「何歳になっても、目的のある努力は実るものなのだと思った」35年目のラブレター Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
何歳になっても、目的のある努力は実るものなのだと思った
2025.3.8 イオンシネマ京都桂川
2025年の日本映画(119分、G)
原作は小泉孝保のノンフィクション『35年目のラブレター』
読み書きのできない夫が妻のためにラブレターを書く過程を描いた恋愛映画
監督&脚本は小泉連平
物語は、1999年を起点にして、27年前の新婚時代と幼少期を過去編として描いていく
幼少期の生活とトラウマから読み書きができないまま大人になった保(重岡大毅、老齢期:笑福亭鶴瓶、幼少期:渋谷そらじ)は、色んな職場を転々としながら、寿司屋の逸美(笹野高史)に世話になることになった
勤勉な保は仕事を真面目にこなし、新人を教えるまでに成長する
そんな折、逸美の知り合いから見合い話が来て、保は渋々参加することになった
そこに現れたのは皎子(上白石萌音、熟年機:原田知世)で、彼女は保が驚くほどの美人で、自分とは不釣り合いだと思っていた
読み書きができないことを言えないまま、二人は結婚することになり、それから半年が過ぎた頃、保はこれ以上隠せない状況に追い込まれてしまう
この半年間は楽しかったと言う保だったが、皎子は「わたしがあんたの手になったる」と言い、それから二人の夫婦生活が始まった
物語は、この過去パートを丁寧に描き、
現代パートで夜間学校に通う様子が描かれていく
夜間学校にいられる時間は20年で、半分が過ぎた頃でも満足に字が書けなかった
一度はやめようと思うものの、谷山先生(安田顕)は進歩していると言い、自分のこれまでの学習を振り返って勇気づけられることになった
その後、ラブレターを書くために邁進する日が続くものの、皎子が病魔に襲われてしまう
脳の血管に異常が見つかると言うもので、手術をして一度は回復するものの、その時が来てしまうのである
物語は、手紙が読めない保で始まり、それが読めるようになるまでとなっていて、そこには夫婦それぞれの想いが隠されていたことになる
面と向かって言えないことも手紙でなら言える
そんな素敵な要素が詰まっていて、タイプライターの味わいのある文字が、さらに涙腺を緩めてしまうのである
映画は、現代パートと過去パートを違う俳優が演じることになっていて、これをどのように受け止められるかのように思う
似ている似ていないを重視するのか、気質が似ていると脳内変換できるのかで見方は変わってくると思うが、個人的にはこの夫婦の歴史としては合っていたのではないか、と感じた
いずれにせよ、実話ベースの物語で、特異な過去があったとしても、当時はそこまで稀有なことではなかった
時代が変わり、今では読み書きできない人はほとんどいないけれど、義務教育を全うできない人がいるのも事実だと思う
人は何歳になっても新しいことができるので、それを再確認する上でも、勇気づけられる
人生には色々あって、その時にしかできないこともあれば、かなり年月を要してからでもできることはある
なので、今足踏みが必要な人は足踏みをして、前に進むためのタイミングを見つけたら良いのではないか、と感じた