「Noir」蛇の道 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
Noir
Vシネのオリジナル版は未鑑賞。
舞台を日本からフランスへと移してのセルフリメイクというバンドっぽいやり方だなーというところにも惹かれての鑑賞。
抜けたところはありつつも、全体的にどんよりしたオーラを纏った復讐劇でしっかり楽しめました。
元がVシネというのもあって、サクサク事は進むし、次の展開へパッといってくれるのも良かったです。
監禁部屋がソウシリーズみたいな感じで、そこに手錠と足枷を置いてあるシンプルな部屋にぶち込んでジワジワいたぶる、精神的に責めるというのはが好みでした。
飯は床にぶちまけたものを這いずらせて食べさせて、小便大便はさせてもらえず、娘の事を話す時は一言一句同じセリフが飛んでくるという気が狂ってしまいそうなものがこれでもかと詰め込まれていました。
作戦はしっかり立てるのにズタ袋に入れてからは頑張って引きずって車に積み込むという、急に無策になるところが何度もあって、ギャップなのか笑えてきました。
こういう感じで意図してるのかしてないのか分からないけど笑えるシーンがそこそこ揃っていて、ちょいブラックジョークな作風もハマりました。
死体をちゃんと並べて置いてたり、小便大便をトイレで出来ないことを悟ったら、1日1回の水浴びでしっかり浴びて、飲める時に飲んどけという理由でホースの水を飲んだりと、極限状態のはずなのに笑えました。
これでもかってくらい関係者がいて、芋づる式に全員殺し殺されていくので、個人的には飽きずに次はどんな手で殺されるんだろうと見入ってしまいました。
全体的に無理のあるシチュエーションは多く、猟師がなぜか新島とアルベールには全く銃弾を当てられないし、ジムでの強襲はなぜ誰も気づかない?と笑えましたが違和感は満載で、ここが気になる人はほとんどだと思います。
ラストシーンでの旦那へと向けた柴咲コウさんの光なき黒目が素晴らしくて、この吸い込まれるような瞳を観れただけでこの作品を観て良かったなという満足感がありました。
セリフの淡々とした鋭さも相まって、日本へ復讐へ行くのか、それともフランスに呼び出して…想像が膨らみますが、膨らませるにとどめておいた方が良さそうな気もします。
西島さんの出演が全体通しても復讐劇にはなんら関係ないなーと思って観ていましたが、近寄ってくるシーンや質問するシーンなんかはとても不気味で、そこにあった違和感を復讐劇で発散するもんですから、意外と良い役割を果たしていたなと思いました。
満足度は高く、粗はあれど作品としては結構好きでした。Vシネマの方も観なきゃなーです。
鑑賞日 6/14
鑑賞時間 18:25〜20:30
座席 J-13