「君がいるこの世界もう一度愛せるまで」知らないカノジョ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
君がいるこの世界もう一度愛せるまで
ある日突然、世界が違う世界になったら…?
自分や周りの人々が違う人生を歩んでいたら…?
古くは『素晴らしき哉、人生!』など映画でよく描かれる“If…の世界”。
フランス映画のリメイクらしいが、三木孝浩印の好編ファンタスティック・ラブストーリーに仕上がった。
大学時代に出会ったリクとミナミ。リクは作家志望、ミナミはミュージシャン志望。一目惚れで恋に落ちた二人はお互いの夢を追い、支え合いながら、やがて結婚。リクは作家として成功しデビュー。そんなリクを支える為ミナミはミュージシャンの夢を諦めた。
リクは多忙を極め、いつしか二人の間に溝やすれ違いが出来ていた。ある日煩わしさから喧嘩を…。
翌朝目を覚ましたリクだが、様子がおかしい事に気付き始める。部屋が違う、出版社の態度の急変、ミナミが居ない。
いや、ミナミは居た。街中の看板やあらゆるメディアに。
最初は戸惑い分からず信じられなかったが、ようやく分かってくる。自分は出版社のしがない編集社員、ミナミはカリスマ的人気のミュージシャンとなっている別の世界である事を…。
一体、原因は…?
何の理由も無くパラレルワールドに迷い込んだ…?
歴史的なスーパームーンの影響…?
自分への戒め…?
誰かが願ったから…?
非現実的な設定なので理由は見た人の解釈で。それを求める人にはこの時点で入り込めないだろうが。
勿論そんなSF設定メインの話ではない。
作家大先生から出版社の下っ端。一時的な記憶喪失…と言う事で編集部に分かって貰う。
一応話を理解してくれた大学時代からの先輩・梶原。あっちでもこっちでも頼れる先輩。
元の世界に戻る。作家としての自分やミナミとの暮らしを。
それにはミナミとの関係が必須。もう一度出会いから。プロポーズ再作戦! しかし…。
こちとら何者でもない出版社社員。あちらは超人気者。
自分の身近に居た筈の者が遠い存在に…。
それでも何とかお近付きに。“元夫婦”だったから好きなものや唯一の家族を知っている。
老人ホームに入所しているミナミの祖母を訪ねる。あちらの世界でもよくしてくれたミナミの祖母。
こちらの世界でもリクを気に入るが…。そこでばったりミナミと鉢合わせ。状況的にはストーカー。
警察沙汰に。ミナミも警戒するが、ミナミのプロデューサーの田所から厳重お達し。
失敗してしまった最悪の出会い。しかしポジティブ先輩の機転でそれを逆手に。
ゴーストライターと偽って、ミナミのデビュー秘話を書く。何とかミナミに取り入る事が出来たリクだが…。
最初はぎこちない。だって端から見れば、人気者と訳ありの一ファン。
しかし、接する内に…。
不思議なくらい私の事を知ってくれている。理解してくれる。受け入れてくれる。
リクも改めて気付く。あっちでは居る事が当たり前だったミナミだが、それがどれほど尊い事だったか。作家としての成功もミナミが支えてくれたから。どんなに大切な存在だったか…。
こちらでは成功したミュージシャンとして光り輝く。その道を閉ざしてしまったのは自分…。
ミナミもリクに気を許し、良好な関係になり始めた時、知ってしまったスキャンダル。田所との交際。
しかもそれが流出してしまい…。ゴーストライターの嘘もバレ…。
ミナミとの縁が切れ、田所からも接近禁止令。
望みは絶たれた…に思われたが、ある事から再びミナミと関わる。
元の世界に戻れるのか。それ以上に、ミナミとの関係は…?
映像美や繊細な感情描写に長ける三木監督だが、今回は基のオリジナルがあるとは言え、話の面白さに引き込まれた。
それを魅せた主演二人。
冴えない大学時代~高慢になったあちらの世界での作家生活~こちらの世界では悪戦奮闘。さらに小説の中の主人公も。中島健人が演じ分け。
ケンティーも良かったが、シンガーソングライターのmiletが魅力大爆発!
実はシンガーソングライターも正直、『鬼滅の刃』の主題歌くらいしか聞いた事無かったが、こんなにマルチな才能えったのか…!
これが映画初出演とは思えないナチュラルな演技。あちらの世界でのメガネ姿に萌え~。こちらの世界では美しさ際立つ。スター性もさることながら、親しい人にしか見せない素朴な面。演技、巧っ!
勿論シンガーとして、美声も披露。
本作の曲や『鬼滅』の主題歌も良かったし、曲他にも聞いてみよう。
遅ればせながら、気になる存在に。
プロデューサーで恋人で、ミナミへの独占欲が強い田所。真島秀和がクールイケメンのデキる男で憎々しさ。お陰で二人の恋路や物語が盛り上がる。
田所を嫌うミナミの祖母。リクの事を知ってるような知らないような、あっちの世界こっちの世界を知ってるような知らないような…。風吹ジュンが柔演。
桐谷健太パイセンがやはりナイスな奴。一見お気楽だが、こちらの世界では悲しい事が…。こんな世界…と愚痴るリクに、内心カチンと。こんな世界でも懸命に生きている。叱咤激励。何故リクの力になってくれる…? リクから受けた恩返し。二人の男の友情もジ~ンと。
僕たちは夫婦だっんだ。
再び関係修復なったある時、リクがミナミへ語った“あちらの世界”。
その“話”に魅せられるミナミ。
リクも素のミナミに思いを馳せる。同時にミュージシャンとしてのミナミにも…。
何かを手に入れるには、何かを失う事。
田所が強引に話を進め、ミナミの海外デビュー。
本当は日本を離れたくないミナミ。祖母や自分の中で徐々に大きくなっていくリクの存在…。
最後の日本ツアー。最終地は二人の思い出の場所。
ここで生まれた未発表曲。
その想い溢れた曲を聞いて…。
リクはある決断を下す。
こういう作品の場合、元の世界に戻り、パートナーとヨリを戻す事が定番。
最初はそうだった。
こっちの世界に来た理由が分かってきた。誰かが願ったから。おそらく、ミナミ。
リクの小説の中で自分がモデルとなったキャラが亡くなり、主人公(=リク)は一人で生きていく。リクの小説も話にリンク。
それにショックを受け、そうじゃない生き方を望み、そこにスーパームーンの奇跡。確証は無いが。
二人で生きていく結末に書き換え、ミナミに読んで貰う。そうすれば…。
こちらの世界では作家の夢を諦めたリクの夢への再チャレンジでもある。
公演の前に小説を半分読んだミナミ。
しかし、ミナミの歌を聞いたリクは…。結末を読ませない事にした。
読んだら元の世界に戻れるかもしれない。それだと…。歌手として無限の可能性に溢れたミナミをまた閉ざす事になる。
気付いたのだ。それは自分自身のエゴだという事を…。
愛する人の夢や成功を願って。こういう作品では目新しい決断だった。
最後はちとハッピーエンド過ぎるハッピーエンド。
つまりは元の世界に戻れなかったという事だよね…?
田所や海外デビューの話は…?
ちょっと府に落ちない点もあるが、思ってた以上に良かった。
きっと、より良い新しい世界を愛していくだろう。
俺はデビュー当時からのmiletのファン。だがしかし、この映画は駄作。どの世界の誰が不幸になってもリクが幸せになれば良いとゆう茶番劇。色々言いたい事があるけど、少しだけ。考えてみてくれ。恋人が居るのにデートは浮気やろ?元の世界で夫婦やったから?運命やから?それが何?君の恋人が他の男とデートしてたら許せるかい?俺は嫌やね!元ネタなんてもっと酷い。元ネタはただの恋人じゃなくて婚約者。婚約者が居るのにデートしてしかも、ヤっちゃってる。これじゃあただのヤリマン尻軽女。この映画は流石にそこまでじゃないけど、他の男とデートしてたら同じ事。演者は何も悪くない。miletさん含め皆良い演技してる。監督と脚本がクソすぎる!ファンタジーやから何でもありで大丈夫やろって考えが透けて見える。興収10億ぐらいでヒットらしいけど、この映画は行っててせいぜい8億ぐらい。終わるぎりぎりまでで興収7億行ってなかったから。俺は三木に怒ってる。よくもmiletさんをヤリマン尻軽女にしてくれたな!よくもこんなクソ映画にオファーしやがったな!折角の初女優作なのに!miletさんにとって間違いなく黒歴史。
共感ありがとうございます!
もうDVDが出ているんですね。こういうほっこり系のSF作品は、最近あんまり製作されていなかったんで、良いタイミングでこの作品に出逢えて本当に良かったです。

 
  