Shirley シャーリイのレビュー・感想・評価
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読み解く鍵は“分身”
本作については当サイトの新作映画評論の枠に寄稿したので、ここでは補足的な事柄をいくつか書き残しておきたい。
評では、映画の原作になった2014年発表の小説があること、シャーリイが1951年に発表する長編第2作「絞首人」の構想を練っていた頃に時代が設定されていること、シャーリイたちの家で暮らすことになるフレッドとローズの若夫婦が架空のキャラクターであることなどを紹介した。
さらに評の中で、「『絞首人』の構成要素を分解してリバースエンジニアリングにも似た手法で着想から執筆に至る過程を再現し、さらにはシャーリイ作品の幻惑的な世界に没入させることが作り手たちの狙い」と書いた。先に「絞首人」を読んでから「Shirley シャーリイ」を鑑賞した場合は、映画の人物らの関係性は小説のあの人物らの関係性をなぞっている、などと気づくことが多々あるのだが、もちろん未読だからといって映画を楽しめないわけではない。先に映画を観てから、答え合わせのような心持ちで「絞首人」を読むのもありだろう。
この映画と小説「絞首人」のネタバレにならない範囲でヒントを記すなら、作品を読み解く鍵のひとつは“分身”だ。評の中でも「(「絞首人」の主人公)ナタリーは小説後半で分身と思しきトニーと交流する」と書いた。シャーリイ・ジャクスンが「絞首人」で採用した叙述スタイルは「信頼できない語り手」に近いもので、序盤からいきなりナタリーと空想上の刑事とのやり取りが出てきたりする。そうした小説の傾向から、後半に登場しナタリーと行動を共にするトニーの存在そのものも空想でありナタリーの分身と解釈できるのだが、映画においてもシャーリイとスタンリーの分身として若夫婦を位置づけることが可能だろう。現実にはシャーリイが「絞首人」を準備していた頃すでに4人の子を産んで育てていたのだが、映画では子は存在しない。もちろん2時間程度の尺に収めるため登場人物を整理して減らすのは映画脚本でよくあることだが、この「Shirley シャーリイ」の場合はそれだけでなく、シャーリイとスタンリーの新婚の頃がローズとフレッドに投影されていると考えるとしっくりくる。ローズの出産を描いてシャーリイが母になる過程を想像させるためには、シャーリイが映画の最初から母親であるべきではないという作り手たちの判断ではないか。そう推測すると、あの断崖のシーンもわかりやすくなる。
ともあれ、この映画を機にシャーリイ・ジャクスンの再評価がさらに広がり、過去の映像化作品が配信で観やすくなったり、新たな映像化の企画につながったりするといいなと思う。スーザン・スカーフ・メレルによる原作小説も邦訳が出たらぜひ読みたい。
現実と非現実が混沌とする世界観
シャーリィ&スタンリー夫妻 とフレッド&ローズ夫妻が主な登場人物なのですが、
シャーリィの小説のキャラでもあるポーラとローズの境界がわからなくなったり、
はたまたシャーリィとローズがごっちゃになったり等、すごい複雑に人間が絡みあって
時間軸も後半は特に曖昧になったりと、混沌とした世界観だなと感じました。
シャーリィが自分のことを「魔女」と言っていることが、
彼女の強烈な発言によって裏打ちされていたり、
ローズをタロットで占ったときに「ハングドマン」が3回連続で出てきて
不穏な空気感を醸し出したり・・・と、なかなかエッジが効いていると言いましょうか
違和感のつくり方が上手いな〜と思いました。
それにしても、男どもがクズすぎる!と感じたのは私だけはないはず。
クソみたいな男しか出てこないな、なんて思いながら観ていました。
女性の扱いについて、時代感はあるにせよ、酷すぎませんかね。
まあ女性陣のやっていることも不穏だったりはするんですよ。
ローズが卵を床にわざと落としたり、パーティーでサンドウィッチを床に落としたり、
崖で自殺未遂に至ったりなどなど。
シャーリィは前述の通り発言が怖いですしね。
ラストでは、シャーリィの小説が完成して喜ぶシャーリィ&スタンリー夫妻と
フレッドのクズっぷりがバレて崩壊するローズたち。
実に明暗のくっきりしたコントラストになっていたと思います。
実によくできた作品だと思いますし、ずっと考察しながら観ていましたね。
気まぐれ作家と陰湿教授
アメリカの作家シャーリイ・ジャクスンの伝記を基にした作品。
1948年、短編小説、くじ、がヒットしたシャーリイは、女子大生失踪事件を題材にした新作に取り組んでいたが、筆が進まずスランプに陥っていた。大学教授の夫スタンリーはそんな妻シャーリイを助けようとい、家を探していた新婚夫妻フレッドとローズを自宅に居候させて家事を担当してもらうことにした。当初は他人との生活を嫌がるシャーリイだったが、自分の世話をしてくれるローズにより、執筆が進みだした。一方、ローズはシャーリイに誰にも言ってなかった妊娠を当てられ、彼女の超能力の様なカリスマ性にひかれ、2人の間には絆が芽生え始め・・・さてどうなる、という話。
実在するシャーリーという作家が居たことを知れたのと、後で調べると、シャーリーを演じたエリザベス・モスがよく似ていた事がわかった。
妻が家事が出来ない時には夫が手伝ってあげれば良いのに、と思ったが、第二次世界大戦直後頃の話なので、当時はアメリカでも家事は妻の仕事だったのかな?
単に家政婦を雇うお金節約?
教授の行動もイマイチよくわからなかった。
で、これは鑑賞後何を感じれば良かったのだろう?
気まぐれな作家と陰湿な教授夫婦の話、って事で良いのかなぁ。
そうした意味でゾワゾワ
書けなくなった女流作家の世話役を任された若夫婦が、偏屈な彼女との距離を詰めながらも彼女に呑み込まれているお話です。
この作家もその夫の大学教授も若夫婦もみんなクズな面を垣間見せながら、映画自体がザラザラした肌触りで観る者の心を不安にします。でも、お話の収め方が「えっ、それだけの話しなの?」と少し呆気に取られました。どこか見逃した点があったのかな、気づいていない暗示があったのかな、単にボケてたのかな。勝手に、「こんな映画だろう」と決めつけていたのかな。そうした意味でゾワゾワの残る物語でした。
【不穏感が横溢する作品。(褒めてます。)作家シャーリーと夫の歪んだ悪魔的な人間性に呑み込まれつつ、夫の為に彼らと嫌々同居していた若妻がシャーリーにより強かに自立していく姿が印象的な映画。】
■発表した短編「くじ」が話題になるが、シャーリー(エリザベス・モス)は体調の不調を訴え、ベッドに寝た切り。
大学文学部教授のスタンレー(マイケル・スタールバーグ)は一計を案じ、助手のフレッド(ローガン・ラーマン)とその妻ローズ(オデッサ・ヤング)を自宅に住まわせ、ローズに家事全般をお願いする。彼女は夫の為と思い、その申し出を引き受ける。
◆感想
・色んな所に書いてあるが、序盤はシャーリーを演じたエリザベス・モスの眼の下の濃い隈の顔と、ローズに対しての非常識な言葉が、観ていてとても嫌な気持ちになる。
エリザベス・モスは、元々”何処か、内臓がやられているんではないか?”と思う位、目の下の隈が印象的な顔つきと、意地の悪そうな眼付きの女優No3に入る方であるが、今作ではそれが非常に効果的である。
・更に、シャーリーの夫スタンリーがコレマタ嫌な奴で、最初はフレッドに対し下手に出るが、フレッドに対する出自の劣等感を隠さずに、約束していた論文を読む事を引き伸ばし、更には彼の論文をローズとシャーリーの前で酷評するのである。
更には、露骨にローズに背後から近づいたりして・・。
似たモノ夫婦であろう。
・だが、シャーリーは徐々にローズを受け入れていく。描かれないが消息不明になったスタンレーの教え子ポーラをモデルにした小説を見て貰っているとも言っている。
・シャーリーはスタンレーが勤務する大学の学部長主催のパーティに行っても毒を吐き続けるが、彼女に感化されていたローズも、盛りつけられたサンドイッチをポイポイとさり気無く床に捨てている。
■更にシャーリーは、ローズに対し”貴方の夫は浮気しているわよ。女学生の中からよりどりみどり・・。”と言ってニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。
だが、ローズにも思い当たる節は沢山有って・・。
そして、フレッドとローズの夫婦関係に軋みが入り始めるのである。
■徐々に強かな女になって行くローズは、シャーリーの車でポーラが行方不明になった道で降ろしてもらい、二人は坂道を上がって断崖絶壁に立つのである。
この辺りは、現実が小説に侵食され、境界が曖昧になっている状況を示している。
<ラスト、フレッドとローズはシャーリーの小説が書き上がったために、漸くスタンリー&シャーリー宅を車で出るのであるが、ローズはフレッドに対し冷ややかな視線を向けている。一方、スタンリーはシャーリーの小説を激賞し、シャーリーも嬉しそうである。
今作は、作家シャーリーと夫スタンレーの歪んだ悪魔的な人間性を描くとともに、一見彼らに養分を吸い取られたかのように見えた若夫婦の中で、素直で従順だった妻がシャーリーから薫陶を受けた事で強かな女になっていく様を描いた不穏感が横溢する嫌な気持ちになる作品である。>
<2024年8月14日 刈谷日劇にて鑑賞>
物語を産む人
夫の上司の妻で有名作家であるシャーリイの家政婦を勤めることになったローズの目線で、シャーリイの新作執筆風景を覗き見る物語。シャーリイ・ジャクスンは実在の作家で、本作は彼女の伝記作品という触れ込みである。
劇中のシャーリイの人物像や創作スタイルには彼女の作風が投影されている。本編が進むにつれ、ハイマン家の生活を映すシーンに、徐々にシャーリイのインスピレーションが独り歩きした幻想やローズの妄想が挿入されるようになる。ローズの生活感あふれる新生活の物語が虚実入り混じった世界観に変わる中で、シャーリイの人物像の輪郭は不確かになっていく。
ぼかされているとはいえ、子供や女性が持つ神秘的な感性に着目した人物造形や怪奇派の作風を持ち味にしていたせいで、こんな人物として描かれたらたまらんなぁ、というのが第一印象だった。
本作は私的な記録や夫スタンリーと交わした書簡をもとに書かれたシャーリイの伝記作品を原作としており、教師と教え子の関係から始まりプロデューサーと作家の関係を兼ねる独特な夫婦関係の造形は原作に由来するようだ。シャーリイの人柄にせよ夫婦関係にせよ虚実の境目はわかりようがないし、役者が役と素の人柄を混同されるように作家の人格が作風と混同されるのも珍しいことではないのだが、どうにも人物や人間関係の極端さが気になってしまい、自分には『実在人物の伝記作品』という触れ込みが少々ノイズになった気がする。
ミステリアスな世界観やクリエイターのエゴイズム、女子トークによるエコーチェンバーの描き方は面白かった。
本編はローズが巣立つところで終わるが、予告が言うところの『魔女の毒』を得たローズの今後が不安になった。シャーリイは作家として『ハイマン夫人』以外の地位を築いているからこそ『魔女』でいられるが、武器を持たないローズのことを思うと、学部長夫人がパーティでシャーリイへ投げつけた言葉が頭を過った。
オデッサ・ヤングの、ありふれた新婚のお嫁さん・シャーリイのインスピレーションのアイコン・魔女の弟子としての顔を演じきったエネルギーを讃えたい。
クライマックスのタマヒュンシーンはスクリーンで観てよかったと思う。ロケーションの解放感、産毛まで捉えるライティング、2人の表情…これらを最大限堪能できるのはスクリーンの没入感あってこそだろう。
傑作のヒントはそこに…
スランプ気味の小説家の元に、お世話係として同居することとなった若奥様。シャーリィは彼女と関わるうちにまた筆を執り始めるが…といった物語。
中々に難解なサスペンス作品。
序盤から、アレやコレやが敢えて暈されて描かれている印象。ポーラの失踪を想像するシャーリィのように、観客側にもある程度の想像力が必要かも⁉
彼女のファンでもあるローズとの奇妙な友情(⁉)を軸に、嫌味で気色悪い教授や助手のフレッドといった旦那陣も交え、陰鬱な物語が展開されていく。
観ている最中は"?"な場面も多く、実はポーラはコイツにより今もどこかに…なんて予想したりしたが…。
…成程これが真実だったか。
終わってみればストンと腑に落ちることも多いし、戦慄もそこそこにこちらをゾワッとさせてくれる結末も個人的に好きでしたね。
嫌な思いはしたけれど、ある意味ウィンウィンなのかな?
好みは分かれるかもしれませんが、難しい作品が好きな人には是非おすすめしたい作品だった。
キーワードは「吊るされた男:正位置」、意味を知っているとニヤリとできますよ
2024.7.18 字幕 京都シネマ
2019年のアメリカ映画
原作はスーザン・スカーフ・メイルの小説『Shirley: A Novel』
実在の作家シャーリイ・ジャクスンが『絞首人(Hangsaman)』の執筆に至った経緯を描いたヒューマンミステリー
監督はジョセフィン・デッカー
脚本はサラ・ガビンス
物語の舞台は、アメリカ・バーモント州ベニントン
敬愛するスタンリー教授(マイケル・スタールバーグ)の助手をしているフレッド(ローガン・ラーマン)は、妻ローズ(オデッサ・ヤング)とともに、彼の邸宅に向かっていた
そこではパーティーが開催されていて、スタンリーの妻で著名な作家シャーリイ(エリザベス・モス)を囲んでの食事会のようなものが催されていた
ローズは彼女が書いた『くじ』に魅了されていて、会える日を楽しみにしていた
少ない会話を交わしたローズとシャーリイだったが、彼女は一目でローズの妊娠を言い当てた
スタンリーは彼女の特殊能力の一つだと揶揄うものの、シャーリイの言葉はどこか棘があって、ローズは自尊心を傷つけられていると感じていた
物語は、『くじ』以降、執筆に取りかかれないシャーリイの世話係としてローズが住み込みで働き出すところから動き出す
ローズもベニントン大学で学んでいたが、その隙間だけでは世話をすることはできず、さらに出産が近づいたことで休学せざるを得ない状況になっていた
シャーリイは相変わらずマイペースだったが、ベニントン大学の学生で行方不明になっているポーラ・ジーン・ウェルデンとローズを重ねることで、次作のインスピレーションが生まれつつあった
シャーリイはローズと会話を重ねる中で、なぜポーラは姿をくらましたのかと想像を重ねていく
そして、シャーリイの脳内イメージはさらに洗練され、長編小説の執筆へと向かう事になったのである
実際の『絞首人』という作品も、このポーラをモチーフにしたナタリーという主人公が登場し、その失踪が物語のインスピレーションになっていると言う
この執筆の期間に彼女を支えた人物がいたと言うところから着想を得たのが本作の原作で、本作は事実と虚構がかなり曖昧な作品になっている
ローズ&フレッドは架空だが、シャーリイとスタンリーは実際の夫婦で、ベニントン大学の教授と生徒だったと言う関係も同じ
また、『絞首人』もそのままの内容になっていて、本作ではシャーリイがポーラにローズを重ねて想像を膨らましている、と言う内容になっていた
『くじ』と『絞首人』を読んでいると楽しめる内容だが、それを知らなくても、作家の創造性の実情が描かれ、それに巻き込まれる女性としての物語としても良くできていると思う
シャーリイはポーラにローズを重ねるが、ローズにとってのポーラはポーラでしかない
だが、ポーラの物語を考えていくうちに、なぜ彼女は森へ行ったのかと考えるようになり、夫の裏切りも相まって、ローズは深い森の奥へと足を運ぶ事になった
森を抜けた先で起こった出来事は、一つは事実で、もう一つはシャーリイの想像だった
このどちらかが正しかったのかは『絞首人』を読めばわかるのだが、ざっくり言えばローズはポーラではない、という事になるのだろう
このあたりを踏まえて、『くじ』『絞首人』を読んでみると、映画の見え方というものも変わってくるのかもしれません
いずれにせよ、小説を書いたことがある人なら、創作の産みの苦しさと突然降って湧いたようなアイデアの雨というものが感じ取れると思う
シャーリイが紡ぐ物語にローズが感化され、またシャーリイの哲学が染み込んで行動を変えていくのも面白い
作家ならではの着眼点や考察力、観察力なども汲み取れる作品で、そのあたりに着目しても面白いのではないだろうか
ちなみに、タロットカードの吊るされた男の正位置は「生まれ変わりの直前を意味する」ので、そんなに悪い意味ではなかったりする
自分の意思では動けず、その状況を受け入れるという意味合いがあるので、その意味を知っていればニヤリとできたかもしれません
252 5年前の製作ってふざけてないか
すみません。寝落ちしました。
どっかでホラーって宣伝してたよな。
誰かサスペンスって言ってたよな。
描きたいところはわかるんだけど
今二つ伝わってないよね。
卵割るとかフルーツばら撒くとか
鬱を抱えている、と理解して合ってるの?
そこは答え用意してくれないと。
作品内作品って仰るが見ている方は
単純に追っかけきれないって。
題材は良いだけにもうちょっと上手く
作れまへんか?と残念。
50点
2024年7月17日 京都シネマ
難しい!
ザ・ハンドメイドテイル以来、エリザベス・モスのファン。 この映画でも卓越した彼女の演技に見入ってるうちにストーリーが訳わかんなくなりましたw 後から皆さんのレビューを読んで、なるほど〜と思った次第。自分の考察力の無さを実感して気分が落ちました…
二人の夫は最低!と思ったが・・・
「この世界は女の子には残酷すぎる」ことを身を持って教えてくれるシャーリーの夫スタンリー、なんなんだー!と最初思った。シャーリーにベッドから出ろ、書け書けと言ったかと思うと、君は疲れているから休めと言う。妻は炊事洗濯一切できないのでしばらく家事を担当してくれとローズに頼む。シャーリーは作家、夫スタンリーは大学教授で共に働いているんだから、妻が弱っていたら夫が家事をしろよと思った。可哀想なローズ。本当は大学で勉強を続けたかったのにフレッドと駆け落ち結婚して中途半端になってしまった。そして家政婦だ。パーティー好きでハイテンションのスタンリーが好きになれなかった。
最後、苦しんでやっと生んだ長編小説を夫に読んでもらい素晴らしいと言われた時のシャーリーの嬉しそうな顔!音楽をかけてダンスまでする。夫の浮気も織り込み済みのようで、二人は共犯関係にあるんだろうと思った。スランプに苦しむ妻の創作のためにローズが必要だと夫は判断したのかもしれない。小説を書き上げたから愛しい可愛いローズはもう不要。でもローズはシャーリーから、成長して目覚めるという大きなプレゼントをもらった。
当時の女子大生の衣装、カーディガンにスカートが色とりどりで可愛くてきれいだった。男ばかりの教授陣からしたらお花畑に居るようなものだろう。そして大学の男達はポストや論文や講義の人気度に関して互いに熾烈な嫉妬をメラメラと燃やす。
映像と音響(雨、タイプライター、小鳥、いろんな音楽)が新鮮で不穏でとても効果的だった。目玉焼や鶏肉塊の大アップから始まるキッチン作業、ローズとシャーリーの茸食べごっこや庭のブランコや夕食の際のテーブル下ではいちゃつきfootsie。そして赤ちゃん(性別不明)抱いて二人で崖っぷち。現実と夢と想像と妄想が重なってぶれて不思議な世界が作り上げられていた。
サスペンス・ホラー・ファンタジー まさに魔女夫妻の毒に翻弄され、少女は強かな妻(おんな)となった
若い夫婦は、作家と教授の夫婦の家で同居することになる。
女流作家シャーリィは、女子大生失踪事件をテーマにした小説の執筆が難航。
ローズは、その事件の調査を始めるが…。
サスペンス・ホラー・ファンタジー。
まさに、魔女のようなカリスマ作家夫妻の毒に徐々に毒され、翻弄され、まだ少女だったローズは、強かな妻に成長する。
ラスト、まるで思い通りに操ったように、実に満足げに振る舞っているような夫婦二人の様子が怖い。
シャーリィが、そういう人の大きなエネルギーを吸い取って生きている魔女のように思えてた。
夢うつつ
アメリカの怪奇幻想作家シャーリイ・ジャクスンの伝記を基に、アレンジを加えて作られたそう。
ホラーかと思ってたら、よく分からないサスペンス。
現実と虚構が混ざったような、頭こんがらがる、ぼやーっとした話で、考察力が試されます。
眠くなる(笑)
ウトウトしました(笑)
それも計算の上?
夢うつつ…
マーティン・スコセッシ製作総指揮。
エリザベス・モスの怪演
ストーリーより圧倒的なエリザベス・モスの演技、これを怪演って言うのかなと思いました
手入れの行き届いてない髪、ノーメイクな感じ、少し太っちょさんな体型、そんなシャーリーの様子が引きこもり気味の神経質な空気を思い切り漂わせてました
そして人の心を見透かすような、コントロールするような目力、まさに「蔦に覆われた館の魔女」
その夫のスタンリー、これがパワハラモラハラ男で、私にはもう気持ち悪い域
こんな夫婦の家に住む若い夫婦のフレッドとローズ
出て行かないのが謎すぎました
この夫婦もだんだんおかしくなるし、4人全員に全く共感できず
それぞれが支配しようとし合ってるような関係性というか、それでバランスは取れていて、特にシャーリーとスタンリーはそれでうまくいってる夫婦になったようでした
共依存でしょうか
ラストのローズは自立したような晴れ晴れとした表情で最初と最後では全く違う女性になったように思えました
もうフレッドは必要ないのかも
ずっとジメーっとした空気の作品の中、ローズ役のオデッサ・ヤングがとっても可愛かったです
なんかよく分かんないけど、 悪くはなかった タイトルはこれで良いの...
なんかよく分かんないけど、
悪くはなかった
タイトルはこれで良いの?って、
結構最後の最後まで思ってた
Sharp
実在する作家さんの伝記ものに現代的なニュアンスを加えて作った…という何がなんやら状態のまま鑑賞。
やはり何がなんやらで、作家さんとその他の人々の交流からアイデアを紡いでいくけれど、どこか不穏な雰囲気が漂う作品だと思って観ていたら、ストーリーがのっそりしながらも急にあっちこっち行ったりで収まりが感じられず、1本の映画としてはやや物足りなかったなと思いました。
「透明人間」でエリザベス・モスを知って以来、彼女の作品はしっかり追いかけているんですが、今作でもナイスな演技をしていて最高でした。
最初はそこまで強気な感じじゃないのに、だんだんと自信と活力を身につけて、反抗も覚えちゃったりと、徐々に人間らしさが出てきていてその部分は見応えがありました。
原作者の作品やコラムなんかに多少触れていればもう少しこの作品を解釈できたのかな…とちょっぴり悔しかったです。
鑑賞日 7/9
鑑賞時間 9:50〜11:35
座席 C-12
曖昧な境界線と差別問題
これは現実?虚構?という曖昧な描写を幾度となく観ているうちにいつの間にかその魅力に引き込まれていました。閉鎖的な家、蔦の存在がホラーでありミステリアス。ローズがシャーリイ化していく表情の表現とエリザベス・モスの怪演は圧倒。差別問題にも深く考えながら終始没頭しました。
取り込み、再生し、自立させ、送り出す
2020年公開のアメリカ映画を
四年も経ってから日本で封切りの運び。
バーモント州ベニントン大学の教授『スタンリー(マイケル・スタールバーグ)』は
妻の『シャーリイ(エリザベス・モス)』と二人で暮らしている。
小説家の『シャーリイ』は新しい長編小説に取り組み中も、
極度のスランプで家に引きこもり状態。
『スタンリー』が新しく助教になった『フレッド(ローガン・ラーマン)』を
彼の妻『ローズ(オデッサ・ヤング)』ともども我が家での同居に誘ったのは
単に親切心からではなく、彼女に『シャーリイ』の面倒を見させ
家事もさせようとの魂胆があってのこと。
が、閉じた共同体の中に異物(=よそ者)が入って来ることで
予想だにしなかった化学変化が起きる。
『スタンリー』は度を越した女好き。
学長の妻や女子大生にも手当たり次第に粉をかけ、
『シャーリイ』もそのことを知っている。
あまつさえ、同居を始めた『ローズ』にも色気を出す。
夫の昇進の鍵を握っている『スタンリー』をむげにはできず、
勿論、それを踏まえた上での行為なわけだが。
最初は反発し合った『ローズ』と『シャーリイ』は
次第に息が合うように。
とりわけ取り組んでいる新作のリサーチに協力し、
主人公の心情を代弁するようになってからは
その親密度は増していく。
冒頭から画面のトーンは暗めで、
1940年代を思わせるくすみに満ちている。
カメラワークやカット割り、
BGMや効果音の全てが不穏さを感じさせ、
一瞬{ホラー映画}と勘違いるするほど。
が、実際にはそうした要素はほぼ無く、
一方で家庭内に漂うぴりぴりした空気を表現するには
絶妙の手段になっている。
『ローズ』の協力もあり、新作は完成に近づき、
そして、ここで変化の最たるものが発露。
それは、今までは可愛い優しいお嫁さんだった『ローズ』が
婦人としてひとり立ちし、夫やそれ以外の男性に対しても
主張を前面に出す変容なのだ。
『シャーリイ・ジャクスン』は実在した小説家で、
49歳で夭逝。
長編は未読も
短編は他作家も含めた短編集で読んだ記憶。
日常の中に潜む異質さが滲み出し、居心地を悪くさせる
風変わりな作風との読後感。
本作が彼女の人となりを忠実に再現しているのなら、
そのエキセントリックさが小説にも如実に反映されているのだろう。
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