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天使と過ごす映画という情報だけ入れて鑑賞しましたが、とても優しい映画で心がポカポカしました。
父は自殺、母は宗教にのめり込み消える、早速人生ハードモードな希穂が自殺を図ろうとしたところに現れた天使と名乗る不思議な人と過ごす祝日のお話で、日常の中に強いファンタジーを入れ込んだ作品になっていました。
天使の設定が面白く、実体を持ってしまった次の日には死んでしまうというのが妙に説得力があり、あそこで希穂に声をかけなければまだまだ生きれたのに、あそこで手を掴んでしまったから、でもそれでも希穂を助けたかったんだなぁというのがとても良かったです。
行く先々で出会う人がこれまた個性的で、社交ダンスにハマって、それを見てくれたら足りないお金を立て替えてくれた喫茶店のお姉さん、娘を探すために数十年前のマジシャンの姿を続けるお爺さん、アフロに喪服というこっちがマジシャンでは?と思わせる風貌の中華料理屋の店主のアフロさんと、どの人も個性全開なんですが、優しいが根っこに染み付いているのもあって、喋り方も仕草ものほほんとしていて、観ていてとても癒されました。
道中の不思議な出来事が起きるたびに、少しずつ仲良くなっていく希穂とババさんの関係性も観ていて微笑ましかったです。
中華料理屋の店主とサキとババさんで、麻婆豆腐を食べるシーン。
思い出の一部の再現とはいえ、これは食がそそられる〜ってなりました。
野菜ジュースとプリンを流し込むように食すのではなくて、しっかりとむしゃむしゃと食べるキホの姿を見ながらちょっとウルっときました。飯って美味しく食べるのがやっぱ一番だよなぁ。
ガキンチョの頃行ってた中華料理屋の餃子ラーメンが今でも懐かしい。あの味また食べたいなぁ。
海で喪服を燃やして過去を断ち切る決断もしっかり提示していて、前向きになれる要素もしっかりと入っていてさらに好感触でした。
ラストシーンのビニール袋が希穂の周りをうろちょろするシーン、とても良いシーンでした。
実態こそ無くなってしまったけど、意思は少なからずまだまだ希穂のそばで見守ってくれているのかなという淡い希望と共に流れる生きてる証の鼻血、洗練された良さがこれでもかと詰め込まれていました。
祝日をどう生きるか、平日と休日と祝日の違いがもう分からなくなってしまった現代人なので、もう一度学生に戻って祝日の大切さを味わいたいななんて思ったり。
鑑賞日 5/30
鑑賞時間 12:10〜13:45
座席 C-5