の友だちとか、また時に親以外の大人の存在も子どもの成長発達への影響は大きく、こういった作品にふれて、自分の子ども時代を振り返ってみる  主人公の少年にとっては、スケートをしていた少女と、そのコーチとの出会いがそれまでのうつむきがちな日々から、脱していくきっかけとなっていく
スポーツ選手を育成していく中で生まれた「コーチング」という言葉は、選手の実力をどう引き出すのか、という選手側に寄り添った考えが強いが、コーチの側に立っても、コーチ自らの力量を選手の成長を通じて確認できるものである  コーチ自らの教え方によって、対象である選手の実力が向上すれば、コーチ自身が自信を獲得することになる
学校の先生の「画一的な指導」と違って、スポーツは「個々の能力・到達に応じた指導」となるだけに、池松さん演じるコーチが少年への指導に熱中し、その指導に応えて実力をつけていく少年の成長を、嬉しく観ておりました  話の展開は、どこか子ども時代に通り抜けた懐かしさを感じつつも、心地いいものでした  「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」でも学校生活と吃音・コミュニケーションが描かれていましたが、本作でも少年を見守ってくれている友だち・同級生の存在が暖かい気持ちにさせてくれました
たまたま出会ったコーチも子どもの人生に大きな影響を与えるかもしれない存在ですね

定員100くらいの劇場が9割くらいの入り  年配の方も多く驚きでした
(9月14日 テアトル梅田にて鑑賞)

chikuhou