「Gene」ザ・ウォッチャーズ ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Gene
シャマランの娘さんの長編映画デビュー作ということで、父親のDNAが全開なのか、はたまた違うアプローチで攻めてくるのか…そういう期待と不安も込めつつ鑑賞。
割としっかりしたミステリアスな作品で、父と似通っている部分もあれば、自分の色を出しているところあってクセはあれど楽しめました。
森の中の一軒家に迷い込んだミナが、その家にいる3人と共にウォッチャーズに監視される日々を送る中での脱出を目論む…といった感じで、序盤の男性が襲われるシーン然り、情報が開示されない序盤の不気味さは中々に秀逸でした。
劇中で流れている恋愛リアリティショー、普段全然目にしないジャンルですし、付き合ったのに別れました〜みたいなノリ(出演者たちが気の毒でもある)をよく目にするので興味のないものですが、今作では良い味を出していました。
恋愛リアリティショーを観る視聴者はやんややんや言い放題ですし、それこそ今作のウォッチャーズと一緒だよなとなって面白いメタファーだなぁと感心しながら観ていました。
今作のウォッチャーズの正体は教授が蘇らせた妖精で、その妖精は色々な人物に変化できますし、家来的なやつは謎にスレンダーマン風味があって造形は良かったです。
ただスレンダーマンはむっちゃ獰猛な事以外は、こちらを見ている状態でそこまででしたし、もっと襲ってくれたら見せ場もあったのになと思いました。
ルールを破ったもの(というか破らせようとした)は殺されて、ルールを守ったもの(もしくは巻き込まれそうになった)は無事生還できるといった感じで、森の中全力疾走からの、湖に出てからの、スレンダーマンもとい妖精たちに1人ぶっ殺されーの、オンボロボートでの脱出で街まで生還とサラッとしていましたが、無事帰れて良かったけどこれで終わったら消化不良すぎるよなー、あらあっさり脱出できちゃった…と思ったらそこからもう一捻りあるので、父の遺伝子が突然変異してくれていて、ちょっとだけお得感がありました。
教授の真の目的は妻を甦らせる事。
それで妖精を呼び出してしまったがために殺されて体を乗っ取られて、妖精は太陽を浴びれないという弱点をハーフリング(妖精と人間ががーっちゃんこ)で補って、人間の世界で生きていくという一気にファンタジーに飛躍した瞬間は驚きましたが、それ相応の理由がしっかり提示されたタイミングでなぞに納得できるものがありました。
羽でバッサバッサ飛んでいくところだけは違和感満載でしたが笑
ツッコミどころはたっぷりありまして、なぜ森に一直線で向かってしまったのか、床下の扉になぜ気づかなかったのか、ルール破りまくりだけど大丈夫なのか、
ホラーとして観るとインパクト不足ですが、怪しげなファンタジーとして観たら結構楽しめました。
粗っぽい部分やホラーテイストがどう改善されていくのかも見ものですし、ここから父親と一緒に映画を作るか、それとも1人で新たな道を切り開くのか、イシャナ監督の次回作に期待しています。
鑑賞日 6/23
鑑賞時間 18:40〜20:35
座席 H-15