「尺が足りないのか人数が多過ぎるのか」劇場版 忍たま乱太郎 ドクタケ忍者隊最強の軍師 Melonさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0尺が足りないのか人数が多過ぎるのか

2025年2月6日
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鑑賞方法:映画館

作画や竹林での立体感ある戦闘シーンや戦略などは面白く観ました。
ですが...登場するキャラクターに関しては、BL好きの人向けのようなところを感じて、少し白けてしまいました。

何がまず駄目かというと、土井先生に良い属性を盛り過ぎなことです。
顔の造形の良さ、戦闘の強さ、頭の良さ、生徒からも先生からも好かれる人柄...これだけ全てを一人の人物に盛り込んで、この人物をまるで囚われのお姫様を助けるかのように学園総出で救出に行って...。
まるで二次創作のようで、終始物語に入り込めませんでした。
最初に土井先生と決闘をしている忍者のことを悪く描き過ぎなのも気になりました。何故あそこまで彼に良いところを描いてあげなかったのでしょうか。こういうところにも、人気のキャラをひたすら皆で愛でてその他はモブとして徹底的に貶めるという二次創作感を受けて、白けてしまいました。

また、土井先生ときり丸の関係にも、あまり私は良い印象を抱きませんでした。
土井先生が先生ではなくただの近所のおじさんなら、境遇に共感してきり丸を預かっても良いかもしれません。しかし、彼は教師なんです。たとえ孤児であろうと親がいようと、全ての生徒に分け隔てなく愛情を注がなければならず、きり丸一人を特別扱いするのは間違っています。
独身の中年男性が自分と似ているからと言って子どもを預かって、結局家事などを子どもにやらせることになってしまっているのは、美談とは言い切れません。本当に孤児のためを思うなら、きちんと伴侶を得て所帯を持って、両親代わりとしての役割をきちんと果たしながら責任持って育てるのが、真っ当な大人です。

でも、きっとファンの方々にとっては、きり丸と土井先生の絆は大切なものなのでしょう。山田先生一家と土井先生の関係も。
であるならば、もう少し登場キャラクターの数を絞り、その3〜4人に時間をかけて描いて欲しかったです。
ファンサービスとして人気キャラクターをまんべんなく登場させ活躍させたかったのかもしれませんが、上級生たちがちょっと多過ぎた気がします...。
たとえば、NARUTOや呪術廻戦や鬼滅の刃などのようにキャラクターの外見の個性が際立っているなら、沢山上級生や先生たちが出て来ても区別がつくし、画面が華やかに賑やかになるので良いのですが、忍者として同じ装束に身を包み、似たような髪型をしていて、髪の色もなるべくリアルに忠実な範囲の色で、体格も背格好も似たような同年輩の人が大勢出て来ると、コアなファン以外には認識しづらいと思います。
上級生たちについては、彼らを主役にした別の映画を作れば良かったのではないでしょうか。

最後に、女性の忍が一人も活躍しなかったこともとても残念でした。
私は子供の頃忍たまではくノ一の子たちが好きだったので、もし今自分が子どもとしてこの映画を見たら、がっかりするだろうなと思いました。
画面のどこを見ても男ばかりで、そういうのが好きな人には受けてヒットしているのかもしれませんが、ファンの中にはくノ一が活躍するのを見たい幼い女の子だっているかもしれないのに、ここまで男ばかりしか描かないのは酷いなと感じました。
もちろん先生や給食のおばちゃんなどが登場しているのはわかっています。けれど、女児と同年代の女性キャラクターを忍びとして戦闘シーンや戦略会議などの場面で一人も登場させなかったのは、やはりまずいと思います。
本来忍たまは幼い子ども向けの作品なのですから、女児が「女子も忍者としてかっこよく活躍してる!」と思えるキャラクターを少なくとも一人は描くべきだったと思います。

Melon