劇場公開日 2024年6月14日

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「わかりやすくなった」蛇の道 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5わかりやすくなった

2024年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

本作のオリジナル版は、昔VHSを持っていた。何気なしに買ったらめちゃくちゃおもしろくて、今でも黒沢清の最高傑作ではと思っている。それを舞台をフランスに置き換えてセルフリメイクするという。本作は復讐を描くが、誰がなんの目的で復讐しようとしているのかよくわからない。でも、そこが面白かった。今回は、フランスを舞台に日本人の精神科医が出てきて、子供を巡る復讐劇というわかりやすいプロットになっている。それによってドラマの筋書きが理解しやすくなっているが、得体の知れなさは薄れた。単純に画面がオリジナル版に比べて明るいからかもしれない。あるいは哀川翔と香川照之の何を考えているのかわからない雰囲気のなせるワザだったのか。
リメイク版も面白く見たけれど、やっぱりオリジナル版の異様さは抜ききんでいる。オリジナル版は、わかりにくいんだけど、わからないから余計怖い作品なので。
でも、このオリジナルと本編を比べるとやっぱり映画って面白いなと思う。同じ題材でもこんなに違う。同じ作家が作っているにもかかわらず。映画は何にでも変化できるんだなとその可能性の広さに気がつける。

杉本穂高